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Something Impressive(KYOKOⅢ)

時をかける少女(’10)

一昨日、新宿ピカデリーで見てきました。これは2月中旬の監督ティーチイン付き試写会券が来てたのですが、都合合わずどうにも気忙しいし見送っていたのでした。やはりドラマ「タイム・トラベラー」('72)や大林版元祖「時をかける少女」('83)からの愛着+今回いきものがかりバージョンですが、劇場での「時をかける少女」を是非聞いておきたい、という所でした。

曲はオープニングで使われてましたが、イントロ段階で、さすがに何だかジーンとくるものが。いきものがかりは近年知って、「SHOUT at YUMING ROCKS」('09)で「卒業写真」カバーしてたり、昨年末「クリスマスの約束」に出ていて吉岡聖恵が委員会メンバーもしてたり、そうクセのない伸びあるボーカル、という印象、

これはユーミンもセルフカバー(「時をかける少女」)していても、やはり大林版テーマ曲だったか細い透明ボイスの原田知世曲(「時をかける少女」)、のイメージ強いですが、やはりこの曲も、まさに時をかけての平成バージョン、という感慨も。

作品も、ヒロインあかり(仲里依紗)の弓道部で弓を引く立ち姿や、終盤、あかりとケン・ソゴル兼深町一夫(石丸幹二)が病院の廊下ですれ違うシーン等、大林版がノスタルジックに彷彿。大林版への愛着・敬意のようなものもそこはかとなく感じられました。


4/18追記:今回元祖ヒロイン芳山和子があかりの母、パンフで大林監督も、通常なら原田知世を懇望する所だろうけれど、として、和子役安田成美を絶賛していて、確かに少女・和子=原田色強いですが、どうもその後世間的に他の相手と結婚・離婚、その娘がいる母、としては私はしっくりこず、

このシリーズに原田知世登場、なら、アニメ版「時をかける少女」('06)での、ヒロイン真琴の独身の絵の修復職の叔母としての和子役、で声で出演していた方が、深町(ケン・ソゴル)との純愛の記憶の断片を胸に生きるその後の和子像、としては、余り違和感なく繋がった気が。

今回もアニメ版の時も、出演オファーはあったようでしたが実現せず、本人は少女・和子役で封印、という感覚かもと思ったりして、一昨年特番で、「時をかける少女」は何だか恥ずかしくずっと歌ってなかったけれど、最近やっと新たな気持で歌えるようになった、等と言ってボサノバ版で披露だったのでした。

だから今回あえて原田知世で、というより安田版和子でまあ良かった、と。そして後半登場のケン・ソゴル(深町)役石丸幹二は、どうも、これまでの実写映画深町役、高柳良一、中村俊介や今回写真だけで登場の加藤康起等、というより、遠い記憶で、見たのは確か「続・・」だけでしたが「タイム・トラベラー」での硬質な木下清のその後の熟年版、的なイメージが一番フィットしました。

時をかける少女(’10)_a0116217_1922480.jpgそして、新ヒロイン仲里依紗。昨年「サマーウォーズ」で声の出演、私は先日「ハルフウェイ」('09)で初めて姿を見て、その時の北乃きいとの掛け合いぶりが骨太少女感あったのですが、やはりアニメ版での真琴役のイメージも重なって、現代っ子能動的ヒロイン像で、等身大ナチュラルさも。

母を思うゆえ’74年にタイムリープ、亮太(中尾明慶)の”神田川”四畳半テイスト部屋に、彼女の物怖じしない平成感覚が混じって、銭湯、よしだたくろうの「春だったね」、亮太の打ち込む素朴(すぎ)なSF映画、等アイテムの、束の間の純愛不思議同棲、というかコミカルで甘酸っぱい恋模様。

ハイライトシーンの、彼のために走りに走る姿、アニメ版のように上手く時間操作が効かず、ある意味シビアな場面でしたが、ただただ相手を救いたいと思う、真っ向ストレートな臨場感、やはり一番脳裏に残りました。


そして改めて思うのは、女性側の積極性、という事。そもそも母になった和子も、再び遠い思い出の深町に会うためタイムリープ薬品を作っていたり、さり気なく粘り強く能動的。娘あかりも、その母のため、ではありますが、どちらも純な思いで”自ら”時空を飛ぼう、リープを活用しようとする、そこら辺はやはりアニメ版の真琴と同じ感覚、

昨年細田守監督がトーク番組で、未来を切り開くのは少女の躍動感、等と言ってたのでしたが、今回も、ケン・ソゴルが約束を果たすために、進んで’10年の和子の元へやって来る、というベースの話だと、何というか時代感覚に合わないのかも、とも。

そういう意味では、元祖ヒロイン和子は、普段男子生徒の世話役的しっかり者ではあっても、異次元体験、となると、アクシデントで否応なくタイムリープの混乱に巻き込まれ、未来人ケン・ソゴルに恋をしてしまって、という、受身ヒロイン像に、原田知世が見事にハマっていた感じ。

(C)(株)角川書店
時をかける少女(’10)_a0116217_2112057.jpgこの筒井康隆の原作本は、以前石山透氏著の「続・時をかける少女」と共に持っていて、今は手元にないですが、そもそもがそういうヒロイン像だったかと。先日図書館で文庫(「時をかける少女」('76))の在庫あったので借りてきて、表紙の写真は一見面差しが原田知世かと思いましたが、やや制服が違う気するし、この第55版は’94年発行という事からして、未見ですが、パンフ年表では丁度その年放映、ドラマ版の内田有紀かもしれません。

そういう意味で、躍動的というより芯はあってもおっとりモード漂ってたのは、今回の高校生時代の和子役、石橋杏奈。原田知世の和子が、少し大人びて、という感じあるような、という気も。谷口監督がパンフで、仲里依紗は、常に新鮮な芝居を打ち出してきて、テイクを重ねない方がよく、石橋杏奈は、その逆で、テイクを重ねると良くなるタイプの女優、と語ってたのですが、対照的魅力、ではありました。

若い「五郎ちゃん」役千代将太は大林版の尾美としのりとそうギャップなく、現代の中年吾郎役勝村政信が相変わらず「芳山くん」と呼ぶ感じは、何だかほのぼの。

あかりの友人本宮役の柄本時生は「ホームレス中学生」でも感じたいいトボケ味、それと亮太役の中尾明慶も、当初あかりを泊める事に戸惑う様子や、朴訥な’70年代青年の感じ出てて、まあ好感でした。

小道具的に、お決まりのラベンダーや、それにプラス、丁度時節に合って、幾つかの桜並木のシーンも、儚さ+思い出の優しさ・切なさ等重なるアクセントで印象的。やや間隔空いてますが、大林版の続編、と言ってもいいのか、やはり冒頭の曲で感動モードオン、の今回でしたが、ノスタルジー+新たな純愛テイストで、予想より満足でした。

関連サイト:「時をかける少女」公式サイトhttp://www.paoon.com/film/qqdvhgixy.html
関連記事:時をかける少女(’97)時をかける少女(’06)原田知世 Life & Live「ホームレス中学生」(’08)ユーミンと映画・市川準監督SHOUT at YUMING ROCKS(’09)サマーウォーズ(’09)クリスマスの約束ハルフウェイ(’09)時をかける少女(’76)

時をかける少女(’10)_a0116217_1345114.jpg

                 <’10年4月、井の頭公園にて>
  
Tracked from 佐藤秀の徒然幻視録 at 2010-04-19 10:30
タイトル : 時をかける少女(2010)
公式サイト。筒井康隆原作、谷口正晃監督、仲里依紗、中尾明慶、安田成美、青木崇高、石橋杏奈、千代将太、柄本時生、キタキマユ、田島ゆみか、松下優也、加藤康起、勝村政信、石丸幹二。もうすぐ桜の季節なのだ。桜と弓道と仲里依紗を合わせたら「ちーちゃんは悠久の向こう....... more
Tracked from 日々のつぶやき at 2010-04-19 11:44
タイトル : 【時をかける少女】
監督:谷口正晃 出演:仲里衣紗、中尾明慶、安田成美、勝村政信   あなたに、会いにいく。 「大学の合格も発表になった矢先、あかりの母芳山和子が交通事故にあい意識が戻らない状態に陥った。ショックで病室に付き添っていたあかりは、突然目覚めた母がどうし... more
Tracked from to Heart at 2010-04-19 12:01
タイトル : 時をかける少女
あなたに、会いにいく。 記憶は消えても、 この想いは消えない。 上映時間 122分 原作 筒井康隆 脚本 菅野友恵 監督 谷口正晃 出演 仲里依紗/中尾明慶/石丸幹二/青木崇高/石橋杏奈/千代将太/柄本時生/キタキマユ/勝村政信/安田成美 筒井康隆の名作SFを実写映画化した青春ファンタジー。 今度は母・芳山和子に願いを託されたヒロインが70年代にタイム・リープする。 {/book_mov/}大学進学を控えた芳山あかり(仲里依紗)は、入院中の母・和子(安田成美)に代わって1970年代にタイム・リ...... more
Tracked from 京の昼寝〜♪ at 2010-04-19 12:04
タイトル : 『時をかける少女』
  □作品オフィシャルサイト 「時をかける少女」□監督 谷口正晃□脚本 菅野友恵 □原作 筒井康隆 □キャスト 仲 里依紗、中尾明慶、安田成美、勝村政信、石丸幹二■鑑賞日 3月13日(土)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想> オリジナルのほうはほぼ内容を忘れてしまいましたが、原田知世チャンが新鮮だったことは覚えています 所謂角川映画全盛の頃ですかね(笑) 今や薬師丸ひろ子あたりもオバチャン役が多くなりましたしねぇ いつも一緒に映画を観るかみさん...... more
Tracked from yanajunのイラスト.. at 2010-04-19 13:10
タイトル : 時をかける少女 (仲里依紗さん)
◆仲里依紗さん(のつもり) 仲里依紗さんは、筒井康隆原作の小説『時をかける少女』の続編的な位置づけで映画化された同名映画に芳山あかり 役で出演しています。先日、劇場に観に行きました。●導入部のあらすじと感想... more
Tracked from ひきばっちの映画でどうだ!! at 2010-04-19 13:26
タイトル : 「時をかける少女」
                                「時をかける少女」 新宿ピカデリーにて。 原作・筒井康隆 脚本・菅野友恵 監督・谷口正晃 色々用事があってなかなか観に行けなかった本作を、やっと観て参りました。 とっても素敵で、切なくて、本当にこの映画に出逢えてよかったです!って感じです(^^♪。 私はたまたまこの映画の「予告編」というやつを1回も観ていない状態で鑑賞したのがよかったのかもしれません。予備知識は、「今度のは芳山和子の娘が主人公らしい・・。で、仲里依紗が主演らしい・・...... more
Tracked from ゴリラも寄り道 at 2010-04-19 17:08
タイトル : 時をかける少女
<<ストーリー>>母娘二人暮らしのあかり(仲里依紗)は、母の和子(安田成美)が薬学者として研究を続けている大学に見事合格する。そんな折り、突然母が交通事故に遭い、意識不明の昏睡状態に陥ってしまう`..... more
Tracked from 時をかける少女(2010.. at 2010-04-19 18:09
タイトル : 時をかける少女(2010)
言わずと知れた筒井康隆の不朽の名作を今再び映画化。母の代わりにタイムリープした主人公の切ない恋の行方を描いた青春ドラマだ。主演は2006年のアニメ版『時をかける少女』で主人公・真琴の声を演じた仲里依紗。共演に『ROOKIES -卒業-』の中尾明慶、安田成美。監督はこれがデビュー作の谷口正晃が務める。いきものがかりがカバーした挿入歌『時をかける少女』を聞いて気持ちをタイムリープしたい。... more
Tracked from 単館系 at 2010-04-19 22:40
タイトル : 時をかける少女(2010)
原作筒井康隆さんの小説をもとに現代風にアレンジした 作品、映画化第4弾 最近のところではアニメ版時をかける少女が有名。 そのアニメ版のヒロインの声を務めた仲里依紗さんが 引き続きヒロインを務めるとい...... more
Tracked from 古今東西座 at 2010-04-19 23:25
タイトル : 「時をかける少女」(2010)
『時をかける少女』も「また?」ってくらいに繰り返し映画やテレビ化されるようになった。以前だったら『伊豆の踊子』や『青い山脈』が定番だったけど、今やその地位は『時かけ』なんだろう。良く言えば「原作(筒井康隆)が不朽の名作だから」、悪く言えば「企画力に乏しく安直な発想」ってこと。とは言っても僕のように文句垂れながらもついつい(騙されて?)観てしまう観客がいるからこそ、人を変えて何度も創られているのだろう。高校3年生の芳山あかり(仲里依紗…アニメ版『時かけ』の主役の声も彼女)は、母・芳山和子(安田成美)が勤...... more
Tracked from よしなしごと at 2010-04-19 23:36
タイトル : 映画:時をかける少女
 2006年のアニメ版の“時をかける少女”がおもしろかったのと(アニメ版の記事はこちら。)、先着でプレゼントがあるということで、時をかける少女を観てきました。... more
Tracked from だらだら無気力ブログ at 2010-04-19 23:43
タイトル : 時をかける少女
筒井康隆の名作SF小説で過去に何度も映像化されてきた『時をかける 少女』をアニメ版『時をかける少女』でヒロイン紺野真琴の声を担当した 仲里依紗を主演に迎えて新たな観点で実写化した青春ファンタジー。 今回は、原作の主人公・芳山和子の娘・芳山あかりが母の代わり..... more
Tracked from 象のロケット at 2010-04-20 00:47
タイトル : 時をかける少女
薬学者の母・和子が勤める大学に合格した芳山あかり。 しかし母は交通事故に遭ってしまう。 昏睡状態から目覚め「1972年4月の土曜日。 深町一夫に会うため、中学の理科実験室に行かなくては」と動かない身体を起こそうとする母に、あかりは「あたしが代わりに行く!」と言い、母が開発した薬を飲み干した。 タイム・リープするよう強く念じたのだが…。 青春SFファンタジー。... more
Tracked from はらやんの映画徒然草 at 2010-04-20 12:18
タイトル : 「時をかける少女(2010)」 いろんな意味で懐かしい
仲里依紗さんという女優を始めて知ったのは2006年のアニメ版「時をかける少女」の... more
Tracked from とりあえず、コメントです at 2010-04-20 12:44
タイトル : 時をかける少女(2010年版)
筒井康隆著の名作SFを原作にした青春映画です。 今度の作品は主人公を演じるのは仲里依紗さん。 アニメ版と同じような元気いっぱいという印象があったので、どんな展開になるのか楽しみにしていました。 予想よりも切なさがいっぱいでしたけど、いつまでも余韻を感じていたくなるような美しい物語でした(^^) ... more
Tracked from ketchup 36oz.. at 2010-04-20 19:46
タイトル : 『時をかける少女』 切ない思い出、戻りたい時代…僕らは忘..
にほんブログ村 『時をかける少女』 2010年、そして僕らもふたたび時空を超える… (C) 映画『時をかける少女』製作委員会2010 筒井康隆の名作SF小説の映画化。 時をかける少女といったら、原田知世でしょってアナタは・・・ほどよく年を重ねた... more
Tracked from SOARのパストラーレ♪ at 2010-04-20 20:50
タイトル : 『時をかける少女』・・・走れあかり!走れ里依紗!!
ヤバい。これはヤラレた。涙もろいとはいえこうも泣かされるとは思ってもみなかった。... more
Tracked from 映画、言いたい放題! at 2010-04-21 00:36
タイトル : 時をかける少女(2010年公開)
「時をかける少女(細田守監督 )」がとても良かったので、 主人公の声をやっていた仲里依紗ちゃんが 主役と聞いてとても楽しみにしてました。 予告編も彼女の魅力たっぷりでした。 映画館もほぼ満席でしたね。 母娘二人暮らしの芳山あかりは、 母の和子が薬学者として研究... more
Tracked from 新!やさぐれ日記 at 2010-04-27 22:12
タイトル : 【映画】時をかける少女(2010年)
▼動機 弓道!袴!仲里依紗! ▼感想 弓道?袴?仲里依紗! ▼満足度 ★★★★★★☆ いいかも ▼あらすじ 母娘二人暮らしのあかり(仲里依紗)は、母の和子(安田成美)が薬学者として研究を続けている大学に見事合格する。そんな折り、突然母が交通事故に遭い、意識不明の昏睡状態に陥ってしまう。あかりが病院を訪ねると、一瞬意識を取り戻した母は、1972年に戻ってある人との約束を果たすのだとうわ言のように繰り返すばかり。 ▼コメント 原作小説は未読、原作映画版は未見、アニメ版視聴済み。 単...... more
Tracked from 国内航空券【チケットカフ.. at 2010-10-21 22:02
タイトル : 時をかける少女 2010年仲里依紗版
80年代の角川映画2トップ女優、薬師丸ひろ子と原田知世。 私は基本原田知世派でしたが、薬師丸作品を見た後には薬師丸派にちょっとなったりする、色々移ろいやすい思春期でした・・・ 中学生の時に見た時をかける少女のリメイクが、これまた私の好きな「純喫茶磯辺」の仲里... more
Tracked from サーカスな日々 at 2010-10-30 11:12
タイトル : mini review 10496「時をかける少女」★★..
今まで何度も映像化・映画化されてきた筒井康隆原作のSF短編小説「時をかける少女」を新たな視点で映画化した上質の青春映画。母の代わりに1970年代にタイム・リープした娘の切ない体験を丁寧に描写...... more
by MIEKOMISSLIM | 2010-04-16 00:00 | 邦画 | Trackback(21) | Comments(0)