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’09年1月末AOL映画掲示板、ブログが終了、気分新たにマイペースで、音楽・芸術鑑賞、ユーミン関連、読書、英検1級対策、グルメ、仕事等含めて書いてます。英検は’11年11月に無事合格達成出来ました!

by MIEKOMISSLIM

小人の冒険シリーズと「借りぐらしのアリエッティ」

「小人たちの新しい家」記事で、改めて「借りぐらし・・」に触れたのですが、メアリー・ノートンのシリーズからは離れるので、別にしておこうと。また、各本の流れと「借りぐらし・・」との目に付いた関係をちょっと整理しておこうと思います。

★「床下の小人たち」 The Borrowers(’52)
英国の屋敷の床下に住む小人一家。1人娘アリエッティが、療養に来ていた少年と交流、料理人ドライヴァに燻り出されそうな所を、少年が間一髪逃げ道を作って逃す。

少年(名前なし)→翔、料理人ドライヴァ→家政婦ハル、大叔母ソフィ→貞子、ファーバンク邸→小金井の家。

★「野に出た小人たち」 The Borrowers Afield(’55)
屋敷を追われ、野外に出た小人一家。ブーツの中に住んだりも。ジプシー男マイルド・アイに捕えられそうな所を、トム少年とスピラーに助けられ、少年と祖父の小屋へ。

スピラー登場。
                                        (C)(株)岩波書店
a0116217_14144367.jpg★「川をくだる小人たち」 The Borrowers Afloat(’59)(原書読書中です)
小屋の一角に住む親戚小人一家と合流。アリエッティとトム少年は話す仲に。でも諸事情で、一家はリトル・フォーダムの模型村へ向かう事に。洪水でやかんごと流され、マイルド・アイに捕まりそうな所を、スピラーの助けもあって回避。

スピラーのやかんでの漂流→ラストの旅立ち。

★「空をとぶ小人たち」 The Borrowers Aloft(’61)
模型村で、アリエッティが、そこを創った1人、ミス・メンチスと交流。穏やかな日々。ライバル模型村のプラター夫妻に誘拐、監禁されるものの、工夫を重ねて手作り気球で脱出、模型村へ無事帰還。

プラター夫妻→ハルの小人の扱いと一部共通点。

★「小人たちの新しい家」 The Borrowers Avenged(’82)
追っ手を逃れ、牧師館へ移動。この一画で落ち着く事に。近くの教会で親戚一家と再会。小人少年ピーグリーン登場。教会でアリエッティの従兄弟ティミスを見つけ、捕えようとして騒ぎを起こしたプラター夫妻が警察の御用に。

牧師館→小金井の家とツタの共通点。

やはり、続編中にも折に、「借りぐらし・・」エキスと思える部分が垣間見えたのは1つの趣でした。


(C)(株)岩波書店
a0116217_112941.jpg9/23付:そしてジブリ、宮崎・米林監督達がここから作った「借りぐらし・・」を改めて思うと、本来相容れない小人と人間の間で起きた原作での接触・交流を、束の間の奇跡的な純愛物語にアレンジ、珠玉作に仕上げた、という感じ。

「ロミオとジュリエット」のように敵対する2種族間の、と言うには、誇りは持っていても小人族の立場がどうしても弱い、感覚ですが、当初「君達は絶滅する運命なんだ」とアリエッティに言い放っていた翔が、小人一家をサポートするのみでなく、終盤、彼女は自分の心臓の一部で、勇気を与えられた、という科白で、

それは、相手の少女が小人とか人間とか、という事とは関係なく、翔の少年としてのささやかな恋心の表れ、ではあっても、原作の少年とアリエッティには起こらなかった、というか、迫害の中で起こる余裕もなかった、こういう部分は、オリジナルな価値、とも改めて。
                                        (C)(株)岩波書店
a0116217_17155122.jpgまた、「小人たちの新しい家」の訳者猪熊葉子さんは、ノートンの作品は、最初から近代文明の終焉の意識を持って書かれている、と述べており、様々な風刺も込められているようで、この原作でのアリエッティの自由な精神は、父ポッドの保守性を超えられない、という感ですが、

「借りぐらし・・」では、彼女のキャラクターはもう少し躍動的。それはジブリのアニメ的アレンジ、かもしれませんが、昨年「トップランナー」で細田監督が、今はかつて夢見た理想の未来、ではないけれど、「時をかける少女」ヒロインをオリジナルより活発にしたのは、少女のバイタリティそのものに、未来への可能性がある気がしたから、と述べて、その時村上龍が若い女性の中に未来がある、と語っていた事等も思い出したのですが、

そういう風に、何故常に隠れて暮らさなければいけないのか、たとえ恋心、ではなくとも、同じ生き物なのに何故(対等に)話せないのか、という原作のアリエッティにとっては、シリーズ最後までその内面に封じ込められた形で終わった素朴な疑問、憤り、パワーが、時を経てのこのアニメ化で、解き放たれていた部分も、と。


     (C)(株)岩波書店
a0116217_1144347.jpgこれはこれで、続編、というのはあえて作られて欲しい、とも思えないのですが。もしあるとして、やはり原作ベースに沿って、なら、小人一家の野外での冒険、邪な人間の手からの脱出劇+アリエッティと新たな人間の少年トムとの出会い、またはスピラーとの絆の深まりや、やはり新たな小人少年ピーグリーンとの出会い、等が軸になりそうですが、

出来れば私は個人的には、視覚的にジブリ描写での、メルヘンなリトル・フォーダムの模型村、また気球での脱出劇、という展開を見てみたいし、4冊目「空をとぶ・・」をベースに、地味ではあってもミス・メンチスとの友好~プラター夫妻の元からの脱出劇、の物語、が望ましい、と。

また、「借りぐらし・・」内容を尊重して継ぐ感じなら、アリエッティと他の人間・小人少年との新たな関係、よりは、「空をとぶ・・」ベースにその後の翔を登場させて、彼が手術も成功、成長して、アリエッティとの思い出が忘れられず、小人一家が住む事を想定した模型村パーク創設者になっていて、

そこへ放浪の末小人一家が辿りついて、再会、誘拐騒動から翔も救出に乗り出して、というような筋で、ポット氏+ミス・メンチス→翔、にアレンジで、どうだろう、と。声優陣は、そのままでいいと思うのですが、悪役プラター夫妻に当たる夫婦登場なら、俳優だと香川照之と野際陽子辺りでどうだろう、と。

やはり、原作ベースなら2人の間は、束の間の純愛、翔が何かの作用で自分も小人族になったりしない限り、2人の恋が実を結ぶ、という路線は考え難く、その後は?ですが、とにかく2人の再会劇、なら、そういう舞台で見てみたい、と。

原作にこだわらなければ、特番やアリエッティ展で見た、当初のイメージボードの中のボーイッシュなアリエッティ像のように、小人族の絶滅を救うため”戦う小人少女”路線、等も有り得るとは思いますが、この作品はそういう方向には行かず、創るなら是非、今回の珠玉作路線で続けて欲しいです。

関連サイト:「借りぐらしのアリエッティ」公式サイトamazon「床下の小人たち」amazon「野に出た小人たち」amazon「川をくだる小人たち」amazon「空をとぶ小人たち」amazon「小人たちの新しい家」
関連記事:借りぐらしのアリエッティ(’10)借りぐらしのアリエッティ(’10)<2回目>The Borrowers(’52)/床下の小人たち(’69)野に出た小人たち(’76)ジブリ創作のヒミツ~宮崎駿と新人監督 葛藤の400日川をくだる小人たち(’76)借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展空をとぶ小人たち(’69)小人たちの新しい家(’90)

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                     <アリエッティ展カード>
   
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by MIEKOMISSLIM | 2010-09-24 00:00 | 本・邦画 | Trackback | Comments(2)
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Commented at 2016-11-18 10:51 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by MIEKOMISSLIM at 2016-11-18 22:54
sesamiさん、こんにちは。生憎、その余分なポストカードは持ち合わせておらず、お役に立てずすみません。