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Something Impressive(KYOKOⅢ)

SONGS  山口百恵<1><2>

「SONGS」も録画が溜まってますが、9月最終週と10月第1週にかけて山口百恵、前半はオンタイムで、後半は録画で見ました。デビュー時から’80年の引退ステージまでの軌跡を、宇崎竜童、さだまさし、谷村新司らの談話を挟んだりしながら、歌番組やコンサートでの数々のヒット曲映像で回顧。

やはり、芸能界にはきっぱり未練を残さず、実生活を選んだ、ある種芸能界という”虚飾”を見限っていながら、そこで輝いてみせた”実体”、というか、独特だった存在感も改めて。

マイベスト百恵曲は、アイドルにしては寂しげな風情がフィットして印象的、今回流れなかった「冬の色」。

             

そして双璧で、「さよならの向こう側」ですが、やはりこれは、最後に宇崎・阿木コンビが放った直球百恵曲、伝説ステージのファイナル、自分の意志で”山口百恵”を締める、特別な曲だった、というのも改めて、でした。


11/2追記:引退後は、アン・ルイスの曲の作詞や、たまにふくよかな主婦姿の写真、国立の住居に強盗が押し入った時の騒ぎや、キルト作品を作った、等というようなエピソードを聞くだけ。

最近30年振りに再会した時、宇崎竜堂が、もう時効かと思って、何故当時自分に曲依頼がきたのか?聞いたら、彼女本人の希望だった、と。そういう、影を帯びる自分の個性を生かす媒体として、「ダウン・タウン・ヴギウギバンド」ブレイクの頃の宇崎・阿木コンビ、という、16才にして、の目の付け所の確かさ。

その後、さだまさしからの「秋桜」は、さだ談で、この人はずっと芸能界にいる人じゃない、結婚が大きな節目になるだろう、と感じて、(母子家庭の)百恵母娘の繋がりも念頭に書いた、という”私的百恵曲”だった、というのは今にして、で、谷村新司からの「いい日旅立ち」で国民的シンガーにスケールアップ、という路線、というおさらいでしたが、

そういうニューミュージック界絡み、にしても、ユーミンとの接点はなく。やはりユーミン曲は、松田聖子の軽くしがらみのないキュートさ、等に絶妙フィットしても、彼女の、内から滲む実体の個性には、そぐわなかった気も。でも今改めて「冬の色」を聞いたら、「花紀行」「かんらん車」「雨のステイション」「りんごの匂いと風の国」「木枯らしのダイアリー」等メロウな曲で似合ったのもありそうな、と思ったり。

この春、ユーミンがテーマ曲担当の「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」に、三浦夫妻次男の貫大が出ていて、たまたまですが微かな接点、でしたが、’80年と言えば、アルバムでは「時のないホテル」「SURF&SNOW」、ユーミン神がかり的時期。その時に引退したアイドルの、20代の息子の出演映画のテーマ曲を今、堂々歌う、何気ないようですが、音楽界での息の長さも、思えば、神がかり的、とも。

あの青年があの夫妻の、とは後で知って、そう言えば硬質な感じや面差しが、とは思ったのですが、今回久方の百恵映像に、逆に、若い彼女の目の辺りが息子似?、とちょっと時を経ての遺伝子的な感慨も。

本人出演の、というか友和・百恵コンビ映画では一番インパクト、と言えば、サンフランシスコロケの大林作品「ふりむけば愛」('78)かと。何年か前、テレビ東京の昼のロードショーで彼女の出演作特集週の時録画したままだった、と思い出し、ビデオ置き場を見たら「潮騒」「絶唱」「風立ちぬ」「春琴抄」が。

ドラマ「赤い・・」シリーズも薄っすらですが郷愁、これもずっとこのコンビだった印象ありましたが、友和出演は「・・疑惑」「・・衝撃」「・・死線」だけで、主に宇津井健との、だったのでした。
                                   
                                   (C)(株)集英社
SONGS  山口百恵<1><2>_a0116217_13342157.jpg11/3追記:本置き場に「蒼い時」('81)があって、表紙を目にしたのも随分久方ですが、これはやはりいまだに、彼女の文章そのままだとして、私の知る限り最も真摯に書かれたアイドル本、だと。

読んだ当時は、「裁判」章での、性的スキャンダル記事への告訴時のエピソードで、森進一との猥褻記事をそのまま載せていたりしたのも、潔癖で醒めた憤り、を感じ、クールで落ち着いた芸能人、を法廷で演じきった後、夜かかってきた三浦友和の電話で「怖かった・・」と初めて流した涙、という部分等も、頭に残りましたが、

三浦友和との15才での出会いから、心の動き、思いがけない告白、接近、期待を抱きすぎないようにという抑制、ゴールインまでの過程、結婚後は家庭に入る、という決意等、率直に語られてたのが、一番印象的。

やはり6年間数々共演を重ねていく中で、変わらなかった恋心、それに反応した三浦友和の男気、信頼の積み重ね、というのは、

比べてどう、というものではないかも知れませんが、松田聖子が神田正輝との結婚当初書いた本「聖子」で、「カリブ愛のシンフォニー」での共演時の、瞬間点火的な恋、蜜月期の弾むような喜びや、結婚生活への夢、幸せそうでかいがいしい新妻らしさ、等綴られてはいたのですが、

やはり結婚という転機での、覚悟の深さ、2人の密度は、2冊の本で見る限り、断然山口百恵の方が濃かった、感じ。逆に言えば、やはり彼女が、芸能人にしては、また一般のレベルからしても、家庭に入る、という事へのかなり真摯な思いがあった、かと。

改めて、「蒼い時」の最初の「出生」の章等少し読み直してみても、認知だけはした、父、とは認めてない父、彼女がスターになったとたん金銭絡みの主張、画策をし出した父への、生理的、人間的嫌悪、17才頃にして、母と妹のためにもそういう確執に立ち向かい、処理しなければならなかった、という立場。

時期的に、その頃丁度、自ら宇崎・阿木コンビを選び、”蓮っ葉・醒めた女”曲路線を走ったのは、そういう事の反動も、あったかとも。

そういう、幼い頃~芸能界入り後も背負ってきた境遇の負の要素、濃さが、個々それなりに色々あるとしても、松田聖子等とは、一線を画していて、それが傍目には、結婚という節目での思い・覚悟の違い、として現れていたようにも。

「結婚」の章で、三浦友和が百恵との結婚申込みをした時、母が「それはあなたが、家の事情をよくご存知の上でおっしゃって下さっている言葉なのですか」と毅然として言った、というエピソードもありましたが、そういう、自分の境遇含めて受け入れようとする相手への、気持の深さ、というのも漂っていて、

「聖子」、また二谷友里恵の「愛される理由」等でも、夫となった相手への、愛情は無論示されていても、軽い諍いの様子や、やや醒めたような視点、コミカルさ、のような部分もあって、それはある意味、書き手の無意識に持つパワー、資質で、特にそれが後の結婚生活破綻の要素、という訳ではないのかもしれませんが、

「蒼い時」にはそういう浮ついたものは一切なく、三浦友和に関しては、愛情・尊敬・信頼等が率直に書かれているだけ。後に残る書籍の活字で、そういう時期の心情として、慎重に言葉を選んだ、あるいは自然とそういうものだけが滲み出たのか、こういう密度で書かれると、相手も家庭を蔑ろにしたり浮気もしにくそうな、という気もしますが、

結果的に現状は、2人の息子がいて、知る限り破綻のない家庭生活。三浦友和という人に、伝説スターであるのと同時に薄幸な境遇の一女性”山口百恵”自体を受け入れる度量があった、という事かと。

今や携帯やネットで、どうしても、人目、第三者に触れるように、吐き出さなければ気がすまない!?という、軽い言葉の断片が飛び交い、真剣な呼びかけでなく、そういう”独り言”に反応して進む、どうにも奇妙な関係、泡のような恋愛模様、等思えば、私はこの本は、彼女の唯一の著作ですが、結構真摯な一般公開ラブレター、という価値もあったのでは、と。

11/4追記:そういう風な、6年間の、劇中での相手役三浦友和との時間が、そのまま女優としての価値と、女性としての糧になって、その恋での美しさが歌う姿にも滲み出て、多くの視聴者が間接的に、ですが目撃した”国民的職場恋愛”を実らせて、

結果として、虚構の芸能界で、身をもって自らの幕引きで、一女性の”実体ドキュメンタリー”にして見せた、やはり特別な存在だった、というのも改めて。そういう事も思った今回の特集でしたが、


この人、と言えば、辿り着く曲は、そもそもの「山口百恵」の始まり、牧場ユミの「回転木馬」。一昨年阿久悠ドラマでも触れてたのでしたが、「スター誕生」オーディションで歌った、やはりメランコリックさ帯びた、絶妙フィットの選曲。

牧場ユミも、もう芸能活動はしてないようで、これは、ベンチャーズ曲だったのでしたが、幼心に好きだった曲でもあったので、

             

「スタ誕」で、あっさりした服装で、淡々とこの曲を歌ってた少女、も、引っ掛かりが。You tubeにあった映像は予選でのもので、私の覚えあるのは決勝大会の時のですが、個人的”百恵伝説”はこの曲ルーツだった、というのも、改めてでした。

             


関連サイト:SONGS 150回 山口百恵Part1151回 山口百恵Part2
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by MIEKOMISSLIM | 2010-11-01 00:00 | 音楽 | Trackback | Comments(0)