2011年 07月 28日
手のひらの東京タワー / 松任谷由実(’81)
1~10曲目にそれぞれテーマがついてて、2人が選んだのは、
1曲目:音楽の出会い 「オン・ア・クリア・デイ」オスカー・ピーターソン(今井)・「パフ」ピーター、ポール&マリー(村山)
2曲目:思春期の憧れ 「アメリカ ~映画「ウエスト・サイド物語」より(今井)・「なごり雪」イルカ(村山)
3曲目:青春の影 「手のひらの東京タワー」松任谷由実(今井)・「ならず者」イーグルス(村山)
4曲目:自分探し 「プロミセズ」バーシア(今井)・「永遠が終わるとき」今井美樹(村山)
5曲目:デビュー後の葛藤 「泣きたかった」今井美樹(今井)・「シェイプ・オブ・マイ・ハート」スティング(村山)
6曲目:運命の出会い 「GUITER LOVES YOU」布袋寅泰(今井)・「涙そうそう」森山良子/BEGIN/夏川りみ(村山)
7曲目:決別 「ドント・スモーク・イン・ベッド」k.d.ラング(今井)・「オールウェイズ」ボン・ジョヴィ(村山)
8曲目:40代の再生 「アイヴ・ガット・ユー・アンダー・マイ・スキン」ダイアナ・クラール(今井)・「This Love」アンジェラ・アキ(村山)
9曲目:今の自画像 「PIECE OF MY WISH」今井美樹(今井)・「手をとりあって」クイーン(村山)
10曲目:人生の最後に聴きたい曲 「ラブ・ミー・テンダー」カエターノ・ヴェローゾ(今井)・「エンジェル」サラ・マクラクラン(村山)
やはりこの中でインパクトは今井3曲目のユーミン曲「手のひらの東京タワー」。これが入ってる「昨晩お会いしましょう」('81)も、随分聞いておらず、久方に取り出して、最初の「タワー・サイド・メモリー」を流してみましたが、
このイントロに始まって、アルバムの空気自体、何ともDNA的にキュッとくる懐かしさ。自分の記憶の中の風景と重なって、一番思い出深いのは「カンナ8号線」、ですが、
「手のひら・・」も、小さな宝石箱、のような味わい。この曲を聞くより前に、修学旅行で東京タワーに行ってたからか、「山手のドルフィン」のような、実際のタワーとの絡みの憧憬、のようなものはないのですが、ユーミンならではの、対象のリリカルなロマン化、という感じ。石川セリ版もあった、と。
今井美樹がユーミンファン、というのは、前から知ってましたが、今回の今井談では、ユーミンは、自分にとって見たことのない東京のキラキラさ、だった。
高校時代、陸上競技をしててスポーツ少女だった反面、反抗期がきて、家族の顔を見るのも嫌で、学校から帰ったら、ユーミンの歌をピアノで弾きながら歌って、(自分の部屋の)ドアをバタン、と閉めてしまう、という状態。
音楽に胸を焦がすように、何かへの憧れがあって、ユーミンの歌詞の中の、大人の恋の世界、というだけでなく、何ともいえない切なくて、憂いを帯びた翳り、のようなものがグーっと入ってきて、それに凄く救われてた、のようなエピソード。
そういう感覚は、私も思春期似たような所があって、今井美樹にとっての「手のひら・・」が、私にとっては「海を見ていた午後」。まだ見ぬ「三浦岬」「山手のドルフィン」そして東京・横浜、といったエリアへの憧れのルーツだったし、
中~高校と、反抗期、という訳でもなかったかもしれないけれど、そう明るく威勢良くはなかった家庭で、家族と健やかに、というより、ひたすらユーミンを聞いてた、という感じ。それはやはり、明るさ、というより詩的な哀愁、という魅力も大きかったからこそ。
今思えば、そういう時間を持てたのも、親(と祖父母)の庇護のお陰、とは思うのですが。とにかくユーミンの何枚かのアルバムだけあれば、海の底にじっと潜っていてもいい、とか思った時期も確かにあった、と。なので、今回の今井談もちょっと感慨。
村山由佳は、未読の作家で馴染みなかった人。直接「手のひら・・」エピソードへの言及はなかったですが、ユーミンと同じ学校だった、そうで、多摩美でなく、立教女学院の後輩、のようで。
この人の選曲で頭に残ったのは、「なごり雪」での、イルカが”僕”と歌ってたのが、自分の小説で、その人称を使うルーツだった、とか、ちょっと行き詰っていた時、「レオン」でのジャン・レノとナタリー・ポートマンの純愛、に感慨、その「レオン」で使われてたのが5曲目スティングの「シェイプ・・」だった、
「涙そうそう」を紅白で聞いた時、当時の夫の事故で他界していた父を思って、審査員席で号泣、胸を直撃された、などのエピソード。
その他今井選曲では、夫布袋寅泰とのエピソードもあったですが、今となってはどうも不倫~略奪愛的印象で、興ざめ。彼女のアルバムは、アメリカ旅でよく聞いた「fiesta」「MOCHA」の他、何枚か録音あるけれど、そもそも、私は布袋絡み以前の彼女の曲の方が、結構好きだった、という面も。
そういう所で、とにかく私には「昨晩お会いしましょう」ノスタルジー、がメインの今回でしたが、この番組は、出演者によってはチェックしたいと思います。
関連サイト:ミュージック・ポートレイト、Amazon「昨晩お会いしましょう」
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