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Something Impressive(KYOKOⅢ)

RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ(’11)

昨日、私は今年仕事締めの日、近隣の新宿ピカデリーでは、来週金曜までで上映終りらしい「RAILWAYS・・」を見てきました。

今年振り返れば、映画新作は結局、2月に見た「しあわせの雨傘」のみ。その後、震災の煽りあって、色んな意味で自粛、また高層階での鑑賞、というのも気が進まず、英検準備に多忙だったり、心境的なこともあったり、映画は都合付けば近くの図書館の上映会で見てただけ。

でも、「しあわせ・・」はカトリーヌ・ドヌーヴの存在感は味わっても、何分内容が、どうも不倫仕合の不快さで今一で、あれが今年唯一劇場で見た作品だったのか、と思うと何だか後味悪く、

この「RAILWAYS・・」は、前作に続いてユーミン主題歌、今年は結局ユーミンコンサートも見送ったし、その代わり、という意味でも、年の締めに、丁度最後のレディースデイだし、と、見に行くことにしました。

いざとなって、新宿ピカデリーだと、多分高層階だろう、とは頭を過ぎったのですが、最近は余震も収まってるし、まあ大丈夫だろう、と。




前作は、幾つか馴染みあった錦織作品+ユーミン主題歌、という興味で、今回は前作の助監督だった蔵方政俊初監督作、前作に息子が出演してた三浦友和主演、とのことで、

流れ的に何か関わりはあるのだろうと思ったのですが、今回は興味の半分以上、ユーミン曲が、ストーリーの最後をどう締めるか、という所。

前作でも、後半~終盤、そういう思いがちらほら頭を過ぎったのでしたが、今回は、結構内容自体に集中してて、自然とエンディングへと流れてた感じ。


前作は、以前の錦織作品、子供達の夢が叶う「白い船」の素朴な大人版、のような趣で、比べてどう、という事ではないかもしれないですが、

どうも、いきなり故郷で電車の運転士を目指す、と言い放つ夫、直接的な衝突も葛藤もそう深く描かれないまま、見守るスタンスの妻、という流れは、現実的には不自然な、という所だったのが、

今回の夫婦は、まず最初、今回は、逆に妻が強行手段に出るケース、と思い、机の上に同時に出された、夫からの定年後のプランの旅のパンフレットと、妻側からの自分のキャリアを生かす求職案内の紙、というのが、見事な”すれ違い”で、露骨でしたが、

それなりに衝突の過程があって、一旦距離を置き、そこからの絆や葛藤、という展開だった分、地に足が着いたドラマだった、という印象。


主演の夫、滝島徹役三浦友和は、私は昨年「借りぐらしのアリエッティ」で、やはり小人一家の堅い主、ポッドの声役、を聞いたのと、この夏、約20年前公開だった「遥かなる甲子園」での若い姿を見て以来、やはり第一印象、この人も歳をとった、と思いましたが、

仕事一筋で、妻は自分に養われるもの、という感覚の典型的な昔気質風の夫、が似合って、表情の一つ一つも渋味、という境地、と初めて思ったり、物語が進むにつれて、戸惑いや反省を見せたり、妻佐和子(余貴美子)の仕事への姿勢に心動かされたりする人間味、というのも滲み出てた感じ。

今回の夫は、若い頃カメラマンという夢を持ちながら、父が倒れたり、という事情もあって、堅い運転士、という仕事を選んで、それを長年忠実にこなしてきた、という地味な状況も、ある意味フィット。

役は役、ですが、何だか、浮ついた風情が余りなく、学生時代の同級生深山(仁科亜希子)と2人でバーにいるシーンも、妻が離婚届を置いて出て行って、という状況だからこその行為、という印象で、実生活での誠実ぶりが重なるような。


前作の高島礼子演じた妻も、ハーブティーの店、という仕事を持ってましたが、あの作品では、それに対する強い思い入れ、という部分、というより、上手く趣味が仕事になって、そういう自分の仕事もあってこその、夫へのかなりの寛大さ、という印象。

今回の妻、余貴美子演じた佐和子の方は、徹に、家庭と両立するような生易しい仕事じゃない、と言い放ちながらも、徹の理解を待ってる、ような揺れ動く節もあったですが、看護師、という職業への一個人としての真摯さ、というのは前作の妻より強くあって、

今回そういう在宅での介護シーンなども、私の母はまだ全く元気ですが、ちょっと思う所あったり、前回の優雅なティーショップ、よりは、やはり現実感。そういう風に、妻が実際、患者を世話する姿を見た夫が、そういう部分も含めて、絆を捉え直そうとした、というのも、何だか好感。

そういうきっかけとして、佐和子の患者(吉行和子)を、アクシデント発生の徹の電車の乗客にしたのも、まあ都合いい、ですが、エピソードとして効いてたかと。


脇役陣では、やはり吉行和子は渋かったですが、西村雅彦は、私はいまだに「古畑任三郎」での、田村正和とのコミカルな掛け合い、が浮かぶのですが、真面目な医師役だ、とか、

徹が指導するややくだけた味の若い運転手小田役、中尾明彦は、近年どこかで見覚え、と思ったら、リメイク「時をかける少女」の仲里依沙の相手役だったのだった、と。


で、ラストの静かに流れ始めたユーミン曲は、前作の「ダンスのように抱き寄せたい」の、サビでの「ダンスのように・・」のように、特に残るフレーズ、というのはなかったですが、「優しい嘘より 激しい真実・・」という所がちょっとはっとした所。

情景に心情滲ませて、切々と”大人の絆”を歌って、無難、というか、さすがに作品に寄り添って外してない、しみじみバラードでまとめた、という印象。

You tubeで1度聞き直してみたのですが、「ダンスの・・」も、何だか後になって、結構じわじわ感慨出てきたので、また聞く度に感触変わるかもしれません。


あと、富山の雪山、田園風景も爽やか、そこを走る小さな電車、の光景も穏やかな日本の日常、という趣で好感。

そういう所で、前作に続いて劇場で流れたユーミン曲を聞いた、というのと、思った以上にドラマとして内容的に、何気ない誠実さがじんわりきて納得、という作品、今年最後にこれを見に行って、締められて良かった、という後味でした。

関連サイト:RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ サイト象のロケット 「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」
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by MIEKOMISSLIM | 2011-12-29 23:01 | 邦画 | Trackback(9) | Comments(0)