2012年 01月 26日
SONGS 由紀さおり
今回NYでのそのバンドと共演ステージで、歌ったのはそのアルバムから「マシュ・ケ・ナダ」「真夜中のボサ・ノバ」「パフ」「ブルーライト・ヨコハマ」「夜明けのスキャット」。
子供時代、幼心に「ルルルル・・」の美しいメロディの「夜明けの・・」は鮮烈、一言で言って、情景広がるロマンがあった、感じ。
レコードを買ったかどうかは覚えてないけれど、由紀さおりは、声の綺麗な大人の女性歌手、的に結構好きで、マイベストは「手紙」。「天使のスキャット」「生きがい」とか、吉田拓郎作曲の「ルーム・ライト」も洒脱で良かった、と郷愁。
ステージに登場の時、日本のバーブラ・ストライサンド、と紹介されてましたが、日本人シンガーの海外ステージ様子、として印象的だったのは、「パフ」のごく一部英語以外はとんど日本語歌詞、「マシュケ・ナ・ダ」も同様、他の歌謡曲も元の日本語で押し通してた、というか、そのままの日本歌謡曲、を堂々と披露、ということ。
「パフ」はそもそも子供向け曲、で、童謡歌手でもある彼女が日本語で歌って、意外とこういうソフトな曲になるんだ、とちょっと新鮮。インタビューされた観客の中には、この曲は日本語の方がいい、という声も。
アルバム中の「さらば夏の日」などは仏語で歌ってるようで、英語での歌なども、こなせない訳ではないのでしょうし、他の、英語版で海外で歌うシンガーも、価値あるチャレンジ、とは思うけれど、
観客に、意味は不明でも日本語の歌詞の美しさをアピールできる、滑らかなボイスでの生粋の歌唱力、あってこそ、かもしれないけれど、日本の一昔前の歌謡曲がありのままの形で、受けてる、というのが、ちょっと爽快。
先日「GSワンダーランド」でも、名が挙がってた「ブルーライト・ヨコハマ」は、やはり元歌のいしだあゆみが、ステップを踏みながら歌ってたのが印象的な郷愁ソング、今しみじみ由紀バージョンで久方に聞いて、ちょっと感慨。
やはり日本語で歌うリーダーとデュエットの、トヒデとロザンナ曲「真夜中のボサ・ノバ」は、どうもリアルタイムで記憶なかったですが、これもまた橋本淳・筒美京平コンビ作。GSに続いて、またしてもこの2人の幅広さ、というのも改めて。
本人が回想で、人気が出た頃、ジャズバンドに参加して、セルジオ・メンデスに出会って「マシュケ・ナ・ダ」は青春の1曲だし、「イパネマの娘」「ワン・ノート・サンバ」などボサノバも歌った、と言ってましたが、
挙げた曲名の中で特に「ハウ・インセンシティブ」(「インセンサテス」)は、「ヴィニシウスー愛とボサノヴァの日々ー」で一番インパクトあった哀愁の曲、小野リサも前にこの番組で歌ってて、是非由紀版も聞いてみたいと思ってYou tubeを検索してみたけれど、生憎なし。
また、ちょっと爽快なのは、このブレイクのルーツ。本人も番組中、歌手生活43年目で、はからずしも海外デビュー、そしてブレイク、というのが、とても幸せで嬉しい、とは思うけれど、正直(ブレイクした理由は)良く判らない、と語ってたけれど、
あえて海外進出をもくろんで、というのではなく、偶然海外ミュージシャンが、昔のレコードを聞いて、発掘された、という流れ。
ピンク・マルティーニというバンドは、'40年~60年代の世界各国の歌を今に蘇らせる活動をしてて、そのリーダーが10年前、たまたまレコード店の日本コーナーにあったアルバム「夜明けのスキャット」のジャケットに魅せられて買って、
その中の「タ・ヤ・タン」をカバー、それをまた由紀さおりのスタッフが偶然ネット上で発見、といううきっかけで接近、とのことで。
この人は、近年紅白とかにも出てはいないけれど、やはり言ってしまえば、元々色んな意味で世界でも通じる力、魅力を持ってたのが、遅ればせながら認められた、という事で、観客からも、驚くほど広い音域、とても綺麗で蜂蜜のような声、抜群の歌唱力というような賞賛。
女性の観客から、とても美しく、かわいらしいステキな女性、というような声もあって、熟年ではあるけれど、余りクセなく品のある日本美人的ルックス、もプラス要素かも。
でもある意味ラッキー、でもあって、こういう風に、たまたま時を経て海外で曲が聞かれて、価値を再評価されてもいい日本人シンガーって、他にもいそうな、とも。
たまたま入手してた先月の毎日新聞を整理してたら、社会欄に「由紀さん『凱旋』ジャズ」とあって、そのブレイクの経緯と、渋谷のライブハウスでのチャリティライブ「ジャズと言葉」の記事発見。本人の「日本語の美しさや独特のメロディーが世界で受け入れられてうれしい」というコメント。
やはりラストの「夜明けの・・」には、さめざめ心洗われる思い。この人が63才にしてNYに打って出て、そこでたおやかに抱負を語る姿、とかにも何だかリフレッシュ、という今回でした。
関連サイト:SONGS 第205回 由紀さおり
関連記事:SONGS 小野リサ、ヴィニシウスー愛とボサのヴァの日々ー(’05)、GSワンダーランド(’08)