2012年 07月 02日
才輝礼賛 38のyumiyoriな話 / 松任谷由実(’11)<2>
対談相手の中で、自身も「王道」を志す、話をしてたのは中井貴一。最初は彼が、「RAILWAYS」の主題歌を書いていただいて、ありがとうございました。こちらこそ光栄です。・・のような始まりで、
彼が、あれがデビュー作だった三浦貴大を見て、純粋にカメラの前に立ってた自分を思い出させてもらえた。・・と振り返って、ユーミンが、主題歌(「ダンスのように抱き寄せたい」)と同時リリースしたのが、「バトンリレー」で、「引き継ぐ」がテーマ、
期せずして中井さんと三浦さんのプライベートな背景、(俳優という親の職業を)引き継いでる人同士がバトンを渡し合うような所が映画の中に見えて、グっときてるんです。のようなエール。
私は見た後で、あれが友和・百恵ジュニアだった、と判って、そう言えば両方のムード、面差しが、と思ったのだった、と思い出したり。
そして、昔2本目の出演作「父と子」で共演した小林桂樹に、「君は王道を歩む俳優になりなさい」、「これからアウトローが受ける時代が来る。でも、アウトローは、王道がいなければ成立しないんだ。王道は大衆の中にある」と言われて、
それが決定的な一言で、「評価されないよ、王道っていうのは。でも、そこを歩いていく勇気が絶対に必要なんだ」って、
この30年間、それを貫こうと思ってやってきて、王道って、世の中の大半を占めるサラリーマンを演じられる俳優という意味、と思ったんですよ。・・のような話。
少しあとで、ユーミンが、なんか中井さんって、道(どう)から入るんじゃなくて、やってきた上で道(みち)ができてるような。とか、
中井さんって、発言も王道なんだけれど、ちゃんと面白いんですよね(笑)などと言ってたけれど、そういう内面の姿勢への共感もあっての対談実現、の1つだったのかも。
7/3追記:そして、ゆずの2人も、北川悠仁が、色々やっていくと、結局、自分達は世代を超えられえるような音楽をやりたいと思う。「自分達がど真ん中でやるべきだ」みたいな、なんか変な使命感みたいなものがあって。と言って、
ユーミンが、そこは共通点かな、ゆずと私の。・・と応じて、岩沢厚治が、以前、スタジオでユーミンさんが、『サビはこの王道な感じで」って言って、その「王道」って、いまだに覚えてますね。いい言葉だなあって。と。
で、ユーミンが、・・私のケースで言うと、最近以来される仕事は、すごく王道を求められるんです。「スタンダードなものを」って。そういう思いには応えなきゃと思って。と言ってて、それはもしかして、近年の映画主題歌のことなどかも、と。
北川悠仁が、でも、不思議ですね。ユーミンが今まで歩んできた道のりって、フロンティア精神があって、どの曲を見ても、当時はスタンダードじゃなかった。時代を経て、振り返るとそれがスタンダードになってるっていうのは、すごく面白い。などと指摘、
ユーミンは、真似されるのが大嫌いでね。幼稚園の頃から。でも人がやってないことって、するほど真似される。そういうのにイラついた頃もあるけれど、振り返らずに自分が面白いと思うことをやるしかないという、そういう気持になってるんだけどね。
というような応酬も、期せずして王道、というかスタンダードになってたユーミンの音楽性、というのも改めて、という所。(追記分終り)
また、おすぎとの話の中でも、ユーミンが、この頃、「普通の人」のお役に立てればなと思って音楽をやってるんですよ。映画見たり音楽聴いたりして「贅沢だね」「幸せだね」って言ってる人にも、そこはかとない悲しみや苦しみがあると思うんですよね。というコメント。
それを受けておすぎが、そういうものを吐き出さないからね、多分。話したり、声を聞いたりして人を作っていくコミュニケーションが、今なくなってるじゃない、そういう人達に、ユーミンの歌が染み込んでいくといいね。・・のようなやり取り。
ユーミン曲は昔から、ラブソングの形を取った、景色や空気感スケッチの印象派、という感じ、メロディや詞の独創性、クオリティやバラェティ保ちながら、沢山の聞き手が自分の内面の一部をシンクロ出来る懐深さ、
だからこそ、私もまさにその情景や旋律、匂い、感情とかが無条件にDNA的に埋め込まれてる曲多々、それはやはり、メジャーの衣を着たカルト的領域、じゃないかと思うけれど、
今、デビュー40周年目の域で、自ら意識して”王道を行く”、とか”普通の人”に届けたい、とその道筋を表明、姿勢を正す、という感も。
何だかこの混沌とした時代、私はあえて奇をてらう索漠、殺伐としたものは、別にいらない、と思うし、ユーミンなら”王道を行く”とは言っても、その中で妙技、というか、趣あるものを提供してくれるだろう、という感じ。
7/3追記:あと、何人かとのパターンとして、ユーミンが終盤、これから日本、世界はどうなっていくと思いますか?という問いかけへの各人の反応が、ちょっと引っ掛かった所。
石田衣良というコピーライターの人は、私は初耳だったけれど、日本について、割と今大日本主義の人がいて、立派になった方がいい、軍もちゃんと整備して、国連でもきちんとした地位を占めた方がいい。
でも、僕は今のポジション、・・2番手、番頭でいいと思いますね。・・それで戦争で人が死ななくて、世界貿易の恩恵を受けられるなら、それがいい。あとは、なるべくしのぎやすい、過ごしやすい国を作っていけば。
基本的に今後の60年も今までの60年の延長上にあって、変わらないと思う。・・それは、一人一人の日本人の心のあり方に基づいているからじゃないですか?本当は、誰かに決めてもらいたい、お上に任せて楽をしたい、ただ、目の前にある仕事は、一生懸命やりたい。
1人1人が職人なので。それが日本の一番の強みであり、弱点でありますね。などと語ってて、ユーミンは、言葉は違うけれど、同感なところが多いです。と応じてたけれど、それは石原都知事の日本人についてのコメントの裏返しのような、という感じもしたり。
小林武史は、世界がお金や権力みたいなものに傾き過ぎてるので、お金の物差しに取って代わるものが、もっと多様に出てきてほしい。・・知恵の世界みたいなものがもう少し戻ってくることに期待してます。
・・日本の未来は、超鬱状態ですよね。・・もっと痛い思いをして、悲鳴が出てこないと日本は変わらないのかなと・・今の経済危機も「のど元過ぎれば」で、また土地の値段が上がりだして、躁状態に戻る。
僕はそうなってほしくなくて、足元の第一次産業にもっと光が当るといいいなと。等と語って、自身、先日、石垣島で、生まれて初めて田植えをした、のようなエピソードも。
姜尚中は、一昨年末「ミュージック・ポートレイト」で、正隆氏の相手、で、知った人、その時のように、自分のバブル期に聞いた「中央フリーウェイ」談、などもあって、
学生時代、前衛芸術や左翼活動をやってた友人が、・・それまでの全部をひっくり返して、企業戦士に変わる。それが出来ない僕は落ちこぼれだった。それで、今回松任谷さんの歌を聴いて、あ、この人が一番一貫性があったんじゃないか、と。と語って、
ユーミンが、それは・・アートにはイデオロギーがないからでしょうね。その時に面白いと思ったもの、自分が盛り上がるものを追い求めてるので、・・一貫性はあるかもしれません。などという応酬もちょっと引っ掛かった所。
この人は、これからの世界は、一言で言うと、身の丈で生きる世界なんだと思います。バブルの時に札束を切って、どこかのクラブで飲み明かすとか、ミニバブルを作って、
何とか不動産の価値をあげるとか、円安、金利安で外需依存型の、ものを沢山作って設けるとか、そういうことがなくなる。
世界中の人がそれに気付き出して、アメリカももはや一国では世界を動かせない。これからは多角的にいろんな国と協力して、・・ポスト京都議定書を批准しようとか、核削減に向かおうとか、アメリカなりに身の丈で生きようとしてて、日本もそうなると思います。
ユーミンが、資本主義社会自体が限界を迎えるんですか?と聞いたら、もうすでに限界がきてるという人もいますね。環境業界がハイブリッドカーやエコカー、それから電気産業含めて、環境のリミットを超えられれば、まだ延命すると思います。
ただ、金融で儲かる時代は終わるでしょうね。・・(次の時代は)中規模の、自分にとって馴染みやすい技術、地産地消のような、生活しやすい環境。と挙げて、ユーミンがスローライフですよね。と受けて、
そういうことですよね。音楽も多分、そういう音楽へち向かっていくんじゃないかな。うん、そうかもしれない。のようなやり取り。
建築家の隈研吾は、日本の未来について、・・建築をおろそかにしちゃいけないと思いますね。建築問題は、教育問題でもあるし、福祉の問題でもあるし、全部に絡む問題なんです。
日本は、まだまだ建築が社会の一部になってない。木造の長屋に住んでた江戸時代みたいな一体感は、まだ回復できないような気がするなあ。と語って、
ユーミンが、ああ、それは「回復」ってことなんですか。でも、その時代には建築家はいないですよね。と受けて、隈氏が、そう、いなくてもいいくらいに一体化してたわけだよね、建築と生活が。・・のような指摘。
中井貴一は、・・日本に関して言えば、僕は今が転換期だと思ってます。古いものを捨てて新しいものを作り出すのもいいけど、古いもののよさを再構築していくことも1つの挑戦。
経済がダメになればなるほど、これからすごいことが出来るんじゃないかってワクワクしてる自分を感じますね。・・子供が夢をもてなくなったっていうじゃないですか。僕、ガキの頃に、車掌さんに憧れてたんです。切符を切る車掌さんの職人技に。
すべてが便利な世の中になってくると、目に見える職人芸がなくなってくるんですね。カチャッとやればカチャッと出てくる、あの機械になりてえ、と思う人はそういないわけであって。
デジタルが普通な時代に、アナログを感じられる場所を残しておくのが大人の使命だって僕は思うんだけど。のようなコメント。
(才輝礼賛 38のyumiyoriな話 / 松任谷由実(’11)<3>に続く
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