2012年 07月 04日
才輝礼賛 38のyumiyoriな話 / 松任谷由実(’11)<3>
そして、この対談シリーズ34回のおすぎの回、丁度話してる時に3.11大地震勃発、2人ともテーブルの下に避難、という覚えで、おすぎとの談話では、直接その話は出てなかったけれど、その後3回は、3.11以降。
その内の1人、小林克也は、・・大震災があって、いろんな分野で、今まで正しいとされてきたやり方っていうのが、ひょっとしたら違うんじゃないかと思われ始めてきた。だから逆にこれからは新しい時代だと考えてほしいと思う。
・・(日本が)経済力や技術力で、韓国や中国にトップを奪われれば確かに悔しいけど、僕はそれぞれに出番が廻ってくるんだよ、みたいな考え。物質的なことばっかりじゃなくて、総合的には、もっといい時代になるんじゃないかな。
・・節電で街が暗いけど、この暗さが必要だったんじゃないかな。「そういえばよその国の都会は、こんな暗さだよなあ」みたいに思ったり。と語って、ユーミンが、ヨーロッパみたいですよね。と受けて、
小林克也が、そうそう、だからそういう意味では悲観してないんです。80年型の繁栄ではなくて、まったく新しい時代が始まってほしいなという気持があります。のような締め。
そういう各人のコメントを読んで、3.11以前の対談でも、もはやマネーゲームの時代は終り、お金に変わる物差しが必要、古き良きものの見直し、アナログの価値、などという声もあったけれど、
やはり私も、前にも触れてたけれど、特に3.11を機に、色んな意味で、何だか個人的なバブル期も終わった、とも感じたし、今は巷で、昨年程の自粛モード、というのも薄らいではきたけれど、何と言うか、価値観的に、バブル期などのままではとてもいられない。
逆に、今も依然としてそういう価値観を振りかざす感覚の方が、どうも異様に思えてしまったり。やはり今やお金、ではなく知恵の絞り所+身の丈、で、かつ楽しみも見つけながら地に足をつけてやっていく時代、と思う、という所。
何だかバブル時代の申し子だったユーミン対談集で、そういう所が引っ掛かった、というのも、言ってしまえば止められない時代の流れ、かも。
7/4追記:その他、引っ掛かった箇所はキリがないけれど、
最終回の陽水の回、互いの(曲のネタ仕入れ)勉強、のような話題で、陽水は前にも特番で触れてたように、色川武大氏の所へ麻雀を打ちに行ってたり、ユーミンは電車やファミレスでの人間観察、とか挙げてて、
陽水:最近脚本家の橋本忍の本を読んで、黒澤監督が求める人物描写のために、山手線でずっとある人を見定めて、どういう人なのかを自分なりにイマジネーションで書いて、
駅に着いたら一緒に降りて改札口まで行って、またひきかえしてくるみたいなことをやってたそうなんですね。ですからユーミンもそういうところに興味があるのかなあとか、思ったんですけれど。
ユーミン:ただ、陽水さんもそうでしょうけれど・・、あんまり人が深読みするほどは・・(笑)。 陽水:テキトーなんですよね。そんなに真面目じゃないですよね。 ユーミン:ねえ。
陽水:そういう生真面目な能力があれば、きっと立派な大学でて、立派な企業に勤められているはずですよ。どこかいい加減なんです。・・その点、ユーミンが長きに渡って多くの人達を魅了し続けてこられたというのは、やっぱりすごい。その苦悩とか努力とかさ、秘訣を・・。
ユーミン:自分だってそうじゃない。 陽水:いえいえ、わたくしは結構いい加減な感じで、平気で長期間休んだり、「信じらんない」みたいな作品も沢山ありますから(笑)。ユーミンの場合、全部クオリティが揃ってて。
のような、まあこの2人ならでは、のような、あ・うんの会話、というのも面白かったり。
あと、ユーミンが陽水に、森光子さんとの言うことが、深くて印象的でした、と挙げてて、その森光子の回終盤、スターゆえの苦悩、孤独感、のような話、この域の人だから、というユーミンへのエールの言葉、というのもあったのだけれど、
最対談者の発言で、私は一番インパクト残ったのは、森英恵の終盤の言葉。
終盤、ユーミンが、・・もうお辞めになりたいという時も、表に出さずとも何かあったんじゃないかなって。もし何かいやになっちゃったりした時に、どういうふうに乗り越えられたのかなというのをちょっと伺いたかったんですけれど。と向けたのに対して、
森:あ、松任谷さんも、そういうこと、あります? ユーミン:ありますね、しょっちゅう。 森:そういう時は、静かに勉強する。戦ってもしょうがないわけですもんね。何回もありましたよ、そういうこと。
ユーミン:重みがあります、ものすごく。ちなみにどういう勉強をされたんですか? 森:「自分はここがちょっと弱かったな」と思うようなことを勉強したり、読みたかった本を読んだりしました。
ユーミン:これまた深く心に突き刺さります。というようなやり取り。正直森英恵ファッションには縁も興味もなかったけれど、やはり、八方塞の時、自分に出来ることは「静かに勉強」、というのが、何だか、読んで何日か経って、じんわり効いてきた感じで、しみじみ感慨。
そういう所で、本当に様々なジャンルの人達VSユーミンの紙上コラボを味わった、という感じ。やはり「徹子の部屋」の黒柳徹子のように、あとがきにもあったけれど、ユーミンも資料はしっかりチェックして臨んだ、ようで、
各対談でもそれは伺えて、やはり普段のユーミンとの距離感、多少なりとも好感度、もあっての人選、かとは思うけれど、バズ・オルドリン氏や根岸英一氏とか、日本のショービジネス界に無縁な大物もいたりしたし、
そこまでは飛んでない大方の、各界ベテランから新人まで、やはり多かれ少なかれユーミンという存在への敬意、が感じられて、ユーミンもラフに、相手の話を引き出して展開させてて、引き出しの広さ、というのは改めて、で、
相手のスタンス、反応、展開によってホストであるユーミン自身の意見、エピソードなども割とざっくばらんに垣間見えたりしたのも味の1つだったり、各人の、今後の日本、世界観、とか、
その他逐一挙げなかったけれど、それぞれのジャンルの人だからこそ、ユーミン相手に滲み出る言葉、とか、久し振りに、色々多彩な味わいある1冊、ではありました。
関連サイト:Amazon 「才輝礼賛/松任谷由実」
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