2012年 08月 01日
ユーミンのSUPER WOMAN スペシャルプロローグ~「森本千絵と歩く霊峰」<1>
ユーミンが、様々なジャンルの女性と2人で各地を旅する、という内容。初回から3回分オンタイム、録画で見ました。
初回はスペシャルプロローグ、として、黄色いワンピース姿のユーミンが最初の旅のパートナー、初対面のアートディレクター森本千絵のスタジオを訪問、そしてユーミンが森本千絵を、神保町の「一誠堂」という広い古本屋に案内。
そこから、曼荼羅の絵の本など手に取ってるうちに、景教の話も出て、2人とも行ったことのないけれど行ってみたいと思ってたらしい、高野山の話に。そして次の2回で、実際訪問のルポ。
森本千絵、という人は初耳だったけれど、音楽やTV畑のアート、空間デザインなど色々活躍してるらしく、服装も明るいエスニック風で、何だかほんわかした感じの人。
ユーミンは、その彩り豊かで温かみのある作品に、一度会って話したい、と思ってたそうで、
森本側も、会う前に、ユーミンは私にとって尊い存在、などと語ってたり、会ってからも、美大に行ったのはユーミンの影響、と話してたり、やはり以前からのユーミンファン、という要素もあったのだろう、と。
キリスト教校~美大、という共通の履歴もあって、初対面にしてさすがにアーティスト同士のツーカー会話、という雰囲気も。
初回で印象的だったのは、スタジオでユーミンに、ここ数年で一番変わった、ドン、と違う所に行った、という事は?と聞かれて、
森本千絵が、今年3月11日、丁度3.11の1周年目に、仕事でロ-マにいて、丁度ミサの時間に、窓からスコーンとすごい強い光が綺麗に入って、そうして完成させられる空間を見た時、急に涙が止まらなくなって、
この光のようなものが創れたら、自然で傷つけられた人は、その気持ちを、こういう光が一番救ってくれるかもしれない、と思って、
その光を見た時に凄く大きい影響を受けて、作るものへの意識がちょっと変わった、のようなエピソード。ユーミンはその話を聞いて、それも、出会いよね、と受けてた、というやり取り。
その時本人が写真に撮ってたのか、そういう光の差し方が有名なので元からあった写真なのか?話のように、荘厳な聖堂に光が入ってる映像も出てて、その光景自体もちょっと印象的。
サン・ピエトロ大聖堂、とキャプションが出てて、ここって、前にイタリア旅行の時、私も行ったのだったか?と思って後でガイドを見てみたら、
その隣のヴァチカン美術館には行って、サン・ピエトロ寺院の手前のサン・ピエトロ広場はぶらついたけれど、残念ながら寺院には入らなかった、と思い出したり。
そして古本屋に移動。ここでもアーティスト同士、妖怪の本とか、色んな本をめくりながらラフな美術興味の話、
そう言えば日本画専攻だったユーミンが、鏑木清方の絵を見て、鏑木清方って凄く好き、本当に綺麗ね、と言ってたり、
江戸末期~明治にかけて、日本の風俗を海外に紹介するために作られた、という日本の風物の挿絵+英語の”ちりめん本”など、2人が気に入って、
ユーミンが、こういうはかない質感、fragileな(脆い)ものって大事にするから、逆に残るんですよね、などと感心。紙の質感がちりめんに似てるので、そういう名だそうだけれど、
その英語での日本紹介の内容とかも、どういうものなのか、ちょっと興味。なかなかああいう古本屋にでもいかないとなさそうだけれど、実際手にとって、読んでみたい気が。
そして、曼荼羅の本を見ながらユーミンが、高野山に曼荼羅の凄いのがあるみたい、自分のスタジオ名がgoen、である森本千絵が、曼荼羅の世界ってまさにご縁の世界っていうか、と、そういう話に。
そしてユーミンが、以前から興味があった、という景教の本を手に。景教、というのは聞き馴染みなかったけれど、ユーミンがキリスト教と仏教の間位、と表現、
1400年前唐の時代に中国に伝わったキリスト教、古代キリスト教のネストリウス派の中国での呼び名、らしく、高野山は密教の聖地でありながら、景教の記録や資料もある、と。
森本千絵が、キリスト教や仏教、全てが一つのものなんじゃないかと思ってて、そういう際みたいな所に、どういう形が残ってるのか、この目で見てみたいと思ってた、のような話。
社会科の歴史で、空海ー高野山ー真言宗、最澄ー比叡山ー天台宗、とかペアで暗記項目、高野山は私の故郷和歌山県で、確か子供の頃、そこら辺の山林には行ったような覚えは薄っすらあるけれど、寺院の記憶はなし、
まして、仏教だけでなくそういうキリスト教絡みのテイストもあった、というのも今にして。
そういう、まさに次週からの旅のプロローグ的な初回だったけれど、もう一つ印象的だったのは、この番組テーマ曲、ユーミン書き下ろしの「MODEL」という曲。
ゆったりと、「もやに咲く睡蓮のように・・」と始まるバラードが、近年のユーミン曲の中で特に気に入ってる「ひとつの恋が終わるとき」と双肩な位、結構好印象。
You tubeにもないし、タイトル以外余り情報も見かけないのだけれど、何というか、往年のユーミンの感性の震え、のようなものが伝わってくる感じで、
ここへきて、こういう繊細な曲を持ってくるとはやはりさすが、というちょっとした驚きも。
そして、次の2週に、高野山巡りの旅ルポ。まず入り口、赤い大門の前に立つ2人。
この旅ルポで、一番インパクトあったのは、やはり曼荼羅。
まず目を引かれたのは、2人が最初に行った、大伽藍の金堂で、特別に見せてくれた、平清盛が自分の血を絵具と混ぜて描かせた、という地曼荼羅の、当時の色彩を再現した、というもの(↓)。
そのネーミング、血を混ぜた、という過程は何だかおどろおどろしく、実際飾られてた曼荼羅よりは小さめではあったけれど、バックの青、所々の朱っぽい赤、折にある黄、他の中間色のコントラストが何とも色鮮やか。
またお堂の裏の壁に大きく描かれた幾つかの如来像の、袈裟、頭や体の装飾品、後輪などの、微妙に異なる様々な緑、赤やオレンジ、柔らかなイエローなど、鮮やかだけど気品のある色彩。
そして、建物の形自体が大日如来を表している、という根本大塔(↓)の内部は、中心にいる大日如来像や他の如来像、各台座の黄金+赤い円柱の煌びやかさ、という第一印象だけれど、
それぞれ円柱に描かれてる"立体曼荼羅”(2つ下↓)もなかなか。愛のキューピット的、という金剛愛菩薩など、それぞれの像の表情は穏やかだそうだけれど、平面のものとは違う"押し”のような感覚。
2人はそういう立体曼荼羅を目の当たりにして、エジプトやギリシャの神殿を見ているような気分になった、とか、何としても自分の悟りを伝えたいエネルギーを感じる、などと。
8/2追記:日本の仏教美術と言えば、私は英検2次対策の練習などでも、これまで見た建物や像の印象から、他の国のものより割と地味で質素な味わい、などと答えていたのだったけれど、
高野山の山中に、こういう結構派手、というか、色鮮やかで煌びやかなものがあったのだった、と今にして。
また今回、そういう美術品としてなかなか渋い、と思った曼荼羅の、表現するコンセプト、というのも。
これまで曼荼羅って、余りじっくり鑑賞、という覚えもないけれど、中心の如来像の周りにまた如来像や、様々なものが描かれてる、というパターン、
最初に2人が見た2つ、金剛界曼荼羅は、全ての中心の大日如来、それに基づく悟りの世界が表現されてたり、胎蔵界曼荼羅は、宇宙にある全てのものが仏で、私達を悟りの世界に導くのを図式化してる、とか。
色彩再現の血曼荼羅には、周りの模様に魚や動物の西洋占星術のアイテムや、腰に布を巻いただけで何か食べてる人間達の姿も入ってたり。
寺の人の説明で、密教の教えの特徴は、「即身成仏」=生きたまま、この身このまま仏である、ということで、ならばどういう仏の働きができるか、欲を持っているなら、我が身だけの欲ではなく、より多くの人の幸せのために働く欲に変えなさい、
自分自身の小さな欲でない、大きな欲を持ちなさい、ということを表現してる、そうで、ユーミンはそれを聞いて、深い・・宇宙、神というか、縮図・・凄いなあ、などと感心。
私も思ったのは、日本ってそもそも箱庭、盆栽、幕の内弁当とか、狭い面積の土地柄もあって、こじんまり美しい文化、みたいな特色、という外人向け日本紹介の本があって、
曼荼羅は日本特有の、という訳ではないだろうけれど、1枚の紙の中に、悟りとか、当時の宇宙観のようなものがギュッと凝縮されてて、しかもビジュアル的に美しく、というのが、
厳かな仏像や建物だけでなく、こういう仏教美術も日本にあったのだった、と改めて。
また2人は、お釈迦様が座って悟りを開いている姿の絵にイエスを連想したり、ユーミンは、建物や曼荼羅、壁の絵などに折々、インターナショナル、日本と言えばそうなんだけれど日本じゃないような、とか、
エキゾチック、オリエントな感じ、とか言ってて、高野山のことを、天空の国際都市(コスモポリス)、とネーミング。今までの私の高野山、で浮かぶ地味なイメージとは違う、広がリある場所だったんだと。
そして、建物群の大伽藍とは別の高野山の神秘的スポット、奥の院へ。参道脇には、樹齢数百年の杉が立ち並んで、20万人程の墓碑。
そしてその先に、空海が今でも瞑想を続けてる、とされる御廟(→)があって、何と今でも1日2回、僧侶達によってそこに毒見された後食事が運ばれ、
朝6時、その最初の分を運び入れ、続いて神聖な儀式、というのが約1200年間日々続けられてる、と。
食事を籠のようなもので担いで運ぶ僧侶達の袈裟が、鮮やかなオレンジや黄色で、「ビルマの竪琴」で見たような姿。
2人を案内する人は、黒のオーソドックスな、だったけれど、そういう明るい色の、というのは思えば日本では見かけた覚えなく。
その勤行という儀式で、ろうそくや時代がかった灯だけの薄暗い御廟内で、僧侶達が声を合わせて厳かに読経、空海への祈りを捧げる様子。
本来聖域なので撮影禁止だけど、今回特別な許可で撮影の許可、とのことで、2人もかしこまった表情で立会い。
後でユーミンが、そこに弘法大師様が座っているような感じで、不思議だった。皆さんの想念が像を創ってるみたいな感じで、
怖いっていったら変だけれど、魂って永遠なのかな・・虚像が実像みたいな、敬うっていう気持ちのエキスが結集してる感じで凄かった、などと語って、
森本千絵と、歩きながら、(読経の時)倍音が一杯出るから女性や子供達の声とか、あの人数じゃなく、無限に人がいる感じ、
抱き合って体がなくなる、皮膚とか器が解けて、魂だけが融合するみたいな、などと感想を話してたり。
まあ、この世知辛い時代、山奥で、歴史上の人物に食事を届けて大勢で祈りを捧げる、そういう儀式が1200年もの間、時代が様々に変わる中、日々延々と行われてきた、というのも何だか現代の御伽噺的、ではあって、
日本人の宗教心自体は概して希薄、ではあっても、定期的なキリスト教徒のミサやイスラム教徒のコーランを唱える習慣、に劣らないようなディープな宗教意識、という気もするけれど、
ユーミン達が話してた、器が解けて魂だけが融合するみたいな、というのも、精神的なニュアンスで、何だかアンチ現代の物質主義、という感じもしたり、この世俗離れした勤行、が、曼荼羅の次にインパクトでした。
関連サイト:ユーミンのSUPER WOMAN、ユーミンのSUPER WOMAN ~スペシャル・プロローグ~、ユーミンのSUPER WOMAN 「森本千絵と歩く霊峰」<1>、<2>、霊峰高野山
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<高野山奥の院の参道>