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’09年1月末AOL映画掲示板、ブログが終了、気分新たにマイペースで、音楽・芸術鑑賞、ユーミン関連、読書、英検1級対策、グルメ、仕事等含めて書いてます。英検は’11年11月に無事合格達成出来ました!

by MIEKOMISSLIM

THE GREY 凍える太陽(’11) 

昨日、なかのZEROホールでの「THE GREY 凍える太陽」試写会に行ってきました。

ジョー・カーナハン監督作、リドリー・スコット製作、トニー・スコット製作総指揮、原作はイーアン・マッケンジー・ジェファーズの「Ghost Walker」という短編で、

石油採掘現場労働者達を乗せた飛行機が、アラスカの大雪原に墜落、生き残った7人の男達のサバイバル・アクション。

この作品は特にかなり強い興味、と言う訳ではなかったけれど、近年見たのだと「運命を分けたザイル」みたいな、とか、

未見だけれど「生きてこそ」の設定のようで、まあ真摯な感じはして、会場の最寄JR中野まで1駅で近場、丁度都合も合いそうで申し込んでおいた、という所。


これは実話ベースではないようで、後で思えば原作の「Ghost Walker」というタイトルも、何か暗示的。

幸運にも墜落を生きながらえた彼ら、でも一人、また一人、このストーリーでの人間の天敵、オオカミ達の犠牲になったり、弱った身体に輪をかける極寒や、傷ついた身体でも余儀なくされる、命がけ綱渡りで力尽きたり、消えていく命。

それでも正直、最後には、少なくとも主人公+何人かは無事生還するのだろう、という前提で、どこか安堵感、というのに向かってずっと画面を追ってた感じだったのだけれど。

この作品紹介で見かけた、ホラー、スリラーとは別に思わなかったけれど、極寒の大自然+オオカミの巣、かなり厳しい状況の中の容赦ない現実的なシビアさ、その中の彼らの間の、これまた現実的なのかどうか、

墜落の犠牲者達の、それぞれの大事な人々の写真入りの財布を親族に持ち帰ろう、というような思い、反目、和解、怒り、ラフな会話、その中で浮かぶそれぞれの愛する者への気持ち、諦め、祈り、不屈の魂、など様々な思いが交錯。


そして、そういえば上映前アナウンスの中で、エンドロール後も映像があるので、という注意があって、その時には私は忘れていて、確かにエンドロール後に一瞬、ラストシーンの顛末、のような映像。

          

何だか余りまじまじ画面を確かめられなくて、終了後瞬時の印象を思い返してたら、その+αで希望の暗示?、かとも思ったのだけれど、

後でYou tubeでその部分を発見、アメリカで上映の際寄せられてたその部分に関してのコメント幾つかと共に、再度見直したら、当初の印象よりは、結構微妙な後味に変化。

やはり希望、余韻を残す、というニュアンスもあったのかもしれないけれど、あの映像がなかった場合の後味と比べてみたら、

やはりあくまでも、良くも悪くも人間が究極に頑張ったとしてこういう所、という現実味、にこだわった、部分が多かったかも、と。


私にとっては実話ベース的な予定調和の、ではなかった、というのもあるけれど、そうではなかった分、かえって命のかけがえなさとか、儚さ、人の弱さと強さ、究極の場で試される人間性とか、

何というか、何故かそうずっしり重い、という訳ではないけれど、ひたすら雪と自然のモノトーン印象と共に淡々とじんわり、残った感じ。


8/11追記:序盤、石油発掘現場で野獣の射撃手として働く主人公のオットウェイ(リーアム・ニーソン)、回想の中の傍らの女性に、失恋したのか死別なのか、とにかく自分の元を去ったらしき彼女、そのためもあってか、どうも人生に失望、の面持ち。

この女性の回想、幻は全編通してついてまわり、終盤、その傍らに点滴容器のようなものが見えたことからしたら、病死したのかも。

そして後で知ったのは、リーアム・ニーソンは、私は多分出演作を見たのは「シンドラーのリスト」以来だったけれど、私生活で、妻ナターシャ・リチャードソンとおしどり夫婦だったけれど、3年前彼女がスキー事故で急死、という悲劇、ショックに見舞われてた、と。

リチャードソンは、にわかに浮かばなかったけれど、見た中では「上海の伯爵夫人」「シャンプー台の向こうに」に出てた人で、ヴァネッサ・レッドクレイヴの娘だった、など。

今回の設定は偶然かもしれないけれど、劇中、ニーソンの湛えてた抑えた憂いの表情が、ちょっとそういうエピソードとシンクロするような。


a0116217_12174524.jpg労働者達を乗せた飛行機は、出発時嵐の気配で、最初からかなり揺れて怪しげ、こういう飛行機で移動しなければいけない彼らの運命、というのも不吉な前兆、ではあったけれど、墜落直前の機内混乱も結構リアルっぽくハード。

そして、現場でオットウェイが見つけた生存者の内、ウェンデル(ジェームズ・バッジ・テール)は、意識はあったけれど、重症で出血も多く、なすすべなく息絶えてしまうのだけれど、

その間際、オットウェイが、特に宗教的な言葉を使う訳ではないけれど、死にいく彼の心を穏やかにしようと言葉をかけ続けるシーンも、ちょっと印象的。


残ったのは、オットウェイ、デミアス(フランク・グリロ)、タルゲット(ダーモット・マーロン)、ヘンリッツ(ダラス・ロバーツ)、フラナリー(ジョー・アンダーソン)、、パーク(ノンノ・アノジー)、

そして役名は不明、ベン・ブレイ演じた男性が夜、皆が身を休める機体の断がいの表で、交代でオオカミの見張りをしてる時、不意打ちで襲われて早々にオオカミの犠牲になってしまい、これまた不吉な序盤。


オオカミの巣から、少しでも安全を求めて墜落現場を離れ、森の方へ移動する一行、そこから始まって、明確な終わり、のなかった、まさにサバイバルアドベンチャー。

実際の撮影はカナダの山脈、-20度、劇中の猛吹雪もリアルな、過酷な状況の中行われたそうで、撮影者は海外で活躍する日本人マサノブ・タカヤナギ、見た中では「バベル」撮影も担当してた人、だと。

そういう、スタッフや俳優陣の身体を張って撮ったスケール感、リアルな映像、というのもやはり見所、見る前は、体感的に雪山・雪原舞台で暑気覚ましにもなりそうな、などと思ってて、確かにそうだったのだけれど、

そういう極寒の大自然と、それとは別に、やはり暑気覚まし、というよりは寒気、に近かったのは、人間を自分達の邪魔者、そして獲物、としか見なさない野生のオオカミの、人間への容赦ない残酷な攻撃、仕打ち。


a0116217_1219034.jpg私は幾つかドキュメンタリーで、そういう野生動物同士の弱肉強食シーン、は見た覚えあっても、こういう野生動物の直接人間への牙、動物VS人間格闘、というのは、どうも覚えなく、

オオカミ達を使ったこういう撮影自体も、簡単ではなさそうな、とは思うのだけれど。

文明社会だと、人間と動物のほのぼの愛情、感動物語、というのは珍しくないけれど、大自然の中、人間の保護からは無縁で生きてる動物からしたら、この作品は実話ベースではなさそうだけど、

この状況で何か超人的、ファンタジー的な野生動物との交流、というよりは確かに遥かにこういう状況が現実的、人間は彼らからしたら”餌”でしかない、というシビアさ。

オットウェイ達が、単独で襲ってきたオオカミを仕留め、その死骸を焼いて食物にしたシーンで、その残骸に憎しみを込めて、ナイフを入れ続けたディアス、

他の男達は眉をひそめ、ディアスに、もうやめろよ、と促すシーンがあって、ああいう極限の状況で、色んな事が重なって、ディアスのような感覚になってもおかしくはなさそうな、とは思うのだけれど、

他の男達のそういう所が、理屈のない人間たる慈悲、という気もしたのだけれど、オオカミ達が、7人に対して意識的に見せた容赦、というのはは全くなし。

このオオカミ達を、完全に人間に立ちはだかる敵、アクション&サスペンス要素の一環、にしたのは、製作側にそういう意識はないのかもしれないけれど、

何だか野生動物が住む環境を蝕んできた人間への警告的な、というような感じも、見て数日経って、じんわりしてきたり。


そして、そういうシビアな大自然の中、それでも生還に向けて、傷ついた身体を引きずって、オオカミの恐怖と戦いながら、歩む姿。

何だか人生の縮図、と思えば、人間は「Ghost Walker」、というか、誰の目に触れなくても、孤独、先が見えなくとも、黙々と前に歩を進めるしかない、

勝ち目のない相手が立ちはだかったとしても、後ろを見せず向かっていくしかない、そういう場面もあるはず、という感じ。


8/12追記:また、そういう余分な要素のない過酷さ、シビアな背景だからこそ、彼らの人間味、というのが浮き彫りにされた、という後味。

それは、個々のキャラクターの背景、オットウェイの(亡き?)パートナーや父、パークの妹、タルゲットの娘、などへのそれぞれの思い出、愛情や、

また、この事故前はほとんど面識もなかった彼ら、序盤はオットウェイへのディアスへの反目、などもあったり、自分の心身を守るのに目一杯の状況、

でも行動を共にする間に生まれた、互いへのラフな思いやり、オオカミの襲撃に遭っている仲間を救おう、またそこに駆け寄ろうとする無意識の行動、連帯感とか、

結局命を落とした者のそれぞれの終焉、死ぬ時は大概不意打ちで一人、なのだけれど、それまでの交流、過程の体温、とか。


そういう所で、前述のように、こういう設定だから最後にはこうだろう、という予想の結末、ではなかったですけれど、

その分、命の儚さ、かけがえなさ、極限での人間性の問いかけ、とか、アクションものにしては、意外にじんわりと残った、という後味でした。

関連サイト:「THE GREY 凍える太陽」公式サイト象のロケット 「THE GREY 凍える太陽」
関連記事:トップガン(’86)プロヴァンスの贈り物(’06)バベル(’06)ウォーク・ザ・ライン 君につづく道(’06)アクロス・ザ・ユニバース(’07)ディパーテッド(’05)上海の伯爵夫人(’05)シャンプー台の向こうに(’01)
<スレッドファイルリンク(ここでは「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」「アクロス・ザ・ユニバース」「ディパーテッド」)は開かない場合あるようです。>

  

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by MIEKOMISSLIM | 2012-08-09 22:23 | 洋画 | Trackback(10) | Comments(0)
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