2012年 08月 16日
ユーミンのSUPER WOMAN 「鶴岡真弓と訪ねる女神」<2>
8/16追記:そして2週目は、タイトル中の”女神”、聖パトリックと共にアイルランドにキリスト教を広めた聖ブリジットを巡る旅メインで、まず2人は、ダブリンの南西50Kmにあるキルデアの聖ブリジット大聖堂へ。
鶴岡女史の説明で、聖ブリジットは、元々神の木、とされる樫の樹木が植わっていたケルト人の聖地に、ヨーロッパでも最古級、アイルランド初の男女共同体の修道院、を開いたそうで、男女参画の実験場、というか、
銃後に回らない、男を叱咤激励する女性のパワーを押し出したのが、大地母神、グレートマザーと呼ばれるゆえん、のような話。
Wikipediaにあったの(↑)とは違ったけれど、幾つか映った、ステンドグラスなどに描かれた聖ブリジットは、そう威圧感やパワフルそうな、というより、ナイーブな少女漫画にあるような、髪が長く華奢で優しそうな横顔だったり、
クレア地方の、聖ブリジットの泉の脇にあった、電話ボックスのうようなガラスの覆いの中の像の表情も、柔和で穏やか、ではあるけれど。
鶴岡女史は後で、キリスト教は男性の力で邁進してきた、というイメージがあるけれど、キリスト教が聖ブリジットのような女性の力を取り入れた、のではなくて、
延々と何万年も大事にされてきた女性の力が、キリスト教で、花開いた、という感じ、どちらか一方が、でなく、男女のいいバランスで、第3のスーパーパワーが生まれる、という感覚が打ち出された、のような話も。
大聖堂では、聖ブリジットクロス、という畳の材料でもなる灯心草(イグサ)で編んだ十字架が、2月1日の聖ブリジットの日のイブに編まれて、当日色んな所に飾られる、という慣例も紹介、
一見手裏剣の形みたいで、素材も質素だけれど、世界は永遠に再生する、のようなニュアンスが込められてる、とか。
そして次に行った聖ブリジットの泉は、特に説明はなかったけれど、悩みを持つ人々の癒しの聖地スポット、のようで、直接泉自体は映らなかったけれど、そこへ行くまでの狭い洞窟に、所狭しと、人形や写真、メッセージカードなどの祈祷物。
この回の録画がないのでちゃんと確かめられないけれど、ユーミンがそこで、信仰の力でブリジットがいる、のようなことを言ってたのは、
前の高野山の奥の院での僧侶達の勤行で、空海が実在するような、というような感覚と重なったり。
ユーミンと宗教、といえば、私はやはり反射的に「ルージュの伝言」にあった、宗教は処世術、というフレーズを思い出すのだけれど、
今回この聖地で祈祷物の山を見て、(ここに来る人は)悩んでいるのは自分だけじゃない、と、孤独が癒されるだろうし、
ここに向かわせるプロセスに、癒す力がある、行こうと思う時から、癒しが始まっているんですね、などと、何というか、宗教のメカを突いたような呟き。
そして鶴岡女史が、意志の力、を挙げて、生むものは意志を持って生むんですね、女性は男性よりそういう力が強い、のようなことを言って、
ユーミンが、それは具体的に子供を生む、というだけでなく、形にならないクリエーション(創造)ですね、のようなやり取り。
最後に、アイルランド西海岸の、モハーの断崖へ。そこで道端で、老人が一人黒い笛を吹いてて、これは「タイタニック」のティン・ホイッスルでなく、キーホイッスル、という笛のようだけれど、
2人はしばらく聞いてて、音色に合わせて腕を組んで回ったり、コサックのようなポーズをして、こんな感じ?もっと複雑ですよね、リバーダンスを研究してくれば良かった、などと言いながらステップを踏むシーンも。
モハーの断崖自体は、高さ200m、全長8Kmというスケールで切り立った断崖が続き、やはり”果て”という感じで、アトランティックエッジ、と呼ばれてるらしいけれど、
地図で見てみたら、沢木さんの「深夜特急」旅でのユーラシア西の果て、ポルトガルのロカ岬よりも、わずかにさらに西寄り、のようで。
そこで、鶴岡女史は、’72年にソビエト船でユーラシアに渡ってユーラシア横断の旅に出て、
40年目の今、アイルランドを東から西へ1万Kmの旅をユーミンさんとして、これからの再生のさらなる旅の弾みにしたい、のようなコメント。
ユーミンは、その40年の半ば頃鶴岡さんと出会って、アイルランドへのきっかけになって、この旅が実現して、今また新たな旅を目指したい、のようなコメント。
最後に、これは毎回最後のゲストへの問いかけのようだけど、SUPER WOMANとは?について、鶴岡女史は、最初から特別な場所にいる、のではなく、SUPERな所へ行く、という明確な意志を持つ、ということで、
聖ブリジットは、そういう意味で聖女、大地母神で、旅をし続ける、というのがSUPERなWOMAN、というような答え、ユーミンが、私もそう思います、意志を持って次なる場所を目指す、ということですね、のような締め。
すでに5世紀に、キリスト教という土台でしなやかに女性の意志、パワーを体現してみせた聖ブリジット、は確かにスーパー、
でも今の日本でも、女性が意志を持つ、その個々の意志?のあり方、また表し方、とか、何だか摩擦、無理解、偏見とか、なかなか一筋縄では、とは思うのだけれど、
人生でも色々遠い旅を経てきたこの2人の口から、大スケール断崖のスポット、で語られると、何だか色んな意味で大らかに勇気付けられる、そんな後味もあったり、
前回は、ユーミンと森本千絵が、共に未知の場所を巡る、という趣旨、今回はアイルランドスペシャリスト鶴岡真弓がユーミンのガイド役、でしたけれど、
行く先々で、鶴岡女史の豊富な知識での割と判り易い解説+ユーミンならではの反応や見解、素朴な感想、などのバランスも良くて、今回も、色々と興味深かった2回目の旅ルポでした。
関連サイト:ユーミンのSUPER WOMAN、ユーミンのSUPER WOMAN 「鶴岡真弓と訪ねる女神」<1>・<2>、NHKオンデマンド
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<ラウンドタワー前>
時々訪問して記事や写真をたのしませていただいています。
聖ブリジットを巡る旅の興味深いお話、一気に読ませていただきました。
すてきなおはなしですね。
ところで私は、中世の世界で最も美しい都といわれたプラハの私の旅を写真などで紹介いたしました。ご感想、ご意見などコメントをいただけると感謝致します。
私は聖ブリジットは、今回のアイリッシュケルト巡りに因んで知って、目にした絵や像ではどれもしとやかな印象ですけれど、
キリスト教に女性の意義を持ちこんだバイタリティあった聖女のようで、ユニークと思いました。
そちらのプラハの記事も拝見しました。後程コメント欄に伺います。