2012年 10月 11日
ユーミンのSUPER WOMAN 「草間彌生の作品世界を訪ねて」
草間作品は、この番組で、前に瀬戸内海の現代アート巡りの旅で、直島のカボチャオブジェ2つが登場(↓写真はトリップアドバイザー提供)、
その時もユーミンが長谷川祐子と草間彌生、その作品についてちょっと話してたけれど、今回、最後のゲストとして本人登場。
私はこの人は、瀬戸内旅の時も触れたように、何か作品を見たことはあったとは思うけれど、そうインプットはなく、名は聞き覚えが、という程度。
先日たまたま夜、NHKで草間特集番組を見かけて、その時がこの人の動いてる姿を見た最初。移動は車椅子ながら、御歳83才にして赤い髪の独特なアーティスト風貌、ポップな水玉世界がモチーフだった、というのも初耳。
ユーミンは7月、草間&ルイ・ヴィトンコラボの銀座レセプションに、赤い水玉ドレスで参加してて、その時が初対面だったようだけれど、
互いに長年ファンらしいこともあって、今回番組では、結構最初の方からユーミンが「彌生ちゃん」と呼びながら、スキンシップ交えての、ホットな親交ぶり。
ユーミンは、草間彌生の故郷、松本で開かれてる草間展にも行ってて、色々作品を味わってる映像も交えてで、この人の作品って、私はそう通常テイストに合う、訳じゃないけれど、
色彩も鮮やかな水玉世界がこれでもか、と炸裂、本人の幼女+老女ミックス、というかユニークキャラクターも相まって、ちょっと楽しい感じ。
ユーミンと手を取りあってアーティスト同士のエール、世界平和、愛を訴えかけて万歳!の大らかで陽気なエンディング、もあって、
やはり今回も何だかタイミング的に、煮詰まり感がやや吹き飛ぶような、いい具合のリフレッシュ。
10/12追記:ユーミンを迎えた草間女史が、今日は貴女がいらっしゃるっていうので、朝からみんなでじゃんじゃん待ってた、と言うのを受けて、
ユーミンが、本当にポップアートの世界にいるような感じで、とか、草間さんの科白一つ一つが(漫画の)吹き出しが出て、じゃんじゃん、とか、目に見えるようです。
草間さんも、皆女の子がいうでしょうけれど、可愛い!っていう感じ、と親愛の情を表現。
草間女史も、貴女が荒井由実さんの頃から、レコードや色んなものをみんな集めてる、と言うのを聞いて、ユーミンは、わあ、嬉しい!草間さんとは、すごいお友達になれそうな、「彌生ちゃん」って感じです、とスキンシップで喜んで、
草間女史は、私もそう、貴女は本当に幻の中の人で、衣装も貴女のことを考えると、色んなアイデアとかが出てくる、とコメント。ユーミンは、えー、もう何よりです、と感慨。
ユーミンって、音楽畑じゃないアーティスト絡みでも、多数イラストレーターによる曲のイラスト展、先日のデザイナーによる曲モチーフデザイン画、などあったけれど、その存在自体でもこういう風に、アーティストを刺激、というのも改めて。
今草間作品の評価が世界中で高まってる、そうで、海外のオークション会場で、大判の絵画に2億7千万!の値がついた瞬間の映像。
昨年から、マドリード、パリ、ロンドン、NYの美術館を巡回してて、現存する日本人作家の個展が欧米の主要美術館でこれ程大規模に行われるのは、初めてのこと、らしく、そういう知名度だった、というのも初耳。
今年話題のルイ・ヴィトンとのコラボ、かばん、財布、サングラスなど色んなアイテムに、草間水玉。
この赤地に白水玉、は、ユーミンが見に行ってた、松本での草間展でも、「新たなる空間への道標」という広い部屋、というか空間のインスタレーションでも印象的。
ユーミンがそこで、別に隠れようと思わなくても紛れられて、本当だったらギンギンに目に入ってきて、落ち着かないはずなのに、かえってカームな(静かな)感じがする、不思議ですね、
どこまでも広がる水玉の空間に身を置いて、草間さんの深い愛に包まれてるような気持ちになりました、のような感想。
この美術展は、会場の松本市美術館も白地に赤水玉、の外装になってて、ここ自体インスタレーション化、という感じ、「新たなる・・」の他にも、
ちょっと目に留まったのは、「痛みのシャンデリア」という、複数の煌びやかなシャンデリア万華鏡のようなオブジェ?インスタレーション?とか、
「わが永遠の魂」というシリーズの大判の抽象画の数々、番組ラストの方で、少し映った「魂の日」という、闇に浮かび上がる丸い色とりどりの光のオブジェ、とか、
何だか確かに、色彩や形など、”癒し系前衛芸術”な感覚もして、まあやはり”どこでもドア”があったら、だけれど、ちょっと行ってみたい気が。
ユーミンが見てた絵で、草間女史が10才の時お母さんを描いた鉛筆画、があって、着物を着て目を閉じてるお母さんの胸から上の絵、だけれど、顔や身体に無数の黒子大の点が散らばってて、
ユーミンはそれについて、ご実家が、鼻の種や植物を扱ってたそうで、種が点々となっているのかと思いきや、幻聴、幻覚のように、斑点が見えて浮かび上がっってくることもあった、とお聞きしてる、と。
そういう幼少期から「強迫神経症」によって、水玉の幻覚を見るようになった、とか、Wikipediaの本人欄によると、
>少女時代より統合失調症(医学博士西丸四方が診断)を病み、繰り返し襲う幻覚や幻聴から逃れるために、それら幻覚や幻聴を描きとめる絵を描き始める。
草間は現在に至るまで水玉(ドット)をモチーフに制作する事が多いが(ドット・ペインティング)、これは耳なし芳一が幽霊から身を守るために全身に経で埋め尽くした様に、
彼女が恐怖する幻覚や幻聴から身を守るために、作品全体を水玉(ドット)で埋め尽くす儀式でもある、とされる。<
などと見かけて、何にしても、水玉、というのは草間女子の心の病がルーツのようで。
今回、自分でも、やや聞き取れない所はあったけれど、そういう過去を切々とユーミンに水玉(との遭遇、格闘)について語ってて、
でも自分の意志として、そういう中で、私達の生命期も非常に短いかと思いますけど、自分はその中で、死に物狂いでもって、何か美しいもの、華やいだもの、永遠なるもの、そういったものを重ねて、
愛と平和、そういったことを、自分自身の短い生涯の中で打ち立てて、もっともっと私は頑張って、自分の一生を貫きたい、
そういうことで、毎日毎日絵を描いて、そういうことを脱出(?)できる、そのことに追いつこう、と思ってやってますけど、などと述べてて、画面下には「創作への執念」のキャプション。
先日のNHK特番でも、どうも病院の精神科が住まいのようで、この人の凄さ、というのは、その心の病絡みの”水玉”を、自身の強い個性、にして、アート、という分野で結果的に、世界に打って出てる、というバイタリティ。
10/13追記:ユーミンが直島のカボチャオブジェについて、やはりNYのポップカルチャー、と言ってたけれど、若い頃、草間女史は単身NYに渡って活動、
50年代後期~70年代初めまでいて、苦労しながらも頭角を現していったそうで、その当時の草間女史のモノクロ真はオカッパの、多感そうな眼差し。
身体を張った「ハプニング」という前衛パフォーマンスもやって、当時のアートシーンに衝撃を与えた、とも。そのモノクロ映像では、やはり水玉模様のタイツ、スカーフに身を包んだ彼女が走り回ってたり、という姿。
帰国後、その頃の生活をモチーフにした小説を発表、その「マンハッタン自殺未遂常習犯」という本をスタッフが持ってきて、この人は小説家、でもあったのだったと。
そういう色々幅広く活動してきて、今なお高齢にして、の創作意欲。松本の美術館でユーミンが、やはりオリジナルは凄い、オリジナルじゃなかったら、人マネをしたり、影響を受けたり、
まあ色んなものの影響を受けるけれど、特定な何かをやろうとしてたらもたない、醸し出されたものがオリジナルだから、オリジナルこそが、次を創る原動力になる、
そこが本物と偽者の違いですよね、などと感嘆してたけれど、それは自身、今まで何人もの”ポストユーミン”ミュージシャンが現れてきても、ユーミンはユーミンたる存在、という自負、と重なるような感も。
ユーミンが、彌生ちゃん、描いてください、描いてる姿をちゃんと見たい、と促して、
草間女史が、今取り組んでるらしい、目の前の大判のメタリック調の金色地の上に濃いオレンジの水玉、を描き出し、描きながら、
草間:私は絵描きになってよかった、今日、貴女に出会えて、長年の希望が叶って・・私頑張る、駄目だって時は貴女の歌を歌う、ユーミン:私も煮詰まった時は、彌生ちゃんのことを思い出す、そしたら何か沸いてくる、
この番組も、今日こうやって、草間彌生という人と、生で接するためにやってきた、といってもいい位です、本当に。草間:そうですか、有難うございます。などというやり取り、
そして草間女史が、ユーミンの手を取って、もっと素敵な歌を皆に聞かせて、貴女歌うのを聞きたい、これからもっと私達を魅了して励ましていただきたいと思ってる、
これを2人で、世界中に言いましょう、平和と愛と、みんなに歌って・・などとエール。
そして、2人でピース姿でカメラに収まって、ユーミンが草間女史の両手を取って揺らしながら、アカペラで「やさしさに包まれたなら」の1番。ピアノ弾き語りはあっても、こういう、アカペラユーミン、というのは、今までに覚えなし。
歌の後、草間女史は、ユーミンに抱きつかれながら、素敵、みんな褒めて、由実ちゃんは素晴らしいって言って、と喜んで、スタッフの拍手、ユーミン:彌生ちゃんも素晴らしい!と言って、また拍手。
草間:うんと私達は働いて、いい絵を作って、いい歌を創って、みんなが感動するような、そういった生活をしよう!
この人は、何十年もそういうことをしてきた人なの・・貴女の素晴らしさは、「花」でなくて、あれよりもっとすごい「華」を持ってる。本当に有難う。
ユーミン:彌生ちゃんに、心を込めて歌いました、草間:有難う、私本当に、もう感激で一杯よ、胸の中が。良かったね、会えて。私、何十年の夢をここでもって果たしたのよ、貴女に会ったってことで。
私は貴女に会えたことで、もっともっと、沢山立派な絵を描いてくからね、誓って、誓って、貴女ももっといい歌を・・ユーミン:はい!
草間:みんな、(ユーミンの片手を取って、手を挙げながらスタッフに促して)万歳って・・みんなが幸福になれますように、
それから、みんなを愛し合って、世界から平和と愛とが一杯になりますように!ここで皆さんにお願い致します。ユーミン:お願い致します。
そして2人で万歳、を繰り返しながら、前述の美術展の「魂の日」の映像。最後にもう一度手を取り合った2人の姿、ユーミンが、煮詰まったりした時に、彌生ちゃんのことを思い出します、
草間:彌生ちゃんって言って下さい、そういう時、ね。みんな、あれだったら、彌生ちゃん大好きっていってっくれる?せーの、一同:彌生ちゃん大好き! 草間:素敵! 一同:笑い、拍手、 2人:素敵、素敵、素晴らしかった・・というエンディング。
そういう所で、またしても、インパクトあった所を、と思いつつ、やはり実況中継的になったけれど、特に終盤、ユーミンとのエール交換も相まって、草間パワー回転、
何度か繰り返してた”愛と平和”なんて、色褪せつつあるフレーズが、何故か嫌味に聞こえないのは、この人のキャラクター、創る作品に溢れる色彩、夢、エネルギー由縁か。
何だか、その作品にお金を払い、時間を費やす他人に、その代わり一体何を与えたい、訴えたい、見せたい、聞かせたい、判らせたいのか?意味不明な、視野の狭い、独りよがりな自己完結の卑小さ、でなく、
自身神経科の病院を住処にする身でありながら、アピールするのは”愛と平和”のため、人に感動を与えるため、作品を創る、というシンプルなスタンスが、カタルシス、というか。
やはり作品テイストや愛嬌とか、女性ならではの、というのもあるけれど、日本にこういう現役アーティストもいたんだ、と改めて。
83才にして、ベテラン、とか貫禄、というより、後味は、何だか浮世離れしたポップな幼女+老女アーティスト、というミラクル感。ユーミンが、相手を名前で~ちゃん、と呼んでたのも、この人だけ。
今回このシリーズ最後のゲスト、だけれど、やはりまあ6人のパートナーの内、もって来るならラスト、が相応しい濃さ、存在感、スケールだったかも、と納得。
ユーミンとこの大らかな草間パワーコラボに、前述のように、やはり煮詰まり感がやや吹き飛ぶような、リフレッシュ効果でした。
関連サイト:ユーミンのSUPER WOMAN、ユーミンのSUPER WOMAN「草間彌生の作品世界を訪ねて」、「草間彌生 永遠の永遠の永遠展サイト
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