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Something Impressive(KYOKOⅢ)

時をかける少女(’83)<1>

一昨日、近くの成田図書館で、’83年大林版の「時をかける少女」上映会、都合も合ったので見てきました。

これは何度か見て、手元に録画もあるのだけれど、随分久し振り。そして振り返れば今月は、「ユーミンのSUPER WOMAN」や「8月31日 最後の夏休み」公演など、母のとみゆきさんライブ&PV記事以外はユーミン一色、だったのだけれど、

たまたまこの時期、またしても、ユーミン提供のテーマ曲を原田知世が初々しく歌い、また正隆氏が音楽監修だったこの作品上映会、の巡り合わせ。

そういう流れもあって、今回改めて意識、この作品自体のノスタルジーの一環、バックに流れる繊細なメロディって、正隆氏が手掛けてたのだった、と思うと、

春先にやはり同氏音楽監修の「虹色ほたる 永遠の夏休み」を見た時も、今にして改めて頭を過ぎったのだけれど、

この人って普段は、メロディメーカー、作曲家としての才覚、というのは封印して、ユーミン曲アレンジ、プロデュース、に精力を捧げてるんだな、という実感。

そして今回、今にして気付いたのは、最後のエンドロールで、同氏が、深町一夫の父役、とあって、写真のみだけれど、この作品にカメオ出演していた、ということ。今回の鑑賞中も、全く気付かず、その内手元の録画で確かめてみようと思うのだけれど。


また、久し振りに見て、胸をつかれるような、当時の原田知世の、神々しいまでの、透明感という気品漂う生粋の少女らしさ。

都会でなく、尾道、という舞台でこそ、その魅力も絶妙に生きた、やはり奇跡、小さな宝石箱のような作品、と改めて。

彼女と比べたら、やはり、最新リメイクのヒロインだった仲里依沙などの、骨太感ある現代っ子的ヒロイン像、というのも、妙に”オバサン少女”的だったように思えてきたり。

まあ、何だかまたしても、浮世の破廉恥な興ざめ感、から、ザクザクと心洗われる思い。


10/30追記:また、白衣姿でオカッパの芳山和子が働く大学院でのラストシーンで、改めて思ったのは、やはり和子は、一夫との、記憶を消されてるはずだけれど、何か残り香ある思い出の感触を抱いたまま独身、が一番しっくり。

最新リメイク版のように、その後、他の男性と恋愛の末母になってて、というのはどうもNG、という感じ。


10/31追記:そして、勿論筋書きは判っているけれど、冒頭のモノクロのスキー場シーンってこんなに長かっただろうか、とか、それに続いて列車内で、花畑の黄色から、徐々にカラーになっていく所とか、

やはり忘れてた所もあったり、先日の「8月31日・・」ではないけれど、馴染みのはずの映画一つにしても、時が経ってたらその分、かもしれないけれど、記憶って曖昧になってるものだと。

        


この図書館の映画会でのいつものように、始まる前、上映室前方の陳列の関連図書の中から大林監督著の「ぼくの映画人生」('08)という本を取って、この作品の所を読んでたら、

改めて、角川春樹氏の、15才の少女原田知世への愛情が同監督にもそのままシフト、の様子。「当時の少女としては珍しく背筋を伸ばし、「はい」という返事がとてもいい、・・」印象を持って、

映画界初体験でおろおろする彼女に、まず自分が怪我をしないよう気をつけること、あなた一人が怪我をすると、この映画に関わる人々の運命が狂ってしまう、・・

美術のおじさんの道具が落ちてきて、君の頭に当たって怪我をするか死んでしまうかもしれない。そうすると、おのおじさんは一生後悔しなければならなくなる。それは何と恐ろしく悲しいことか。

映画の仕事は一人じゃできない、みんなで一緒につくる、お互いがお互いを悪い人にしないよう気をつけ合うことは、本当のプロの約束なんんだよ。というような助言の紹介。


原田知世は、食事係のおばさんたちがスタッフののために作ったメニューが、食べ残されるととても悲しそうだ、ということに気付いていて、

その監督談の後から、突然大食いになって、豚汁などを猛烈に食べ始め、スタッフによそって勧め、鍋の中を空にしようと懸命になった、のようなエピソード。

学校の春休み中、28日間での撮影、というスケジュールもタイトそうで、実質、徹夜の作業の中で、1日8,9食位食べるし、若いスタッフはそれくらいでないと身がもたない、らしいけれど、

「「みんな、よく食べたね。おいしかった、よかったね」という関係を一生懸命つくっていて、大人たちはそれをわかってみているから、知世が見せたその時の輝きは本当に美しい。

・・映画人は見た美しさを必ず撮りたくなるので、なんとか自分達の技術と愛情とで、豚汁食べておいしいと言った彼女の目の輝きを再現したくなるのです。

この作品で彼女がスターになったいちばんの理由は、彼女の胃袋、同時に、その胃袋で奉仕して、みんなの愛情をすいよせていった15才の少女なりの賢さだったと思います。」

など、演技の技術的なことは特に書いてなかったけれど、そういう”素”を思わすエピソード。


(C)実業之日本社
時をかける少女(’83)<1>_a0116217_1585447.jpgまた、「原田知世は一回しかない人生で初恋を芳山和子として体験する。・・それに対して監督であるぼくは、どうこたえればいいのか?・・もし巨大なライトが彼女の上に落ちてきたら、どうするか。

原田知世はぼくの夢のために、彼女の一つしかない15才の原田知世を犠牲にして、ぼくの(映画での架空の)恋人である芳山和子をいまやろうとしている。つまりぼく自身の人生にあの子は自分の人生を奉仕してくれている。

だったら、おれが彼女にお返しできることは、もし彼女の実人生にライトが落ちてきたら、自分の人生を捨ててもかわってやろう。

・・よし、いまならこの子のために死ねると思えた瞬間を逃さないように「用意、スタート」と声をかける。・・」のような当時の監督側からの心情。

この章の終わりの方で、「「時をかける少女」は、ぼくとプロデューサーのおじさん(角川氏)の二人のおじさんがプラトニックラブで原田知世を描ききった映画だから、ファンに愛されたわけです」

・・というような裏話、当の原田知世は、そういう大人のめくるめく熱意、の蚊帳の外、のようなマイペース、出来上がった時は違和感あって、何だかポキポキして私じゃないみたい、と言ってた、などというのもちょっと面白かったけれど、

その後、「大人になって実人生の中で恋もあって、・・その頃「「時をかける少女」って素敵な映画でしたね。ありがとうございました」と言ってました。」

そうで、今にして知ったそういうエピソード、何だか大林色らしいというか、撮影時の、対象に対して自ずから沸く独特の愛情、心情というのもあるけれど、クリエーターである前にまず人としての基盤、という感じがして、というのか。

時をかける少女(’83)<2>に続く。

関連サイト:Amazon 「時をかける少女」成田図書館 映画会Amazon 「ぼくの映画人生/大林宣彦」象のロケット 「時をかける少女」
関連記事:時をかける少女(’97)時をかける少女(’06)時をかける少女(’76)時をかける少女(’10)時をかける少女(’83)<2>

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Tracked from 象のロケット at 2012-11-01 08:05
タイトル : 時をかける少女
ある少女が理科実験室でラベンダーの香りを嗅いだときから不思議な体験をすることに…。 青春ラブ・ファンタジー。... more
by MIEKOMISSLIM | 2012-10-29 23:55 | 邦画 | Trackback(1) | Comments(0)