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Something Impressive(KYOKOⅢ)

パパの木(’10)

一作日、文京シビックホールの小ホールで、「パパの木」の試写会、「いい加減な・・・」ブログのいい加減人(Yamato)さんに誘って頂き、都合も合ったので、行ってきました。

フランス・オーストラリア合作のジュリー・ベルトゥチェリ監督作品、原作はジュディ・バスコーの小説、3年前製作で、丁度その年度らしき第63回カンヌ映画祭のクロージング作品、だったのだった、と。


パパの木(’10)_a0116217_1232385.jpgオーストラリアの広々とした自然がバック、突然一家の父を亡くし、残された妻ドーン(シャルロット・ゲンズブール)と4人の子供達の物語、だけれど、(チラシ→)

大きなキーアイテムは、タイトルにもなってるけれど、父の最期の時、運転していた車が緩やかに衝突した、家の傍らの大きなイチジクの木。

その木に父が宿る、と感じ取って、木を通して父と話す娘シモーン(モルガナ・ディヴィス)。かなり大振りな、何かそういうオーラが宿ってそうな、という木が、全編通しての準主役、というか。

予想してたより、ファンタジー的癒しの要素、という割合は少なく、現実的に人生を進めていく一家の様子、という描写の方は多く、割とあっさりした雰囲気、ではあったけれど、

これがデビュー作、という7才のあどけないモルガナ・ディヴィスが見せた、木=亡き父へのピュアな強い思いが印象的な核になってて、

大作ではないけれど、全編の豊かな自然の映像も綺麗だったし、珠玉の家族もの、という感じ。


パパの木(’10)_a0116217_027042.jpg5/30追記:どの出演者もどうも覚えなかったけれど、(←チラシ裏)

ドーン役、シャルロット・ケンズブールは見た中では、「21グラム」でショーン・ペンの妻役、また、「アイム・ノット・ぜア」にも出てたのだった、と。

このケンズブールの、夫の急逝後、4人の子供の母として、子供に振り回され労わられながらのシングルマザーぶり、また、折りよく得られた職場の雇い主、ジョージ(マートン・ソーカス)との関わりで見せた女っぷり。

正直、失意の一家を亡き父のアイコンとしての木が救う、という、もう少しファンタジック、というかスピリチュアルな内容、が見る前のイメージ、

でも、シモーンが抱いた木を通して父と語る純粋な感覚に、ドーンも一時癒されながらも、結構あっさり他の男性に接近、まあ成り行き上仕方ないかもしれないけれど、え、もう?と、やや興ざめ感が過ぎったり。


パパの木(’10)_a0116217_0301884.jpgその直後、夜突然木の大きな枝がドーンの寝室を直撃して半壊、(→別の折りたたみチラシ裏)

タイミング的に、木=ピーターの嫉妬か淋しさか?何らかのアピール、を思わすようなシーンもあったり、あたかも”何かを宿す”ような味わいの木の映し方、というのも折に感じはしたけれど、

その枝の落下事件の他は、特に直接”木からのアクション”はなく、見る前のイメージのファンタジー感、というのは薄れてきて、

中盤、母の新たな出会いも含めて、一家の現実的な、日々の生活様相あれこれ物語的な、という変化。


巨木のその木は、隣家からのクレーム源でもあったようだけれど、一家の家自体の水廻り機能など暮らしにも支障し出して、

シモーンや他の兄弟の木への愛着、にも関わらず、ドーンが木の撤去をジョージに委ねた時も、計算、でなく無意識かもしれないけれど、何だか大人の選択、

やはり木を通した姿なき亡夫との交信、よりは、現実的に自分達を気遣い、世話をしてくれる男性の決断に従う、という、これまた仕方ないかもしれないけれど、何だか、という展開。


パパの木(’10)_a0116217_011463.jpg














でも、木の上方に居座って、1人身を持って木を守ろうとするシモーンの必死の姿に、男達が木に迫った間際、母、女、人として揺れ動いてたドーンのとっさに取った行動、その決断で、

この物語が、ファンタジック、ではないけれど、それとは違う生身のヒューマンドラマの温みを漂わした、という感じ。( ↑折りたたみチラシ表)   


クライマックスの展開、大自然の脅威によって、一家が余儀なく土地を離れ、新たな生活へ、というのも、甘酸っぱさもあるけれど、

シモーンの心を傷つけない、自然の成り行きでの木との別れ、のさり気ない演出の気遣い、とも思えたり。


そういう所で、前述のように、やや見る前のファンタジックなイメージとは作風違いましたけれど、父に遺された一家の、折にユーモア交えた骨太さ+繊細さ、

キーになる巨木の存在感や、自然の美しい映像もスパイスで、珠玉の家族ものヒューマンドラマ、という味わいでした。

関連サイト:「パパの木」公式サイト象のロケット 「パパの木」
関連記事:21グラム(’03)アイム・ノット・ゼア(’07)
<スレッドファイルリンク(ここでは「アイム・ノット・ゼア」)は開かない場合あるようです。>

    

Tracked from 象のロケット at 2013-06-02 08:08
タイトル : パパの木
オーストラリアの大自然の中、庭に大きなオーストラリア・ゴムの木がある家で、妻ドーンと夫ピーターは4人の子どもたちと幸せに暮らしていた。 ところが、ピーターは心臓発作を起こし死んでしまう。 ドーンは夫を亡くした喪失感から日常生活もままならない。 父の死をまだ理解できない8歳の末娘シモーンは、庭の木にパパがいると感じて、木とおしゃべりをはじめるのだが…。 ヒューマンドラマ。... more
Commented by いい加減人(Yamato) at 2013-05-31 08:39 x
こんにちは。
先日は御付き合いくださりどうもありがとうございました。

そうですね。この映画、ファンタジー要素が無いのが良かったと思います。木で、淋しさを紛らわすと言うのは、不自然な事でも、無いと思いますし。

全編、暗い映画じゃなくて良かったと思います。
Commented by MIEKOMISSLIM at 2013-05-31 23:07
いい加減人(Yamato)さん、改めて、先日は誘っていただいて有難うございます。

やや予想とは違いましたけれど、見て少し時が経って、これはこれで、あの巨木がキーになるヒューマンドラマ、として味わいあった感が強くなってきました。

大自然バックの映像も綺麗だったですね。
by MIEKOMISSLIM | 2013-05-29 01:39 | 洋画 | Trackback(1) | Comments(2)