Something Impressive(KYOKOⅢ)


MASTER TAPE~荒井由実「ひこうき雲」の秘密を探る~<2>

MASTER TAPE~荒井由実「ひこうき雲」の秘密を探る~<1>の続きです。

8/27追記:そして「きっと言える」。この曲にこのメンバーが耳を傾けてる様子、というのも、それだけで何だかゾクッとするものが。

間奏で、正隆氏が「この細野さんのガットギターってどうして入れることになったんだっけ?」、細野晴臣が笑いながら「ボサノバのつもりだったんじゃないの」

有賀氏の提案で、ガットギターと歌だけ版が流れ、正隆氏が言ったように、アルペジオでのギターが凄くいい音で、「いいね、こういうのもいいんじゃない?」、1音1音クリアな響き、

ユーミンも「かっこいい」「ちょっとエスニックな感じが入る所が洗練されてる」、他ののメンバーからも「凄い気持ちいい」「ただのボサノバのギターじゃないね」などと声が上がってたけれど、

私は今回流れた各曲のパーツ版では、私はこれが一番インパクト。

合間に入るサックスも渋いけれど、今にして聞くこのアコースティックなシンプル版「きっと言える」、改めて斬新にうねるメロディラインの妙+当時の瑞々しいユーミンボーカルのフィット具合に、何だか感慨。


9/11追記:そしてユーミンと正隆氏、細野晴臣、林立夫が楽器類が用意されたスタジブースオに移動、当時の様子を再現。

あなたはここでしょ、と正隆氏に言われてユーミンがピアノ前に座り、「ベルベット・イースター」を弾い始め、面々は懐かしそうに、当時の楽器のメーカーなどについて談笑してたり。

そしてユーミンがメロディを変え、それに合わせて面々が演奏し始め、何だか「青い影」のような、と思ったら、「ひこうき雲」のサビの前からで、

さすがにユーミンの歌声は高音がキツかったけれど、差し込む日差しを背に浴びながら、何だか鄙びた厳かな、という熟年セッションでの「ひこうき雲」。

皆で、懐かしいね~、ユーミンが、これを機会に純粋なキャラメルママコンサートをしましょうよ、のような和気藹々さ。


9/14追記:そして、アルバムが録音された今はなきアルファスタジオのセピア色がかった写真。どの曲のアレンジも試行錯誤しながらここで創られた、そうで、そういうアメリカ式レコーディングスタイルを提案したのは村井氏、

同氏は、当時アメリカの主流はどんどんマルチ録音が始まってて、世界中を歩いてて、そういうのはよく見てたから、こういうスタジオが日本でも必要だろう、とそのスタジオを作ったと回顧。

吉沢氏は、ミュージシャンが2人集まって、皆の意見を聞きながら現場でアレンジする、そういうのは昔は少なかった、スタジオそのものもそういうムードを作ってあげなきゃいけない、

細野晴臣は、だいたい日本のスタジオっていうのは100の力でも70位しかとれなかったりする、何か音を吸い取られちゃうというか・・楽にやった音が良ければそれが一番いい、

いいなりの音が出るスタジオだと、7割位の力でも100の音が出る、多分(アルファスタジオは)そういうタイプのスタジオだった、

林立夫は、生楽器の出してる音がそのままいい音で出る、生楽器のチューニングが下手だと、それがそのまま出る、逆に厳しいスタジオ、などと回顧。

「ひこうき雲」の背景には、そういう、当時にしては先端をいく、ミュージシャンの生感覚が生かされる、その場でのアレンジというやり方に適応できて、音の録音性能そのものも優れてたスタジオに恵まれてた、という面もあったのだった、と。


そして再びコントロールルームで、「ベルベット・イースター」。

         
        

10/3追記:間奏の辺りから、色々楽器の入り方などラフな会話が飛んでて、細野晴臣がユーミンに、こういうのいっぱい聞いてたの?リバプールサウンドとか、と話しかけ、ユーミンが、うん、そう、イギリスものが多かった、と応じて、

あと、ミッシェル・ポルナレフとか、という発言に、一同ああ~という声。そうか、ポルナレフ、私も「愛の休日」の入ったアルバムは買った覚え、で懐かしい。

その後いくつかユーミンが挙げたヤードバーズ、もう一つ(一人)や、細野晴臣がレフトバンク知ってる?などと挙げた、多分イギリスのグループ、ミュージシャンは知らなかったけれど、

細野晴臣が、そういうのを思い出すんだよ、本当にイギリスの音してるわこれ、と改めて回顧。ユーミンが、またマイナーなシャッフルが、ね、(イギリスらしさを)醸し出す、と細野氏に相槌。

終盤の所で、一同何かうなづきあってて、ユーミンが、やったの覚えてる、クラップ、細野晴臣がクラップというと林を思い出すんだよ(笑)と、力を込めて手を叩く仕草。

フェイドアウトまで続く、この音って、そう言えば、だけれど、素朴な手作り的、クラップだったのだ、と改めて。


正隆氏が、これさ、ミックスし直そう、構想長い方が面白いよ(笑)、と言い始めて、細野晴臣が、ミックスし直すなら全部やりたいよ、とさらに笑い。取り直しも面白いな、

でも、このミックスは、この曲だけイギリスっぽいけど、吉沢さん、そうなの?と言う細野氏に、吉沢氏が、いや本当そうね、そういうイメージする、と。

林立夫か?誰かが、曲がそれっぽいんだね、きっとねと言って、細野晴臣が、何かポンプ感(?)とかが・・あ、でも、やっぱり曲のせいかな、と言い直して、誰かが、・・と思うよ、と話が続いてて、

ユーミンが、だけど、スカスカ感が、どの曲もだけど、それぞれニュアンスがあるから、こう雨だの霧だのの歌ばっかりじゃない、このアルバムって。だけどこう、モアレ感?があるでしょう?と語って、

正隆氏が、俺がモヤモヤ担当だったよ、と笑いを取って、どれを聞いても俺のプレイってモヤモヤしてるのしかないもん、ちょっとモヤモヤだけ聞いてもいい?どんなことやってるのかサビの辺り帰化してもらってもいいかな?とリクエスト。

で、サビの辺りの正隆氏のキーボードのみが流れ、正隆氏が、ほら、変な音、モヤモヤ・・ユーミンは、これだけで雨が降ってる感じだもん、正隆氏が、こんなことやってたのか・・で、

「一番好きな季節・・」とユーミンの歌が被って、正隆氏が、フランス映画のサントラみたいだな、と呟いて、有賀氏が振り向いて、声がいいんだよ、ほんとに、と絶賛。歌の所の最後で、正隆氏が、はい、有難うございます、で、この曲は終わり、だったけれど、

何だか、この「ベルベット・・」も数えきれない程聞いてきた曲だけれど、改めてその小雨、低い空、光るしずく、まだ眠い朝、そういうフレーズが溶け込んだ”モヤモヤサウンド”をピンポイントで聞いたり、

当事者同士の話にもあったけれど、このアルバムに漂うユーミン発のイギリス感、というある種の本質、を突いてた気して、結構興味深いパートだった。


'15/1/5:何だか思い入れ的に、おいそれとは触れられないアルバムゆえに、この記事もその内に、と思いつつ、1年半位放置状態だったけれど、改めてこの続きの録画を見て、完成させておこうと。

「ヒコーキ雲」では、このアルバムに、この曲と「そのまま」で参加のペダル・スチール・ギターの駒沢裕城氏が登場、イントロ最初のちょっとキーンとする感じの音がこのギターだったのだけど、

ユーミンは、一体どうなるの?と思ったけれど、浮遊感、ピューンという感じが(出た)、と回顧、
駒沢氏は、当時、楽曲や歌詞が後ろ向きの世界の曲が多かったと思うけれど、

ユーミンの曲は凄くポジティブな感じで、風景がよく見えて、人生を肯定してるような気がして、それだけでリラックスした覚えがある、と回顧。

そして駒沢氏は、もう1曲の「そのまま」の気になってた自分のパートをどうしても弾き直したい、とのことで、サビ~間奏~サビのリフレインにかけての部分を隣のレコーディングルームで演奏、

37年前の自分の演奏との共演、という形、どこら辺が気にかかってたのか?詳しくは語らなかったけれど、細野氏が、大人っぽいね、同じフレーズでも、と声をかけて、笑顔で胸のつかえがとれました、と笑顔。

この2曲の一部の、ややエレキっぽい音がこの、琴の洋風、というか、横向きに弦を張ってつま弾くペダル・スチール・ギターという種類だったとは初耳、駒沢氏の名も初耳だったけれど、

こういうパーツごとの職人芸がミックスされていた1枚、というのも改めて。


そして、このアルバムでのセッションについて、ブリティッシュロック好きだったユーミンは、アメリカ志向のキャラメルママと出会った頃は違和感あった、という話で、

何でこんなアメリカっぽい人達とするのかな?と、お父さん(正隆氏)はウェスタンブーツ履いてたし、細野氏は、先日の「風街ろまん」番組でも言ってたけれど、ジェームス・テイラーにハマってる頃で、本人も、アメリカ一辺倒だった、と。

正隆氏も、僕らはこれしかできないと思ったし、僕はイギリスロックって大っ嫌いで、サウンド的に許せんかった、由実さんと僕らの間にモヤモヤっとした空気があったかもしれない、と回顧。

それを乗り越えて傑作が生まれたのは、やはり両者が互いの力量を認め合って、というのも当然あったのだろうけれど、

ユーミンは、レコーディングが始まって半分位の所で、(正隆氏と)職場恋愛みたいになっていったので、後半は融合した、お付き合いし出しちゃったから、何とかのあかえぼし、みたいな、と照れ笑い。

「何とかのあかえぼし」というのはどうやら、「亭主の好きな赤烏帽子」(主人が好きなものなら、たとえそれが風変わりなものであっても、家族は調子を合わせて従わねばならないというたとえ)で、初耳だったけれど、

成人男子が用いた「烏帽子」は昔黒塗りが普通であるが、一家の主人が赤い烏帽子が好きだと言えば、それが奇妙なものであっても家族はそれに従わねばならないという意味から、「主人が無理を言っても家族が同調して合わせるべきという、昔の家制度からできたことわざ」だそうで。

そういう恋愛事情もあってユーミンも、正隆氏(ら)のアメリカン風を受け入たようで、ヨーロッパとアメリカのサウンドが日本で融合して生まれた新しい音楽、それが当時ニューミュージックと呼ばれたユーミンサウンドの秘密だったのかもしれません、とナレーションが入って、

まあもしここで両者の出会いがなければ、日本に”ニューミュージック”は生まれてなかったかも?とも改めて。


その流れで、次の、サビで正隆氏のコーラスが入る「曇り空」。やはり、現在の2人の並んで座ってる絵+この曲、というのも、何だかゾクッとするものが。

正隆氏は、このピアノがやたら由実さんっぽくない、と、自分だったかユーミンだったかあやふやなようだけれど、ユーミンがこのアルバムは私、有賀氏も「MISSLIM」から弾いてない、と証言、

ユーミンが「MISSLIM」も弾いたのに差し替えられてた、と、おどけながらの裏話、正隆氏は、こんなに弾けるんだ、これコピーしてもらって毎日寝る前に弾いてもらおうかな、などと。

男性コーラス聞いてみたいね、とだれか言って、正隆氏は照れ気味だったけれど、甘い声だね~と声があがって、本人も、やっぱり若いね、とか、

吉沢氏が、やっぱりマンちゃんの歌が生きてるね、と言って、有賀氏も、あれがあるとないとじゃ全然違うよ、と、ほめられて、正隆氏は、有難うございます、

ユーミンは照れもあってか、笑いながら、小さい部屋で、打ち込みだけでやってるミュージシャン可哀想ね、それしか知らない人たちって、と。

このコラボは、どうやって実現の運びになったのか?正隆氏のボーカルの質での音楽面、+ユーミンとの恋愛状況も多少なりとも関連したのかしてないのか?の辺りは話に出なかったけれど、

思えば2人のボーカルコラボはこの1曲のみ、内容も、恋の始まりの不安な心情が曇り空にシンクロ、改めて、隅に置けない1曲、とも。


そしてラストは、ユーミンが、私の一番好きな曲を聞かせて下さい、と「雨の街を」。



ユーミンが別テイクでの回顧で、(レコーディングの)最後の曲が、忘れもしないこの曲で、と話し始め、

もういい加減その歌を歌うのが嫌になっていて、今日こそはOK出したい、という感じでスタジオに行ったら、ピアノの上に、牛乳瓶にダリアの花がさしてあって、それは何と松任谷さんが置いた花だった、

その数日前に、井の頭公園で散歩しながら、好きな花について話していて、私はダリアが好きだって言ったのを、牛乳瓶にさして老いてあって、それで歌えたかのようなことに、心の中になっている、と。

このエピソードは、レコーディングがどうしてもうまく行かず煮詰まってた時に、正隆氏が花をプレゼントしてくれて、それで歌えた、のような、大筋は聞いたことはあったけれど、

そういう経緯もあって付き合い始めたのかと思ってたら、最後の曲、という時期もだし、好きな花を聞いてあえて、という、すでに恋人同士だった上での気遣いだった、というのも今にして。

この曲がかかってる間は、そういうエピソードもあってか、ユーミンが2番のはじめ辺りで、このベースもいいんですよ、このもや~っとした、と呟く意外、皆ほとんど声はなく黙って聞いていたけれど、

やはりこれは、私にとっても永遠のベスト1ユーミン曲。どこまで当時の十代だったユーミンの心情に重なるのか?だけれど、ダリアをくれた恋人正隆氏への思慕、のような純愛エキスも交じってパックされた珠玉曲、と改めて。


最後に、別テイクで、ユーミンにとって「ひこうき雲」とは?という問いに、しばらく考えて、もう他人事のような、荒井由実っていう別人格、別の人間が、でもいまだにパラレル、横にいる少女、っていう、すごい不思議ですね、という言葉。


2年がかりで、ようやくこの番組の記事も書いてしまえて、私もスッとした部分も。本当に何だか
あっさり済ます訳にはいかなかった、自分の少女期の心情に深い浸透もあった1枚、ではありました。

関連サイト:NHKーFMブログNHKブログ MASTER TAPE~荒井由実「ひこうき雲」の秘密を探る~
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by MIEKOMISSLIM | 2013-08-27 01:24 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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