2015年 03月 29日
新印象派 光と色のドラマと花見 in 上野公園
これは一昨年のこの時期、ラファエロ展と花見を兼ねたのと同じパターンだけれど、
母と、今回この日なら最終日の新印象派展と、時期的に花見も出来るし、と、計画してたのを実行。
天気予報で午後から雨、とのことで、早目出発、9時半頃公園に到着、この頃はまだ晴れてて、天気が崩れそうな気配もなし。
まだ花見客もそこそこの人出、一昨年のように、桜のある道をブラブラと美術館に向かいながら花見開始したのだけれど、
いざデジカメのスタンバイをしようと思ったら、家でSDカードを入れ忘れてしまったのに気付いて、一瞬ちょっと呆然。
何故出しなチェックしなかったのか、と後悔、でもここまで来て今更取りに帰る訳にもいかないし、で、まあ別に今回写真なしでもいいのだけれど、
母は今回フィルムカメラを持ってきてたので、結局それで2人で撮って夕方現像出来たのを借りて、
そこから何枚か、再度それをデジカメで写して、いつものようにカードでPCに、という苦肉の策に。
ここの桜はやはり、恒例のようにソメイヨシノの並木道が続くボリューム空間、その中にポツリとあるピンクっぽいのや、
女性客が「気品がある」とかほめてた、そう高くない所に枝の広がった白い花びらの、などの柔らかな風情。
帰りの昼頃には、道脇でそれぞれ色んな食べ物を広げてくつろぐ宴会客のブルーシートも隙間なく、いかにも名所っぽい賑わい。
昨年は、思えば2月末母のバタバタ引っ越し後だったし、いつの間にか花見の時期が過ぎてて、パスだったのだけれど、まあ今年はとりあえずこの機会にスタンダードに味わえて満足。
3/31追記:で、新印象派展の方は、12か国から集められた約100点を7分野に分けての展示。最終日の日曜だけれど、館内はそう混みあってもおらず、そこそこゆったりと鑑賞。
今回一番インパクト作品は、双璧でシニャック作品、「第5章1895-1905年:色彩の解放」にあった「フリシンゲン湾」と、「エピローグ フォーヴィズムの解放へ」の「ヴェネツィア」。
どちらも明るいペパーミントの水面が画面手前の濃さ~奥へと薄らいでいく変化の楚々とした風情、後者は+べネツィアムード感が気に入って、どちらも多分初見、今回のカード売り場にはなく残念、
「ヴェネツィア」は、その水面の実物の清涼感ある色合いは出ていないけれど、チラシや、ジュニアガイド小冊子にも(↓)。
後でカードを買ったのは、チラシやポスターでも使われてる目玉作品、スーラ目の「セーヌ川、クールブヴォアにて」、これは母も買っていたり。
そして私はもう1枚、テオ・ファン・レイヘルベルへ「マリア・セート、後のアンリ・ヴァン・ド・ヴェルド夫人」(↓カード)。
これまでの新印象派展よりも、人物画が割と多かった気がするのだけれど、これはその中で一番印象的。
4/1追記:やはりまず赤紫のドレスのあでやかさに目を引かれたけれど、そのドレスのひだや背景もさることながら、その感情の内面は?だけれど、横顔の表情、肌や髪の描写の濃淡の細かさが圧巻。
その他、目に留まったのは、やはり数も多かったシニャック作品色々、スーラ作品、最初の「プロローグ 1880年代の印象派」のモネの3枚や、この章以降も折々作品があった、新印象派にも理解を示して取り入れたピサロ作品、
また、「第1章 1886年:新印象派の誕生」にあった、スーラの、「グランド・ジャット島の日曜日の午後」(→Wikipediaより)の、パーツ的習作4点。
一昨年の新国立美術館での「印象派を超えて 点描の画家たち」展で、2点このコンテ・クレヨン画があったのだったけれど、
今回のはやはり小品ながらカラーで油彩、何だかこの大作のスピンオフ群、というか、ジグゾーパズル的作品、という趣も。
また、その新印象派展で知った、特に好み、という訳ではないのだけれど、この画法での、ちょっと珍しい”社会派”としてインプットだった、労働者出身のマクシミリアン・リュス、
今回もその時の、工場や煙突のある風景の「パリ、モンマルトルからの眺め」、またダイレクトに工場、煙突題材の絵などもあったのだけれど、
夜の川景色「ルーヴルとカルーゼル橋、夜の効果」や、明るい色遣いでのサン=トロペの風景、海や若い女性を描いたものなどもあって、まあこの画家は硬派な社会派的な題材のものばかり、という訳でもなかったようで。
そういう所で、桜見物+新印象派ワールド、満開の桜の風情と、やはりスーラとシニャックメイン+今回も様々な点描作品を味わえて満足、という今回でした。
関連サイト:新印象派 光と色のドラマ 特設サイト
関連記事:桜さくらサクラ・2009、春の大北海道展/井の頭公園の桜、ラファエロ展と花見 in 上野公園
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<チラシ>
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