2015年 05月 04日
ルーヴル美術館展 日常を描くー風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄
まずルーヴル展、83点をプロローグ1と2、6章に分けての展示。<→チラシ>
着いたのが12時前で入場20分程待ち、ここで並んだのっていつ以来だったか?ちょっと入場待ちは予測してなかったけれど、思えばさすがに本格連休初日の日曜、
もう少し早めに出てくればよかったね、と話してて、とりあえず実質20分はかからず色口まで来たような、だけれど、中に入ってみたら、特に序盤の辺りはいつになくの混雑気味、
こういう時の常で、私は各スペースの割と空いてる作品から順に、人波をかいくぐるように前に潜入して何とか見ては戻り、していたけれど、まあ中盤辺りからは徐々に空いてきてゆったり鑑賞。
今回注目はやはりフェルメール作品だったけれど、一番インパクト、といえば「プロローグ1風俗画の起源」にあった、ジョセフ=マリー・ヴィアンの「アモルを売る女」(↓カード)。
まず右側のシンプルだけれどエレガントなオレンジとブルーの布をまとった、滑らかな肌艶の女性2人、その向かいの女性、その間のテーブルの調度品や花瓶、光沢ある薄ピンクのテーブルクロス、などに目が留まったのだけれど、
向かいの女性がうやうやしく売ろうとしてるのが、羽の生えた赤ん坊、それが「アモル」、どうもキューピッドの別名のようで、
まあ神聖なイメージのそのキューピッドの羽根をつまんで見せてたり、2つ(2人?2羽?)をかごに入れてて、まるでモノのように売り物として扱い、
2人の女性達もその品定めをするがごとく、落ち着いて見据えている、という、綺麗な絵柄でファンタジー+ややブラックユーモア?な、という不思議な味わい。
次が、「第2章日常生活の寓意ー風俗描写を超えて」にあった、ジャン=バティスト・グルースの「割れた水瓶」(↓カード)。
これは以前見たことがあるような、または似た作品と混同してるのか?だけれど、少女が抱えているのは水瓶に入っていた花のようで、腕にあるのがその割れた水瓶、
会場の作品脇にあった解説では、水瓶を割ってしまったた少女の悔恨の表情、のようなニュアンス、よく見れば白いドレスの胸がはだけてるのが、過失の処理をしようとしたような跡かもしれないけれど、
どうもその表情は罪の意識などはカケラも感じられず、無垢、無心という感じで、髪飾りなどからも使用人、というムードにも思えず、優雅な肖像画のような、何だかこれも不思議な魅力の1枚。
それとやはり、注目だった、ポスターやチラシでも使われてたフェルメールの「天文学者」(↓カード)。
さすがに目玉作品だけあって、この作品前だけは「真珠の首飾りの少女」来日の時のように、最前列鑑賞用立ち止まり禁止スペースと、その後ろにじっくり見るためのスペースがあって、「真珠の・・」時ほどではなかったけれど、それなりに人盛り。
フェルメール色、というか、ブルーとイエロー対照が、この作品では学者の深緑が買った着衣と窓ガラス通してのくすんだゴールド、またテーブルクロスの装飾や地球儀の色、が全て渋い色合い、
これが無名の画家の作品だったりしたら、もしかしてただの地味な作品、という感触で終わるかもしれないけれど、
やはり光の画家、そしてこれまでのブルー&イエロー印象が色濃いだけに、これも、題材からしても、という”渋いフェルメール作品”という味わいが出来る、という感じ。
また、「第3章雅なる情景ー日常生活における恋愛遊戯」にあった、トーマス・ゲインズバラの「庭園での会話」(↓カード)。
初耳の画家だけれど、優雅な衣装の手前のカップル+背後の緻密なタッチの庭の樹木が印象的。
その他、「プロローグ2 絵画のジャンル」の中の静物画、リュバン・ボージャンの「チェス盤のある静物」(→チラシより)。
チェス盤、赤や赤白の花、楽器、その下の楽譜、黒い置物?、ワイン、トランプ、パンなどの色彩のメリハリやバランス、それぞれの形の組み合わさった構図がなかなか絶妙感。
また、やはりチラシに使われてたティツィアーノ・ヴェチェッリオの「鏡の前の女」(↑一番上)も豊満な女っぷり美の存在感、
確か解説に、背後からの鏡で人物の後ろからの姿も描くことで、絵画の彫刻への挑戦、のようなエピソードも。あとジャン=バティスト・イレール「幸福な囚われ人」など。
母は「割れた水瓶」のカードを買ってて、やはりこの少女の可愛さが目に留まったようで。
そういう所で今回、テーマが風俗画で、恋愛模様の場面、室内の女性、狩りの場面、様々な職種の働く人々、アトリエの芸術家、などのジャンル分け構成もちょっと面白く、
目玉の渋めフェルメール「天文学者」の他、ざっくばらんなあ題材のものなど思ったより色々多彩な味わいの風俗画が楽しめて、満足な今回のルーヴル展でした。
関連サイト:ルーヴル美術館展 日常を描くー風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄 公式サイト
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<会場のポスター>
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私も、東京の新国立美術館で、『ルーヴル美術館展』-風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄 – を見てきましたので、ご丁寧なご説明、ご感想を興味深く読ませていただきました。
16世紀からの一般の人々の生々しい生活を生き生きと描いるのは素晴らしいと思いました。また、17世紀のオランダの不道徳な恋愛への警鐘など道徳的暗示を日常の生活の風俗画に込めて描いているのにも深く興味を覚えました。
私もルーヴル美術館展で鑑賞した風俗画などの絵画の特徴や魅力を整理し、自分なりの見解をまとめてみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見やご感想など何でも結構ですのでコメントいただけると感謝致します。
今回はフェルメールが目玉ではありましたけれど、テーマが風俗画で、枠にはまらない面白さがありましたね。
後日そちらの記事を拝見してからコメント欄に伺いたいと思います。