2015年 05月 20日
アナと雪の女王(’13)
再生し始めて、本編で最初出てきた音声は日本語版、やはり英語版+字幕の方で見たくて色々操作してみても、どうも切り替えがうまく行かず、
まあ色々話題になってた神田沙也加+松たか子の吹き替えと歌を聞いておいても、と思い直して、字幕は操作出来たので英語の方にして、鑑賞。
見終わった語、メニューボタンでDVDのメニュー欄で音声が切り替えられると判って、再度英語版+日本語字幕で鑑賞、そしてもう一度日本語+英語字幕で、結局3度。
そういえば姉妹の話、とは聞いてたのだけれど、両親に先立たれてしまう、アナがアレンデールという一国の王女、エルサが女王になる姉妹、とは知らず、
序盤の姉妹の運命を左右したアクシデント~ラスト大団円まで、姉妹間の感情の揺れ動き、またラブストーリー、雪に閉ざされた国の成り行き、などなかなかずっと目を離せない展開。
そしてやはりスパイスは、さすがに久方に見たディズニーのミュージカルアニメ、折々に登場人物が自分の心情を歌い上げるシーンの数々で、
一番インパクト、といえばやはり例のレリゴー、「Let It Go」♪ありのままで~で、これって自由への賛歌っぽい印象だったけれど、終盤ヤマ場で、ではなくて、
ああいう風に一人冬山に身を潜めたエルサ(イディナ・メンデル/松たか子)が自分を解き放つ、いわば孤独な開き直り、的な状況での熱唱だった、というのはやや意外。
最初に聞いたのが日本語版の松たか子の方のだったけれど、思えばこの人の曲で、これまでこういう熱唱タイプ曲ってどうも覚えなく、声優と共に新境地だったのかも。
次にインパクトは、エルサの戴冠式の日に、城が解放され社交の場に出られる喜びを歌うあな(クリスティン・ベル/神田沙也加)の「生まれてはじめて」で、
これも初めに聞いたのは神田沙也加版だけれど、城~街路、港へと歌い踊るアナの伸びやかな躍動感にフィット、色々困難に出会う前、アナの幸福感、というのが一番溢れていた明るいシーン、
神田沙也加の声優振り自体、というのも何だかあけすけなアナのキャラに似合ってた、という感じ。
それと、エルサが作ったひょうきんな雪だるまオラフ(ジョジュ・ギャッド/ピエール瀧)が、夏への憧れを歌うシーン、映像も雪だるま+夏の海、というミスマッチをコミカルに表現しててユニーク。
また、アナが幾度か、心を閉ざしてしまったエルサの部屋のドアの前で歌う「雪だるま作ろう」も、何だか後になって耳に残る一つ。
この曲でちょっと引っ掛かったのは、最初幼いアナが歌う一番の最後が、日本語版の歌詞では「雪だるま作ろう 大きな雪だるま」だけれど、英語字幕では「It doesn't have to be a snowman」(それは雪だるまでなくてもいい)とあって?で、
英語版音声でも確かにそう歌ってるようで、日本語字幕で「別のものでも」と出るのだけれど、つまり雪だるま作りを誘ってはいるけれど、とにかく昔のように仲良く雪遊びをしたい、一緒に時を過ごしたいのだ、というアナの率直な気持ちで、
日本語版の歌詞で曲に合うようにこのニュアンスを入れるのが難しかったのかも、という微妙な所だったり。
5/21追記:そもそも「雪の女王」にインスパイアされた、というこの物語だけれど、エルサが自分の持つ魔力が妹を傷つけたことから、両親もその力を封印して人目から隠すように対応、
本人もその力に罪悪感を抱いて、アナとも距離を置くようになってしまい、戴冠式の日にその力を露呈してしまったことで、宮殿を追われるように出て山中に自分の”城”を築いて「雪の女王」になるのだけれど、
「雪の女王」物語の邪悪イメージの裏側の孤独感、自分の力への”怖れ”がエルサをかたくなにさせ、無意識にも街を凍らせ、訪ねてきたアナを再度傷つけてしまう、という、
”悪役”というには、たまたま特殊な力を持って生まれた少女が追いつめられた末そういう運命を辿る、といったナイーブな「雪の女王」設定。
また、その魔力をとかしたのは、我が身顧みず、ハンス(サンティノ・フォンタナ/津田英佑)の剣からエルサを救おうとしたアナの勇気ある無償の愛情で、その結果アナ自身も救われた、というのは、
やはり元祖「雪の女王」で、ヒロインの少女の勇気、愛情が女王の宮殿に囚われた少年を救う、という筋をベースにしてるのかもしれないけれど、
中盤、エルサの魔力に命の危機が迫るアナを救うのは、彼女と恋に落ちたかに見えたハンス、そしてクリストフ(ジョナサン・原慎一郎)か、という恋愛絡み、の流れだったのが、
瀕死の自分を救いに来たクリストフの姿を目にしながらも、あえてそれを振り払うようにエルサを救う方を選んだアナの選択、いくら確執があったにしろ、無償の姉妹愛だった、というのが特徴というか印象的。
またそれによって”愛”の感触を得たエルサも心を開き、魔力を王国のために使う、「雪の女王」から幸福な「巷の女王」に、という大団円で後味も和やか。
登場人物もバラエティがあって、ジブリものではないけれど、自分の持つ力から殻に籠っていた状況から、まず「雪の女王」へと、自らその力を解き放つエルサの展開、
そういう彼女の孤独を救うアナの、孤独感や、盛り上がったり裏切られたり、誠意を感じたりの恋心にも揺れながらの躍動感、勇気、など対照的なキャラのWヒロイン姉妹を軸に、
アナの恋の相手役として、最初ソフトな物腰で会うなり盛り上がったハンス王子と、最初は武骨な態度の貧しい氷商人クリストフ、というやはり対照的な2人、
クリストフの相棒のトナカイのスヴェン、ひょうきんな雪だるまオラフ、モンスター的キャラのエルサが作った氷の番人マシュマロウ(ポール・ブリッグス)、
雪山の不思議な店の店主オーケン(クリス・ウイリアムズ/北川勝博)、野心をちらつかせる貿易相手国のウェーゼルトン公爵(アラン・テュディック/多田野曜平)、
普段は石の姿の不思議な生き物のトロール達、クリストフの仲間で、その一人はエルサがアナにかけた魔力の処方を知るようで、序盤王と王女が訪ねていったり、中盤でもアドバイスしたり、という、
人物・ファンタジーキャラミックスで、善意的なキャラ、悪役、傍観的なキャラなど、バランスもなかなか。
監督はクリス・バックとジェニファー・リー、クリス・バックは見た中ではサーフィンものアニメ「サーフズ・アップ」の監督、
ジェニファー・リーは初耳だったけれど、序盤で国王(モーリス・ラマルシェ/根本泰彦)と共に消えたけれど、姉妹の母の女王の声優(日本語は最所美咲)もしていたようで。
「風立ちぬ」がアカデミー賞でノミネートされながらも、オスカーはこの作品に行った、というのが正直残念には思っていて、
作風的に比べてどちらがどう、というものではないかもしれないけれど、実際今回こちらをやっと見てみて思ったのは、
やはり根本のテーマ的にはこちらの方がはっきりしている、ということと、全編通してのメリハリ感としても、こちらになっても仕方なかったかも、とまあ納得、というか。
DVDでではあったけれど、思ったよりもトータル的に見応え感、という久方のディズニーファンタジーでした。
関連サイト:Amazon 「アナと雪の女王」、象のロケット 「アナと雪の女王」
関連記事:サーフズ・アップ(’07)、雪の女王<新訳版>/鉛の兵隊(’57)、魔法にかけられて(’07)
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