2015年 06月 22日
ユトリロとヴァラドン 母と子の物語ースュザンヌ・ヴァラドン生誕150年
ここは結構ご無沙汰、損保ジャパン東郷青児美術館だったのが、
いつのまにか東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館に名が変わったようだけど、5年前やはりユトリロ展に行って以来。<→チラシ裏>
久方の高層42Fからの眺め、昨年末上ったスカイツリーの姿も。
今回、ユトリロ作品とヴァラトン作品約40点ずつ4章に分けての展示で、ユトリロの日本初公開作品がある、というのもさることながら、
注目は私は初見の、今回半数を占める母のヴァラトン作品。
ユトリロの母が、ルノワールやロートレックの絵のモデルをしていて、ルノワールの「都会のダンス」(←カード)の女性だったり、
ユトリロは私生児だったけれど、ルノワールが父親説?!があったり、自らも割と名の知られた画家だった、というのは知ってたのだけれど、
ルノワール父子ではないけれど、こういう風に時を経て超メジャーな息子と並んで同数作品の展示、
しかも本人の生誕150年記念、というサブタイトルつきでの展示会、という程に有名だった、というのは今にして。
入口の人物相関図で、ヴァラドンは、ルノワールやロートレックとの関係以外にも、ドガから絵画を教わったり、エリック・サティとも恋愛関係だったり、実業家と結婚したけれど別れ、
ユトリロには同じ年代の義父がいた、というのは聞き覚えあったけれど、それが元々ユトリロの友人の画家のユッテルで、彼とヴァラトンが恋に落ちて再婚、
母に友を奪われた、だったか、友に母を奪われた、だったか、というようなこともあって、ユトリロがアルコール依存症になった、などの経緯がざっと判って、なかなか波乱万丈な母子画家だったのだ、と改めて。
第1章「ヴァラドンとユトリロ、ふたりの芸術家の誕生」では、少年時のユトリロを描いたヴァラドン作品、などもあるのだけれど。
ヴァラドン作品で一番インパクトだったのは、私も母もカードを買った「コルト通り12番地、モンマルトル」(↓カード)
ヴァラドンはユトリロとは違い風景画よりも人物画中心、というのも覚えあったけれど、画風も全く息子とは違って、明るくメリハリのある色彩、
何だかもしマティスやゴーギャンの母としたら、なるほどさすがに血筋、と納得、というような感じ。
「コルト通り・・」は風景ではあるけれど、鮮やかな緑~黄の変化でのダイナミックな樹木の躍動感あって目をひかれた1枚。
その他ヴァラドンのでカードを買ったのは「小さなテーブルに置かれた花束」(↓)、これも静物画ではあるけれど、
同じ花瓶+花でも、今回あったユトリロの控えめな色調の「青い花瓶の中の花束」や「すずらんの花束」とは真逆の華々しさ。
あとヴァラドン静物画では、もう少し抑えた色彩だけれど「花瓶の中のリラの花束」も好感。
6/23追記:ユトリロ作品は、久方にやはり楚々とした独特の風味、どれが特にインパクト、というのは特にないけれど、後でカードを買ったのは、白の時代のでは「ノルヴァン通り、モンマルトル」(↓)、
これは、もしかして手元にカードがあるような、と思いつつ、だったのだけれど、
後で確かめたら、すでに持っていたのは別物の「サン=リュスティク通り」(→カード)という絵で、
おそらく中央の丸屋根のは同じ建物っぽく、構図も似てるけれど、
「ノルヴァン通り・・」よりは5~7年位後年、白の時代が終わった後の作品だった、と。
この丸屋根の建物、そして「ノルヴァン通り・・」でのその左側の塔は、母がカードを買ってた「サン=ピエール教会とサクレ=クール寺院、モンマルトル」(↓)にも見られて、
どうやら、左のがサン・ピエール教会、右のがサクレ・クレール寺院のようで。
6/24追記:その他カードを買ったのは、ユトリロ色彩の時代の「モンマルトルのラパン・アジル」(↓)。やはり白の時代のものにはない明るい色彩、その中でも、何だか見る者を和ませるような軽やかなタッチ。
そういう所で、私はほぼ5年ぶりだったユトリロ展+初見のヴァラドン作品のコラボ、ヴァラドンが女性、画家として結構奔放、エネルギッシュな活動ぶりだったことや、
それゆえに若いユッテルとの恋がユトリロのメンタル面にも影響したらしい、2人の人生模様とか、そういう面もあってか?親子でありながら見事に対照的な作風など、なかなか見応えで面白い今回の構成でした。
関連サイト:損保ジャパン日本興亜美術館サイト 「ユトリロとヴァラドン 母と子の物語ースュザンヌ。ヴァラトン西端150年ー、FASHION PRESSサイト 「ユトリロとヴァラドン―母と子の物語」展、東京・新宿で開催 - 日本初公開作品含む約80作品
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<チラシ表>