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Something Impressive(KYOKOⅢ)

デッドエンドの思い出/よしもとばなな(’03)

近年寝る前に少しづつ、手元の本を読み返す習慣、アンシリーズ、その他のモンゴメリ、サガンときて、サガンのが割と近年のになって、一旦おいて、

ふと傍らにあったよしもとばななの「キッチン」文庫、それに収録の短編「ムーンライト・シャドウ」の甘酸っぱさが何だか懐かしくて、

大分前ブックオフで買ったまま手を付けず未読だったばなな単行本「デッドエンドの思い出」を読みました。


長編かと思っていたら、5編からなる短編集。相変わらずさらさらと読み易い文体で、1日で1篇ずつ進んで、割とあっさり読破。

タイトルでもあり、最後の短編題でもある「デッドエンド・・」のデッドエンド=行き止まり、袋小路、で、

まあどれも、手痛い失恋したり、毒物事件に遭ったり、おさなじみが家庭の問題で急死したり、父の浮気で家庭崩壊したり、婚約者に裏切られたり、という状況の、幸薄いヒロイン達。

でも、彼女らの傍らに、さりげなく、やはり訳ありの過去を持ってたりの男性達が現れて、彼らが醸すほんわりとした癒しのオーラ、

必ずしも恋仲になる訳でなくても、「デッドエンド・・」では、その男、西川君が、「(不誠実な)相手が自分の人生からはじき出されたと思えばいい。」と淡々と、ヒロインの立場にとっての正論を語ったり、

そういう特別な癒しの存在は現れずとも、色んな状況の中での、それぞれの姿勢を肯定的に捉える、何が人にとって「幸せ」か、鷹揚な懐深さの心地よさ、の、久方のばなな節、

まあ初期の作品よりは、あけすけな性(欲)描写がやや鼻についたり、という所もあるけれど、やはりさすが、という感じ。

ばなな本一式を本置き場から取り出して、エッセイ「パイナップリン」「夢について」などパラパラ見たり、「うたかた/サンクチュアリ」なんて特に久方に読み返してみたくなって、

単行本だったか文庫だったか?どこかにはあるはずとは思うけれど、これだけどうも見つからず、楽天ポイントで、文庫を注文。


という所で、買ってから10年でなくとも、少なくとも6,7年以上は経ったか?何だか入手したことで満足して未読だったパターン、久方ばなな本の味わいでした。

関連サイト:amazon 「デッドエンドの思い出」
関連記事:アルゼンチンババア(’07)アルゼンチンババア(’02)よしもとばななキッチン('89)キッチン(’97)

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    <(C)(株)文藝春秋>

by MIEKOMISSLIM | 2016-05-28 22:28 | | Trackback | Comments(0)