2017年 08月 17日
僕の音楽キャリア全部話します /松任谷正隆(’16)
春頃に図書館に予約、先日5カ月経って順番が来てようやく手元に。返却期限は来週明けだけれど、今週末~来週は忙しないし、
やはり同時期に予約、あと一人待ち、のユーミンの「ユーミンとフランスの秘密の関係 」も近々に控えているし、
まあこれは、いずれ何らかの形で買って入手はしたい、とは思うけれど、今のうちに読んで記録しておこう、と。
6章に分けての、正隆氏が音楽遍歴をインタビュー形式で語り、サブタイトル「1972 Takuro Yoshida~2016 Yumi Matsutoya」だけど、
ユーミン話以外にも、その、たくろう初め、畑違いっぽいミュージシャンとの深い交流とかも意外だったり、正隆氏のルーツ洋楽、敬愛ミュージシャン名、とか列挙されていて、ある種”テキスト”的でもあって、
何よりも期待以上に色々、今にして、というユーミン(音楽)エピソード満載、馴染みの世界をより詳しく解説されてる感で、いつになくサクサク進み、ボリュームにしてはあっという間に最後まで。
8/17追記:引っかかった箇所に挟んだポストイットは19枚。一番印象的な所、というと、「作品からユーミンに好意を抱く」って見出し文章での、
同時期にユーミンと同じくファーストアルバムに関わった、>吉田美奈子の音楽にも魅力は感じたけれど、自分の役割はそう多くは見いだせなかった、
でもユーミンの音楽には、そこで何かをやれる自由度があった。音楽だけでなく人柄にも、そこで僕が何かをやれる自由な領域を見た。
ーそれはある種のおおらかさのようなものでしょうか。
そうかもしれない、僕から見た彼女は、・・人に任せてしまえる領域がある。それを感じたのかもしれませんね。
だからその後も彼女はずっとショーの演出を僕に任せているのかもしれない。<
の辺り。今にして正隆氏の言葉として、2人の根本的な関係性が、なるほど、という感じ。
あとユーミン関連でインパクトだったのは、「一輪のダリアはディレクターへのディレクションへの意見だった」。
ロマンス話として聞いていた「雨の街を」レコーディングの際の、正隆氏がユーミンの好きなダリアをピアノの上に置いた、というエピソードの裏話。
ヴィブラートをなくして歌うように、というディレクターに対して、正隆氏はヴィブラートがかかったままがいいと思って、
無理にヴィブラートを取ると歌はどんどん無機質になって、「雨の街を」という作品そのものにも深みがなくなっていくようにも思った、
ピッチの正確さは大切だけど、そのシンガーの持つ情緒はを取り省くのはバッドディレクションだと感じた、でも、セッション・ミュージシャンである自分の意見は受け入れられず、
ダリアの花は、正隆氏の、ピッチも大切だけど、エモーションの方を優先すべき、という意志表示だった、というくだり。
まあ勿論ユーミンに対する気持ち、励ましの意もこめて、だとは思うけれど、今にして聞く、マイベストユーミン曲の正隆氏側からのエピソード。
あと「MISSLIM」関連で、「『生まれた街で』でアレンジに開眼」で、この曲のデモテープを初めて聴いた時に、生ぬるい風が吹いているような感じを覚えて、
それをどうやって音で表現しようかと考えて、あのリズムにたどり着いた。・・それまで見たことのない音の風景に出会えた。<のだった、と。「爽やか」でなく「生ぬるい」風か・・。
このアルバムからコーラス・アレンジを山下達郎に任せてシュガーベイブ、矢野顕子のそうそうたるメンバーが集まった、という馴染みのくだりや、
下世話だけれど「MISSLIM」の頃まだ正隆氏の月給は8万円、アレンジ料が1曲1万6千円、確かにブレイク前だったけど、まだ暗黒時代だったと。。
その他、その吉田美奈子、大貫妙子、ユーミンの3人について、>これはあくまで僕の感覚ですけど、3人は、人間的には同じカテゴライズ。でも、音楽は違う。
・・美奈子とター坊は南と北、由実さんとター坊は東と西、というイメージがする<というような、方向イメージ分析。
これは、「荒涼」で大貫妙子をデュエット相手に選んだのは、曲調から寒さを感じた。北のイメージで、そういうイメージの声で、思いついたのが彼女だった、というエピソードからだったけど、ほほう、というか。
>あと、ご自身のことでは、最初の方で、幼少時にピアノレッスンで、先生に言われた通りに決まった演奏をするのが苦手で、
1人になると思う存分、でたらめに好き放題に鍵盤を叩いて、自分の中から生まれてくるルールのない音を楽しんだ、
ミュージシャンになって、さらに自由な演奏を楽しんで、仲間たちはおもしろがってくれて、「お前はスゴイ!」という態度で接してくれて、
そんな体験が高じて、楽曲のアレンジ、プロデュースもてがけるようになた。でたらめピアノのおかげで、20代で音楽と生きる道と出会った。<
というくだりは、反射的に「コバルトアワー」や石川セリの「朝焼けが消える前に」の間奏やイントロが浮かんだけど、まあやはり一言で言って、才能って、そういうこと、というか。
あと挙げていた数々の外人ミュージシャンの内、「一緒にやりたかった三人。掛け替えのない三人」の見出し文章にあった、
故人である「一緒にやりたかった三人」の中の、ハーモニカ奏者ツース・シールマンス。
大卒後私の最初の職場だった大阪有線放送社で、同僚の音楽好きのモニター(レコードをかける係)の女性が勧めてくれたアルバム「QUIET EVENING」の録音が手元に。
その中のマイベストは、かつて正隆氏も好きな曲として挙げていた「いそしぎ」。久方にちょっとYou tubeで聞いても、染み入るような音色。
それと「影響を受けた5本の映画」で、心の中でいつも大切にしている映画、として挙げていたのが「男と女」「未知との遭遇」「グッバイガール」「マディソン郡の橋」「アイガー北壁」、
「グッバイガール」「アイガー北壁」は未見だけど、他の3本は、納得というか、そうなのか・・と感慨、というか。
その他色々、シャングリラ話、周辺のミュージシャン話etc挙げればキリがないけれど、特に頭に残る、というとそういう所。
正隆氏自身の音楽キャリアで今にしてそうだったのか、ということもあったし、いわゆるユーミン本としても、さすがに分身的な正隆氏目線での、期待以上の濃密な1冊でした。
<(C)(株)新潮社>
関連サイト:Amazon 「僕の音楽キャリア全部話します」
関連記事:マンタの天ぷら(’97)・僕の散財日記(’05)/松任谷正隆、ミュージックポートレイト~人生が1枚のレコードだったら
松任谷由実EXPOドームライブ、あの歌がきこえる「魔法の鏡」・「海を見ていた午後」・「卒業写真」、松任谷由実コンサート THE LAST WEDNESDAY、天国の本屋~恋火(’04)、さよならみどりちゃん(’04)、時をかける少女(’97)、瞳を閉じて、プレミアム10 松任谷・寺岡・ゆず等、シャングリラⅢ、Yuming Films(’07)、「いちご白書」をもう一度(’75)、ユーミンと映画・市川準監督、そしてもう一度夢見るだろう/松任谷由実(’09)・No Reason~オトコゴコロ~/高橋真梨子(’09)、TRANSIT2009チケット、Music Lovers・SONGS 松任谷由実<1>・<2>、探検ロマン世界遺産 ユーミン×世界遺産、TRANSIT2009コンサート、Shout at YUMING ROCKS('09)、VIVA!6×7/松任谷由実(’04)、時をかける少女(’10)、RAILWAYS 49歳で電車の運転手になった男の話(’10)、東日本大地震<2>、Music Lovers 松任谷由実、松任谷由実のオールナイトニッポンTV4、僕らの音楽 松任谷由実・薬師丸ひろ子・おすぎ、MUSIC FAIR 松任谷由実、NHK 東日本大震災チャリティー企画 ユーミン×SONGS 「春よ、来い」プロジェクト、SONGS 松任谷由実、RoadShow/松任谷由実(’11)、手のひらの東京タワー/松任谷由実(’81)、押入れの整理<1> 、<2>、<3>、<4>、RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ(’11)、春よ、来い in 紅白歌合戦、SONGS 山本潤子、SONGS 松任谷由実~2012スペシャル~、鈴子の恋(’12)、「春よ、来い」カバー 男性シンガー編、「春よ、来い」カバー 女性シンガー編、虹色ほたる 永遠の夏休み(’12)、才輝礼賛 38のyumiyoriな話 / 松任谷由実(’11)<1>・<2>・<3>、ユーミンのSUPER WOMAN スペシャルプロローグ~「森本千絵と歩く霊峰」<1>・<2>、ユーミンのSUPER WOMAN 「鶴岡真弓と訪ねる女神」<1>・<2>、ユーミンのSUPER WOMAN 「長谷川祐子と現代美術をめぐる」<1>・<2>、「8月31日~最後の夏休み~」チケット、ユーミンのSUPER WOMAN 「軍地彩弓と歩く東京ファッション最前線」、ユーミンのSUPER WOMAN 「軍地彩弓と歩く沖縄」<1>・<2>、ユーミンのSUPER WOMAN 「中村うさぎとめぐる東京の夜」<1>、<2>、ユーミンのSUPER WOMAN 「草間彌生の世界を訪ねて」、ユーミンのSUPER WOMAN 最終回スペシャル 直感の旅、そして未来へ、8月31日~最後の夏休み~<1>・<2>、時をかける少女(’83)<1>・<2>、松任谷由実 デビュー40周年 はてない夢の旅、YUMING FOREVER by LESLIE KEE<1>・<2>、ひこうき雲 / 荒井由実(’73)、風立ちぬ(’13)<1>・<2>、MASTER TAPE~荒井由実「ひこうき雲」の秘密を探る~<1>・<2>、ひこうき雲/荒井由実(’73) ミュージッククリップ放映、Dialogue / 今井美樹(’13)、SONGSスペシャル 松任谷由実~生きるよろこび歌にこめて~、POP CLASSICO / 松任谷由実(’13)、「音楽の達人 Vol.72」~ユーミン特集~、僕らの音楽 「僕らのユーミン」、ユーミンの罪 / 酒井順子(’13)<1>・<2>、あなたがいたから私がいた ユーミン×帝劇Vol.2、YUMI MATSUTOYA LIVE - GYAO! MUSIC LIVE 、北陸新幹線開業記念特別番組「金沢花紀行」by ユーミン、ユーミン曲 in 北国のストリートライブ、八王子 スパとユーミン聖地巡り<1>荒井呉服店、西立川 ユーミン聖地巡り<2>西立川駅、「雨のステイション」歌碑と昭和記念公園、荒井由実「ひこうき雲」(’16)~”青の時代”名曲ドラマシリーズ~ 、YUMING×LOFT 缶バッジ、SONGS 松任谷由実 / MUSIC FAIR 松任谷由実・JUJU、YUMINGと伊勢丹新宿店と130の出来事、宇宙図書館 / 松任谷由実(’16)、なりきりユーミン
A LONG VACATION From Ladies(’09)、SONGS 大貫妙子・大貫妙子、めがね(’07)、SONGS 福山雅治/矢野顕子、A LONG VACATION From Ladies(’09)、風博士/西岡たかし(’76)・Skylightにポプラの枯葉/伊藤銀次(’83)、SONGS / SUGAR BABE(’75)、期末テスト対策終了、大貫妙子トリビュート・アルバム Tribute to Taeko Onuki(’13)<1>・<2>、私の暮らしかた / 大貫妙子(’13)、名曲のかたわらに サハシあり~ギタリスト佐橋佳幸・30周年記念公演~ 、恋するドライブ ゲスト大貫妙子、「音楽の達人 Vol.77 」~岩田由記夫、鈴木結女が選ぶ ディーヴァ・歌の女神~
レインボー・シー・ライン/吉田美奈子(’75)、追悼・佐藤博~レインボー・シー・ライン/吉田美奈子(’75)
天使('06)、恋愛寫眞(’03)、サマーウォーズ(’09)、クリスマスの約束(’09)、SONGS / SUGAR BABE(’75)、押入れの整理<2>、追悼・佐藤博~山下達郎曲