2009年 04月 21日
60歳のラブレター(’09)
長年連れ添った伴侶に、感謝の言葉をはがきで贈る、という企画で、8万6千通程の応募があり、その実話ベースの作品、との事で、若手の深川栄作監督作、出演は中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸智恵、星野真理等。
3話のオムニバスかと思ったら、3組の熟年カップルの様子がリンクしながら進み、予想よりコミカル、実話べースというには、ややファンタジック、都合良過ぎな部分も感じたりしましたが、主演中村雅俊は、先日息子中村俊太の大麻所持での逮捕事件があって、絵に描いたようなおしどり夫婦、破綻ない家族人ぶり、というイメージ的には、ちょっと意外なニュースでした。
この作品のプロモーションへの影響も、と聞いていましたが、何だか実生活で本人にそういうままならぬ出来事があった、という部分が、作品を見てみて、やり手仕事マンで、熟年になり、気付けば家族とのたがが外れてしまっていた、というこの主人公役に、微妙に切実なリアリティが加わったような感も、したりしました。
4/23追記:イッセー尾形は、スクリーンでは「ホームレス中学生」の父役以来、この冬DVD「ヤンヤン 夏の想い出」でゲーム業界人役で見かけたのが最新でした。以前「トニー滝谷」では余り好感持てなかったのですが、平凡そうな中にもある一癖、を漂わす人、のイメージでしたが、今まで見た出演作の中では、今回一番素朴にストレートな愛情表現していたかと思いました。
昔アマチュアバンドのボーカル、その時ファンの中で一番可愛かった、という妻(綾戸智恵)と魚屋を営む正彦役、病室で脳手術後妻の無事回復を願って、出会いの曲だったビートルズ「ミッシェル」のギター弾き語りも披露してました。
また、正彦が憧れのギターが店頭にあって、足を止める店の主人がさり気なく鈴木慶一だったり、この人は「PiCNiC」にも出ていたりしたのでしたが、思い出したのは「えびす温泉」というアマチュアバンドオーディション番組でYOUと司会していた事で、見かけたのも久し振りでした。
シンガー綾戸智恵はこれが映画初出演のようで、ざっくばらんな妻光江役、この夫婦が一番庶民的というか、ときめき的な気持はとうに失せても、積み重ねてきた絆の象徴、のようなカップルでした。
孝平(中村雅俊)とちひろ(原田美枝子)夫婦の、仕事での上昇志向絡みもあった結婚、という延長での、惰性的な醒めた関係、でも別れた後も、ふとやってきた夫を送り出す時、長年染み付いた、妻的な気配り行動をする姿に、会場から緩い笑いが漏れたりしてましたが、
つつましい専業主婦として、自分の言葉を持たなかった妻が、家事手伝いを始めた翻訳小説家麗子(戸田恵子)の誘いで、着飾ってパーティーに行って、小説家(石黒賢)に見初められ、憧れだった北海道のラベンダー畑への旅に誘われ、というくだりは、どうも現実離れロマンス的で、
でも、秘めていた、夫への純粋な思慕が明らかになって、定年退職後、自分の存在価値に行き詰っていた夫が、妻のため「ミッシェル」を一心に歌う正彦の姿に触発され、妻への誠意を何とか示そうとする姿、北海道での行動も漫画的な気はしましたが、不器用であっても、夫婦、家族間で、形にしないと伝わらないものもある、というデフォルメのような気もしました。
また、やもめの医師静夫(井上順)と独身の麗子は、熟年カップルの恋模様でしたが、彼女に微妙な反感を抱く静夫の中学生の娘に、この年代になって、恋をするというのは本当に大変だ、(言われるように)軽い気持で、というのは有り得ないし、(叶わぬものなら身を引くから)大人の顔をしたり子供の顔をしたりしてかき回さないで欲しい、と本音を訴えるシーンがちょっと印象的でした。
あと、「死に花」で知り「さよならみどりちゃん」以来だった星野真理が、中村・原田夫妻の一人娘役でしたが、子持ちの役をするような年代になっていた、と。
母の感想は、なかなか現実的にはそううまくいかないだろうけれど、気持の根はああいかないと、という事だろう、という所でした。久方の新作邦画、観客年代層も割と高め、やや劇画的でもありましたが、ほろ苦甘い後味でした。昨夜「SONGS 坂本龍一」録画。
関連サイト:http://www.roku-love.com/、http://www.paoon.com/film/hyyokgejv.html
関連記事:あの歌がきこえる「ふれあい」、SONGS 中村雅俊、さよならみどりちゃん(’04)、東京日常劇場<憂愁編>(’91)ー追悼・市川準監督ー、「ホームレス中学生」、「ヤンヤン 夏の想い出」(’00)、ソロモン流 綾戸智恵
<’09年4月、近所の花屋にて>
定年を機に離婚し、愛人が経営するベンチャー企業へ飛び込んだ夫と、30年間文句ひとつ言えなかった専業主婦の妻。 口喧嘩が絶えない、元ビートルズのコピーバンドのヴォーカルだった男とその追っかけだった女の魚屋夫婦。 愛妻を亡くし、娘と二人暮らしの男性医師と、ずっと独身だった女性翻訳家。 団塊世代の3組の男女のこれからは…。 ヒューマン・ドラマ。... more
かなり前に試写会で観た映画。 なかなか公開されないけど、実は結構いい映画なのだ。 それにしても、題名が地味すぎ~ アンケートにそう書いたのに!!... more
また掘り出し物みつけたー! 試写会に当たってなきゃ絶対スルーしてた映画です。 パートナーと長い関係を保つにはどうしたらいいんでしょうかね。 私はこの映画をみて「距離」をおいてみるのがいいのかな、ぎ..... more
実際に行われた企画『60歳のラブレター』の映画化。何と8万通を越える応募があったそうです。団塊の世代を中心とした大人のラブストーリーだけに出演者もベテラン揃い。主演の中村雅俊、井上順、イッセー尾形という味のある俳優陣に原田美枝子、戸田恵子、綾戸智恵という妙齢の女優陣。更に『釣りキチ三平』や「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの古沢良太が脚本を手がけています。... more
[中村雅俊] ブログ村キーワード ↓ワンクリックの応援お願いします↓ 評価:7.5/10点満点 2009年49本目(44作品)です。 住友信託銀行が毎年行っている応募企画「60歳のラブレター」の実写版です。 大手建設会社の専務・橘孝平(中村雅俊)は、定年退職を期に離婚。..... more
試写会の主権はテレビ東京さん、客入りは7割ほど。 映画の話 仕事一筋の夫・孝平(中村雅俊)と献身的な専業主婦ちひろ(原田美枝子)は、定年退職を機に離婚を決意。時間を持て余すちひろは家政婦の仕事に挑戦し、翻訳家・麗子(戸田恵子)の家で働き始める。一方...... more
2009年5月19日(火) 先日の日曜日のレイトショーでこの映画を見た。 何を期待した訳でもありませんが、期待外れの内容。 最後のシーンも予想通りの展開で興ざめでした。 今では、「アラカン」(...... more
60歳のラブレター ’09:日本 ◆監督:深川栄洋『狼少女』『真木栗之穴』 ◆出演:中村雅俊 、 原田美枝子 、 井上順 、 戸田恵子 、 イッセー尾形 、 綾戸智恵 、 星野真里 、 内田朝陽...... more
□作品オフィシャルサイト 「60歳のラブレター」□監督 深川栄洋 □脚本 古沢良太 □キャスト 中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸智恵、星野真里、内田朝陽、金澤美穂、佐藤慶、原沙知絵、石黒賢■鑑賞日 6月28日(日)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★★(5★満点、☆は0.5)<感想> 遅ればせながら、今頃になってやっと観ることが出来ました。 理由はかみさんのお母さんがこの映画を観たいと言うことで、先に二人で観ていたので、かみさんが2度目になるため少し遅らせました。 そ...... more
熟年夫婦が互いへの感謝の言葉をはがきにつづり、これまでに8万通を超える応募が寄せられた人気企画「60歳のラブレター」を映画化。監督は『真木栗ノ穴』の深川栄洋が務め、脚本を『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの古沢良太が手掛ける。出演は、中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸智恵と豪華キャストが集結。さまざまな人生経験を積み重ねてきた登場人物たちが、夫婦のあり方や、これからの人生をどう生きるのか模索する姿が共感を誘う。[もっと詳しく] 人生の「再設計」と、青春の「原点」回帰を、...... more
幸福のラベンダーの横断幕!? 深川栄洋監督、中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸智恵、星野真里、内田朝陽、金澤美穂、佐藤慶、原沙知絵、石黒賢。還暦を ...... more
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コメントありがとうございました。
個人的には、激甘に感じました(^_^;)
全部、ハッピーエンドというのは出来すぎです。
女性の気持ちは分からないのですが、長年裏切ってきた
夫を、あんな簡単に許せるものなんでしょうか?
中村&原田夫妻の顛末は、都合よく綺麗過ぎ、とは思ったのですが、元々の企画に送られてきた実話の中に、似たような話があったのかと。
やや漫画的でしたが、家族間でもはっきり誠意を形にしないと、通じるか否かさておき、始まらない事もある、というデフォルメ描写かとも思いました。