Something Impressive(KYOKOⅢ)


カテゴリ:邦画( 67 )



ゆずり葉 ー君もまた次の君へー(’09)

昨日15日(火)、近くの成田図書館で映画会、「ゆずり葉」という未見のもので、都合も合ったので久方に図書館で鑑賞。

全日本ろうあ連盟の結成60周年を記念作、とのことで、初耳の作品。主な登場人物はろうあ者達、なのだけど、特にそう障害者もの、という後味は薄く、しみじみとした家族・青春もの、という感じ。

意外と、というか結構じんわり来るものがあるかも、と思ったら、Wikipediaによると公開時、その週の「ぴあ」満足度ランキング1位だったそうで。



主人公の大工木村(庄崎隆志)の亡き妻早苗役で、今や国会議員、先日不倫沙汰騒ぎがあったばかりの今井絵理子が出てて、

女優業もやってたのだ、と初めて知ったけど、一瞬、何だか地味な映画に出たものだ、と思ったけれど、

そういえば、政界進出のルーツとなったのは、お子さんが何かの障害を持ってて、というのを思い出して、そういう背景もあってか、と納得。後で確かめたら、お子さんの障害はやはり聴覚障害だったのだったと。



その他健聴者達、木村の働く工務店の先代店主役の大和田伸也、多分早苗の母役だった山口果林、ちょっとどこで出ていたか?友情出演だったらしい西村知美、のクレジットとかもあったけれど、

主な出演者、役者を目指す吾郎(福嶋一生)、その恋人さやか(津田絵里奈)、その妹で薬剤師を目指す尚美(貴田みどり)など皆ろうあ者で、演じる俳優陣もそのようで、

後で知ってちょっと驚いたのは、さすがに監督は健聴者だろうと思っていたら、その早瀬憲太郎監督自身もろうあ者で、普段ろうあ者向けの塾をやってるそうで。





大分前に見たやはりろうあ者出演の「アイ・ラヴ・ユー」「アイ・ラブ・ピース」「アイ・ラブ・フレンズ」等シリーズの、

「アイ・ラブ・ユー」の監督のお一人はろうあ者だったけれど、健聴者の監督と2人で共同、だったし、こういう風にろうあ者でありながら単独での監督、というのは初耳。

劇中の木村のように、この監督も映画は好きだけれど字幕のある洋画でないと見られず、だったそうで、

でもこうして一般公開作品を撮るまでに、というのはやはり情熱、努力、才覚あったのだろうと。


印象的だったのは、木村が帰宅して、出血して倒れている身重の早苗を目前にして、しゃべれないがゆえに病院に電話もかけられず、雪の中彼女を運んでいくしかない、身を切るようなもどかしさ。

ほのぼのシーンとしては、海の見える丘公園で、男子高校生が手話で、さやかの手話アクション手助けを受けながら、女子生徒に告白、のシーン。

You tube映像でも、聞こえない、という個性を生かすことでこれまでの映画では表現できない面白さが加わった、というくだりがあったけれど、

そういう手話というツールならではのストレートで爽やかなな温かみ、というか。


健聴者の早苗が木村に魅かれていく、というくだりは、まあ手話には縁がない自分としては、想像でしかないけれど、

この作品の後味的なものもあるのだろうけど、もどかしいことは山盛り、にしても、何だかもしかして普通にしゃべれるより、

”手話”という手段を通じて、の方が、余分な駆け引き、摩擦、すれ違いが少なく良くも悪くもストレート、ピュアに気持ちが通じ合って、相手によってはハマる、ということがあるのかも、とか。

あとやはり、まあお話的には出来すぎ、ではあるけれど、病魔が迫る木村の、ずっとぬぐえなかった亡き早苗に対する自責の念が、

思いがけない形で、自分の血筋を引く命を宿すさやかの身をアクシデントから救った、という形で緩和出来た、というカタルシス。


作品の根底的には、薬剤師の資格に合格しながら、厚生省に取り消された尚美、のエピソードにもあったように、ろうあ者への差別を失くす、という意義があるのだろうけれど、

むしろそういう所よりも、余りそういう障害ゆえのマイナス部分を乗り越えて、というより、普通に日常を頑張ったり落ち込んだりしつつ過ごす人々の人生ドラマ、という感じ。


俳優陣的には、今井絵理子もこの作品のスパイスの1つ、かもしれないけれど、やはり過去に傷を持つ主人公木村役の庄崎隆志の深みある物腰、

一見今時のイケメン風の吾郎役の福嶋一生の、等身大のろうあ青年の、恋人さやかや木村とのやり取りでの揺れ動く心情、とか、

演技力というのは?何とも言えないけれど、この作品の表立っての”柱”だったような。


a0116217_239354.jpg上映前、図書館スタッフが携帯は切っておくように、と言ってたと思うけれど、上映中はそのスタッフは部屋にいず、

途中、観客の男性の携帯が鳴って、仕事のことか何かしばらくそう声をひそめるでもなく話してて、マナー的には困ったもんで、だけど、

丁度木村が自分の過去の出来事について、多分早苗の事以外で何か仲間に告白してた、というシーンで、

ずっと字幕は出たいたのだけれど、何だか気が散って、見落としたまま不明だったのだけが、ちょっと鑑賞中も気にはかかってて、

この作品はノベライズもされているようで、図書館に在庫あるようなので、そのシーンがあるか?だけど、一応予約して、読んでみることに。<↑(C)汐文社>


そういう所で、まあたまたま今話題の今井絵理子の出演映画?という、ちょっとした興味以外、正直そう期待を持って、という訳ではなかった鑑賞だけれど、意外と良かった、

人それぞれの幸せ、人生のケジメのつけ方、みたいなことも思わせられた作品でした。

関連サイト:ゆずり葉ー君もまた次の君へー サイト成田図書館 イベントページ
関連記事:埋もれ木(’05)理由(’04)それでもボクはやってない(’07)

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by MIEKOMISSLIM | 2017-08-16 02:55 | 邦画 | Trackback | Comments(0)


超高速!参勤交代 リターンズ(’16)

先日3日(水)、丸の内ピカデリーで来月公開の「超高速!参勤交代 リターンズ」試写会、招待状が来ていて都合も合ったので、見てきました。


a0116217_2347299.jpgこれは、未見だけれど’14年作品の続編、

江戸時代、磐城国の弱小藩、湯長谷藩が、腹黒い老中の陰謀で、超短期間での「参勤」を命じられたものの見事達成、というのが前作で、

その後日、今度は、国元での一揆で城を乗っ取られる一大事に、再び超高速での「交代」~城での攻防、というこの作品。<↑チラシ>


参勤交代って、高校の日本史教科書を見てみても、そういう説明はないけれど、国元→江戸の行きが「参勤」、江戸→国元の帰りが「交代」だったのだった、と今にして。

舞台挨拶で、深キョンが、どういう映画かというと、参勤と交代の物語、という単純な説明ですむ、のようなことを言っていて、今回の交代編を見ても、その通りなのだけれど、

バラエティに富む藩の一行の面々、邪魔されながらも先を急ぐためのコミカルな駆け引き、カリスマ感はないけれど、藩主内藤政斡醇(佐々木蔵之介)の人情味VS悪玉老中松平信祝(陣内智則)のコントラスト、

ダイナミックな殺陣、戦闘シーン、花を添える、内藤の妻になったお咲(深田恭子)の風情、市井の民衆達の奮闘ぶりとか、なかなかのエンタメ時代劇、という後味。


会場に着いたのが、開演20分前で、やや急いで9Fの劇場入口に行ったら、1Fで座席券との交換が必要、とのことで、また下へ行って、窓口で手続きしようとしたら、

残り座席は、舞台挨拶は立ち見+作品鑑賞は一番前の席、か、舞台挨拶も作品も座って見られる2F後ろの席しかない、とのことで、やや迷って2Fの方に。

その番号の席は、何と2Fの一番後ろで、まあ中央寄りだし、舞台まで凄く遠い、というわけではないけれど、

私の視力では、舞台挨拶の俳優、監督の顔はぼんやりとしか見えないだろう、という距離で、ちょっと後悔。


登場したのは、本木監督と総勢12名の俳優陣、司会者が、前作を見た人は?と客席に呼びかけたら、やはりほとんど前作を見た人が多いようで。

まあ陣内智則、西村雅彦、「花子とアン」の父親役だったのが記憶に新しい伊藤剛志、柄本時生、リメイク「時かけ」の中尾明慶、あでやかな着物姿の深キョン、などメジャー俳優も色々だけれど、

私は一番感慨、といえば、「紙屋悦子の青春」の原田知世の舞台挨拶の時のような感覚で、歳はとってるといえぞ、ナマ富田靖子、だったかも。

富田靖子はこの続編で初参加だったようで、一番端にいて、コメントでもそう目立っていた訳ではないけれど、

「アイコ16歳」「さびしんぼう」「BU・SU」「南京の基督」とかの珠玉作の名残で、その佇まい、表情とか、もう少し近くで確かめたかった、とちょっと残念。


男性陣は、作品柄、2作目ということもあってか、結構和気藹々、終始ラフで賑やかなムードで、いじられキャラっぽいのは、多分最年少らしい知念侑季で、

私は初耳だったけれど、Hey! Say! JUMPというグループメンバーのようで、彼の紹介、話す時だけは、客席から女性のキャーッという歓声で、劇中、弓の名手役で、アップにもたえる、草食系のなかなかのイケメン。


a0116217_23475361.jpgあと、異色出演者は、前作からの柄本時生演じる増田の相棒の小猿役、菊千代。

世話役の女性に見守られながら、ひょうきんな存在感で笑いを誘っていて、劇中ではそう目立って笑いを誘う、という訳でもなかったけれど、何か人慣れした猿として、自然に溶け込んでいた、という感じ。

終演後、ロビーで、菊千代の撮影会、みたいなイベントがあって人盛り、皆携帯で撮影してて、近くで見る菊千代は、小柄だけれど、その無邪気な仕草に可愛い~!という声もあがってて、

私はデジカメを持っていかなくて残念だったけれど、傍らのスタッフが配ってた名刺?<↑>をもらったり。


a0116217_21501495.jpg8/14追記:劇中、インパクトシーンといえば、彼らの「交代」を阻止しようとする宿場での検閲の目を逃れるため、

シンプルなからくりで大行列に見せかけたり、”死ぬしかない”の言葉通りの奇策のコミカルさ。<↑チラシ内部>

また7人と1匹VS1000人、規模的には絶体絶命の城での攻防、藩の面々の刀、弓さばきもさることながら、女性陣や農民の奮闘、目くらまし作戦のダイナミックさ、

内藤のしみじみ人間味にじむ信祝への語りかけ、それによる信祝のバックにつく叔父の松平輝貞(石橋蓮司)や尾張柳生の武士達への心理的効果、とか、まあ勧善懲悪ベースの後味良さ、など。

a0116217_2151148.jpg俳優では、見る前は余り気にしていなかった、主演の佐々木蔵之介。<←チラシと共に配られた新聞>

この人って正直、これという際立った押し的な特徴のない、堅実な脇役スタンス、というイメージだったけれど、

こういう弱小藩の、豪快さというよりナイーブ感、でも筋を通そうとする誠実さ+さりげなく人情味の殿様役、というのにハマってて、なかなかの渋さ、と再認識、という感じ。


そういう所で、ほどよく人情味織り交ぜての、コミカル時代劇を楽しんだ、という今回でした。

関連サイト:超高速!参勤交代 リターンズ 公式サイトAmazon 「超高速!参勤交代」象のロケット「超高速!参勤交代 リターンズ」
関連記事:犬と私の10の約束(’05)サマータイムマシン・ブルース(’05)県庁の星(’06)間宮兄弟(’06)UDON(’06)アジアンタムブルー(’06)虹の女神(’06)愛の流刑地(’07)憑神(’07)ぼくたちと駐在さんの700日戦争(’08)あしたの私のつくり方(’07)テニスの王子様(’06)時をかける少女(’10)ノルウェイの森(’10)東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~(’07)犬神家の一族(’06)(「市川崑物語」スレッドの9)、天使(’06)スローなブギにしてくれ(’81)どら平太(’00)理由(’04)苺の破片(’05)四日間の奇蹟(’05)春の雪(’05)ゲルマニウムの夜(’05)さくらん(’07)HERO(’07)明日への遺言(’08)私は貝になりたい(’08)RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ(’11)BU・SU(’87)kitchen~キッチン~(’97)ロード88出会い路、四国へ(’04)

 

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by MIEKOMISSLIM | 2016-08-11 23:50 | 邦画 | Trackback(5) | Comments(0)


サヨナライツカ(’10)

気になっていて未見だった作品DVD鑑賞4作目で、「サヨナライツカ」を見ました。


先日見た先日見た「新しい靴を買わなくちゃ」ヒロイン役だった中山美穂の、その2年前公開だった主演作で、

当時はまだ波風もなかったか?中山美穂の元夫辻仁成の小説原作、辻作品原作映画というと江国香織との共著「冷静と情熱のあいだ」は、割と好感だったし、

「新しい靴・・」での、年輪重ねた上での中山ヒロインぶりに、こちらもどんなものだったのか?と、改めてちょっと興味も湧いて、という所。


a0116217_4372532.jpg婚約者光子(石田ゆり子)がいながら、赴任先のバンコクで出会った謎の美女沓子(とうこ:中山)との関係に溺れる豊(西島秀俊)、そこから25年後に渡る物語。<(C)アスミック・エース→>

こちらもラブストーリーではあるけれど、「新しい・・」とは裏腹に、ハードなベッドシーン含むラブシーン満載、思えば”人妻”中山美穂12年ぶり主演作、だったのだけれど、

「新しい・・」では年下格向井理相手の”受け”だったのが、こちらでは西島秀俊に明らかに率直な”攻め”スタンス、

踏み込んだ色香散りばめられた、ここまでハードシーンのある中山出演作は初見で、ある種衝撃作、というか。


一番インパクト、というとやはり序盤、沓子が先日酒場で出会ったばかりの豊の部屋に、豊が野球の試合で打ったホームランのボールを持ってやって来て、誘惑、のシーンでの、

中山大人の女的な腰の据わり方、というか、脱ぎながら正面から相手を見据える表情。

それに対して無抵抗に吸い寄せられる豊、結局このシーンが、この物語のトーンを決めた、という感じ。

その後劇中での2人の蜜月期間、無邪気にふざけ合うシーンの中山美穂も、やはり「新しい・・」とはやや違ったタイプの素の大人のチャーミングさ、というか。


それにしても、原作は未読だけれど、このヒロイン沓子は「新しい・・」のパリ在住のアオイに輪をかけて、の謎のバックグラウンド。

一流の「オリエンタルホテル」の、有名作家達が滞在した、という歴史があるのか?オーサーズスイートの一つ「サマセット・モーム・スイート」に在住、

豊に、見かけた年季入りの高級車を、買ってあげましょうか?とあっさり言ったり、アオイ同様、親族の影もなく、天涯孤独?なのか、

何らかの仕事をしてるとか、誰かの囲われ者であるとか、リッチマンと離婚経験、などという描写も劇中なかったけれど、一体何ゆえに、ああいうリッチ生活水準??と。

そして終盤では、そういうハイソなバックグラウンドも尽きて、昔の馴染みで雇ってもらえたのか?そのホテルでVIP案内要員、という展開も今一?。

ちょっと「ラッフルズホテル」の藤谷美和子、とか思い出して、まあ映画ヒロインとしてはそういうミステリアスさも魅力だけれど、現実感的には不可思議。


でもそういう謎はあっても、ちょっと引っ掛かったのは、日本から何か不穏さを察してバンコクにやってきた光子の、沓子への要求。

感情的に罵ったりはしないけれど、淡々と豊との関係で自分の優位さを語り、最後に「一つだけお願いがあります、来週の日曜日午後1時までにいなくなって下さい」というとどめ。

まあ婚約者として、黙っていられないのは当然だけれど、いくら謎のリッチ身分の沓子ではあるけれど、婚約者の浮気相手に、面と向かって「彼と別れて下さい」ならまだしも、生活拠点からいなくなれ、とまで言うのは?無理ありそうで、

豊の身内的に、ある種の慰謝料、手切れ金などとして、その措置のための必要な費用はこちらで出すから、などとというなら、一応筋的にはまだしも、だけれど。


その要求を受け入れた、というか、豊の光子への忠誠、航空会社の上司桜田(加藤雅也)からの戒めもあって、自分と別れようとする意向も汲んで、だろうけれど、1人NYへ旅立とうとする沓子。

豊は、沓子の奔放な魅力にあっさり落ちて、どうもいつしか彼女に本気で愛着を持ち始めてしまったようだけれど、その思いを断ち切るように、空港でぶっきらぼうな別れ。

そこにやって来た光子に、やっと「愛している」と言うのだけれど、それはやはり半ば義務的な言葉だった、ということが、25年後に形として露呈してしまう、といういびつさが、まあある種真実で、ある意味残酷な恋物語。


残酷、といえば、このタイトルでもある「サヨナライツカ」、劇中の切なさを象徴するような内容の詩を書いたのは、冒頭シーンからあったのだけど、沓子でなく光子だった、という所。

この詩は、何だかこの物語自体のメイン筋とはやや離れた所で、ちょっと印象的。

>サヨナライツカ

いつも人はサヨナラを用意して生きなければならない
孤独はもっとも裏切ることのない友人の一人だと思うほうがよい
愛に怯える前に、傘を買っておく必要がある
どんなに愛されても幸福を信じてはならない
どんなに愛しても決して愛しすぎてはならない
愛なんか季節のようなもの
ただ巡って人生を彩りあきさせないだけのもの
愛なんて口にした瞬間、消えてしまう氷のカケラ

サヨナライツカ

永遠の幸福なんてないように
永遠の不幸もない
いつかサヨナラがやってきて、いつかコンニチワがやってくる
人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと
愛したことを思い出すヒトにわかれる

私はきっと愛したことを思い出す<

流れ的には豊を勝ち取って家庭を築いた光子が、婚約時代にその行く末を予見するような詩を書いていた、

単身沓子の所に乗り込んで手を打った、芯の強さ、というか意外な図太さを見せた彼女が、そういう感性を持っていた、というのが、

25年の歳月の中で豊の真の気持ちを汲みとり、豊を大雑把に家庭に留めておくことも諦め、ああいう送り出し方をした、というのも妙な切なさ。


そういう展開、というのも、やはりこの物語は男目線、というのか、豊という人物の優柔不断な不器用さ、というのは漂うものがあるけれど、

ふと出会った美女が、婚約者がいると知っていながら自分に赤裸々にモーションをかけてきて、三角関係の修羅場になる前に浮気相手は自らNYに発って、しかも後年、逢瀬を重ねたホテルで再開、自分を忘れずずっと待ってた、とか、

妻となった婚約者は、会社の社長になった自分の人生の惑いに、何ら口出しをせず、当初から別れを覚悟していたかの風情の、完成した「サヨナライツカ」を手渡してくれる、とか。

いわば自分の都合のいいように、満足いくように女達が動いてくれる、という願望、ロマンの物語、と取れなくもない感じ。

唯一豊の想定外は沓子の急激な体調変化、その身の施し方、その悲しみに、やや自暴自棄的にバンコクの水辺で車を飛ばすシーンもあったけれど、そこで現地語で「大丈夫!」と叫んだり、

社長の座は捨てて、沓子のためだけにバンコクへきたのでは?と思ったけれど、その後オフィスでそれらしき席に座って沓子の面影と語り合ってたり、あれ、また元の鞘?とふと思ったり。

まあ余り突っ込んでも、という、テーマ的にはピュアな”一生に一度の運命の愛”なのだけれど。


あと、豊と光子夫妻の、1人は勉強の出来もよく問題なさそうな剛(西島隆弘)だけれど、もう一人が、どうも問題ありありのような、家を出て鄙びたアパートで女の子と同棲してるロッカー(の卵)の健(日高光啓)。

彼が、訪ねてきた豊に、彼の生き方そのものを侮蔑するような言葉を投げつけ、自分には夢がある、と、言い放ち、光子達が見つめるステージでも反骨的な歌を歌って、というのも、

豊の人生の惑いに拍車をかけて、沓子とのことを含め、リセット方向に作用したのかもしれないけれど、どうも余り共感出来る露骨さじゃなかった。


映像的には、舞台がエキゾチック風物のバンコクで、「私の頭の中の消しゴム」の韓国のイ・ジュハン監督作、日本人監督タッチよりも枠がなく、ナマっぽい風味があった気が。


そういう所で、まあここまで大胆シーンもあったのか、という、前述のように「新しい・・」とは趣違う大人中山美穂映画、遅ればせながら2作ペアとして、違う形のラブストーリーを味わった、という後味でした。

関連サイト:サヨナライツカ 公式サイトAmazon 「サヨナライツカ」象のロケット 「サヨナライツカ」
関連記事:中山美穂新しい靴を買わなくちゃ(’12)マナに抱かれて(’03)トニー滝谷(’04)カナリア(’04)さよならみどりちゃん(’04)メゾン・ド・ヒミコ(’05)好きだ、(’05)神童(’06)春、バーニーズで(’06)風立ちぬ(’13)<1><2>夜のとばりの物語(’10)四日間の奇蹟(’05)ALWAYS 三丁目の夕日(’05)タイヨウのうた(’06)ALWAYS 続・三丁目の夕日(’07)クライマーズ・ハイ(’08)私は貝になりたい(’08)蟲師(’07)歌謡曲だよ、人生は(’07)まほろ駅前多田便利軒(’11)ゲド戦記(’06)


   
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by MIEKOMISSLIM | 2015-06-01 04:12 | 邦画 | Trackback(1) | Comments(0)


新しい靴を買わなくちゃ(’12)

久方のDVD鑑賞2作目、先日の「アナ雪」に続き、やはり未見だった「新しい靴を買わなくちゃ」を見ました。


これは「ハルフウェイ」と同じ監督北川悦吏子&プロデュース岩井俊二のタッグ作、ということと、「Love Letter」以来の岩井監督&ヒロイン中山美穂コラボ作、舞台がパリのラブストーリー、とのことで、気にはなっていた作品。

また、この音楽担当はが坂本龍一だった、というのは今にして知った次第。


a0116217_20315732.jpgパリで一人暮らしのヒロイン勅使河原アオイ(中山)と、偶然出会った日本から来たカメラマン八神千(向井理)が過ごした3日間の出来事、という物語。<(C)キングレコード→>

映画での中山美穂の姿も私は久方、冒頭登場した時には正直、巷で折に言われるような”劣化”というのは失礼だけど、やっぱり歳はとったかも、という印象ではあったけれど、

さすがに10年程になるのか、私生活で結婚後のパリ在住歴で、流暢なフランス語、一回り近い年下になる向井理演じる青年をナビゲートして迷子状態から救う、現地の年上女性らしいリード面も見せつつ、

泥酔状態になってしまって、送られ、家に招き入れる成り行きになった彼に、愛着を持ちようになって、辛い過去も打ち明けたり、自然に接近しつつも、

相手はすぐに日本に帰る身、引き留められはしない、という切なさのある役柄を、今のこの人なりにキュートにこなしてたのでは、という感じ。

近年離婚報道もあったけれど、やはり「Love Letter」の頃からは、私生活でも色々経て、パリ在住歴も含めて、今のこの人での大人版岩井色作品、と思えばちょっと感慨も。

      
5/25追記:まあ不自然さといえば、出会ったばかりの旅人青年に、異国のラフ感覚+同じ日本人愛着、というのもあるかもしれないけれど「勅使河原だと呼びにくいから、アオイで」などというのとか、思えばちょっとあざとい?感じもしたり。

元々日本で美大を出て、単身パリに来て画廊で働いていて、フランス人画家と結婚・離婚、仕事はあるけれど、1人暮らし、という境遇にしては、

パリの割と中心地らしき所で、結構な広さの家に住んでて、というのもやや?で、別れた時に子供が出来ていてその子を産んでシングルマザーに、という経過で、

その画家からそれなりの仕送りなりがあったのか?そこら辺は触れられてなかったけれど、仕事にしても、大手の会社でバリバリキャリアウーマン、というより、

ローカルっぽいフリーぺーパーの編集をボチボチ、という感じで、パリの実際の住宅相場って詳細不明だけれど、どうもあの住居の生活水準が謎?だったり。


そこら辺、突っ込み所はご愛嬌、だけれど、相手の青年、千については、向井理演じるソフト路線、そもそも人当りいいキャラ?にしても、アオイへの接近の仕方が妙にナチュラルすぎ、

パリに来た理由も、妹スズメ(桐谷美玲)の恋愛沙汰でお伴として連れられて、だし、一見優柔不断、でもありながら、一応現実味があったのは、不平不満だらけの日本でのカメラマンの仕事、だけれど、

やはりその仕事を軸足にはしていて、アオイに魅かれる部分はありながらも、刹那的な恋に溺れるわけでなく、日本へ戻る、という意識は通していた、という点。

だからアオイとの距離もそれなりにキープ、彼女の家での2晩目も、ムード的には一線を越えて結ばれても、という流れはありながら、少なくても映像では、彼女を癒すハグどまり。

多分、映像外でそれ以上に進んだ?という印象も、その後の流れからは受けなかったのだけれど。それは、息子を亡くしたというトラウマの告白、辛い過去を持つ彼女のピュアさを感じて、という部分と、

彼女側が強く押せば、そういう関係もあったかもしれないけれど、彼女も、劇中故郷であるらしい東京への望郷の気持ちをちらつかせたりしていながらも、やはりパリの住人、

彼は所詮束の間の旅人、深入りは色んな意味で無理、という意識があったからこそ、揺れる気持ちはありながら、切ないけれど淡い交流で留まった、

所々好意の告白っぽいジョブのようなやり取りもありつつ、大人の中山美穂が演じながらも、結局ある種品のいい純愛物語だった、という点もこの物語への好感点。

坂本龍一音楽は、特にそういう終盤の微妙な揺らめき、切なさ感に寄り添っていたような感じ。


また、同時進行的だったもう一つのサブのラブストーリー、スズメとアーティスト志望のカンゴ(綾野剛)カップル、

こちらは、もしかして「ハルフウェイ」の北乃きいと岡田将生のように、設定だけは決まってて、やり取りは2人任せのアドリブ科白?と思うような節も折にあったのだけれど、後で、この2人のシーンについてはほとんどアドリブだった、と見かけてやっぱり、と納得。

ケジメをつけにパリに乗り込んできて、ストレートに思いをぶつけるスズメ、その思いを受けきれないカンゴ、というナマっぽさもあって、辛いけれどスズメの決断がきっぱりした結末で、これはこれでやはり好感。

桐谷美玲って近年、ニュース番組とかで見かけて、美人だけれど硬派っぽい印象だったけれど、こういう、女の子っぽい役もしてたのだった、と。

メインカップルについては、中山美穂インタビューで、彼女はアドリブは禁じられていた、そうでだけれど、

一つのヤマ場だった2晩目のハグシーンや、終盤、千がタクシーに乗り込む直前の別れのシーン、などは、やはりもしかして、少なくとも向井理はアドリブだったのでは?と思ったり。

またこのメインカップルは、後日談でタイトルの”靴”絡みエピソードで、パリでのアオイとの出会いで一皮むけた千、そして悲しい過去から一歩進むアオイ、というニュアンスもあって、この2人の今後?という含みも少し漂ったり、という仄かな明るい後味。


それと、この作品エキスとして、やはり私は未踏のパリ。観光地ばかりが舞台だった訳ではないけれど、凱旋門、シャンゼリゼ通り、ジャンヌ・ダルクの像、セーヌ川、その河畔のノートルダム寺院、エッフェル塔など、

やはり同じパリ舞台ではあっても洋画とは違う、迷子同様の千がアオイに携帯で案内されて歩く街並み、2人で乗ったセーヌの遊覧船など、日本人目線での、ちょっとした観光気分味わい、という趣も。

家並みが低いから何処からでも見えるエッフェル塔が、心の拠り所、というようなアオイの言葉もあって、

なるほど、ビルだらけの東京では、東京タワーやスカイツリーなんて、そういう訳にはいかないはず、と、改めて低い街並みのパリのエレガントさ、を思ったり。


あと目に残ったのは、撮影自体は岩井監督自身ではないのだろうけれど、折々の”逆光”シーン。ああ久方の岩井(関連)作品、という気がして懐かしかったり。


そういう所で、「ハルフウェイ」の北川&岩井色を思えば、こういう合う種のラフさ、というのも路線かもしれないけど、

近年の中山起用作品、としては、息子を亡くした悲しみを切々と語るアオイ、というのは、一瞬、最近離婚して一人息子の親権は元夫、という中山美穂、ということも重なったりして、やはりこの人も色々経てきての、こういう役柄、とも思ったり。

でもまあ全般として、思ったより何というか、可愛らしく頬笑ましい、パリ舞台ラブストーリーでした。

関連サイト:Amazon 「新しい靴を買わなくちゃ」象のロケット 「新しい靴を買わなくちゃ」
関連記事:ハルフウェイ(’09)市川崑物語(’06)虹の女神/Rainbow Song(’06)ニューヨーク、アイラブユー(’09)中山美穂ハナミズキ(’10)BECK(’10)NANA(’05)

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by MIEKOMISSLIM | 2015-05-24 00:45 | 邦画 | Trackback(1) | Comments(0)


龍三と七人の子分たち(’15)

先日31日(火)、先週の「エイプリルフールズ」に続いて同じ神保町の一ツ橋ホールで今月25日公開の「龍三と七人の子分たち」試写会、「いい加減な・・・」ブログのいい加減人(Yamato)さんに誘っていただいて見てきました。


a0116217_0273366.jpg北野武監督新作で、北野作品といえば私は「監督・ばんざい!」以来、今回のも近年のヤクザものの一環かと思ってたら、もろハードボイルドというより、コミカル任侠もの、というか、

たけし本人は刑事役で出ていて、中心は元ヤクザの老人たちグループ、演じるのも、主演の龍三役藤竜也はじめ、平均年齢72才、というベテラン陣。おまけに音楽担当も、まあ60代だけれどベテラン鈴木慶一。<→チラシ>

彼らが、今時のオレオレ詐欺などで悪事を働くチンピラ集団「京浜連合」を征伐すべく、再び龍三を親分とする「一龍会」を結成して、一旗揚げようとするのだけれど、

何分、拳銃を持つ手もブルブル震えるご老体集団、その笑いを誘う奮闘ぶり、今時の感覚と彼らの任侠メンタルとのギャップ、折に混じるそれなりの人情っぽさ、とか、

たけし流?ブラックユーモアも交じってたけれど、正直ちょっと意味不明?だった「TAKESHIS'」「監督・ばんざい!」などより流れ的にわかりやすく、面白かった、という感じ。


a0116217_255510.jpg4/7日追記:概して京浜連合の今のチンピラ達は、昔のヤクザ老人達に敬意を払ってる風はなく、特に強気な幹部達は、はなから見下してるのだけれど、

下っ端メンバーが単独で老人達に一杯食わせようとする時、オレオレ詐欺を信じた龍三の、息子の不始末に筋を通すため指を詰めようとそうとするパフォーマンスや、老人たちの拠点で入れ墨群を目の当たりにして、<←チラシ裏>

何か理屈抜きの圧力を感じて、思わずひるんで逃げ出すシーンとか、あっさり一筋縄ではいかない微妙な力関係の空気なども、たけし目線、なのか、ちょっとリアルな気もして可笑しかったり。


一番インパクトシーン、といえば、やはり終盤の、老人達がバスジャック、京浜連合の連中の車を追って、狭い商店街の店先をなぎ倒しながらの暴走チェイス、だけれど、

滑稽さ的には、龍三がキャバクラママ(萬田久子)の部屋で京浜連合幹部達とニアミス、ママの下着をまとって脱出、ゲイバー界隈で同業者と思われてゲイ達に絡まれて、のくだりで、

藤竜也は私は「村の写真集」での父役以来だったのだけれど、まあひたすら渋イメージだった「愛のコリーダ」俳優も、こういうシーンまでやるように・・とちょっと苦笑。

その兄弟分の若頭のマサ役の近藤正臣も、昔は2枚目イメージ、随分歳もとった、とは思ったけれど、こういうコミカルさ、というのもやや意外。

そうイメージギャップなかったのは、馴染みあった中では、はばかりのモキチ役の中尾彬、だけれど、終盤彼の身に起こる急展開、扱われ方は結構ブラックユーモアな、というきわどさ。


a0116217_224137.jpg4/8追記:こういう老人躍動ものって、前に「死に花」というのがあった、とは浮かんで、そこそこ面白かった覚え、でもどうも詳細薄れてて、ちょっと検索したら、

犬童監督作品で、老人ホームのおじいちゃん集団が銀行強盗をやろうとする、みたいな話だったのだったけれど、これはまあそのやさぐれ北野版、というか。<↑チラシ中>


今回も、老人ホームからやってきたカミソリのタカ(吉澤健)というキャラクターもいたけれど、そもそもが元ヤクザ老人達、

龍三は家で、息子夫婦に一目置かれるどころか、入れ墨露出などを露骨に疎んじられ、「義理も人情もありゃしねえ」と肩身の狭い日々、

そういう鬱憤晴らしか、若頭のマサと共に飲食店で勝手な賭けをして、客に難癖つけたり、スケール小さいコミカルタッチの不良翁ぶり、

それでもまんまとオレオレ詐欺に引っ掛かりそうになり、息子を救おうとしたり、京浜連合の徳永(下條アトム)のマネをして恐喝しようとした主婦の話にほだされて、逆に金を渡したり、情に弱い一面、

また終盤、決死の京浜連合殴り込みの前、息子に電話しても、余りまともに相手にされないけれど、孫息子がおじいちゃんを恋しがる、のようなことがチラッと垣間見えたり、そこら辺、たまに散りばめられた人情スパイス、というのか。


まあ大人しく余生を過ごす、というには、くすぶる部分もある彼らが再結集したことで、チンピラ集団に宣戦布告、ひと肌挙げて、という意気の盛り上がり~ひと騒動、

折々早撃ちのマック(品川徹)が怪しい手元ながら放つ銃弾など、で、威嚇はするけれど、老いた身で、体力的にもメンタル的にもそうスマートにも行かず、ハチャメチャぶりが笑える見もの、だったけれど、

たけし自身は刑事役で、彼らを大目に見たりたしなめたり警告したり、という脇役、というのも、これの前の未見の「アウトレイジ」2作ではやはり主演だったようだけれど、

今回は役者ビートたけしとしては、中心キャスト高齢ベテラン陣に、もろに絡んだり仕切ったり、というより、彼らに主な所はまかせて、締める所は締める、という傍観的な位置を選んだのかも、とか思ったり。


そういう所で、私は久方の北野作品、やはり一応任侠もの、ではあったけれど、予想以上に笑いもあって、なかなかの怪作を楽しんだ、という後味でした。

関連サイト:龍三と七人の子分たち 公式サイト象のロケット 「龍三と七人の子分たち」
関連記事:TAKESHIS’(’05)監督・ばんざい!(’07)あなたへ(’12)村の写真館(’04)カナリア(’04)大停電の夜に(’05)ユメ十夜(’07)(「市川崑物語」スレッドの10)、愛の流刑地(’07)人の砂漠(’10)山桜(’08)、,蝉しぐれ(’05)THE 有頂天ホテル(’06)県庁の星(’06)日本沈没(’06)それでもボクはやってない(’07)犬と私の10の約束(’08)クライマーズ・ハイ(’08)HERO(’07)時をかける少女(’10)犬神家の一族(’06)(「市川崑物語」スレッドの9)


  
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by MIEKOMISSLIM | 2015-04-04 23:56 | 邦画 | Trackback(12) | Comments(2)


エイプリルフールズ(’15)

先日22日(日)、神保町の日本教育会館一ツ橋ホールで、4月1日公開の「エイプリルフールズ」試写会、「いい加減な・・・」ブログのいい加減人(Yamato)さんとご一緒して見てきました。


a0116217_1463412.jpg監督はドラマ「リーガル・ハイ」など演出の石川淳一、脚本はやはり「リーガル・ハイ」、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズなどの古沢良太、

出演俳優も含めて、私はノータッチだったけれど「リーガル・ハイ」関係者が多いそうで。<→チラシ表>

主なキャストが多彩な顔ぶれの総勢27名、まさにエイプリルフールの1日の内の、とりあえずメイン筋は、

清掃婦新田あゆみ(戸田恵梨香)が、妊娠した相手の外科医牧野亘(松坂桃李)がCAの麗子(菜々緒)とデートするレストランに単身乗り込んで巻き起こす大騒動、なのだけれど、

それと同時進行で、街のあちこちで起こる嘘と真実ミックスの様々なエピソードが絡み合っての、コミカル人情ドラマ。


こういう構成って、「きょうのできごと」がこれ程多人数ではなかったけれどこういう感じだったような、という同時進行群像劇、というのか、そのコメディ版、一見無関係なエピソードが、小道具とか人間関係的に、絡み合っていく妙、

それぞれの(大)事件っぽいもの~些細なものまで、コミカルタッチベースだけれど、嘘と真(まこと)のブレンド具合とか、ちょっとホロリとするような人間模様なども織り交ぜて、

スピード感、というか、各エピソードを追う展開のテンポもよく引きつけられて、まあ久し振りになかなか面白い邦画を見た、という感じ。


a0116217_17181390.jpg3/28追記:一番インパクトエピソード、といえば、やはり戸田&松坂コンビの「イタリアンレストラン大参事」~意外な波乱のラブストーリー展開。

そもそものきっかけが、朝あゆみ(戸田)が見たフジTVの本物キャスター陣が伝える怪しげな感動ニュース、という所からで、<↑チラシ中>

戸田恵梨香って、最近他作品でも主演クラスで見たのだけれど、王道的に華やか、というより、芯はあるけれど何かに抑圧された女性、のような味も自然に出せるタイプなのかも。

そのあゆみが勇気を出して連絡したものの、誠意を見せずあしらおうとする牧野(松坂)にキレて大暴走、なのだけれど、何故清掃員の妊婦の手元に拳銃?というのも、次にインパクトエピソードの「不器用な誘拐犯」絡み。

まあギャグのノリではあるけれど、ヤクザ宇田川(寺島進)がしょっちゅう傍らの弟分(高橋努)を結構思いっきり殴りつけるシーンは何だか、だけれど、

宇田川と、誘拐した小学生理香(浜辺美並)との実は、という関係、宇田川なりに?だけれど、ふてくされ気味の理香に実地で”世間”を教える様、別れ際、彼女の母(山口紗弥加)への電話や、彼女にかけるぶっきらぼうなエール、辺りがそれなりの?人情ドラマ風。

その理香の義父のリムジン運転手(滝藤賢一)の客、宮内庁職員櫻小路夫妻(里見浩太朗&富司純子)の「ロイヤル夫妻の休日」エピソードも、

彼や、ハンバーガー店長(古田新太)らの夫妻への芝居がかったような極度なひれ伏し方、など笑いもありながら、明らかになっていく夫妻の真実、その事情、など、

ベテラン2人の醸す風情もあってちょっとしんみり、しみじみ熟年夫婦愛路線、富司純子は、クルーズ船で「アメイジンググレイス」の歌も披露してたり。


a0116217_1719165.jpgその他、可笑しかったのは、不登校中学生(浦上晟周)が、パソコンのHPで宇宙からの迎えを信じて、地球に決別決意、

学校に乗り込んで一気にうさ晴らし、屋上でひらすら続けた「ビヨ~ン」儀式、とか、

ミクロ世界話だけれど、大学生梅田(矢野聖人)の友人松田(荻田正孝)へのある告白で、思いがけぬ展開!になってしまう「ある大学生の行末」の、一室での滑稽かつシュールな成り行き、とか。<↑チラシ中>


あと味付け的に、やはり複数エピソードに絡む、久方に姿を見たりりィが演じる怪しげな占い老婆、などもいたけれど、

とにかく、レストランでのあゆみVS牧野の修羅場+本来は立てこもり事件人質的な周りの人々の、彼らの関係に対する様々な人情的?反応、

妊婦ゆえに勃発する波乱の感動劇?展開、を軸に、色んな嘘と真(まこと)のエピソードが同時進行的に行きかい、なかなか目が離せないテンポ感、

漫画的ではあるけれど、基本の笑いスパイス+人情エキス織り交ぜ、各エピソード絡ませて、まあ上手く創ってるものだなあ、というか、前述のように、何だか久方に面白い邦画を見た、という後味でした。

関連サイト:エイプリルフールズ 公式サイト象のロケット 「エイプリルフールズ」
関連記事:ユメ十夜(’07) (「市川崑物語」スレッドの10)、UDON(’06)ざわざわ下北沢(’00)東京マリーゴールド(’01)~追悼・市川準監督~雪に願うこと(’06)クライマーズ・ハイ(’08)LittleDJ~小さな恋の物語(’07)思い出のマーニー(’14)理由(’04)それでもボクはやってない(’06)TAKESHIS’(’05)THE 有頂天ホテル(’06)フラガール(’06)東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~(’07)監督ばんざい!(’07)LOVE まさお君が行く!(’12)ハナミズキ(’10)県庁の星(’06)蟲師(’07)ハルフウエイ(’09)ひみつのアッコちゃん(’12)人の砂漠(’10)RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ(’11)トキワ荘の青春(’96)~追悼・市川準監督~恋に唄えば♪(’02)HERO(’07)あ・うん(’89)犬神家の一族(’06)(「市川崑物語」スレッドの9)、寝ずの番(’06)愛の流刑地(’07)明日への遺言(’08)山桜(’08)

   


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by MIEKOMISSLIM | 2015-03-27 01:53 | 邦画 | Trackback(7) | Comments(2)


ボクサー(’77)-菅原文太追悼上映ー

一昨日、近くの阿佐ヶ谷図書館の映画会で、昨年11月他界した菅原文太追悼で「ボクサー」上映、都合も合ったので見てきました。


この作品は初耳、寺山修司が監督、菅原文太演じる、かつて名ボクサー、落ちぶれ気味の中年主人公が、清水健太郎演じる無名の若いボクサーを鍛えていく、ハングリーなスポーツもの、というのもちょっと興味そそられるものが。

a0116217_052031.jpg寺山修司って、映画も撮ってたのだ、と、今にして、だけれど、「あしたのジョー」のテーマ曲の作詞がこの人、ボクシングが思い入れあるテーマらしく、

前半、東京の下町でのやや淀んだ人物描写に対して、

後半、力をつけてきた天馬〈清水)を中心に盛り上がり、怒涛のようなボクシングシーンはなかなかの迫力、臨場感あって、なかなかの見応え感。<(C)東映ビデオ→>

清水健太郎って、この頃「失恋レストラン」でブレイクの直後だったようだけれど、

そういう人気歌手にやらせる役にしては、足が悪いハンディを持ち、障害者扱いされ、殴られて顔もゆがみ、きつい練習、リングでのリアルな実戦シーン、と結構なハードさ。

後年色々問題ありすぎ、の人だけれど、ボクシング経験も多少なりともあったのか?こういう硬派出演作があった、というのも結構意外。

そして、中年にしても、それなりにハードなボクシングシーンをやってのけていた菅原文太、この2人の当時の運動能力、というものにもちょっと感嘆。


2/27追記:菅原文太出演作、というのは、今まで見た中で一番古いのが’00年の「どら平太」、若い頃~中年期のは覚えなく、これが今にしてみた、一番若い44歳時の作品で、

たまたま先日この図書館で、健さん追悼上映の「幸せの黄色いハンカチ」と同じ’77年の作品。中年期の健さんと比べて・・と思えば、やはりどちらも渋いけれど、菅原文太の方がワイルド、健さんの方が抑えた凄み、があるような。


まあ、この菅原文太映画、なのだけれど、やはりインパクト残ったのは清水健太郎で、終盤の新人戦マッチシーン、劣勢で、殴られっぱなし、

でも倒れても倒れても立ち上がり、相手に向かっていく不屈の姿、ラスト、隼(菅原文太)のぼやけた視力の中、立ち上がって勝利を得、隼に寄り掛かろうとする姿。

この若い頃、こうして菅原文太相手に体当たり演技、顔もゆがみ、腫れ、倒れても倒れても起き上がるボクサー役をしてた、というのが、

何だか、近年、クスリもキッパリ絶って再起に向かって活動してるらしい、ということと重なって、ちょっと感慨、というか。


寺山修司色、なのか、激しいボクシングシーンの最中に、登場人物の人生模様のカットが混じっていたり、というような演出もあったけれど、

最新見たボクシング関連作品っていうと「ミリオンダラー・ベイビー」、ヒロインの戦いぶりも記憶薄れつつある中、何だか久方に、ボクシングという戦闘スポーツを通して滲み出る人間の気概、というのを見たような、という作品。


脇役で、隼の別居してる妻役の春川ますみのあからさまな女っぷり、アパートの管理人役小沢昭一、町の食堂に集う天馬を応援する人々、その中の訳あり気な元女優役新高恵子など、’60~70年代頃の下町のベタな空気感、

またさり気なくレフリー役に唐十郎、天馬の新人戦が、具志堅用高の試合の前座試合、の設定で、現役時代の具志堅用高が、天馬に声をかけ激励するシーンがあったり、

カメオ出演で、試合会場に輪島功一、ファイティング原田、ガッツ石松らが姿を見せたり、そこら辺は友情出演?なのか、お金をかけたのか?だけれど、本格的ボクシングもの、というリアルな豪華さが垣間見えたり、

とにかく、趣旨は追悼のための菅原文太作品上映だったのだけれど、怪作、と呼ぶのもどうか?だけれど、想定外で、ちょっと珍しいものを見た、という今回でした。

関連サイト:Amazon 「ボクサー」阿佐谷図書館 映画会
関連記事:どら平太(’00)ビルマの竪琴(’85)(「市川崑物語」スレッドの11)、バッテリー(’07)サヨナラCOLOR(’05)


  
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by MIEKOMISSLIM | 2015-02-23 00:38 | 邦画 | Trackback | Comments(0)


幸福の黄色いハンカチ(’77)ー高倉健追悼上映ー

今日、阿佐ヶ谷図書館映画会で、健さんの追悼上映として、「幸福の黄色いハンカチ」上映、都合も合ったので見てきました。

これは私はどうもちゃんと見る機会なかったままで、昨年11月健さんが亡くなった時、追悼放映してたのを録画、その時終盤だけは初めて見た、という健さん代表作の一つ。

録画はあるものの、この機会に、と、やっと全編通しで見て、北海道ロードムービー+人情ものの、こういう作品だったのだった、と今にして。

これを下敷きにした同じ山田洋二監督、健さん&倍賞千恵子コンビの「遥かなる山の呼び声」は、数年前見ていたのだけれど、なるほどこれが”元祖”だったのだと。


これが映画デビューだった当時28才の武田鉄矢の、弾けたとぼけぶり、桃井かおりのマイペースな女っぷりなどもエキスだけれど、やはりやさぐれた主人公、島勇作役健さんの、際立つ王道的に渋い物腰、

その渋さが、果たして別れた妻光枝(倍賞美津子)に届けたメッセージが受け入れられるか、言い知れぬ緊張の末、無言の感激に変わる、黄色いハンカチはためくラストシーンが、やはり印象的。

      

それと結婚前、スーパーで見初めて半年経ってようやく言葉を交わし、徐々に接近、という頃、光枝の乗ったバスを追いかけるシーンで、

「不器用な自分は、気持ちをうまく伝えられなくて、すがるように・・」のような健さんのモノローグ、劇中まさしく”不器用(な男)”と自ら言ってる!と、ちょっと感慨だったりも。


2/2追記:この話はごく大まかにしか知らず、主人公が収監される事件がどういうものか?も知らなかったけれど、

光枝の無理して働いた末の流産、それに伴って判明した光枝の以前にも流産という過去、そこで生まれた夫婦間の摩擦が原因でヤクザっぽい通行人に絡まれ、歯止めが効かなくなって、という経緯。

いた刑務所も網走、正直、もう少し裏社会も絡んだスケールの事情?かと思ってたのだけれど、え、そういう出来事?と。

そこら辺、光枝の悲劇を止められなかった我が身への呵責や、初めて知った彼女の過去への戸惑いからのやるせなさをコントロール出来ない、

やはりある意味一途な故に不器用、メンタル的にナイーブというか、ひ弱い人間、という一面もある主人公、それがまたフィットする健さんの個性、というのも改めて。

そこら辺、山田洋二監督が、色んな候補者もいた中で、健さん起用に際して、出演してるヤクザ作品を何本か見て、

他のヤクザものスターとは違って、演技する時の目が真剣、真摯で、真面目に役に取り組んでいると思って、これなら普通の映画でも出来るかもしれないと思った、というエキスかも、とも。

     



また、この島勇作と北海道を旅して周る、どちらも本州から失恋して傷心旅行に来た、花田欣也を演じる武田鉄矢、小川朱美を演じる桃井かおり、3人の掛け合いが味わい。

同じ九州男児として、朱美に無理に迫って拒絶されたり、さえない欣也にカツを入れる勇作、というシーンもあったけれど、映画初体験だった武田鉄矢の、健さんと対照的なヌーボーとしたコミカル個性、

You tubeに武田鉄矢の撮影当時の健さん回顧談があったけれど、健さんのさり気ない励ましもあったようで。

     

また、桃井かおりは往年のような味だったけれど、健さんの”剛”をあっさり包み込むような、倍賞千恵子の正統派”柔”なとはまた違った、女っぷり”柔”の物腰、

島が黄色いハンカチに辿り着く経緯を共に見守っていく過程で、自然と寄り添っていくこの2人、という、健さんと倍賞千恵子の、脇カップルではあったけれど、

思えば武田鉄矢と桃井かおりのラブシーン、という、後年では想像できにくい、ちょっと珍しいものを見た、というか。


そして、やはり正統派”柔”の倍賞千恵子。劇中、この人の他に「男はつらいよ」組から、渥美清さんが警官約、「タコ社長」太宰久雄が旅館の親父役で出ていたけれど、

「男はつらいよ」での、フーテン寅さんを受ける演技でのさくらがハマり役だったように、派手さはないけれど、健さん相手に地に足のついた、というか落ち着いた訳あり女性の演技、

この人と健さんが醸し出す、嫌みのない中年純愛モードが、3年後の「遥かなる山の呼び声」にも繋がった、というのも納得、という感じ。

      


そういう所で、突然だった健さんの訃報、ということもきっかけで、今にして全編通して見たスタンダード作品、北海道舞台に、健さんのコアな魅力+夫婦愛+軽妙なロードムービー、なかなかの味わい。

元々普段、出演作公開時以外はメディアもなく、正直、いまだに本当に亡くなった、という実感はないですけれど、遅ればせながら、これを機に、高倉健さんのご冥福をお祈りします。

関連サイト:Amazon 「幸せの黄色いハンカチ」阿佐ヶ谷図書館 映画会象のロケット「幸福の黄色いハンカチ」
関連記事::単騎、千里を走る(’05)海へ、See You(’88)遥かなる山の呼び声(’80)あ・うん(’89)ミスター・ベースボール(’92)あなたへ(’12)冬の華(’78)冬の旅人「高倉健の肖像」(’88)

男はつらいよ 寅次郎夢枕(’72)武士の一分(’06)吉川晃司が外科医役/山田洋次監督談「日本の里100選」葛飾柴又散策

ヨーロッパ特急(’84)星になった少年(’05)私は貝になりたい(’08)東京夜曲(’97)たどんとちくわ(’98)SAYURI(’05)ゆれる(’06)22才の別れ Lycolis 葉見ず花見ず物語(’07)

 

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by MIEKOMISSLIM | 2015-01-31 21:21 | 邦画 | Trackback(1) | Comments(0)


思い出のマーニー(’14)

一昨日、有楽町朝日ホールで「思い出のマーニー」試写会、午前の部招待券が来ていて、母と行ってきました。


a0116217_2263279.jpg観客層は、女の子を連れた母子の親子連れや若~中年層などの、女性が割と多かった印象。(→チラシ表)

ジブリ新作、「借りぐらしのアリエッティ」の米林監督の2作目、とのことで気にはなってて、お話的には、そもそも住む世界が違う2人の少女同士の一時の友情物語のような、と思って見てみたら、

確かにそういう流れではあったけれど、終盤、杏奈(声:高月彩良)とマーニー(有村架純)のやや意外な関係が明るみになって、単なる友情ものではない、運命の絡みもあって、時空を超えた絆、という物語だった、と。

後で思えば、ちょっと一時代前のドラマティック少女漫画風な趣もあって、+ポイントの舞台の北海道の、水際に佇む時空を超えて2人を引き合わした”湿っ地屋敷”、

そこへボートで行くまでの入江の風景、月夜の水面など瑞々しい丁寧な描写、+バックの清涼感あるプリシラ・アーンの歌声などミックスで、

やはり「借りぐらし・・」同様、そう大作感、という訳ではないけれど、優しい温みの珠玉作で、なかなか好感持てた、という後味。


7/15追記:前半、喘息の持病もちで、周囲にそっけない対応の女子中学生杏奈。義母の頼子(松嶋菜々子)にも、北海道で知り合って世話を焼こうとする同年代の女子にも、つい侮蔑的な言葉を吐いて、壁をつくる、

絵を描くのは好きで得意そうだけれど、ジブリヒロインにしては、どうもややスケールの小さいひねくれキャラクター。唯一、滞在先のサバサバした夫婦(寺島進、根岸季衣)は余り気に留めず、大らか、大ざっぱに接するスタンスだったけれど。

で、入江の向こうの屋敷で出会った不思議少女マニーには、何故か素直に接して、心を開いていく過程で、マニーへの告白で、杏奈のひねくれキャラの原因が判明。

ある時偶然、頼子が自分を育ててる背景で、何らかの機関からその援助金を受け取ってた、と知ったことがきっかけで心を閉ざしていった、らしいけれど、

やや記憶曖昧だけれど、頼子の夫、というのはどうも明確に覚えなく、どういう仕組みでの援助金なのかも?だけれど、女手一つで、ならなおさら、夫婦であっても、

身よりもなく、施設暮らしでも仕方なかったのに、自分を引き取り愛情をもって育ててくれてる相手が、その代償的にたとえお幾らかの金をもらってたとしても、子供心にでも、それならそれで自分のかけた負担が少なくて、良かった、という発想はないのか?と。

まあ子供&少女時の潔癖さ、というか、純粋に自分が好きで育ててくれた訳じゃなく、背後にお金の流れがあった、ということで、大人に不信感を抱いてしまった、という多感さ、かもしれないけれど、何だかどうも我儘、ある意味純粋、潔癖すぎ?という印象。


7/16追記;そういう杏奈をほんわり包み込むようなマーニーも、大きなパーティーを屋敷で開いたり華やかな両親、でも多忙で留守がちで、世話係のばあや(吉行和子)や女中達から冷遇され、経済的には恵まれてても孤独な境遇。

この2人が自然と心を通わしていくプロセスはほのぼの。マーニーは、その立ち居振る舞い、やや謎っぽい存在自体、境遇、長い豊かな髪、ドレッシーな装いなど、何だか昔読んだ少女漫画ヒロインのような、で、

a0116217_23311625.jpgこの作品の映像、作画は、風景もいつもながら手作り風の丁寧さ、美しさ、人物もそれぞれ馴染みのジブリ風タッチで、良かったとは思うのだけれど、唯一ちょっと引っ掛かったのが、このマーニーの髪の描き方。

これまでのジブリヒロインでは思い当たらない、金髪のふさふさした長い髪、それが、余り細かい動きはなく、ほぼベタに描かれてたのが、少し残念。

まあこれが従来のジブリヒロインの髪タッチだし、場面ごとの細かく変化する長い髪の描写も大変そうだし、ショートカットで茶の少し入った黒髪の杏奈の描写とのバランスもあるのかもしれないけれど、

せっかく珍しくエレガントな髪型少女だし、会場にあった「思い出のマーニー×種田陽平展」チラシ(↑)の原画の一種らしいマーニーのようなタッチのを見てみたかった気も。


7/18追記:そういうマーニーから、ばあやや女中の日常の仕打ちを聞いた杏奈が、声を荒げて「そんな話は聞いたことがないわ!」と憤った時、初めて一瞬、ジブリヒロインらしい力強さ、正義感のほとばしりを見せたのも印象的。

荒天の日の丘の上の塔のシーンで、マーニーの辛かった思い出が明るみに出て、2人の世界の隔たりが露呈され、その時登場のおさなじみがマーニーを救った男性、

そう表立ったわけではないけれど、そういうロマンスも組み入れつつ、終始杏奈とマーニーの関係への焦点がぶれなかったのも、好感だったけれど、

a0116217_129014.jpg終盤、明らかになっていく、マーニーのその後のなかなか苦難の人生、

そして、ああそうだったのか、と、ファンタジーながら、ジグゾーパズルの最後のピースがぴたっとはまるような、明らかになった2人の真実。(→チラシ裏)

劇中、ちょっとだけ触れられてた杏奈の目の色、それぞれの境遇エピソードなどから、そう言われれば、という所だったけれど、これは見ている間には私は想像つかず。

これはやはり、マーニーが時空を超え同じく寂しさを抱えていた少女だった姿で、杏奈に会いに、というか救いに来ていたのだった、と瞬時に頭を巡ると共に、じんわりくるものが。

ひと夏の間に、伸びやかな自然をバックに、一時の友情とうだけではなかった、大らかな愛情、絆を体験した杏奈が、頼子にも心を開き、元来そうだったのであろうくったくない少女らしさ、人を信じる気持ちを取り戻し、

ファンタジーながら、ほのぼの心洗われる、そうメジャーでもなさそうなさりげないイギリス生まれの児童文学に目を付けて、子供(~大人)向けの温みあるものに作り上げてくる、さすがジブリだな、という感じ。


母は、映画は一緒に行った「あなたへ。」以来、どうも歳のせいか、パッパと話が呑み込めなくて、とぼやいてたし、私は今回も本当に顛末が判ったのか?だったけれど、大体は判ってた、そうで、景色が綺麗だったし、最後にちゃんと繋がるように上手く作ってる、とのことで、

「借りぐらしのアリエッティ」公開の時も一緒に見たのだったけれど、どちらが良かった?と聞いたら、今回の方が良かった、そうで、終わった後も、映画も久し振りだけどいいものを見た、と漠然とかもしれないけれど、満足そう。


そういう所で、そこそこの期待だったこの作品だけれど、見る前にまあ女の子の友情もの、と思っていたよりは、意外な広がりあって、後味的にも大らかなハートウォーミング感、

2人が一緒に過ごす時間に、何だか姉妹、従妹、家族、友人達などと過ごしてたかもしれない、ずっと続くようなくったくのない夏休み感覚、というのが仄かに蘇るようなノスタルジー感もあったジブリ新作でした。

関連サイト:思い出のマーニー 公式サイト象のロケット 「思い出のマーニー」
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by MIEKOMISSLIM | 2014-07-15 01:48 | 邦画 | Trackback(18) | Comments(0)


子猫物語(’86)

昨日、近くの阿佐ヶ谷図書館の映画会で「子猫物語」上映、都合も合ったので見てきました。

ムツゴロウこと畑正憲氏が監督の、実写で子猫チャトランの冒険を追った内容。協力監督が市川崑、音楽担当坂本龍一、劇中の谷川俊太郎の詩の朗読が小泉今日子、という顔ぶれも興味そそられるものが。

畑正憲の映画関連、といえば「遥かなる山の呼び声」に獣医役で出てたのを見たことがあるのみ、でもこの「子猫物語」は何でも’86年度の邦画第1位、日本実写映画歴代興行収入3位だそうだけれど、この作品については初耳。


登場するのは、親猫や兄弟猫たちの元から、乗った箱が川に流されて冒険が始まった主人公の子猫チャトラン、その友達の犬のプー助がメイン、

その他チャトランが終盤出会う恋の相手の白猫、チャトランやプー助の”家族”、2匹が出会う様々な動物達のみで、人間は全く登場せず。ナレーションは露木茂。

この冒険の流れ的にも、どこまでが動物達の自然な動作のドキュメンタリーで、どこまでが演出なのか?”演技”させてるとしたら、なかなか大したもの、と思うのだけれど。


坂本龍一音楽も軽快なテクノ風、序盤、この心地よい音楽+動物や自然の風景のPV、として見てもよさそうな、と思ったりしたけれど、

チャトランがクマや蛇が迫られたり、という危機あり、言葉はなくとも初対面の動物達との微笑ましいスキンシップ交流あり、穴に落ちチャトランを何とか助けようとするプー助の友情、運命の白猫との出会い、など、

感動ストーリー、という程の深みではないけれど、それなりに見せ場が現れて、終わってみれば確かに”子猫物語”になってたのと、

ちょっと驚いたのがラストのテーマ曲。劇中流れてた曲のメイン旋律に歌詞が付いて、若い女性ボーカル、一瞬昔の原田知世?と思ったけれど、エンドロールでは吉永敬子というシンガーで、その作詞が大貫妙子、だと。

まあこの頃って特に、大貫~坂本コラボは珍しくないし、大貫さん自身アフリカに出かけたり、動物ワールドには馴染みで、こういう作品のテーマ曲担当、というのも似合ってるとは思うのだけれど、

この2人コラボといえば、作詞・作曲・歌大貫+坂本編曲パターンしか浮かばず、こういう風に作詞大貫+作曲坂本曲ってどうも覚えなく、しかも映画絡みでの、こういう曲があったのだった、と。

これを歌う吉永敬子については、この曲以外の情報は特に見かけないけれど、この曲にフィットの可愛くソフトな声質、ちょっと原田版「ピーターラビットとわたし」のような、意外な所で、大貫&坂本コラボの珠玉曲との出会い、ということも。

            


5/5追記:印象的だったのは、まあ一応フィクションもの、だけれど、野生の猫の暮らしの波乱の中でも本能的力強さというか。様々な場所を平気でよじ登り、駆け回る猫の身体能力、とは別に、

家族と離れ、迷子になってしまった子猫が、何とか生き延びて成長、出会った雌猫と所帯を持って親猫になって、メインテーマ的には、他の動物達との友情、交流のほのぼのさ、なのだけれど、

自身の親や兄弟猫との再会シーンはなく、生涯それっきりになってしまっても仕方なさそうな、というような、折々、他の動物達の、守ったり甘えたり、という親子シーンはあったけれど、チャトランに関しては、ある意味野生動物の孤独。

そして、まあまだ親に甘えたい子猫としての本能で、鹿、馬、豚などだったか様々な動物達にすり寄ってり身体をなめてスキンシップ、その傍らで眠る、というようなチャトランの様子も、動物見知り?しないちゃっかり愛嬌もの、というキャラが面白く、

それを受け入れる、というのか、黙認してただ勝手にさせておく、というのか?だけれど、よそ者を拒絶しない動物達の懐深さにもちょっと感心。これはある種の演技をさせてるのか、実際野生の動物界って、そういうものなのか?だけれど。


そういう動物達の交流の中でも、やはり一番親密、といえば、元からの親友、犬のプー助。この犬の折々首をかしげる様子が何とも愛嬌、チャトランとじゃれ合う姿も微笑ましいものが。

箱で流されるチャトランを追いかけたり、探し回って、穴に落ちてたチャトランを何とか引き上げようとする友情、そこら辺、全くの自然な行為をソキュメンタリー風に撮影、だったら実際凄い猫と犬の絆の生態、だけれど、

ある程度演技させてる、としたら、プー助が枝などを取ってきて穴に投げて、それに捕まったチャトランを必死に引き上げる、というシーンなど、色々、一体どうやってやらしたんだろう?と。

そこら辺や、他にも一体どうやって?というシーンは折々、チャトランのいる小屋をクマが襲来、のシーンなど、あそこまでクマに接近しての撮影、というのも実際危険そうで、望遠レンズなのか?とか、

この作品には市川崑監督が協力のようだけれど、同監督が動物もの?というキャリアは特に覚えないし、やはりさすがムツゴロウ氏の動物界の撮影手腕か、とは思うのだけれど。


そして、そのプー助が、救出劇の直後、チャトランが野原で出会った白猫に夢中になって、2匹の蜜月状態に、それとなく邪魔者扱い、一旦走り去ってしまう、というくだりなど、

先日の「小さな恋のメロディ」のような、あっさり友情より初恋を選ぶ主人公、存在を忘れられる寂しい友人少年、という三角関係状態、まであって、これまたちょっと印象的。
              

ラストはチャトランとプー助の大家族同士の大団円、前述のテーマ曲もあって、明るい締め、後味も良かったけれど。 


主人公チャトランは、薄茶色模様の身軽な身体につぶらな瞳、子供受けもしそうなルックス、プー助は顔立ちはブルドックのような、パグという小型犬らしく、これも愛嬌ある風貌、

メイン2匹に絡む様々な動物、直接絡みはなくても、アップで登場のカタツムリなどの小動物など+背景の平原、花畑、水辺などの自然の風景も伸びやか。

先日上信越で散策したばかりの菜の花畑もあったり、信州あたりか?どこら辺かと思ったら、ムツゴロウ動物王国本拠地の北海道だったようで。

チャトランは、何匹かの猫での撮影だったようで、あれだけ様々なシチュエーション、それもさもありなん、だけれど、

ちょっとこの作品の都市伝説で、猫が何匹も使い捨て、殺された、などという動物虐待の噂を見かけて、確かに箱で川を流れて小さな滝を落ちたり、クマや蛇との攻防、など、リアルな危機シーンもあったけれど、

まあ作品を見る限り、そういう動物に対する無機的な雑さ、などは感じられなかったのだけれど。



そういう所で、まあ、こういう実写での動物オンリーのフィクションものって、思えばすぐ他に思い浮かばず、こういう作品があったのだった、と。

シビアな弱肉強食の野生動物の生態など、ドキュメンタリータッチ的な箇所も折にありつつ、主人公チャトランの”敵”は実質クマと蛇位で、メインは他動物との友情、触れ合い、伴侶との出会い~親猫になるまでを描いて、

なかなか絶妙バランスの動物人情もの、というか、子供ウケもしそうで、ヒットしたというのものもうなずける感じ。

また音楽担当坂本龍一だった、というのと、思わぬ所での’80年代大貫&坂本コラボ曲、というのも聞けたり、ちょっと貴重で珍しい動物ものを今にして見られた、という作品でした。

関連サイト:Amazon 「子猫物語」阿佐ヶ谷図書館 映画会象のロケット 「子猫物語」
関連記事:遥かなる山の呼び声(’80)どら平太(’00)市川崑物語(’06)

プレミアム10 YMOからHASへ坂本龍一×役所広司~世界が求める日本のカタチ~シルク(’07)SONGS 坂本龍一SONGS 矢野顕子SONGS 大貫妙子大貫妙子A LONG VACATION From Ladies(’09)風博士/西岡たかし(’76)・Skylightにポプラの枯葉/伊藤銀次(’83)SONGS / SUGAR BABE(’75)期末テスト対策終了大貫妙子トリビュート・アルバム Tribute to Taeko Onuki(’13)<1><2>

空中庭園(’05)雪に願うこと(’06)涙そうそう(’06)ユメ十夜(’07)(「市川崑物語」スレッドの10)、平山みき/小泉今日子SONGS 小泉今日子/KiroroSONGS 小泉今日子


    
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by MIEKOMISSLIM | 2014-05-04 20:08 | 邦画 | Trackback | Comments(0)

    

’09年1月末AOL映画掲示板、ブログが終了、気分新たにマイペースで、音楽・芸術鑑賞、ユーミン関連、読書、英検1級対策、グルメ、仕事等含めて書いてます。英検は’11年11月に無事合格達成出来ました!
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