Something Impressive(KYOKOⅢ)


カテゴリ:本・音楽( 9 )



Bed & Breakfast / 大貫妙子(’99)

先月頃読了の、図書館からの大貫さんの旅エッセイ。

書いておきたいことがない訳ではないけれど、この所どうもブログを触る気分的な余裕がなくて、この本も何度か借り直してまだ手元に。

まあ、何だかまともにやってても無力感、な折、息抜きに、少し書いておこうかと思います。


’01年の9.11テロを機会に海外へ余り行かなくなった、らしい大貫さんが、まだ精力的に旅してた頃の色々。

イタリア、インド、イースター島、アフリカ、南極、ブラジル、サンフランシスコ、タヒチ、柳川、タスマニア、NY、ロングアイランド、パリなど、

坂本龍一との仕事や、「東京日和」サントラの話、各地の写真、そして最後に「「旅」をめぐって」タイトルでの、坂本龍一との対談。

やはり自分が行った所で重なるフィレンツェやベニス、サンフランシスコ、その郊外のモンタレー、NYなどの所は懐かしさがよぎったり。

何かふとまた、ふとアメリカにでも行きたい気分になるような1冊でした。

関連サイト:ロッキングオン サイト「Bed & Breakfast / 大貫妙子」
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         <(C)(株)ロッキング・オン>

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by MIEKOMISSLIM | 2015-08-23 23:06 | 本・音楽 | Trackback | Comments(0)


流星ひとつ / 沢木耕太郎(’13)

昨年10月出版の沢木新刊、「流星ひとつ」を先日読み終えました。

昨年夏に他界した藤圭子に対して、’79年に行われていたインタビュー内容。異色なのは、ベールに包まれた、一世風靡した演歌の星~引退~宇多田ヒカルの母~自殺という波乱の生涯だった元スター、

当時28才だった本人が、率直に語る様々な履歴、その時々の思い、という内容の”生身感”自体もさることながら、全編、2人の会話文のみでの構成、ということ。

そこには確かに、いつものように対象に対してスタンスを保ちながら迫り、観察する沢木さん、という存在があるのだけれど、

沢木さん自身が、スター藤圭子という看板を背負う生身の女性が見せる感性の揺れに、立ち合い、受け止めたりかわしながら過ごした丁々発止の時間の、生々しい記録、と言う感じ。





昨年夏、藤圭子の訃報を聞いた時、様々に騒がれてるこの元スターのショッキングな謎の死、というものの背後に人間味ある真実、ドラマがあるとしたら、

実際の経過は不明だけれど、彼女との何らかの過去の思い出があるのは確かな沢木さんが、追ったらどうだろう?とふと脳裏に浮かんだけれど、それはやはり、下世話かもしれないし、今更有り得ないだろう、と思ったり、ということがあった。

その後何だか情報を見逃していて、今年の春~夏頃だったか、同年秋にこの本が出ていた、と気付いてちょっと驚き。

で、図書館に即予約、ようやく先日回ってきて、丁度期末対策も終わった頃から読み出し。それは、私が訃報直後とっさに思ったような類の、死の真相に迫る、的ルポでなく、大分前藤圭子が引退を決意した頃のインタビュー、だったのだけれど。

         



読み終えて、まず思ったのは、これって、凄まじいまでの沢木さんの記憶力、のなせる技!?ということ。

構成は一夜でのお酒を飲みながらの長いインタビュー形式、実際はその後何度か補足のインタビューがあったようだけれど、

それにしても、この作品が録音を元にしての書き起こし、という情報は見当たらないし、まあ多少なりともメモは取りながら、だったのか?だけれど、録音的手段は皆無だったとしたら、

1冊の本になる程の量の、互いの微妙なニュアンスもあっただろう「会話」のやり取りを、完璧にその通り、でなくとも、編集もあるにしても、自然な話の流れに沿って再現してみせる、

それは「深夜特急」でも、当時のメモや手紙などの資料は残ってたにしても、昔の旅を思い起こして臨場感ある詳細な長編作にしてみせたことですでに感嘆、

他のルポでも、この人の細かい部分に至るまでの記憶力あってこそ、という感はあったけれど、今回、改めてその真骨頂、というか。


12/21追記:ぼんやりと、不幸な生い立ちからスターになって、そういう過去が歌にも投影されてそれがまた悲哀の魅力、のようなイメージあったけれど、

実際、両親は旅芸人の浪曲師、お母さんは盲目、本人は幼い頃から各地を転々。歌は、ガラガラ声で音痴と思われてたのが、ある日鼻歌を歌っているのをお母さんが、うまいじゃない、と見出して、

小学5年の頃から両親と一緒に旅で、畠山みどりの曲などを歌うようにになって、地方の歌謡ショーで歌った時に、八洲秀章氏という作曲家に見染められ、

中学卒業同時に上京。でも当初は両親と夜の街でギターを抱えて流しをしていたり、というようなことを、本人は割と淡々と回顧。

現実的な貧しささておき、目の不自由な母にも容赦ない粗暴な所のあった父とか、兄、姉との3人兄弟で、子供時代旅に出た両親が予定を過ぎても戻ってこず、食費に困って、近くの豆腐屋で納豆を分けてもらって、それを売って生活した、とか、

「誰も知らない」ではないけれど、なかなかハードな子供時代、でも本人は母親っ子で、そういう親子の情はあったようで、歌に対しては特に思い入れなく、

わかってたのは、食べて、寝て、生きていくってことで、美味しい物を食べられたら嬉しかった、のような思春期。この人にとって、歌は家族の一員としての、生活のための一部だった、という感じ。

上京の際も、歌手、スターになりたい、という考えもなく、両親が決めたことに従っただけ、のような成り行きで、作詞家の、当時無名で沢ノ井と言う名だった石坂まさをの家に下宿、紆余曲折して「新宿の女」でブレイク、というような経緯だったのだけれど、

余りこの本の本人の語り口からは、曲のイメージからのハングリー感、悲壮感、などは匂わず、割とあっけらかんとした性質の少女時代、という印象。

         


最初の若くしての結婚相手、前川清とのエピソードにしても、まずクールファイブのボーカル、として歌が上手い人、という羨望があって、

熱い思い、というよりは、>淋しかったんだよね、お互いに。デビューしたばかりで、友達なんかいなくって、同じレコード会社で、演歌だし、少しずつ話すようになって、2人で会うようになって、・・< のような経緯。

1年で離婚に至った決定的な、という原因は語られてないけれど、前川清は身内みたいな感じで好きで、異性というより兄のような感じ、だったそうで、

別れた後も、彼女に良き相談相手のような態度で接していたらしく、歌手、人間としては尊敬している、その後から知り合った人たちとは、核が違う、でも、心がときまかない、

いくら周囲の人が、あの人はよくない、悪人だっていっても、私の胸がときめいてしまったら、それで終わりじゃない、という辺り、

実際その後の恋の相手が、売れない歌手だったり、不倫スキャンダルになったのだった巨人の小林投手との、痛い思い出、というのもあったり、恋に関して正直で不器用、危なっかしい感じ。

         


前川清と結婚当初、前川清の知り合いで仲人をした人物が、家を改築して上階に住めば、という提案に乗って、土地を買ったけれど、

払った金銭面より少ないの領収書との食い違い、その妙な言い訳に、前川清はいいじゃないか、と言ったけれど、彼女は気持ちが悪いし、売り主に確かめたら、やはりその領収書通りの売値だった、と判明、

またその頃に、その人たちが階下で、いいんだよあいつらの金なんか、アブク銭がいくらでも入ってくるんだから、というのが聞こえて、ゾォーっとして、

前川清に、ひとりでも出て行く、この家かあたしか、どちらか選んでください、ということになって、アパートを借りて住むことになった、などというエピソード。

まあ、芸能人にありがちな、金銭詐欺、トラブルの類かもしれないけれど、絶頂期の演歌スター同士の結婚生活、にしては、

前川清が、スターになってから近づいてきて、その奥さんに洗濯をしてもらった、のような恩のある人物、にしても、どうも胡散臭い人物の家を出費して改築、そこに同居してたり、

底からの移転先も、三田の”アパート”という、意外な不安定さ。やはり両親も女と共に北海道から上京して流しをしたり、売れてからも彼女頼り、後年、母と離婚、再婚後も父から執拗な金の無心あったり、

前川清の背景は良く知らないけれど、やはり長崎から出てきていて、演歌のスターと言っても2人共若く、家族から経済的なバックアップもない状況で、そこにつけこんで群がる人々、のような構図も垣間見えたり。


そういう波乱もさることながら、前川清と婚約中に出すことになった「恋仁義」という歌は、「惚れていながら身を引く心」なんて空々しいし、

前川さんを好きだった多くの女の人はきっといくらでもいただろうし、その人たちに対しても白々しすぎる、という理由、

離婚の1か月前に出してた「別れの旅」も、そんなこと思いもよらなかったけれど、宣伝用の離婚、などと言われて悔しくて、また歌詞も辛くて、すぐに歌いのを止めてしまって、

プロの歌手なら恥ずかしい、駄目なことだけれど、私には歌えなかった、というようなくだり、とか、印象的なのは、沢木さんも「あなたは本当に潔癖な人ですね」と言ってるけれど、

まあ大スター、というより20才そこそこの一女性として垣間見える、芸能界の波間での一種の律義さ、純粋さ、というような一面。

       


12/22追記:私が藤圭子の曲で覚えあるのは、タイトルを辿ると「京都から博多まで」までだけれど、

本の中程で、沢木さんから、宇崎竜童・阿木燿子夫妻が創った’78年の「面影平野」は、ラジオで聞いて、久し振りに藤圭子が曲に恵まれた、これはヒットするぞ、と思ったけれど、なぜヒットしなかったんだろう?という質問。

それに対して、まず彼女自身、すごくいい詞で、阿木燿子さんてすごいとは思うけれど、あの歌の持ってるいる心がわからない、

だから、人の心の中に入っていける、という自信を持って歌えない、凄い表現力だなっていうのはわかるんだけれど、理由もなくズキンとくるものがない、という話。

それを聞いて沢木さんも、なるほど、そういうことか、と言って、あなたにとって、ズキンとする曲は? と聞き返すと、たとえば「女のブルース」で、この歌はよくわかった。歌詞を見たときからズキンとした、のような回顧。

そしてその後、この曲がヒットしなかったのは、それだけじゃない、沢木さんが先に言ったように、
藤圭子の力が落ちたからかもしれない、と話し出して、

それは、デビューして5年目位に喉の調子が良くなかった時、しなくてもよかった手術をしてしまって、声が以前と変わってしまった、ということがあり、

高音が、澄んだキンキンした音になってしまった、自分の歌は、喉に声が一度引っ掛かって、それからようやく出て行くところに一つの良さがあったのが、どこにも引っ掛からないでスッと出て行くようになってしまった、と。

「面影平野」は、宇多田ヒカルが前に、この曲を歌ってるカアチャンはかっこいい、と言ってて、今回初めてYou tubeで聞いたみたけれど、素人目には、どうもそれ以前、手術前の時期の歌声との違いって?判らず。

        

沢木さんも、でもあなたは依然として充分うまい、と言ったけれど、本人にしたら、手術後の自分の歌は聴いていても歌っていてもつまらない、というギャップがあったようで、そこら辺は本人にしかわからない範疇なのだろうけれど、

彼女の声が変わった、と、最初に気付いたのは、盲目のお母さんで、手術してすぐのショーの時、舞台のそでにいて、純ちゃん(藤圭子の本名純子)の歌をとても上手に歌ってる人がいるけれど、あれは誰?とそばにいる人に尋ねた、そうで、沢木さんが、すごい話だね・・、と。


結局、その出来事がこのインタビューが行われた’79年末の引退のきっかけにもなったようで、その後は渡米、英語の勉強をしてしていて、

自由な生活ぶりが、後記に紹介されてる沢木さん宛ての手紙の文面からも伺え、経済事情もあって進学しなかったけれど、元々中学での成績も良かったようで、

インタビューの最後の方でも、英語の勉強をしたい、と言ってて、それを実行した、ということでもあると思うけれど、

何となく、バークレーからニューヨークへの引っ越しに、英語学校のクラスメートが友人とボストンへ行くのに便乗するつもり、車で行く方が、飛行機で行くより違ったアメリカも見られるし、のようなくだりは、

インタビュー中、彼女は「敗れざる者たち」にも言及してて、沢木本は多少読んでるようだったし、もしかして「深夜特急」旅の影響も多少なりとも?などと思えたり。


巷の情報だと、このロングインタビューがきっかけとは思うけれど、2人が恋愛関係になって、藤純子はNYで沢木さんが来るのを待ってたけれど、

沢木さんは、すでに結婚していたか、結婚前だったとしても、結局彼女の元へは行かず、傷心の彼女は知り合った宇多田氏と結婚、という経緯、という説。

沢木さんは、翌年完成させていたこの本を新潮社から出版予定だったのが、彼女が芸能界に戻って、歌うようにならないとも限らないし、その時この本が枷にならないか、

その時、自分の周囲の人について、あまりにも好悪をはっきり語りすぎているし、要するに、これから新しい人生を切り拓いていこうとしている藤圭子にとって、この作品は邪魔にしかならないのではないか、という逡巡の末、出版はやめた、とのことで、

実際2年後に藤圭似子としてカムバック、あながち無意味な配慮ではなかった、ようだけれど。

彼女との間については、インタビューと通した過程で、互いに好意を抱いていた、というのは認め、実際の関係については否定しているようで、真実は本人同士のみ知る所、だけれど、

この会話体だけで成り立った画期的な本のお蔵入り理由は、記されているようなジャーナリストとしての男気、対象人物への配慮、のみなのか、

結局振る形になってしまった元恋人への配慮、遠慮、というのも入り混じってのことか?ここら辺もやはり本人のみぞ知る、という所。


前に「旅する力 深夜特急ノート」で、彼女とパリの空港で遭遇、という出来事に触れてた時と同様、今回の沢木さんの誤記からは、そのような恋の痕跡らしきニュアンスは特に感じられず、

彼女からのラフな手紙も、最後に「体に気をつけてください あまり無理をしないように。」とはあるけれど、ロングインタビューを受けたきっかけでの親しい友人感覚、ともとれなくはないけれど、

このインタビューを通して、沢木さんには、彼女の意外な素朴、というか天然、率直、純粋さに驚き、というような節が見られるし、

藤純子にしても、まあ沢木さんの紳士的対応、話しにくそうなことはスルー、自分の経験談も交えてラフに、折に「ハハハ・・」と苦笑したりかわしたり、という進め方もあるかもしれないけれど、ここまで色々あけすけに話してる、という事実からして、

芸能リポーターとは一味違う、違う世界での広がりを持つ沢木さん、という対象に、人間~男性として魅かれていった、としても不思議はないのでは、というのが正直な所。


今回沢木さんがこの出版を決意したのは、突然の訃報後、宇多田ヒカルや元夫の宇多田照實氏のコメントで、「謎の死」は、精神を病み、長年奇矯な行動を繰り返したあげくの投身自殺、という説明で落着、

でもこの本のコピーを読み返し、そういう一行の表現で片づけることのできない輝くような精神の持ち主が存在しる、と感じて、新潮社の今の担当者に読んでもらった所、

宇多田ヒカルと同年代の女性から「これを宇多田ヒカルさんに読ませてあげたいと思いました」ときいて、自分も同じことを感じているように思って、強く撃たれた、のが引き金になった、とのこと、

直接の接点はないのかもしれないけれど、沢木さんにとっても、宇多田ヒカルは、初めて歌声を聞いた時から気になってて、母と同じように早い結婚、また離婚、という経緯にも心を痛めてた、そうで、

まあそれは、以前1ファンでロングインタビューして親交もあった演歌スターの娘、としてだけなのか、元恋人の、遺伝子を引き継いでブレイクしたビッグスター、として、なのか?だけれど、とにかくそういう宇多田ヒカルに対しての、という部分、

>ネット上で、藤圭子のかつての美しい容姿や歌声は聴けても、彼女のあの水晶のように硬質で透明な精神を定着したものは、この本にしか残されていないかもしれない、< 

という気持ち、この「流星ひとつ」というタイトルは、今回新たにつけたのでなく、書き終わった時点でつけて、渡米していた藤圭子本人にも送ったらしいけれど、

>いま、自死することで穏当に星が流れるようにこの世を去ってしまったいま、「流星ひとつ」というタイトルは、私が藤圭子の幻の墓に手向けることの出来る、たった一厘の花かもしれないとも思う。<という後記の締めくくり。


私は藤圭子については、近年、外国の空港で大金を没収された、などというスキャンダルの覚え、また、昔沢木さんとの噂があったのだったと知った、ということはあるけれど、

大まかには、幼い頃TVでの、オカッパヘアの渋い声でメランコリックに演歌を歌う姿、引退して渡米、この人とアメリカって、今一結びつかなかったけれど、

噂通り沢木さんとの破局があったとしても、NYで宇多田氏と結婚、娘も生まれ、しかもその娘が後に宇多田ヒカルとして大ブレイク、

辛苦をなめつつもその代償として、公人、私人として幸福も得たかのような、だけれど、結局は、心を病んでいた、という皮肉、悲痛な最期、というインパクトはあっても、

この本を読まなければ、その生身の姿、というのは漠然としたまま忘却の一途、だったのが、正直、恋の噂のあった沢木さんと藤圭子の始まりのやり取り?という下世話な興味を通り越して、

今にして、沢木さんから引き出されていた、その素顔、率直な言葉が全編に散らばり、なかなか異色沢木本、と言ってもいいのか、臨場感的面白さある1冊でした。

関連サイト:Amazon 流星ひとつ/沢木耕太郎
関連記事:ロバート・キャパ世界は「使わなかった」人生であふれてる(’02)血の味(’00)「愛」という名を口にできなかった二人のために(’07)銀の街から(’07、12月)(’08、1月)(’08,2月)(’08、3月)(’08、4月)(’08,5月)(’08、6月)(’08、7月)(’08、8月)(’08、9月)(’08、10月)(’08、11月)(’08、12月)(’09、1月)(’09、2月)旅する力 深夜特急ノート/沢木耕太郎(’08)人の砂漠(’77)映画化人の砂漠(’10)あなたがいる場所/沢木耕太郎(’11)イルカと墜落/沢木耕太郎(’02)一号線を北上せよ/沢木耕太郎(’03)ポーカー・フェース 沢木耕太郎(’11)LIFE 井上陽水~40年を語る~<1><2>SONGS 財津和夫<1>/井上陽水<1>~<4>NHKスペシャル 沢木耕太郎 推理ドキュメント運命の一枚~"戦場"写真 最大の謎に挑む~冬の旅人「高倉健の肖像」(’88)
 
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           <(C)(株)新潮社>

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by MIEKOMISSLIM | 2014-12-19 01:43 | 本・音楽 | Trackback | Comments(0)


私の暮らしかた / 大貫妙子(’13)

先日、昨年秋に出た大貫妙子新刊エッセイ、「私の暮らしかた」を読み終えました。

これも、先日の「ユーミンの罪」に続き、年頭位に図書館に予約していたのが、先々週末ようやく連絡。こちらも私の後に35人待ちで、なかなかの人気ぶり。今手元に大貫著作「神様の目覚まし時計」「散文散歩」があって、それ以来。


やはりあっさり読み易い文体で、葉山の自宅での、自然志向らしい暮らしぶり、野良猫達、両親、近所とのローカルエピソードや、田植え、皮むき間伐ツアー参加、旅番組での離島訪問など、相変わらずアクティブな活動ぶり、

折々環境問題への考察や率直な気持ち、など綴られてて、音楽の章も少しあったけれど、一番印象的だったのは、近年相次いで他界したご両親とのエピソード。


「空蝉の夏」の章で、お父さんの大貫健一郎氏について書いてあって、かつて特攻隊員で、実際出撃、その後も、あわや、という所で何とか一命をとりとめていて、実際の特攻攻撃の杜撰さ、無茶苦茶な実態が色々と大貫さんの文を通して語られてて、

改めて、戦時中の混沌の中で否応なく散らされた多くの命、このお父さんが「運命の分かれ道」で生きながらえたからこそ、その後大貫妙子というミュージシャンも生まれた、というようなちょっとした感慨も。

章の最期に、大貫氏へのインタビューを元にしたNHK番組があって、のちに、大貫氏と渡辺考共著「特攻隊振武寮ー証言:帰還兵は地獄を見た」という本が、’09年講談社から出ている、と付記が。


ご両親は晩年、葉山の家で大貫さんと同居してたようで、「ともに食べる喜び」の章で、元々本人も、

>食事は私にとって、音楽を作ることと同じくらい楽しくなくてはならないし、手の抜くことのできない行為なのだ。<

というように、元々本人も食にはこだわりあるようだけれど、高齢の両親のため、内容を考えてマメに食事の準備する様子。


でも、お父さんが寝たきりになり、家での介護も大変、そんな中お母さんが急に倒れ、脳幹出血で意識が戻らず、大貫さんは、決まってるコンサートをキャンセルできず、

終わるまで三日間だけ頑張って。と懇願、その後弟さんとの電話で、血圧が下がって、今日が山かもしれない、ときいて、お母さんの写真を胸に、再び懇願、

お母さんは私が音楽を続けることを誰よりも応援してくれていた、きっと聞き届けてくれると妙な確信があった、そしてコンサートが終わった翌日未明亡くなった、というような経過、

その後の淋しさが「お母さん、さようなら」の章で綴られてて、次の「ノラと私のひとりの家」冒頭で、その一月後にお父さんも亡くなった、とのことで、今もなぜふたりがここにいないのかよくわからない。・・というようなくだり。

何だか、今まだ近くに住む私の母は元気ではあるけれど、今回こういう老いた両親との死をもっての別れについて率直に書いている辺りを読んで、

同じ独身である我が身にも一部重なって、やはりとにかく今に至った状況で、母との時間は、悔いないように大事にしておかないと、などと少ししみじみした次第。


大貫さん本人は、それはまあ淋しいだろうけれど、音楽という世界もあるし、その関連で札幌の方にも住居があるようだし、兄や弟、友人知人層もいて、

葉山の家にしても、一人住まいにはなったけれど、折々登場するノラ猫達とのほんわか交流、気心知れてそうな近所の人々との交流もあって、

本人もマイペースにポジティブな姿勢で、そう侘しい孤独な境遇、という感じはこの本を読む限りはしないのだけれど。<(C)(株)新潮社↓>

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「散文散歩」の最後の方にも、両親や弟さんについての章があったのだったけれど、今回思ったよりも、身辺の老いた両親、その介護問題についても率直に語っていて、

やはり音楽での、ヨーロピアン路線での洒脱なエレガントさ、アコースティックライブでの研ぎ澄まされた歌声の崇高な佇まいイメージ、からは、やや飛躍ある真摯な地道さ、という感じ。


そこら辺、大貫さんと同じ様な世代ではあっても、世田谷の家で暮らし、夫婦で音楽界を様々なカードを切りながら走り続ける煌びやかさ、のユーミンは、そういう意味では、日常レベルでは我が身に置き換えようがない、やはり異次元世界の存在、という感じも改めて。

でも大貫さんにしても、やはりまあ音楽業界の一人者たる、というか、草むしりやボランチィア的な自然の中での作業を厭わない庶民っぽいラフさもあるけれど、

食にしても、自分の米のための秋田の田、とか、名古屋のメーカーの注文後1年待ち!の鋳物ホーロー鍋、とか、

どうも夏でもエアコンを一切使わない、料理に砂糖も使わない、とか、一般人からはちょっとマネのしにくいこだわり、ストイックさ、もちらほら、だけれど、やはり食というのは生活の中で大事な要素、とも改めて思えたり。


今回、折に旅ルポはあったけれど、海外編は「ナマケモノを見に行く」のコスタリカのみ、まあ昨今のエボラ熱騒ぎで、「神さまの目覚まし時計」の頃のようなアフリカ旅行、なども難しいだろうし、

’06年の文である「十八年目のただいま」の章で、9.11テロの衝撃で、以降ばったりと国外へ出なくなってしまった、とのこと。

では何が楽しいか、というと、やはり音楽につきてしまう。とのことで、今回音楽のことに触れてるのは章では「歌う私、歌わない私」、坂本龍一とのコラボアルバム、そのツアーについての「ツアーの日々」、

3.11震災での犠牲者の鎮魂の趣旨もあった高野山でのコンサートの「高野山で歌う」、など。


葉山の家を持つ前、東京で、ソロになって徐々に収入が増え始めて段々広い部屋に引っ越していったけれど、初めての一人暮らしの頃は畳4畳半+3畳の台所の木造アパート、

SUGAR BABEの頃は、どこへ行ってもヤジを飛ばされ、応援してくれたファンもいたけれど、その頃のいい思い出がない、とのことで、今となってはの超名盤「SONGS」の頃の、本人の実情改めて、だったり、

最後の「荷物をおろして」の章で、

>ソロ活動に写って40年経って、山下達郎さんと会うたびに、「こんなに長く続けるとは思わなかったね」と話す。彼のようにバリバリの現役がそんなことを口にするほど、商業音楽の地盤はつねに不確かなものだ。<

・・アルバムを録音してきたスタジオも次々閉鎖になって、レコード~CD~配信ダウンロードになって、という状況で、というような状況は認識、でも、

>流行というのは、忘れた頃にまた同じようなものがまたやってくる、結局、創る者は自分の色を鮮明にして、愚直にやり続けることで、流行とは別のところに自分を築き上げていく、

音楽にかぎらずそういう人を私は支持しているし、そうやって長く続けていく人はどんどん自由になっていく。<

などというくだりは、何だかこの人らしい、という感じ。


最後の方で、声帯の衰えを自覚したらすっきり止めようと思う。それはそれとして実は、ごく最近、歌うことが楽しいと思えるようになった、

ゴールが近くなってきたことが心境の変化の理由なのかもしれない、だんだん荷物を下ろしていくようで気持ちが軽くなる、などとあって、引き際への意識、も感じられるような。

先日トリビュートアルバムはチェックしたけれど、思えばこの人のコンサートはご無沙汰、近年のニューアルバムもノータッチ、

折にテープやCDで’90年代までのを流す位だけれど、浮世離れした清涼ボイスで、多少煮詰まった時にも心に風穴を開けてくれる、私にとっては貴重なミュージシャンの一人。

いつぞや渋谷でだったかのコンサートで、公演後恒例のステージへの行列に加わって、花を渡して「お体大切に頑張って下さい」と声はかけたのだったけれど、

やはりその有り方は違っても、ユーミン同様、末永く活動していて欲しい1人、という感覚改めて、というこの1冊でした。

関連サイト:Amazon 「私の暮らしかた/大貫妙子」大貫妙子 公式サイト
関連記事:SONGS 大貫妙子大貫妙子めがね(’07)SONGS 福山雅治/矢野顕子A LONG VACATION From Ladies(’09)風博士/西岡たかし(’76)・Skylightにポプラの枯葉/伊藤銀次(’83)SONGS / SUGAR BABE(’75)期末テスト対策終了大貫妙子トリビュート・アルバム Tribute to Taeko Onuki(’13)<1><2>

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                <(C)(株)新潮社>

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by MIEKOMISSLIM | 2014-11-03 01:30 | 本・音楽 | Trackback | Comments(0)


ユーミンの罪 / 酒井順子(’13)<2>

ユーミンの罪 / 酒井順子(’13)<1>の続き

本人との直接の接点、というのは以前、何度かユーミンDJのラジオ番組で本人やジャニス・イアンの曲などリクエストをかけてもらった、とか、一度少しだけ込み入った恋の相談内容のハガキを読んでくれて、

「この人は自分のことが良く分かってますね・・難しいと思いますけど、幸せになって下さい。無責任ですけど・・」などと答えてくれたこと、位だけれど、

直接の実際のお人柄、などは不明でも、様々な曲にある、そういう微妙な意識、感情を”肯定してくれる”感、というのは、意外と大きなファン要素、とも改めて思う。


そういう意味で、あとがきでの「ユーミンは救ってくれすぎた」という40代の独身女性の声。

確かに私も、ユーミン曲によって、田舎にいながら都会への夢を見たり、実際恋に対してふりしぼる勇気を得たり、失恋の痛手が薄まったり、辛いことより快い思い出が曲と共にフリーズパックされてたり、というだけでなく、

様々な曲が提供してくれる疑似友情や恋愛で、人生の一部をまかなってきてしまったのでは、というようなことも頭をよぎったり。


最初の「ひこうき雲」の章で、>今思えば、ユーミンが見せてくれた刹那の輝きと永遠とは、私達にとって手の届かない夢でした。しかしその時、それらはあまりにも甘く、魅力的に見えたのです。・・

ユーミンに対しては「いい夢を見させてもらった」という気持ちと「あんな夢さえみなければ」という気持ちとが入り混じる感情を抱く人が多いのではないでしょうか。

かくいう私もその一人。ユーミンを聴かずにもっと自分の足元を見ていたら、違う人生もあったかもね、とも思います。

・・しかし、自分の感情と生活が描くカーブと、ユーミンの曲が提示したカーブとがぴったり一致したと誤解できた若い頃。

あのシンクロ感にともなうぞくぞくするような興奮は、今もユーミン曲のイントロを聞くと湧きあがるものであり、その感覚に軽く鳥肌を立てつつ、「これにはとてもあらがえなかった・・」と、思うのです。<

などとあって、まあ人それぞれとは思うけれど、やはりユーミン曲を通してみた夢の影響、というのは私の人生の中でも、決して小さくはない、

大学時代、一時期ボーカルやダンスレッスンに通ったこと、シンガーなど志望には自信がなく、でも音楽関連の仕事に就きたくて、有線会社に入ったこと、結局20代後半に、田舎から単身上京してきて以来東京住まい、ということ、

遅ればせながら、塾講師しつつ一時期デザイン学校のイラスト科に通ったりしたこと、気付けばワーキングシングルであること、その他もろもろの自分の在り方、について、過半数というつもりはないけれど、

自覚的には良くも悪くも30~35%位は、何らかのユーミン(曲)の影響で、ユーミン曲にハマっていなかったら確かに違っていたのでは、という感じ。

音楽の嗜好的にも、ユーミンの前は陽水をよく聞いてたけど、ユーミン関連で好みになったミュージシャンも多いし、あの時ユーミン曲に出会わなかったら、次にどんな音楽にいってたか?だけれど、多分何にせよあれ程の影響、インパクトはなかったのでは、と。


この著者のように、もっと自分の足元を見ていたら・・とも、やはり、とても抗えなかった、というのも、正直な所だし、やはりユーミン曲への愛着は変わらずとも、今と昔では実質スタンスも違うのは確か、

この著者は、こういう本を出しはしたけれど、(以前の)決別へのケジメ、のようなニュアンスも感じられなくはないし、個人的にユーミンとの付き合い、というのも特に見かけないし、もしかして今はユーミン(曲)とは距離を置いてるのかも?しれないけれど、

そういう風にある時期がきて離れていったファン、また往年のファンの2世代目で新たにファンになった層などもいる中、いまだユーミン自身はバブル終焉後の世界でも、走り続けてる、という事実。

私自身は、80年代までの傾倒ぶりに比べれば、やはりこの著者のように、90年代半ば頃からユーミン曲から徐々に疎遠になっていった時期があったけれど、近年また引っ掛かるようになってきて、やはりいいものはいいのだ、という感じ、

まあ後悔先に立たず、だし、今となっては自分の人生の特色の一つとして、それなりに生活の潤いとの一つしてプラス思考で関わっていければ、と改めて思う。


トータル的には、前述のようにユーミン本として、「ユーミンの吐息」を超えはしなかったけれど、女性目線での色々、

改めてユーミンの特に作詞面だけでも、女性の生き方にある意味「罪」と言わせる程の影響力を持ってきた”ただ者じゃない”クリエイター資質、

言われてみればなるほど、という目新しい分析もあったり、漠然と感じてたことが文面で指摘されてて合点がいく、という所もあったり、なかなかユーミン曲生身感、という意味で面白く味わった1冊でした。

関連サイト:Amazon 「ユーミンの罪/酒井順子」Amazon 「ユーミンの吐息 / 深海遙」
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                  <(C)(株)講談社>

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by MIEKOMISSLIM | 2014-09-23 05:48 | 本・音楽 | Trackback | Comments(0)


ユーミンの罪 / 酒井順子(’13)<1>

昨年秋に出ていた”ユーミン本”、遅ればせながら先日読み終えました。

年明けに図書館で予約してたのが9月に入ってやっと到着、私の後にも予約は百人位いるようで、なかなかの人気ぶり。

初耳だったエッセイスト、酒井順子著、「ひこうき雲」~’91年「DAWN PURPLE」までのアルバムごとに、様々な形で各時代の微妙な女性心理に寄り添ってきたユーミン詞を分析した内容。


この手のユーミン本で、女性が書いたものはこれまで覚えなく、今40代後半で、ユーミン絶頂期に青春時代だったユーミン世代の一人だった著者が、当時自らユーミン世界にハマっていた経験を踏まえてユーミン詞を斬っていて、

こういう路線では、「ユーミン愛の深層心理 / 富田隆」(’92)もあったけれど、こちらの「ユーミンの罪」は、何だかタイトルからして、だけれど、女性目線でのリアルさ、というのもあってか、

ユーミン曲が女性(の深層心理面)に及ぼした影響、などまあ結構生身の肌触り感、我が身につまされるようなシンクロ部分もあったりで、ややほろ苦い後味も残った1冊。


ただ、内容はユーミン曲のサウンド面にはほとんど触れておらず、とにかく恋愛面の詞の世界を中心に追っていて、また各アルバムごとに何曲か断片的に取り上げて章にしている、という構成、

a0116217_2314193.jpg昨今のユーミンファン層、音楽ファン層に広く読まれやすい、というのはありそうだけれど、

やはり”かゆい所に手が届く”的には、変わらずマイベストユーミン本の「ユーミンの吐息 / 深海遙」(’89)に軍配。<(C)(株)ミリオン出版→>

深海遙という人は、思えば情報も少なく性別不明、他にユーミン本「松任谷由実の世界 Yuming World」や村上春樹本も書いてて、文体の印象から男性と思ってるのだけれど、

著者の思い入れある曲ごとに掘り下げた「偏愛名曲を読む」章、もそうだけれど、ユーミン曲の、恋愛部分のみならずの情景描写やサウンドも含めた総合的な”感性の震え”部分に斬り込んでいた、というのは、「ユーミンの罪」にもないテイスト、

自分のユーミン曲真骨頂的には、この「ユーミンの罪」は、ある面のユーミン曲本質を突いてはいても、そのナイーブな魅力を探る、的にはややドライ過ぎ、という感じ。


9/23追記:それでも、折々へえなるほどそう言われれば、という箇所があって、アルバム単位では、

思えば、「MISSLIM」を子供時代に初めて聞いて以来、「2 ダサいから泣かない MISSLIM」で触れられてるように、「海を見ていた午後」や「たぶんあなたはむかえに来ない」の、ダサいから泣かない、男にしがみつかない女は新しい存在、というような感覚は持ったことがなかったけれど、



ユーミンは’70年代の半ばに、’80年代の女性がどんどん強くなっていった時代を予感して、先取りしていた、とのことで、ナイーブな情景描写の中の、感性は豊かだけれど、「男にしがみつかない女性」的な洗練、カッコよさ、のような部分も、無意識に魅力の一つになってたのかも。




「9 祭りの終わり 昨晩お会いしましょう」で、アルバム中「タワー・サイド・メモリー」「手のひらの東京タワー」で登場の2つの”タワー”は「進化や成長を欲する心」の象徴で、まだ阪神・淡路大震災の前’81年、ユーミンは「都会の象徴」としてタワーを登場させた、とか、

「12 女に好かれる女 VOYAGER」で、アルバムジャケットで、青いビルの谷間を1人泳いでるユーミンが、華麗なクロールとかでなく平泳ぎっぽいのは、

女が都会で一人で生きていくという航海は、いつも颯爽としてる訳でなく、時に溺れかけ、時にジタバタもがくもの・・ということを示しているのでは、というような指摘。


「19 永遠と刹那、聖と俗 天国のドア」では、ユーミン曲の、永遠と刹那、ということ。このアルバムの聖と俗との極めて強いコントラストが指摘されてて、

そういえば、「Miss BROADCAST」で忙しなく働くOL、まさにバブル時のイケイケの勢い彷彿、の「Man In the Moon」のハイに躍動する成功志向の男の歌、

好きな「ホタルと流れ星」のような、「同じ光を見てた あの時確かに見てた・・」という共有した刹那を惜しむような失恋ソング、



かと思えば「時はかげろう」「Glory Birdland」「SAVE OUR SHIP」のような、日常を超越したようなスケール感ある曲、も交じって、

ユーミン曲の、日常の中の一瞬を切り取る美しく儚い刹那的要素と、目に見えない時空に及ぶ”永遠”(への憧れ)感要素ミックスというのも、魅力のエキス、というのも改めて。  


刹那、という点では、「1 開かれたパンドラの箱 ひこうき雲」で、1曲目「ひこうき雲」では、「人間は死ぬ」ということ、死んだ人間は、ある時の姿のまま、他人の記憶の中で”フローズン”されること、そんな一瞬の感覚が1つの曲に閉じ込められていて、



ユーミンが始めたニューミュージックの何が「ニュー」だったか、と考えると、それは「瞬間を切り取る」という部分、・・・つまり面や線でなく「点」だけを示すそのやり方ではないか、というような所は、いつからかかねがね思ってる、ユーミン曲=音楽の印象派、感覚とまさにシンクロ。

ただ、ユーミンが念写、と言ってた、曲に織り込まれるある風景や空気感、というだけでなく、「ひこうき雲」の場合は、小学校時代の同級生の死の知らせに対して、多感な一少女が受けた一瞬の感慨、というものが曲に転化された、という、そういうパターンも、と改めて。


「5 恋愛と自己愛のあいだ 流線型’80」で、同じ死を扱った「12階のこいびと」について、これって端的に言えば「別れる位なら死んでやる」意味合いだけれど、歌詞からも女の情念の重さを感じさせない、

飛び降り自殺すら、切り取り方によっては詩的で、ユーミンは「湿度を抜く」ということに関して天才的才能を持っている、・・・自死という重すぎる状況からも、湿度と重みを取り去り、一瞬の絵のような歌として仕上げられる、というくだり。


その手法は、数々の恋愛沙汰シチュエーションでも使われてて、「6 除湿機能とポップ OLIVE」で、「冷たい雨」にしても、中島みゆきさんが歌ったら、どれだけ声を震わせその怒りと絶望を表現するだろう、という

この歌詞からも、ユーミンは見事に湿度を除去してみせてる、それはメロディとアレンジとで薄めてる面、冷たい雨というモノクロ世界赤い靴が浮かび上がる色彩感覚が湿り気より印象的、という面もあって、

ユーミンが恋愛のカリスマになったのは、誰もが知ってる位感情を、重くなくお洒落に、すなわちポップに歌い上げたからだと思う、のような所。

その真骨頂は、「10 ブスと嫉妬の調理法 PEARL PIECE」で、著者が情念ソング三曲、と名付けてる「真珠のピアス」「DANG DANG」「忘れないでね」で、
                

まあ「真珠のピアス」は、真珠爆弾を別途の下に仕込む女、という比較的ストレートな嫉妬行為、だけれど、「DANG DANG」も、単なる前向きな「失恋ふっきりソング」ではない、

相手の新たな相手の友達になるもくろみ、が表明されてて、まだ”ストーカー”という言葉が世に出てない時代だけれど、ストーカー的要素が盛り込まれてる、という指摘。

「忘れないでね」も、夜中に元カレにイタ電をかける、淋しさだけでなく嫉妬という要因が深くかかわってくる、という、まあこの3曲って確かにある種ユーミン的情念ソング、なのだけれど、

何だか薄々感じつつ、この著者が指摘しててなるほど、と思ったのは、その3曲に共通する、嫉妬という醜い感情をコントロールできないことに対する言い訳行為をしているヒロイン、という面。

「真珠のピアス」では、相手の新たな彼女のことを「かわいいあの女(ひと)」と呼ぶ、善良さが自分の中にある、というアピール、

「DANG DANG」では、冒頭の「あなたにふさわしいのは私じゃない」で、こんなにあなたを思っているから身を引く、利他的な人間なのよ、私は、という主張、

「忘れないでね」では、「うたがわれた土岐は心配させちゃだめよ そう どこかのいたずらと言って」で、こんなに淋しい私なのに、あなたの奥さんのことは気遣っているのよ、身の程を知ってるでしょう、という自己憐憫、自己陶酔、など、

まあ各詞の中で、表立って、という訳ではないけれど、確かにそういう、嫉妬にかられつつ、自分を良い子に見せよう、という心理、というのが薬味(隠し味?)のように使われてる各曲、と改めて。

この3曲では、「DANG DANG」が一番好きで、確かに、ちょっとしぶといヒロイン、とは薄々思いつつ、波のうねりを思わすイントロからの、失恋+吹っ切るように海辺を走るスピード感の前向きなある種の心地よさの魅力、ではあったけれど、そこに+アルファで、自己憐憫、という味付けも加わっていたかも。



この絶妙薬味で、女性達は「ユーミンはわかってくれている」と思って、自ら嫉妬地獄に陥った時に、これらの歌を聴くことによって満足して、実際の行為に出るのを自制できたかも、という、一面。

ユーミン自身はその辺り、どの程度確信犯的か?で、他にこういう類の曲が色々思い浮かぶわけではないけれど、

そういえば「まちぶせ」なんかも、ヒロインのとってる行動に「別の人がくれたラブレター見せたり 偶然をよそおい 帰り道で待つわ」という、相手の気をひこうとする意図的あざとさ、はちらつくのだけれど、

そういう行動をとる原因として「好きだったのよあなた 胸の奥でずっと・・」というピュアな一面をアピール、みたいなバランス、もそういう類かも。



こういう嫉妬に際しての言い訳的要素は、中島みゆき情念ソングにはちょっと思い当たらず、いiつか対談で、みゆきさんがユーミンに、あなたは誰にでも好かれようとするのが弱点、でもそれがあなたのいい所だけどね、というようなことを言ってたのを思い出すけれど、

そういう、ある種開き直った嫉妬どっぷりになりきらない、またはないきれない、あざとさ、気弱さというか、ある種の少女っぽさを残した?微妙な女性心理、まで網羅して(くれて)いるユーミン曲、という側面も改めて。


そしてこれらの嫉妬テーマ曲にしても、重苦しくならないのは、やはりメロディやアレンジの要素も大きいのだろうけれど、著者は、それだけではない、

ユーミンが「スキーって、楽しいよね」というように「嫉妬って、するよね」と肯定はすれども、「嫉妬って、苦しいよね」とは歌わない、絶妙な味付けのせい、ということ。


あとがきで、ユーミンはそういう女が内含するドロドロしたものを全て肯定し、ドロドロをキラキラに変換してくれた、私達は、そんな風に甘やかしてくれるユーミンが大好きだった、とあるけれど、

特に松任谷になってからユーミン曲には、助手席に座る女性、相手に連れて行ってもらう、相手を眺め、見守ることで満足する女性、男にしばられず生きる女性など様々な女性が登場、

そしてユーミンは作詞面でも、そういう様々な女性達の強さと弱さ、嫉妬、向上心なども含めての肯定、言いかえれば、やはりデリケートな感情的表現力、包容力、というのが、ずば抜けてるクリエーター、というのも改めて。

ユーミンの罪 / 酒井順子(’13)<2>に続く

関連サイト:Amazon 「ユーミンの罪/酒井順子」Amazon 「ユーミンの吐息 / 深海遙」
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               <(C)(株)講談社>

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by MIEKOMISSLIM | 2014-09-21 23:10 | 本・音楽 | Trackback | Comments(0)


才輝礼賛 38のyumiyoriな話 / 松任谷由実(’11)<3>

才輝礼賛 38のyumiyoriな話 / 松任谷由実(’11)<2>の続き

そして、この対談シリーズ34回のおすぎの回、丁度話してる時に3.11大地震勃発、2人ともテーブルの下に避難、という覚えで、おすぎとの談話では、直接その話は出てなかったけれど、その後3回は、3.11以降。

a0116217_22312561.jpgその内の1人、小林克也は、・・大震災があって、いろんな分野で、今まで正しいとされてきたやり方っていうのが、ひょっとしたら違うんじゃないかと思われ始めてきた。だから逆にこれからは新しい時代だと考えてほしいと思う。

・・(日本が)経済力や技術力で、韓国や中国にトップを奪われれば確かに悔しいけど、僕はそれぞれに出番が廻ってくるんだよ、みたいな考え。物質的なことばっかりじゃなくて、総合的には、もっといい時代になるんじゃないかな。

・・節電で街が暗いけど、この暗さが必要だったんじゃないかな。「そういえばよその国の都会は、こんな暗さだよなあ」みたいに思ったり。と語って、ユーミンが、ヨーロッパみたいですよね。と受けて、

小林克也が、そうそう、だからそういう意味では悲観してないんです。80年型の繁栄ではなくて、まったく新しい時代が始まってほしいなという気持があります。のような締め。


そういう各人のコメントを読んで、3.11以前の対談でも、もはやマネーゲームの時代は終り、お金に変わる物差しが必要、古き良きものの見直し、アナログの価値、などという声もあったけれど、

やはり私も、前にも触れてたけれど、特に3.11を機に、色んな意味で、何だか個人的なバブル期も終わった、とも感じたし、今は巷で、昨年程の自粛モード、というのも薄らいではきたけれど、何と言うか、価値観的に、バブル期などのままではとてもいられない。

逆に、今も依然としてそういう価値観を振りかざす感覚の方が、どうも異様に思えてしまったり。やはり今やお金、ではなく知恵の絞り所+身の丈、で、かつ楽しみも見つけながら地に足をつけてやっていく時代、と思う、という所。

何だかバブル時代の申し子だったユーミン対談集で、そういう所が引っ掛かった、というのも、言ってしまえば止められない時代の流れ、かも。



7/4追記:その他、引っ掛かった箇所はキリがないけれど、

a0116217_22443197.jpg最終回の陽水の回、互いの(曲のネタ仕入れ)勉強、のような話題で、陽水は前にも特番で触れてたように、色川武大氏の所へ麻雀を打ちに行ってたり、ユーミンは電車やファミレスでの人間観察、とか挙げてて、

陽水:最近脚本家の橋本忍の本を読んで、黒澤監督が求める人物描写のために、山手線でずっとある人を見定めて、どういう人なのかを自分なりにイマジネーションで書いて、

駅に着いたら一緒に降りて改札口まで行って、またひきかえしてくるみたいなことをやってたそうなんですね。ですからユーミンもそういうところに興味があるのかなあとか、思ったんですけれど。

ユーミン:ただ、陽水さんもそうでしょうけれど・・、あんまり人が深読みするほどは・・(笑)。 陽水:テキトーなんですよね。そんなに真面目じゃないですよね。 ユーミン:ねえ。 

陽水:そういう生真面目な能力があれば、きっと立派な大学でて、立派な企業に勤められているはずですよ。どこかいい加減なんです。・・その点、ユーミンが長きに渡って多くの人達を魅了し続けてこられたというのは、やっぱりすごい。その苦悩とか努力とかさ、秘訣を・・。

ユーミン:自分だってそうじゃない。 陽水:いえいえ、わたくしは結構いい加減な感じで、平気で長期間休んだり、「信じらんない」みたいな作品も沢山ありますから(笑)。ユーミンの場合、全部クオリティが揃ってて。

のような、まあこの2人ならでは、のような、あ・うんの会話、というのも面白かったり。


あと、ユーミンが陽水に、森光子さんとの言うことが、深くて印象的でした、と挙げてて、その森光子の回終盤、スターゆえの苦悩、孤独感、のような話、この域の人だから、というユーミンへのエールの言葉、というのもあったのだけれど、

a0116217_2246721.jpg最対談者の発言で、私は一番インパクト残ったのは、森英恵の終盤の言葉。

終盤、ユーミンが、・・もうお辞めになりたいという時も、表に出さずとも何かあったんじゃないかなって。もし何かいやになっちゃったりした時に、どういうふうに乗り越えられたのかなというのをちょっと伺いたかったんですけれど。と向けたのに対して、

森:あ、松任谷さんも、そういうこと、あります? ユーミン:ありますね、しょっちゅう。 森:そういう時は、静かに勉強する。戦ってもしょうがないわけですもんね。何回もありましたよ、そういうこと。

ユーミン:重みがあります、ものすごく。ちなみにどういう勉強をされたんですか? 森:「自分はここがちょっと弱かったな」と思うようなことを勉強したり、読みたかった本を読んだりしました。

ユーミン:これまた深く心に突き刺さります。というようなやり取り。正直森英恵ファッションには縁も興味もなかったけれど、やはり、八方塞の時、自分に出来ることは「静かに勉強」、というのが、何だか、読んで何日か経って、じんわり効いてきた感じで、しみじみ感慨。


そういう所で、本当に様々なジャンルの人達VSユーミンの紙上コラボを味わった、という感じ。やはり「徹子の部屋」の黒柳徹子のように、あとがきにもあったけれど、ユーミンも資料はしっかりチェックして臨んだ、ようで、

各対談でもそれは伺えて、やはり普段のユーミンとの距離感、多少なりとも好感度、もあっての人選、かとは思うけれど、バズ・オルドリン氏や根岸英一氏とか、日本のショービジネス界に無縁な大物もいたりしたし、

そこまでは飛んでない大方の、各界ベテランから新人まで、やはり多かれ少なかれユーミンという存在への敬意、が感じられて、ユーミンもラフに、相手の話を引き出して展開させてて、引き出しの広さ、というのは改めて、で、

相手のスタンス、反応、展開によってホストであるユーミン自身の意見、エピソードなども割とざっくばらんに垣間見えたりしたのも味の1つだったり、各人の、今後の日本、世界観、とか、

その他逐一挙げなかったけれど、それぞれのジャンルの人だからこそ、ユーミン相手に滲み出る言葉、とか、久し振りに、色々多彩な味わいある1冊、ではありました。

関連サイト:Amazon 「才輝礼賛/松任谷由実」
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SONGS Charaハルフウェイ(’09)麗美ファーストフライト(’85)BANDAGE(’10)僕らの音楽(ゲスト井上陽水)かもめ食堂(’05)帰れない二人(’73)旅する力 深夜特急ノート / 沢木耕太郎(’08)LIFE 井上陽水~40年を語る~<1><2>少年時代(’90)井上陽水 40th Special Thanks TourSONGS 財津和夫<1>/ 井上陽水<1>~<4>SONGS 井上陽水春、バーニーズにて(’07)ー追悼・市川準監督ー大停電の夜に(’05)単騎、千里を走る(’06)愛の流刑地(’07)ハッピーフライト(’08)HERO(’07)風のガーデン(’08)~最終話ナツユキカズラ櫻の園(’08)竜馬の妻とその夫と愛人(’02)-追悼・市川準監督ーTHE 有頂天ホテル(’07)ガンジス河でバタフライ(’07)ザ・ムーン(’07)Little DJ 小さな恋の物語(’07)
<スレッドファイルリンク(ここでは「単騎、千里を走る」「THE 有頂天ホテル」「Little DJ 小さな恋の物語」)は開かない場合あるようです。>

      (C)中央公論新社

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by MIEKOMISSLIM | 2012-07-04 02:42 | 本・音楽 | Trackback(1) | Comments(0)


才輝礼賛 38のyumiyoriな話 / 松任谷由実(’11)<2>

才輝礼賛 38のyumiyoriな話 / 松任谷由実(’11)<1>から続く。

a0116217_136542.jpg対談相手の中で、自身も「王道」を志す、話をしてたのは中井貴一。最初は彼が、「RAILWAYS」の主題歌を書いていただいて、ありがとうございました。こちらこそ光栄です。・・のような始まりで、

彼が、あれがデビュー作だった三浦貴大を見て、純粋にカメラの前に立ってた自分を思い出させてもらえた。・・と振り返って、ユーミンが、主題歌(「ダンスのように抱き寄せたい」)と同時リリースしたのが、「バトンリレー」で、「引き継ぐ」がテーマ、

期せずして中井さんと三浦さんのプライベートな背景、(俳優という親の職業を)引き継いでる人同士がバトンを渡し合うような所が映画の中に見えて、グっときてるんです。のようなエール。

私は見た後で、あれが友和・百恵ジュニアだった、と判って、そう言えば両方のムード、面差しが、と思ったのだった、と思い出したり。


そして、昔2本目の出演作「父と子」で共演した小林桂樹に、「君は王道を歩む俳優になりなさい」、「これからアウトローが受ける時代が来る。でも、アウトローは、王道がいなければ成立しないんだ。王道は大衆の中にある」と言われて、

それが決定的な一言で、「評価されないよ、王道っていうのは。でも、そこを歩いていく勇気が絶対に必要なんだ」って、

この30年間、それを貫こうと思ってやってきて、王道って、世の中の大半を占めるサラリーマンを演じられる俳優という意味、と思ったんですよ。・・のような話。

少しあとで、ユーミンが、なんか中井さんって、道(どう)から入るんじゃなくて、やってきた上で道(みち)ができてるような。とか、

中井さんって、発言も王道なんだけれど、ちゃんと面白いんですよね(笑)などと言ってたけれど、そういう内面の姿勢への共感もあっての対談実現、の1つだったのかも。


7/3追記:そして、ゆずの2人も、北川悠仁が、色々やっていくと、結局、自分達は世代を超えられえるような音楽をやりたいと思う。「自分達がど真ん中でやるべきだ」みたいな、なんか変な使命感みたいなものがあって。と言って、

ユーミンが、そこは共通点かな、ゆずと私の。・・と応じて、岩沢厚治が、以前、スタジオでユーミンさんが、『サビはこの王道な感じで」って言って、その「王道」って、いまだに覚えてますね。いい言葉だなあって。と。

で、ユーミンが、・・私のケースで言うと、最近以来される仕事は、すごく王道を求められるんです。「スタンダードなものを」って。そういう思いには応えなきゃと思って。と言ってて、それはもしかして、近年の映画主題歌のことなどかも、と。

北川悠仁が、でも、不思議ですね。ユーミンが今まで歩んできた道のりって、フロンティア精神があって、どの曲を見ても、当時はスタンダードじゃなかった。時代を経て、振り返るとそれがスタンダードになってるっていうのは、すごく面白い。などと指摘、

ユーミンは、真似されるのが大嫌いでね。幼稚園の頃から。でも人がやってないことって、するほど真似される。そういうのにイラついた頃もあるけれど、振り返らずに自分が面白いと思うことをやるしかないという、そういう気持になってるんだけどね。

というような応酬も、期せずして王道、というかスタンダードになってたユーミンの音楽性、というのも改めて、という所。(追記分終り)



a0116217_1375041.jpgまた、おすぎとの話の中でも、ユーミンが、この頃、「普通の人」のお役に立てればなと思って音楽をやってるんですよ。映画見たり音楽聴いたりして「贅沢だね」「幸せだね」って言ってる人にも、そこはかとない悲しみや苦しみがあると思うんですよね。というコメント。

それを受けておすぎが、そういうものを吐き出さないからね、多分。話したり、声を聞いたりして人を作っていくコミュニケーションが、今なくなってるじゃない、そういう人達に、ユーミンの歌が染み込んでいくといいね。・・のようなやり取り。

ユーミン曲は昔から、ラブソングの形を取った、景色や空気感スケッチの印象派、という感じ、メロディや詞の独創性、クオリティやバラェティ保ちながら、沢山の聞き手が自分の内面の一部をシンクロ出来る懐深さ、

だからこそ、私もまさにその情景や旋律、匂い、感情とかが無条件にDNA的に埋め込まれてる曲多々、それはやはり、メジャーの衣を着たカルト的領域、じゃないかと思うけれど、

今、デビュー40周年目の域で、自ら意識して”王道を行く”、とか”普通の人”に届けたい、とその道筋を表明、姿勢を正す、という感も。

何だかこの混沌とした時代、私はあえて奇をてらう索漠、殺伐としたものは、別にいらない、と思うし、ユーミンなら”王道を行く”とは言っても、その中で妙技、というか、趣あるものを提供してくれるだろう、という感じ。



7/3追記:あと、何人かとのパターンとして、ユーミンが終盤、これから日本、世界はどうなっていくと思いますか?という問いかけへの各人の反応が、ちょっと引っ掛かった所。

石田衣良というコピーライターの人は、私は初耳だったけれど、日本について、割と今大日本主義の人がいて、立派になった方がいい、軍もちゃんと整備して、国連でもきちんとした地位を占めた方がいい。

でも、僕は今のポジション、・・2番手、番頭でいいと思いますね。・・それで戦争で人が死ななくて、世界貿易の恩恵を受けられるなら、それがいい。あとは、なるべくしのぎやすい、過ごしやすい国を作っていけば。

基本的に今後の60年も今までの60年の延長上にあって、変わらないと思う。・・それは、一人一人の日本人の心のあり方に基づいているからじゃないですか?本当は、誰かに決めてもらいたい、お上に任せて楽をしたい、ただ、目の前にある仕事は、一生懸命やりたい。

1人1人が職人なので。それが日本の一番の強みであり、弱点でありますね。などと語ってて、ユーミンは、言葉は違うけれど、同感なところが多いです。と応じてたけれど、それは石原都知事の日本人についてのコメントの裏返しのような、という感じもしたり。


小林武史は、世界がお金や権力みたいなものに傾き過ぎてるので、お金の物差しに取って代わるものが、もっと多様に出てきてほしい。・・知恵の世界みたいなものがもう少し戻ってくることに期待してます。

・・日本の未来は、超鬱状態ですよね。・・もっと痛い思いをして、悲鳴が出てこないと日本は変わらないのかなと・・今の経済危機も「のど元過ぎれば」で、また土地の値段が上がりだして、躁状態に戻る。

僕はそうなってほしくなくて、足元の第一次産業にもっと光が当るといいいなと。等と語って、自身、先日、石垣島で、生まれて初めて田植えをした、のようなエピソードも。


a0116217_2242833.jpg姜尚中は、一昨年末「ミュージック・ポートレイト」で、正隆氏の相手、で、知った人、その時のように、自分のバブル期に聞いた「中央フリーウェイ」談、などもあって、

学生時代、前衛芸術や左翼活動をやってた友人が、・・それまでの全部をひっくり返して、企業戦士に変わる。それが出来ない僕は落ちこぼれだった。それで、今回松任谷さんの歌を聴いて、あ、この人が一番一貫性があったんじゃないか、と。と語って、

ユーミンが、それは・・アートにはイデオロギーがないからでしょうね。その時に面白いと思ったもの、自分が盛り上がるものを追い求めてるので、・・一貫性はあるかもしれません。などという応酬もちょっと引っ掛かった所。


この人は、これからの世界は、一言で言うと、身の丈で生きる世界なんだと思います。バブルの時に札束を切って、どこかのクラブで飲み明かすとか、ミニバブルを作って、

何とか不動産の価値をあげるとか、円安、金利安で外需依存型の、ものを沢山作って設けるとか、そういうことがなくなる。

世界中の人がそれに気付き出して、アメリカももはや一国では世界を動かせない。これからは多角的にいろんな国と協力して、・・ポスト京都議定書を批准しようとか、核削減に向かおうとか、アメリカなりに身の丈で生きようとしてて、日本もそうなると思います。

ユーミンが、資本主義社会自体が限界を迎えるんですか?と聞いたら、もうすでに限界がきてるという人もいますね。環境業界がハイブリッドカーやエコカー、それから電気産業含めて、環境のリミットを超えられれば、まだ延命すると思います。

ただ、金融で儲かる時代は終わるでしょうね。・・(次の時代は)中規模の、自分にとって馴染みやすい技術、地産地消のような、生活しやすい環境。と挙げて、ユーミンがスローライフですよね。と受けて、

そういうことですよね。音楽も多分、そういう音楽へち向かっていくんじゃないかな。うん、そうかもしれない。のようなやり取り。


建築家の隈研吾は、日本の未来について、・・建築をおろそかにしちゃいけないと思いますね。建築問題は、教育問題でもあるし、福祉の問題でもあるし、全部に絡む問題なんです。

日本は、まだまだ建築が社会の一部になってない。木造の長屋に住んでた江戸時代みたいな一体感は、まだ回復できないような気がするなあ。と語って、

ユーミンが、ああ、それは「回復」ってことなんですか。でも、その時代には建築家はいないですよね。と受けて、隈氏が、そう、いなくてもいいくらいに一体化してたわけだよね、建築と生活が。・・のような指摘。


中井貴一は、・・日本に関して言えば、僕は今が転換期だと思ってます。古いものを捨てて新しいものを作り出すのもいいけど、古いもののよさを再構築していくことも1つの挑戦。

経済がダメになればなるほど、これからすごいことが出来るんじゃないかってワクワクしてる自分を感じますね。・・子供が夢をもてなくなったっていうじゃないですか。僕、ガキの頃に、車掌さんに憧れてたんです。切符を切る車掌さんの職人技に。

すべてが便利な世の中になってくると、目に見える職人芸がなくなってくるんですね。カチャッとやればカチャッと出てくる、あの機械になりてえ、と思う人はそういないわけであって。

デジタルが普通な時代に、アナログを感じられる場所を残しておくのが大人の使命だって僕は思うんだけど。のようなコメント。

才輝礼賛 38のyumiyoriな話 / 松任谷由実(’11)<3>に続く

関連サイト:Amazon 「才輝礼賛/松任谷由実」
関連記事:松任谷由実EXPOドームライブあの歌がきこえる「魔法の鏡」「海を見ていた午後」「卒業写真」松任谷由実コンサート THE LAST WEDNESDAY天国の本屋~恋火(’04)さよならみどりちゃん(’04)時をかける少女(’97)瞳を閉じてクレイジー・キャッツプレミアム10 松任谷・寺岡・ゆず等シャングリラⅢYuming Films(’07)SONGS 石川セリ「いちご白書」をもう一度(’75)ユーミンと映画・市川準監督そしてもう一度夢見るだろう/松任谷由実(’09)・No Reason~オトコゴコロ~/高橋真梨子(’09)TRANSIT2009チケットMusic Lovers・SONGS 松任谷由実<1><2>探検ロマン世界遺産 ユーミン×世界遺産TRANSIT2009コンサートShout at YUMING ROCKS('09)VIVA!6×7/松任谷由実(’04)クリスマスの約束(’09)時をかける少女(’10)音楽のチカラ「青春の言葉 風街の歌 作詞家 松本隆の40年」RAILWAYS 49歳で電車の運転手になった男の話(’10)クリスマスの約束(’10)ミュージックポートレイト~人生が1枚のレコードだったら東日本大地震<2>Music Lovers 松任谷由実松任谷由実のオールナイトニッポンTV4僕らの音楽 松任谷由実・薬師丸ひろ子・おすぎMUSIC FAIR 松任谷由実NHK 東日本大震災チャリティー企画 ユーミン×SONGS 「春よ、来い」プロジェクトSONGS 松任谷由実RoadShow/松任谷由実(’11)マリン・ブルー/マザー・グース(’77)RAINY DAY HELLO/須藤薫(’82)SACHET/門あさ美(’80)手のひらの東京タワー/松任谷由実(’81)押入れの整理<1> <2><3><4>RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ(’11)SONGS 沢田研二ザ・タイガースを歌うSONGS 山本潤子春よ、来い in 紅白歌合戦SONGS 松任谷由実~2012スペシャル~鈴子の恋(’12)「春よ、来い」カバー 男性シンガー編「春よ、来い」カバー 女性シンガー編マンタの天ぷら(’97)・僕の散財日記(’05)/松任谷正隆虹色ほたる 永遠の夏休み(’12)才輝礼賛 38のyumiyoriな話 / 松任谷由実(’11)<1>

SONGS Charaハルフウェイ(’09)麗美ファーストフライト(’85)BANDAGE(’10)僕らの音楽(ゲスト井上陽水)かもめ食堂(’05)帰れない二人(’73)旅する力 深夜特急ノート / 沢木耕太郎(’08)LIFE 井上陽水~40年を語る~<1><2>少年時代(’90)井上陽水 40th Special Thanks TourSONGS 財津和夫<1>/ 井上陽水<1>~<4>SONGS 井上陽水春、バーニーズにて(’07)ー追悼・市川準監督ー大停電の夜に(’05)単騎、千里を走る(’06)愛の流刑地(’07)ハッピーフライト(’08)HERO(’07)風のガーデン(’08)~最終話ナツユキカズラ櫻の園(’08)竜馬の妻とその夫と愛人(’02)-追悼・市川準監督ーTHE 有頂天ホテル(’07)ガンジス河でバタフライ(’07)ザ・ムーン(’07)Little DJ 小さな恋の物語(’07)
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by MIEKOMISSLIM | 2012-07-02 23:44 | 本・音楽 | Trackback(1) | Comments(0)


才輝礼賛 38のyumiyoriな話 / 松任谷由実(’11)<1>

先日、昨年秋出版だった、ユーミンと各界の38人との対談集の本を読み終えました。

'08年8月~'11年8月まで読売新聞夕刊に連載されてたコーナーの再編集、とのことで、中にたまにネットで見かけた回も。

春先頃だったか図書館に予約入れてて、やっと番が来て読んだのだけれど、さすがに何かと引っ掛かる箇所も多々。余りもう手元の本は増やしたくないのだけれど、これはやはり折を見て入手しておきたい、と思う。


対談相手は、ジャンル別にしてみたら、

★音楽界 北島三郎、小林武史、ゆず、辻井伸行、杏(兼俳優)、井上陽水

★俳優 唐沢寿明、吉永小百合、森光子、寺島しのぶ、中井貴一、杏(兼俳優)、井上真央

★脚本家・映画監督 宮藤官九郎、三谷幸喜   ★スポーツ界 朝青龍明徳、高橋尚子、岡田武史

★お笑い界  爆笑問題、千原ジュニア  ★伝統演芸界 市川海老蔵、立川談志  

★ジャーナリスト 久米宏、池上彰   ★政界 石原慎太郎、鳩山幸

★ファッション界 益若つばさ、森英恵   ★漫画家 やなせたかし、やくみつる

★科学畑 バズ・オルドリン  ★化学畑 根岸英一  ★コピーライター 石田衣良

★建築家 隈研吾   ★画家 松井冬子   ★社会学者 上野千鶴子  

★政治学者 姜尚中   ★映画評論家 おすぎ   ★DJ 小林克也

という色々、まさにユーミンの興味の懐示すような幅広さ。


a0116217_11394929.jpg6/30追記:この内で一番インパクト残った対談、を挙げるとしたら石原都知事、か。「サーフ天国、スキー天国」のような曲は、どういう風に出てくるんだろう?と聞かれて、

ユーミンも気を使って、という訳でもないかもしれないけれど、湘南サウンド的なリゾートソングは、元をたどれば「太陽族」、そういう人達を切り取ったのが「太陽の季節」で、元々は石原さんだったと思いますよ、というような返答。

弟裕次郎や三島由紀夫の話も出たり、正隆氏との「ユーミンユニット」に、うらやましい理想の夫婦だねえ、お子さんはいないの?というのに、

いないんです。それはもう、自分にしか興味のない人間が一緒になってるから、とてもそんな(笑)・・あなたみたいな才能のDNAを残さなきゃダメだねえ。いや、一代限りだと思っています。のようなザクッとした応酬。

ユーミンが何人かに聞いてたように、日本はこれからどうなっていくと思われますか?に対して、

日本人ってシャイだけれど、受動的な姿勢を変えないと。日本人が外国に影響を与え、存在を示せるのは芸術、あなた(ユーミン)の歌も外国で受け入れられるだろうし、日本の絵画も印象派に影響を与えた、

そして自分の話として、’62年トリュフォーと合作のオムニバス映画「二十歳の恋」を作った時、君のヌーベルバーグって誰の影響を受けた?と聞いたら黒澤でも溝口でもない「浜辺の情熱」という映画、だと言って、

それって原作、シナリオが石原氏の「狂った果実」のことだと判って、じゃあ、僕が君のヌーベルバーグの師匠なんだ、と大笑い、というようなエピソード披露。

トリュフォーも気を使ってそういう風に答えた、という訳でもなかったのだろうけれど、そこら辺の話は著書「弟」にも書いてたようで。で、日本人には、自分の持つ技術、感覚の素晴らしさを発信する力が必要です、のような提言。

私は石原氏の本は多分未読だけれど、そういう風に脚本も書いてた、とか、「二十歳の恋」は、ロッセリーニなども関わってた5カ国監督でのオムニバスだったのだけれど、そういう作品で映画監督経験もあった、というのも初耳。

その少し前に、自分は小説と政治が相互にいい刺激になってて、やはり文学と政治は両方口説の徒なので、対極のようで背中合わせ、音楽家や絵描きは政治家にならない、音楽はスポーツに似てる、というようなコメントで、

立川談志の回で、話の最後に、ユーミンが・・今はまだ、体が悪くなるぐらいのことをやった方が面白いかもしれませんけどね、というのを受けて、多分冗談めかしで、選挙でもやったらどう?と言われてたけれど、それはまずなさそうだし、して欲しくもないと思う。

でもまあ石原氏とのそういうやり取りは、他の対談相手も皆個性的だけれど、特に濃いキャラクターに負けてない濃さ同士、という感じでちょっと面白かった。


a0116217_1156258.jpg7/1追記:ユーミンが、割と女性としての本音をざっくばらんに話してる感じだったのが、上野千鶴子との回。私はこの人の著作は、内容記憶薄れてるけど「ミッドナイト・コール」が手元にあるはず。

ユーミンが、上野作品の1つ「女ぎらい」には、胸のすく思いがしました。という話から始まって、松任谷さんのような、あまりミソジニー(女性嫌悪)には縁がなさそうな方がどうして、と関心あります、と応じたら、

正隆氏と交際中から「髪結いの亭主」的に言われるのが、すごく嫌だった、ということで、ユーミン自身、父が呉服屋の婿養子、という環境から、長男だけれどリベラルな夫を持って、家父長制が家になかったのを気付かなかったし、

80~90年代のブームの頃、すごいバッシングにあった、旨。上野女史も「あの程度の才能だったら男の世界にはざらにいる。上野は女だから得した」ような事を言われた、とか。

私はミソジニー(misogyny)という言い方も英語も目新しかったけれど、ユーミンは、作ってる時は、外でどう風が吹こうと、叩かれようと、自分のクリエイティブには関係ない、と意識して、それが、戦ってるってことかも知れません、などとと言ってて、

絶頂期だった分、そういうものとの戦いもシビアだったのだと改めて、だけれど、やはりあれだけのクオリティ保って走り続けたのは、メンタルの強靭さ+正隆氏とのコンビ性、も少なからず、だったのだろうと。

上野女史に、互いの才能の評価に厳しい同業者カップルはたいがい破綻します、旦那さまから嫉妬されることは?と聞かれて、

昔はあったと思うけれど、今は同化してますね。・・まあ、軋轢もしょっちゅうありますけれどね。と言うのに対して、作品を作る上で?それとも男女間の?と聞かれ、そこの境目がない、家の中にスタジオがありますし、と。

上野女史が、じゃ、合宿生活を34年やってる感じ(笑)、ほとんど同志愛ですね。同志愛でいっしょに走ってるとゲイカップルみたいになりますね。などという応酬。


後半、互いのファンとの関係など話してて、今後の日本について、上野女史が、余り明るい展望はない、少子化が覆る兆しは全くないから。

社会もソフトランディング(軟着陸)出来ればいいけれど、そのシナリオを現場で生かすのは現場の実践家で、介護保険ができて、本当によかったと思うのは、助け合いがビジネスになったことで、

草の根の現場で色んな活動をしてる大半が女性、本当にやさしいこの人達がいるから介護保険が信じられる・・高齢化の現場にいる人達のバックグラウンドに、ユーミンの音楽がある。・・などと言うのに対して、

ユーミンが、私が、その人達がいる板の上で死ぬっていうの、どうですか(笑)、あ、いいですね(笑)。特養やデイセンターにユーミンの音楽があるというのは。きっと大人気ですよ。

などという終盤も、ちょっと現実味で、趣あったけれど、ユーミン夫妻について、直接本人にこういう風にざっくばらんに語ったのって、余り覚えなく、そういう意味でこれも面白かった回。


7/2追記:その他、色んな対談の中で、引っ掛かった所も折々。

このシリーズの初回は爆笑問題、途中でバッシングの話になって、太田は一切ネットをやってなくて、田中は一時期、そういう書き込みをすごく見て、傷ついて、悪口を書いてるのは明らかだし、そんなのは知らない方がよっぽど幸せだ、のような話。

ユーミンも、私もやらない。傷つくほうなのでね。自分のってついつい見ちゃうじゃないですか。だから・・のようなコメント。

ユーミンの公式サイトはあるし、数年前エキブロで期間限定でブログをしてた時期があったり、正隆氏はブログもツイッターなどもしてるけれど、そういえば、ユーミンは定期的ネット活動にはノータッチ。

「(みんなの)春よ、来い」チャリティは、ネットを利用したプロジェクトだったけれど、通常、特にネットで仰々しく広告しなくても、というスタンスだし、

今更ながらネットって人に、相手に面と向かって、また現実界では取れないような行為、出来ないような発言を平気でさせる麻痺感覚増長、の怖さや、思いつきの言葉を巻き散らかす無節操さ、

何だか、という鼻白み、興ざめ感、意味不明?という折もあるし、まともに感受性、誠実さがあったら出来ないだろう、見て傷つくだろう、と思うような事も公然とあるし、

私が折に正隆氏のブログやツイッターを垣間見て知る限り、ユーミンが同氏の書き込みを見て傷つく、というのはなさそうな、とは思うけれど、やはりメンタル的影響含めて、ユーミンにとってネットというツールは余りプラス価値はないんだろう、というのも納得、という感じ。


対談相手の中で、一番ユーミンに気を使ってなさそう、というか、淡々と自分の事をしゃべる、という感じだったのは千原ジュニアだけれど、その話の中で、

彼は、15才で吉本に行くまで引きこもりで、吉本の養成所で初めて自分で考えたネタをした時、それがドカーンと受けて、電気走る感じで、「うわー、何だこれ」って、なんか泣きそうになって、・・のような思い出話を聞いて、

ユーミンが、香港のライブで一生懸命覚えて広東語で冗談を言ったらかなりウケて、お笑いの人の気持が分かる、って思った、というエピソードと、そういう、人が本当に笑った時の波形のようなものを浴び続ける影響、に関連して、

中学の時、それ自体がパイプオルガンみたいな教会で「トッカータとフーガ ニ短調」を聴いて、それが建物全体に響いて体にガーッと来た時、ぶわーっと涙が出て、それから、声が、パイプオルガンみたいになっちゃったの。・・私は絶対そのせいだと思ってるんです。

声帯まで全部影響受けちゃったというか。そのくらいの衝撃で。・・のような話。それは母校立教女学院のチャペルのことかとは思うけれど、ユーミンの声が、”パイプオルガン”のような、という表現も初耳、

また、その元になったその曲名にもピンとこなかったけれど、You tubeにあったのを聞いてみたら、出だしので、ああ、これのことだったのか、という聞き馴染みインパクトメロディ。バッハの曲だったのだったけれど、今にして、これが独特のユーミン声帯?ルーツ曲、と。

       



あと、ユーミンが自身の方向性について話してて引っ掛かったのは、宮藤官九郎との時、ユーミンが、オーバーグラウンド(世の中に受けれられた)作品と時代との接点について何か思う事は?と聞いて、

クドカンは、王道のことをやっても、無意識にド真ん中を歩かないようにしてるのかもしれないですね。逆に(「守ってあげたい」がテーマ曲の)「少年メリケンサック」は、パンクってメジャーな音楽じゃないので、コア(マニア向け)の映画になりすぎないようにした、

のような返答で、それに対してユーミンが、それがバランス感覚なんですね、私の場合、王道が与えられたとしたら、「じゃあ、ど真ん中歩いてやろうじゃないか」っていうタイプなんですよ。・・のようなコメント。

この本のあとがきで、ユーミンは、・・私自身がここまでやってこられたのは、どこかでメジャーとカルトを両立させようとしてきたからなんですよね。

・・そういう意味でも中庸でいようと思うんですけれど、だからこそ、すごいメジャーな人と、カルトな人、両方に会ってみたかった。・・のような部分も。

才輝礼賛 38のyumiyoriな話 / 松任谷由実(’11)<2>に続く。)

関連サイト:Amaon 「才輝礼賛/松任谷由実」
関連記事:松任谷由実EXPOドームライブあの歌がきこえる「魔法の鏡」「海を見ていた午後」「卒業写真」松任谷由実コンサート THE LAST WEDNESDAY天国の本屋~恋火(’04)さよならみどりちゃん(’04)時をかける少女(’97)瞳を閉じてクレイジー・キャッツプレミアム10 松任谷・寺岡・ゆず等シャングリラⅢYuming Films(’07)SONGS 石川セリ「いちご白書」をもう一度(’75)ユーミンと映画・市川準監督そしてもう一度夢見るだろう/松任谷由実(’09)・No Reason~オトコゴコロ~/高橋真梨子(’09)TRANSIT2009チケットMusic Lovers・SONGS 松任谷由実<1><2>探検ロマン世界遺産 ユーミン×世界遺産TRANSIT2009コンサートShout at YUMING ROCKS('09)VIVA!6×7/松任谷由実(’04)クリスマスの約束(’09)時をかける少女(’10)音楽のチカラ「青春の言葉 風街の歌 作詞家 松本隆の40年」RAILWAYS 49歳で電車の運転手になった男の話(’10)クリスマスの約束(’10)ミュージックポートレイト~人生が1枚のレコードだったら東日本大地震<2>Music Lovers 松任谷由実松任谷由実のオールナイトニッポンTV4僕らの音楽 松任谷由実・薬師丸ひろ子・おすぎMUSIC FAIR 松任谷由実NHK 東日本大震災チャリティー企画 ユーミン×SONGS 「春よ、来い」プロジェクトSONGS 松任谷由実RoadShow/松任谷由実(’11)マリン・ブルー/マザー・グース(’77)RAINY DAY HELLO/須藤薫(’82)SACHET/門あさ美(’80)手のひらの東京タワー/松任谷由実(’81)押入れの整理<1> <2><3><4>RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ(’11)SONGS 沢田研二ザ・タイガースを歌うSONGS 山本潤子春よ、来い in 紅白歌合戦SONGS 松任谷由実~2012スペシャル~鈴子の恋(’12)「春よ、来い」カバー 男性シンガー編「春よ、来い」カバー 女性シンガー編マンタの天ぷら(’97)・僕の散財日記(’05)/松任谷正隆虹色ほたる 永遠の夏休み(’12)

SONGS Charaハルフウェイ(’09)麗美ファーストフライト(’85)BANDAGE(’10)僕らの音楽(ゲスト井上陽水)かもめ食堂(’05)帰れない二人(’73)旅する力 深夜特急ノート / 沢木耕太郎(’08)LIFE 井上陽水~40年を語る~<1><2>少年時代(’90)井上陽水 40th Special Thanks TourSONGS 財津和夫<1>/ 井上陽水<1>~<4>SONGS 井上陽水春、バーニーズにて(’07)ー追悼・市川準監督ー大停電の夜に(’05)単騎、千里を走る(’06)愛の流刑地(’07)ハッピーフライト(’08)HERO(’07)風のガーデン(’08)~最終話ナツユキカズラ櫻の園(’08)竜馬の妻とその夫と愛人(’02)-追悼・市川準監督ーTHE 有頂天ホテル(’07)ガンジス河でバタフライ(’07)ザ・ムーン(’07)、、Little DJ 小さな恋の物語(’07)
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by MIEKOMISSLIM | 2012-06-29 22:30 | 本・音楽 | Trackback(1) | Comments(0)


マンタの天ぷら(’97)・僕の散財日記(’05) / 松任谷正隆

先日図書館在庫で発見、未読だった正隆氏の本2冊を読みました。

「マンタの天ぷら」は車関係中心のエッセイ、「僕の散財日記」は、以前Men's EXという雑誌に連載してらしい同氏の買い物日記、'05年に単行本が出て、’09年それが文庫になってて、今回読んだのは文庫版。

ユーミン本は追ってきたけれど、正隆氏本、というのは手をつけておらず、どんなものかと思ったけれど、妻ユーミンのことも折に登場、

でも音楽ネタも少なく、車、様々なブランド系グッズ話、と、正直私には縁も興味も薄いトピックが多め、なので余り熟読というより、ざっと斜め読みの箇所も。


                                       (C)岩崎美術社
a0116217_1251445.jpgでも「僕の・・」に登場の様々なグッズの中、アンセル・アダムスの写真、という項目があって、唯一私と共通嗜好。

同氏は彼の写真が気に入って、ネットで「ものすごくリーズナブルな値段」でコピーが手に入る、とというのが判って、同氏がいう「ものすごくリーズナブル」というのはどの位か?だけれど、23枚とカレンダー、額を買って、8枚をトイレに飾ってる、と。

アダムスの写真を知った詳しい経緯は触れてないけれど、「ふと見せられた写真集の、あまりにも焦点深度の深い写真に目を奪われた。・・何がすごいって、これ、ただの風景写真じゃないでしょう。

なんだか神がかってる。・・何か目に見えないものまで写っている、と思った。・・なんだろう、森の精みたいなものなんだろうか。」のような感想に、共感する所が。

これがカラーだったらどんなにか雄大、また鮮やかな眺めか、とも頭を過ぎるけれど、これはモノクロだからこそ、の自然の造形の美しさを漂わす、渋さ。

私がアダムスの写真を知ったきっかけも、どうも思い出せず、同氏の文中、「この人についてはものすごく詳しい人達がごまんといるから、知ったようなことを書くな、とかみさんに言われている。」と、ユーミンも登場してるし、

もしかして、ラジオか雑誌か何らかの媒体で、ユーミン絡みで知ったのか、別関連かもしれないけれど、気付けばインプットしてた、という写真家。手元に、’99年のA3版カレンダー、2冊のカードブック、カード7枚。
(C)MUSEUN GRAPHICS
a0116217_1253715.jpg最近目にしてなかったけれど、’96年サンフランシスコ~周辺旅の時、当時MOMAの近くにあったアンセル・アダムス・センターに寄ったり、その前か後かに、東京写真文化館での展示会に行ったのだったと。

その時の回顧記事でも触れてたけれど、月の出、墓地を照らす一瞬を捉えた「ムーンライズ」(↑上側)が有名、センターでも足を止めて一番長く見ていたのだったけれど、

今改めて見直して、一枚マイベストを選ぶとしたら、アラスカのDenami 国立公園での「MOUNT McKINLEY & WONDER LAKE」(↑)かと。ちょっと荘厳な気持にさせられる1枚。


あと、印象的だったのは、「僕の散財・・」での「かみさんからのプレゼント」で、25年程前の誕生日に、ユーミンが手編みのマフラーをくれて、すごく嬉しかったけれど、

その3年後位に、船を借り切ってのユーミンクリスマスコンサートの、企画の1つのオークションで、そのマフラーを出して、7万円という値が付いて、まだ上がりそうだったけれどそこでストップをかけて、売ってしまって、

数年経ってかなり後悔、何かあるにつけその話をして歩いてて、それを落札者がききつけて、事務所に返却してくれた、という話。

別のページでは、オークション後反省した同氏、何年かかかって、マフラーの居場所を突き止め、返してもらった、とあって、微妙にニュアンス違うけれど、とにかくそういうことがあったのだった、と。

そのオークションの事前にユーミンに話したら、面白がってるように見えたんだと思う、とあって、その前後の正確なやり取りは?だけれど、少なくともユーミンが激怒、というようなニュアンスは見られないし、

結婚14,5年目の辺りか、夫にマフラーを編むユーミン、という女らしさ、このオークションの件、というのも微妙な女心だったのでは、という感じのエピソード。


その他「マンタ・・」の方で、まだユーミンと出会った頃レコーディングで遅くなった時、八王子まで送っていったのがマークⅡ、でも「中央フリーウェイ」はその時のことではない、とか、

結婚間近の時、アウディに目が向いて、でも資金が足りなかったけれど、当時も自分の5倍以上かせぎのあったユーミンが貸してくれて、箱根、熱海の新婚旅行もそのアウディで行って、吉田拓郎、かまやつひろし達が大勢押し寄せて、ドンちゃん騒ぎだった、と。

この夫妻の、にしては意外と地味というか近場だったのだ、というのと、押し寄せた顔ぶれも濃いけれど、そういう新婚旅行だったのだった、とか今にして。

同氏はかなり方向音痴、LAで夫婦で仕事に車で出掛けた時も迷ってしまって、夫婦間のあうんの呼吸で、不快を押さえてユーミンが直観で示唆する道も間違ってたようで、軽い諍い、

人に道を聞いたりする過程で険悪になるムード、無事元の場所に戻ったけれど、1日中口をきかず、のようなくだり。

正隆氏の車嗜好って、運転はしないユーミンとは一歩置いたテイスト、と思ってたけれど、やはり行動を共にする中、色々絡みも、とか改めて。


また、余り音楽関連には触れてなかったけれど、「僕の散財・・」の「ソニー・ネットワークウォークマン」の所で、同氏はウォークマンが生まれる前から、A4サイズのカセットポータブルプレイヤー「カセットデンスケ」やドイツ製カセットテープレコーダーを使ってたそうで、

「ウォークマンは、僕の音楽ライフをがらりと変えて、音楽そのものを重いものから軽いものへと、ひょっとしたら全ての音楽は、このウォークマンによって変えられてしまったのかもしれない、とさえ思う。」などという所。


あと、「マンタの・・」の最後の章「情報のつぶつぶ」は、全体に割と面白かった。「時間について思うこと」や、人の知覚、記憶について、また「エネルギー保存の法則」を挙げて、砂金のような?情報のつぶつぶ、が存在して、

人間が死ぬ時確かに重さが変わる、というのもそのつぶの重さ、とか、テープに入ったノイズが、機械で取れないのは、それが永久磁石で、電気では消せない、お化け、というのもそういうものじゃないか、

そういう磁力が普段隠れてるのは、植物じゃないか、公園でジョギングする時、木々が話しかけてくる気がする、気のせいかもしれないけれど、彼らと話すことで、もっと色々なことが見えてくるんじゃないか、というような所。

また、最後の文「デジタルとアナログ」で、デジタル化が進む今日だけど、同氏達はレコーディングでボーカルだけはアナログテープを回す、微妙なニュアンスや温かさが録音できるから、と。

取り終わったらデジタルに移すけれど、途中でアナログが入るだけで、アナログ的になる。アナログの世界は有機的かつ複雑で、すごいものだ、

科学は、大きさ、速さ的にも限界がある固体のから、液体の科学に変わるだろうし、その時、第2世代のアナログ文化が幕を開けるに違いない、のような締め。

情報のつぶつぶ、というのも抽象的、音作りのメカの専門的な所も判らないけれど、目に見えない”音楽”の創り手の言葉として、何となく言わんとすることは伝わってくるような。

ここら辺が2冊の中唯一、同氏の音楽メカの秘密、というか一端に触れてて、ユーミン中心に同氏の創る音楽に馴染んできた私としては、ちょっと興味深かった、という所。


タイトルの「天ぷら」については、あとがきで、僕はとんでもない天ぷら野郎、衣が厚くて中身が薄い、アレンジャーを目指したのも自然なこと、衣をつくるのはガキの頃から大得意だった、

すべてのことはカッコいいかカッコ悪いかで、「カッコいい」は最上級の褒め言葉、「カッコわるい」は普通。人間カッコ悪くて当たり前だから、などと、謙遜とも本音ともつかないような記述。

確かに「マンタ・・」では、苦い思い出の素朴な排泄ネタ披露などもあったり、結構ゆるいスタンス、文的には2冊とも普通に読みやすく、どちらも趣味本、ではあるけれど、

ユーミン以外の具体的な固有名詞で他の女性の登場はなく、やはり彼女への敬意、ある種の礼節というのは漂ってる気がして、そういう部分もまあ何だかほっとする、というか。


まあ前述のように、内容的には私は異次元世界的、が多かったけれど、アンセル・アダムスの所、折に登場のユーミンエピソード、「情報のつぶつぶ」章とか、やはり脳裏に残る所もあった、という2冊でした。

関連サイト:Amazon 「マンタの天ぷら」Amazon 「僕の散財日記」
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         (C)(株)二玄社、(株)文藝春秋

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by MIEKOMISSLIM | 2012-06-01 23:13 | 本・音楽 | Trackback | Comments(0)

    

’09年1月末AOL映画掲示板、ブログが終了、気分新たにマイペースで、音楽・芸術鑑賞、ユーミン関連、読書、英検1級対策、グルメ、仕事等含めて書いてます。英検は’11年11月に無事合格達成出来ました!
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