Something Impressive(KYOKOⅢ)


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「思い出のマーニー」秘密を探る イギリス秘境旅

10日(日)放映だった「思い出のマーニー」特番、一部オンタイムと録画で見ました。

桝太一アナウンサーと、ジブリ通らしいお笑いコンビオリエンタルラジオの中田敦彦がスタジオジブリを訪ね、米林監督、西村プロデューサーと「・・マーニー」について話したり、

「・・マーニー」に、どの役だったのか?声優で参加した石田蓮華が、「・・マーニー」原作の舞台、イギリスの村バーナムオーバリーを訪ね、観光したり、原作の著者ジョーン・G・ロビンソンの娘さんに会ったり、という内容。

1時間番組ではあったけれど、色々制作裏話、先日読んだ原作の舞台の実際の土地ルポ、「湿っ地屋敷」やサイロのルーツ建物外観など見られたり、なかなかの内容。


西村プロデューサーは、初めて知ったけれど36才、「かぐや姫の物語」で長編作初プロデュース、「・・マーニー」が2本目担当、という人で、41才の米林監督とほぼ同世代で、

この次世代の2人のタッグで、今までジブリになかった今回のWヒロイン、1人は等身大少女杏奈を軸にした作品創り、という路線に、という面もあったようで。


この作品のきっかけとして、米林監督が、笑いながらではあるけれど、前作「借りぐらしのアリエッティ」の時は、やはり同じフロアに陣取る宮崎駿監督の環視下での制作、というプレッシャーがあって、

大先輩の力を借りず、1から長編映画を創りたい、と鈴木プロデューサーに話した時、渡されたのが「・・マーニー」の原作、

でも当時「風立ちぬ」にアニメーターとして加わっていて、「・・マーニー」の脚本と同時進行、という忙しなさ、(宮崎監督が)なかなか抜けさせてくれないんですよ、と苦笑、笑いを誘ってたけれど、

実写の監督とは違って、プロとしてのアニメーター職人としての仕事もこなしながら、というのも大変そうではあるけれど、結局脚本完成に1年かかったそうで。


ストーリーで中田敦彦が指摘したのは、ミステリアスで伏線があって、というこれまでジブリ作品になかったタイプで、という点で、これはジブリ初の”謎解き”タイプだった、と。

そういえば「ゲド戦記」「ハウルの動く城」とか、背景はやや込み入ったものもあったけれど、謎解き、というのはこれが初だったかと。

で、その物語に合わせて、米林監督は舞台を神秘的な雰囲気のある北海道にすることを考えたけれど、それを惑わしたのが意外にも、今回は完全ノータッチ、と思ってた宮崎監督、だったそうで。

先日のNHK特番でも、宮崎監督自身もこの原作は気に入ってた、というエピソードがあったけれど、

今回も、引退したとはいえ、自分のこの作品のイラストを頻繁に米林監督の所へ持ってきて、それを危惧?した鈴木プロデューサーが開いた「宮崎監督の話を聞く会」で、宮崎監督がこの作品の舞台は瀬戸内である、などと自分の構想を披露、

それについて、米林監督は、何だか「崖の上のポニョ」のようでイメージ違うと思って、結局宮崎監督退席後、協議で舞台は北海道になった、と苦笑、というようなことがあったようで。

まあ確かに、この舞台は瀬戸内よりは北海道の方がフィット感、ではあるけれど、何だかそういう裏話からしても、まだまだ宮崎監督の意気健在、という感じ。


8/24追記:また中田敦彦が指摘のヒロイン像でも、1人はこれまでの理想少女的ジブリヒロインではなくて、人と打ち解けられない、という悩みを抱える現代的、都会的、等身大少女杏奈にしたことについて、西村プロデューサーが、自分の物語と思ってくれれば、と語り、

またもう一人のマーニーについても、これまでになかったお洒落な雰囲気の色気のある艶っぽい女性像で、宮崎アニメとは違うヒロインが生まれた、という指摘。

a0116217_2247963.jpg同じ白いネグリジェを着た外国人少女を描いた、「・・マーニー×種田陽平展」のポスター(→)のと、宮崎監督の描いたあどけない感じの少女の絵比較で、その違いありあり。

私はマーニーの絵では、髪の描き方が劇中のマーニーと違うけれど、この絵が一番気に入ってて、改めて、そういえば一見男性が描いた、とは思えないソフトな味。

鈴木プロデューサーも、(米林監督は)女性を描かせたら、宮さんより上手い、と評価してて、そのルーツは、やはり少女漫画好きで、りぼんっ子だった、と。

「りぼん」って、私も子供時代愛読、月刊だと「なかよし」などと並んで懐かしいけれど、愛好の男性、というのもいる、いたのだなあと、感心だけど、

そういう嗜好も、前の特番で思った、米林監督=岩井俊二監督や松本隆の少女感覚の持ち主、に繋がるのだろうと。

「りぼん」には金髪の女の子が出てくる話がいっぱいあった、と楽しそうに語る様子。マーニールーツはそういう所にもあったようで、やはりこれも、「・・マーニー」鑑賞後、昔の少女漫画のような、という感じがした一因かも。


また、中田敦彦が背景について、水彩画のような実写のような、という指摘で、やはり美術監督に種田氏を招いたことによって、部屋のドアと蝶番の隙間とか、椅子の高さとか、かなり細かい所まで描かれてたり、

米林監督は、凄く面倒くさい、と苦笑しながらも、今まで面倒臭意とか嫌だからやらなかったことをやることで、違うものが見えてくるんじゃないかな、と。

これまでのジブリ作品は、設定がないままスタート、設定は宮崎監督の頭の中にあって、絵コンテからそれを皆で読み取っていく、という作業だったのが、今回は共有できる細かい作業があった、という違い、

米林監督が、本来のアニメ業界では、美術設定があるのは普通だけれど、種田氏の場合はより凄くて、建物が建てられるだけの設計図があった、と、やはり例の「湿っ地屋敷」設計図に言及。

種田氏本人は、実写映画の時と同じように、何となく、じゃなく一応検証されている、模型、図面も作った、とのことで、中でも米林監督と西村プロデューサーが驚いたのは、屋敷の表面に凹凸ある”型ガラス”で、視界を遮るための曇りガラス状のもの、らしく、

杏奈がその後ろを通るシーンが流れ、やってみると凄く効果がある、屋敷自体が個性を持つ、この屋敷自体がキャラクターでなければいけないので、積極的に種田さんの意見を聞いて存在感を出した、とのこと。

種田氏も、描いて型ガラスを出す、というのは結構大変で、2種類の型ガラスがあって、透明度も模様も違う、要求した僕も悪いけれど、それを描けるというのが凄い!、とジブリスタッフの能力を認めてる姿勢。


正直、鑑賞時はそういう細かい所までチェックはしなかったけれど、これまでは、宮崎監督の頭の中にあった才覚のなせる独自の”図”が、

今回種田氏によって具体化された図→スタッフ作業、の流れだったようで、やはり新たなジブリ路線、とは思ったのだけれど。


a0116217_1420328.jpg8/26追記:で、一方石山蓮華のバーナム・オーバリー紀行。米林監督もイギリス(の原作(←(C)岩波書店)舞台地?)は未踏、湿地と空がどんな感じなのか気になる、とのことで。

ここはロンドンから電車で北方へ2時間、さらにそこから車で1時間だ、原作本の最後でも、かつて物語を愛読した日本人男性が、偶然何とか地元のバスからここを発見、感動、というエピソードがあったけれど、やはり交通便は良くなさそうな。


石山蓮華は、当地でまず「サイロ」のルーツ、原作の「風車」。200年前から立ってて、元は小麦を挽く作業場だったのが、今は民間人の休暇のためのコテージで20人ほどが生活できる住居、そう広くはない円形でこざっぱりした部屋だけれど、小ざっぱりした感じ。

劇中や原作でも、この塔からの風景、というのはなかったけれど、その屋上からの眺めが、広い田園風景、遠くに海が見えて、その手前に広がってるのが湿地で、

海岸線に沿って湿地が45キロ程続いてる、そうで、さすがに劇中よりもスケール大きな大自然。バーナムオーバリーの自体は人口311人のささやかな村らしいけれど、

やはりこの自然目当てに避暑客も来る土地ので、ジョーン・G・ロビンソン一家もそんな層だったようで。


石山蓮華はその湿地に近づき、やはり劇中と同じく、海と繋がってて満ち潮と引き潮の時で、風景が一変。自然保護区でもあって、多くの生物が暮らし、ボートで進むとアザラシの大群。

そして原作でアンナが、世話になってる奥さんに頼まれて取りに行ってた”あっけし草”は、実際この土地で夏の1か月間だけ手に入り、食用にされてて、見た目は菊名や水菜の葉の少ないもの、のようで、

石山蓮華が、水辺からそのままつまんで口にして、しょっぱい、触感がサクサクしてる、と感想。案内の地元の男性は、アスパラガスのような味がする、と。

その美味しい食べ方、というのが、近くのレストランで、焼いた魚(スズキ)のアクセントとして、ゆでたあっけし草を添えて、ガーリックソースで味付け、という料理になってて、石山蓮華は、魚の香ばしさとあっけし草の塩味と合って、美味しい!と。

これは日本では多分ない草なのだろうけれど、’67年の小説に書かれてた地元産の自然食材が、いまだにポピュラーに食べられてる、ということは、やはり自然保護区だけあって、開発、汚染は免れてるのだろうと。


9/1追記:その後、石山蓮華は今は亡きジョーン・G・ロビンソンの娘さんに会って、原作の舞台がこの地にしたことについて、

潮の満ち引きや鳥の鳥の声が特徴的で、自然豊かな湿地はアンナの内気な気持ちを表現するのにぴったりだったんだと思う、のような、というコメント。

劇中では鳥の鳴き声、というのはなかったけれど、潮の満ち引き、というのは確かに、所々でポイントになってた感じ。


また、その娘さんの船で、「湿っ地屋敷」のモデルとなった、赤いレンガ造り、青い窓枠の建物のある場所を案内、壁だけじゃなく、屋根も赤くて、前は人が住んでいたけれど、今は穀物倉庫、だそうで、

日本ではなさそうな色合い、劇中の「湿っ地屋敷」とも随分違うムード。種田氏はこの実際の屋敷の外観を知ってたのか?だけれど、やはり色合いなども、北海道の舞台に合わせてオーソドックスにアレンジした感じ。

娘さんの話では、母は湿地を横切ろうとした時に、金髪の女の子が窓際で髪をとかしてもらっているのを見て、それをきっかけに、「・・マーニー」を思いついた、とのことで、

劇中でもマーニーがばあやに髪をとかしてもらってるシーンがあったけれど、そういう原風景が、実際作者の経験にあったのだった、と。

石山蓮華は、イギリスに来て、作者と同じ景色が見られて、凄く嬉しいです、と感動。


ロンドンで、ジブリが「・・マーニー」上映、娘さんも見て、原作に似ている所とそうでない所があったけれど、キャラクターたちの感情は生き写しでした、母に見せたい、本当に素敵な作品でした、とコメント。

40年を経て、遠い日本でアニメ化された作品、やはり何というか、心ある素材が時と空間を超えて伝えられる、というのは価値あることだとしみじみ。


スタジオでは、中田敦彦と桝太一アナウンサーがが、新たな世代だから伝わること、として、「・・マーニー」では、大人たちも、杏奈の義母頼子も親としてまだ手探りだったり、北海道の夫婦も少し(気分が)若い、

そういう作品は、米林監督と西村プロデューサーの世代だけらはっきり描けたのかも、人生を達観してない、完成していない何かがあったかも、と述べて、

西村プロデューサーは、宮崎さん、高畑さんはおじいちゃんだからああいう作品を作ったけれど、ああいう人生を経てきて作れる作品で、僕らは背伸びしてもそこまで辿り着けると思ってない、

今自分達が大事だと思うものを丁寧に伝えていきたい、、という思いが強い、

米林監督は、かつて思春期だった人にも、凄く伝わってる所もある、そういう意味では、僕自身が思春期を思い出して作ったことがことが伝わったのかな、などとコメント。


ジブリ初の全編英語歌詞のテーマ曲、プリシラ・アーンが引っ込み思案だった学生時代を思い出しながら書いた歌詞が、杏奈の心情にぴったりだった、とのことで、

「So, I learned to be OK with  Just me, just me, just me・・」とソフトに歌い上げる、押しつけがましくない、この楚々とした清涼感ある曲もやはり、この作品の好感度の一つ、と改めて。




最後に、Wヒロインの声を担当した2人、高月彩良が米林監督の第一印象について、フワフワしたオーラを持ってて、森の妖精、という感じ、

有村架純が西村プロデューサーの第一印象について、目力が本当に凄くて、キッと見られると目をそらしたくなる感じ、と、述べて、それを受けてスタジオで、まとめると、妖精と目力、と笑いで締め。

そういう、このコンビでの、新たなジブリの息吹、も色々感じられて、私好みでもあった「・・マーニー」だけに、この放映後の制作部いったん解体、のニュースはとても残念、

鈴木プロデューサーの、宮崎後任は庵野英明監督、というような発言もあったようだけれど、そういう派手目路線とは別に、今回の少女漫画風ナイーブ路線を、今後何らかの形で是非繋げて欲しい、と願いたいです。

関連サイト:「思い出のマーニー」秘密を探る イギリス秘境旅 紹介サイト
思い出のマーニー 公式サイト
関連記事:男鹿和男展ゲド戦記(’06)プロフェッショナル 宮崎駿スペシャル崖の上のポニョ(’08)プロフェッショナル 宮崎駿のすべて<1><2>スタジオジブリレイアウト展借りぐらしのアリエッティ(’10)借りぐらしのアリエッティ(’10)<2回目>The Borrowers(’52)/床下の小人たち(’52)野に出た小人たち(’76)ジブリ創作のヒミツ~宮崎駿と新人監督 葛藤の400日川をくだる小人たち(’76)借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展空をとぶ小人たち(’69)小人たちの新しい家(’82)小人の冒険シリーズと「借りぐらしのアリエッティ」コクリコ坂から(’11)風立ちぬ(’13)<1><2>ひこうき雲/荒井由実(’73) ミュージッククリップ放映思い出のマーニー(’14)思い出のマーニー×種田陽平展思い出のマーニー公開記念 米林宏昌原画展思い出のマーニー / ジョーン・G・ロビンソン (’67)アニメーションは七色の夢を見る 宮崎吾朗と米林宏昌


  




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by MIEKOMISSLIM | 2014-08-24 00:05 | 映画全般 | Trackback | Comments(0)


地獄の黙示録(’79)

今日、近くの阿佐ヶ谷図書館の映画会で「地獄の黙示録」上映、都合も合ったので見てきました。

これは前もってここでの上映会でアンケート取っていた、8月15~17日の映画祭「戦争のあった時代」のための上映作品候補の中の、多分リクエスト多かった作品、順位は?だけれど、ベスト3がこれと、先日上映の「大脱走」「アンネの日記」のようで。

この「地獄・・」は以前、F・コッポラ監督の破格スケールの異色戦争もの、というイメージはあるけれど、結局未見、あえて見ようか、というものではなかったけれど、

先日仕事の世界史予習で、ベトナム戦争が出てきて、今にして、アメリカの絡んだ理由とか、そういう背景だったのか、と、はっきり判った、というのもあって、

ベトナム戦争やアメリカ軍を批判的に扱った最初の映画で、そういう題材ながら、映像美も、などと見かけたし、この機会に見てみようかと。上映室は中~高年男性中心で満席。


で、2時間33分。久々の戦争アクションもの、長い、とは思わなかったのだけれど、まあ後味というか、一言で言って”戦争の、何でもありにしてしまう狂気”の派手な映像化、という感じ。

軍人としての任務は放棄、敵地のジャングル奥地で、自らの”王国”を造って立てこもるカーツ大佐(マーロン・ブラント)、

とにかくその逸脱のきっかけは、自分がワクチン注射をした現地の子供達の腕を平気で束にして切って落とすベトナム人兵士の残忍さへの衝撃、だったようで、その経験から一路ああいう方向へ、というのも今一釈然とはしないけれど、

かといって、数々の功績を持ちながらも、平然と軍人として任務を続けることができなくなった、というのもある種人間性、かも。

まあそういう強者の軍人が、現地人へのワクチン注射、という人道的仕事、というのも後で思えばちょっと?ではあるけれど。

そのカーツ大佐殺害命令を受けたウィラード大尉(マーチィン・シーン)の目線でストーリーが進んだし、カーツ大佐登場は、結構時間たってからだったし、

マーティン・シーン主演かと思ってたら、どうもマーロン・ブラントだったようで、やはりこの人物が目玉、というか核心で、ウィラードはその怪人物の確認者、という立場でもあり、

戦時中の状況で、最終的に、姿勢のブレなく彼を始末する、ある種の仕置き人、的助演者だったのだな、と。


8/18追記:その他、有名サーファー兵士ランス(サム・ボトムズ)と和気藹々とサーフィン談、半ば本気?でサイゴンの河口でサーフィン提案など、ロバート・デュヴァル演じるギルゴア中佐の、ヤケクソ的結構なエキセントリックさも、

こんな戦場で、まともにやってられるか!的な、カーツ大佐よりはスケール小さいけれど、”狂気”の露出、という感じだったり。


流れた音楽では、攻撃シーンでワーグナー、というのは、あえてその音楽を戦闘機から爆音で流しながら、という狂気の沙汰、を別にしたら、それなりに重厚ではあったけれど、

      

ギルゴア中佐のいい加減モードに合わせてか、川を進むシーンで、兵士達もノリを見せるローリングストーンズの「サティスファクション」、というのも、シビアな戦争映画らしからぬ、というか。

          

夜、陣地へ3人の美女がヘリコプターでやってきて、即席のセクシーなショーを開いて、混乱でまたたく間に中止、再びヘリで去っていったりというのも、一時の幻のような、現実味薄い派手な兵士慰安ショー。


幻、といえば、やはりカーツの”王国”自体も、カーツを殺めたウィラードに対して誰一人歯向かわず、おののくように帰途の道を開ける人々、という段階で、

カーツの死で瞬時に洗脳感覚が解けたのか、一体何だったんだろうか?だし、ラスト~エンドロールでも、その王国が空爆で崩壊していく、空虚さ。


唯一、人間ドラマ味あったのは、ウィラードを運ぶ粗末な船内での、”シェフ”(フレデリック・フォレスト)が元のシェフの仕事がしたい!と嘆いたり、

少年クリーン(ローレンス・フィッシュバーン)に家族からのテープや手紙が届けられてたり、折に家族や元の日常生活が滲み出るような様子。

ウィラードの過去は、この使命の前、帰国はしたけれど、妻と離婚、結局戦場に存在価値を求める殺伐さ、彼らとは一線を画した立場で、

結局生き残ったのは彼と、”王国”で精神錯乱状態、ウィラードに手を引かれて戻ったランスのみ、ではあったけれど、

黙々と任務を果たしながらも、危険時にも使命最優先のウィラードへの苛立ちを、死の間際に露わにした黒人船長や、シェフ、クリーン、ランスら、

容赦なく、それなりに幸せな日常生活を消滅させられた、市井の端役の存在もあってこそ、この戦時異様スケールワールドも際立ちを見せた、ような。


これって、原作のジョセフ・コンラードの「闇の奥」という、著者の体験に基づいたアフリカのコンゴでの植民地搾取の内容の小説を、舞台をベトナムに移して創ったもの、らしいけれど、

ベトナムの各地がひとたまりもなく爆撃され、現地人が殺されるシーンも多く、実際、世界史教科書では、ベトナムは猛攻を受けながらも、中国やソ連の援助もあって持ちこたえた、とあったのだけれど、何だかそれだけではない、

この作品には、アメリカ軍人カーツを逸脱させ、奥地に王国を建てさせたベトナム、という場所、人々のそこはかと漂う”気”のようなものが漂ってたような。

そして、戦争が人間の心に働きかける様々な異様メカ、そういうメンタル面も含んで、やはりこれは、あの戦争にのめりこんで多くの犠牲者を出したアメリカへの皮肉がこもった作品、なのだろうと。


そういう所で、久方の戦争もの、正直余り爆撃、殺害、生首シーン、などあえて見たい、というものでもなかったけれど、これが伝説の異色戦争大作だったのか、と今にして、で、なかなか怪作感、の残る鑑賞でした。

関連サイト:Amazon 地獄の黙示録阿佐ヶ谷図書館 映画会象のロケット 「地獄の黙示録」
関連記事:ディパーテッド(’06)


 
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by MIEKOMISSLIM | 2014-08-17 23:49 | 洋画 | Trackback(1) | Comments(0)


アニメーションは七色の夢を見る 宮崎吾朗と米林宏昌

先週8日(金)放映の、NHKのジブリ米林監督と宮崎吾朗監督のルポ番組、一部オンタイム、一部録画で見ました。

やはり「思い出のマーニー」公開タイミングに合わせて、だと思うけれど、米林サイドの「・・マーニー」制作と、宮崎サイドのNHKBSの新TVアニメ「盗賊の娘ローニャ」制作の様子を並行して、の内容。


a0116217_024763.jpg「・・マーニー」は宮崎駿監督も前から原作が気に入ってたけれど、

余りに(少女の)”内面の問題”なので、映画化は無理、アニメには出来ないだろう、としていた作品だったそうで、それに臨んだ米林監督。(→チラシ)

宮崎・高畑両監督が参加しない最初のジブリ作品で、制作に取り掛かる前スタッフへの挨拶で、

宮崎監督が引退したから、こんな作品しか創れなかった、とは言われたくない、などと決意表明、激励してて、

この作品を選んだのは本人でなく、鈴木プロデューサーらが、多分米林監督の資質も考慮して、だったのだろうけれど、まあこういう過渡期だからこそ、実現した企画、とも改めて。


a0116217_082629.jpg米林監督が冒頭で、杏奈の描写の特徴として、目の下の黒い線を入れないことで、ちょっとした表情の変化が出れば、のように語ってたり。

やはり今回も、色々細かい所への工夫、こだわり、というのはいつものことなのだろうけれど、

やはり杏奈の微妙な心情表現、には苦心があったようで、初めて「湿っ地屋敷」を見た杏奈、のシーンで、わずかな時間の、髪や背景の草のなびきをどうするか、など映像を見て、スタッフと協議してたり、

心の内を余り表情に表さない異色ジブリヒロイン杏奈の微妙な心情を、ナレーションに乗せるのもやりたくないし、行動や表情の変化で表せれば、などと語ってて、

水や草などの自然描写での工夫と合わせて、確かに宮崎作品のダイナミック映像、とは一線を画す新たな路線、と改めて。

そういう繊細な方向を探っていける米林監督は、先日も原画展で、少女画が得意でルーツは少女漫画好き嗜好、というのもあったし、

「・・アリエッティ」では、アリエッティのちょっとした仕草などにそういう資質も垣間見えたりしつつど、基本的に宮崎駿監督脚本、というのもあって、そう繊細な少女の心情表現、という感覚はなかったけれど、
            

ちょっと風貌はもさっとしてるけれど、この人ってある種、岩井俊二監督や松本隆のような”女の子感覚回路”を自然と備えた男性クリエーターじゃないか、という感じが今回じわじわ。


a0116217_041730.jpgそれと、今回美術監督は種田陽平氏、実写畑の人がアニメの、というのは異例らしく、

多分「・・アリエッティ」の時の、美術館展示での小人ワールド立体化功績があっての今回の抜擢だろうけれど。(チラシ裏→)

これまでなかったリアルな背景創り、というのも特徴、先日の「・・マーニー×種田陽平展」(↑左、チラシ)でも、屋敷の模型や、実際に家が建てられそうな、という設計図もあったけれど、

部屋の細部にわたってのリアルさ追求のための細かい指示、

マーニーの部屋の模様のあるベッドの布団にマーニーが飛び乗る6秒程の映像のために1か月かかったり、とか、アニメーター達も本当に大変、時間が押してくるのも当然、というか。

私が作品を見た時感じた昔の”少女漫画”テイストも、ストーリー内容+そういう細かいこだわりの甲斐あっての映像美、もあったのかも。


8/16追記:先日鈴木プロデューサーから、一旦ジブリ制作部解体の発表、それは春頃にはスタッフに伝えてあった、と見かけ、

「・・マーニー」が宮崎作品並のヒットはないだろう、と見限ってか、この作品の評判がどうであれ、内部事情での決定か?不明、

一部に宮崎・高畑後継者が育ってないから、のような声もあるけれど、私は今回米林監督が創り上げた繊細少女コミック風路線が気に入って、この監督を一つの軸にジブリの新たな息吹が、と期待を持ったのに、正直とても残念。



一方の宮崎吾朗監督、ジブリを出て、父の庇護のない所でやってみることを勧めたのは鈴木プロデューサー、だそうで、これももしかして、今回の発表を見越しての勧め、だったのかどうか?だけれど、

ジブリの手描き作業とは全く違う、3DCG駆使で、よそのスタッフとの現場での、こちらも色々と苦心だったようで。

でも、そもそもが建築畑出身で、そんなにアニメーターとしての経験ない時に「ゲド戦記」デビュー、を果たしたように、初の3DCG作品制作中も、それなりに対応してスタッフを引っ張っていってるような様子は、さすがに才能、というか。


宮崎駿監督が、米林、吾朗両監督の個性を比較して、麻呂の方が官能性がある、「・・アリエッティ」で形にして、大したもんだ、

吾朗監督については、粘り強さには感心する、よくこんな無謀なこと(親父の通った所を通る)をやる、どれ程の困難を伴うかと思う、僕ならそこでは勝負しない、のようなコメント。

まあ確かに、同じ映画監督、しかもアニメ、偉大な父と同じ道、というのは、長嶋一茂とかカツノリとか、俳優でも2世は色々いるけれど、

こういうジャンルだと、出来た作品自体の個性、というのはあっても、興行収入などでははっきり比較されてしまうし、だけれど、今の所、そこそこの高評価できている、というのは、それなりの資質の証明、でもあって、神経も太い人なんだろうか、と。


米林監督は、アニメーターの頃から宮崎駿監督に直接ノウハウの指導を受けたけれど、吾朗氏は一度も父からアニメについて教えられたこともなく、「ゲド戦記」の時も、父は猛反対してた、というのもあってか一切ノータッチ、

でも、その背中を見て育った父への敬意、というのは番組中もちらほら見えて、この世界が子供達が生きるに値する、ということを表現したい、などというのは、いつかお父さんも言ってたことそのままだし、

路を歩きながら、(父は)拾って歩く天才、者に限らずアイデアとか、本の中や現実の自分の周り、本当に拾って歩くのが得意と思う、だからオリジナリティがある、

拾ったものだけど、他の人にはガラクタとか、そもそも目に入ってないものを拾い集めて、それがこうだって組み合わさった瞬間に作品性のある希代なものに変身する、などと分析、

この人が父についてこういう風に話すのは初めて聞いたけれど、やはり父(の創る作品)への憧れ、積み重ねてきた思い、というのは根強かったようで。


私は「ゲド戦記」の、手嶌葵の「テルーの歌」シーンは結構インパクト、

         

でも全体の後味はやや微妙、「コクリコ坂」は、何だか”ジブリ後継者”っぽい安定感、+情感もあって良かった、と思ったけれど

本人は、自分は、この仕事出発時に、例えばアニメーターから始めた、とか、たたき上げてるわけじゃない、若いうちから積み上げて今がある、ということじゃない、

そうすると、自分の軸足をどこに置くのか、という問題もあって、今回ジブリを出て、この3DCGアニメで、自分の確かな軸足を作りたい、ということが背景にあったようで。

番組中、両監督とも、互いの動向、新作進行具合を気にしてる、ようなコメントもあったけれど、

吾朗氏にとっては、いくら駿氏の息子、という持って生まれた肩書はあっても、米林監督のような、ジブリたたき上げスタッフへの引け目、遠慮、というニュアンスも多少あるのか、

鈴木プロデューサーの勧めというのも含めてジブリ自体の節目、ということも大きかったのか、自分の資質も総合して、ということか、そのミックスか?。

資質としては、やはり米林監督の今回見せたナイーブ路線とは違う、ヒロイン少女の扱いについては、そう繊細、というより正当ジブリ的な、凛としてキビキビ正義感タイプ、なのかと思うのだけれど。


「・・ローニャ」自体は、ジブリで前から何度も作品化が検討されてて、「長靴下のピッピ」と同じアストリッド・リンドグレーン原作の企画を吾朗氏が持ち込んだ、という形のようで、10月スタート、テーマ曲を歌うのは再び手嶌葵らしく、

連続TVアニメって、長らく遠ざかってるけれど、これはやはりとりあえずちょっとチェックしてみたいと思う。


そういう所で、ジブリ後継者候補と言われてきた両監督の新作制作ルポ、ジブリ制作部解体ニュースもあって、ちょっと今後進路は?、だけれど、

記憶に新しい「・・マーニー」制作の裏舞台含め、2人のこれまでのプロセスや個性比較など、なかなか面白い内容でした。

関連サイト:アニメーションは七色の夢を見る 宮崎吾朗と米林宏昌思い出のマーニー 公式サイト盗賊の娘ローニャ サイト
関連記事:男鹿和男展ゲド戦記(’06)プロフェッショナル 宮崎駿スペシャル崖の上のポニョ(’08)プロフェッショナル 宮崎駿のすべて<1><2>スタジオジブリレイアウト展借りぐらしのアリエッティ(’10)借りぐらしのアリエッティ(’10)<2回目>The Borrowers(’52)/床下の小人たち(’52)野に出た小人たち(’76)ジブリ創作のヒミツ~宮崎駿と新人監督 葛藤の400日川をくだる小人たち(’76)借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展空をとぶ小人たち(’69)小人たちの新しい家(’82)小人の冒険シリーズと「借りぐらしのアリエッティ」コクリコ坂から(’11)風立ちぬ(’13)<1><2>ひこうき雲/荒井由実(’73) ミュージッククリップ放映思い出のマーニー(’14)思い出のマーニー×種田陽平展思い出のマーニー公開記念 米林宏昌原画展思い出のマーニー / ジョーン・G・ロビンソン (’67)


  
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by MIEKOMISSLIM | 2014-08-14 23:59 | 映画全般 | Trackback | Comments(0)


SONGS 高橋真梨子

これも溜まっていた録画、先月19日放映の「SONGS」高橋真梨子の回、先日見ました。

この番組常連中の常連、というか、8年連続の登場。今回歌ったのは「五番街のマリーへ」「はがゆい唇」「ごめんね・・・」「遥かな人へ」「愛のAxel」。

前もってHPでリクエスト曲のエピソードを募集してたらしいけれど、150人をスタジオに招いて、リクエスト方式を取りたかった、という構成、傍らでヘンリー広瀬が演奏兼進行役。


最初にリクエストが多かった、という「五番街のマリーへ」「はがゆい唇」を歌って、後で思えば「五番街・・」と、「ジョニーへの伝言」や「桃色吐息」「for you・・」とかじゃなく、「はがゆい唇」というのもちょっと意外で、

今回一番インパクト、といえばその「はがゆい唇」。聞いたのも久方、反射的に浮かぶのは、これがテーマ曲だった、主演田中美佐子、相手役三田村邦彦の刑事ドラマ、題名は「眠れない夜を数えて」だったのだけれど、

ビル群の風景+田中&三田村の刹那的な渋め恋模様がミックスで彷彿、だけれど、これって作詞は阿木燿子だったのだった、と・。

これはYou tubeには、他の人版しかなかったけれど、「桃色・・」とはまた違う、高橋真梨子独特の心の機微をくみ取るような大人ラブバラード、という感じ改めて。

          


その後、紹介された60代の熟年夫婦の、夫から奥さんへ、妻に家や子供の躾を任せっぱなしで、ごめんなさい、という気持ちで、という「ごめんね・・」や、

昨年の伊豆大島の災害で、妹さんを亡くした81才の老婦人、2人共長く高橋ファンだったようで、毎年一緒にコンサートを見に行くのを楽しみに、それぞれ小さな喫茶店、軽食喫茶を営んで働いてた、という人からの「遥かな人へ」。

集まった仲間に励まされながら、一緒に「五番街・・」や「遥かな人へ」を歌う姿に、本当に全国至る所に、こういう風にお歳でもポピュラー好きな、根強いコアファンっているんだな、と一瞬しみじみ。

で、高橋真梨子本人も、お母さんを突然亡くした辛い頃のことを回顧。この歌はリメハンメル五輪のテーマ曲として本人が作詞がした曲、だったのだけれど、

発表して20年、人生の困難や悲しみと向き合う人をこの歌で励ますことができたら、と思って歌い続けてる、などとコメント。


最後に、ソチ五輪での真央ちゃんの演技に心を打たれて、そういう前向きな姿勢と恋愛を重ねて創ったラブソング、という「愛のAxel」。

確かに恋の応援ソングのようでも、人生応援ソングのようでも、あるけれど、2番の歌詞後半など特に、失敗してどん底にいても諦めず立ち上がることに意義がある、のようなニュアンス。

まあ、オリンピックテーマ曲のラブソング、というのも、人と競い合う選手応援ニュアンス+愛ミックスって難しそうな、で、

改めて「遥かな人へ」を聞くと、勝てなかった選手への包容力、優しさ路線で上手く創ってたんだな、とは思ったけれど、

あの、終わった後本人につられて思わず感涙もののSP失敗~フリーの画期的な演技からも、ただ感動で終わらずこういう”ラブソング”が出来るのって、やはり熟年ミュージシャンの持てる懐、というか。




そういう所で今回も、久々の「はがゆい唇」の阿木&高橋ワールドや、市井の人生の機微も含んでの、高橋ボイス味わいの回でした。

関連サイト:SONGS 第305回 高橋真梨子
関連記事:阿久悠氏プレミアム10 ありがとう阿久悠さんヒットメーカー阿久悠物語(’08)SONGS 高橋真梨子<1><2>(’07)SONGS 高橋真梨子(’08)SONGS 尾崎亜美SONGS 高橋真梨子(’09)そしてもう一度夢見るだろう/松任谷由実('09)・No Reason~オトコゴコロ~/高橋真梨子('09)SONGS 安全地帯<1>/高橋真梨子(’10)SONGS 高橋真梨子(’11)SONGS 高橋真梨子(’12)SONGS 高橋真梨子(’13)



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by MIEKOMISSLIM | 2014-08-12 23:10 | 音楽 | Trackback | Comments(0)


思い出のマーニー / ジョーン・G・ロビンソン (’67)

先日試写会で見た「思い出のマーニー」原作(when marnie was there)の日本語版を、昨日読み終えました。

図書館に予約しておいた岩波書店の松野正子訳版が10日程前に届いて、他に読みかけのものもあるけれど、これは私の後に予約も詰んでるので延長不可、優先して読んでいて、予定より少し早く読了。

やはり児童文学だし文体が読みやすい、というのと、イギリス舞台とはいえ、物語が結構映画版に重なってたのもあって、ちょっとボリュームはあったけれど、意外と時間はかからず。


ヒロインアンナのキャラは、やはり杏奈のようなやや醒めた少女な感じ、ただやはり文章の方が心情表現は詳細で多いけれど、

今日見た「・・マーニー」特番で、アニメでそういう微妙な部分を補うため、杏奈は絵を描く少女にした、水や草などのの表現で杏奈の心情を表そうとした、などの工夫があったのだった、と。

               


本の最初に、翻訳者の松野正子さんが原作者のロビンソンさんに、日本の読者の理解のためにに、と頼んだら送ってくれた、という舞台の地域の簡単な地図のイラスがあって、

そこに「しめっ地やしき」とあって、劇中と地形は違うけれど、やはり原作にも「湿っ地屋敷」は登場、と判って、前半は、

核となるアンナとマーニーの接近もほぼ劇中エピソードと重なって、アンナが滞在する家の夫婦のムードなどもざっくばらんで劇中夫婦のようなだったり、特に前半は割と原作を忠実に再現してた、という感じ。


後半は、劇中だと、屋敷の新たな一家で杏奈に絡んでくるのは少女彩香だけ、原作では、5人の子供の一家で、その中の多感な次女プリシラ=彩香の立場のようだけど、結構一家でアンナと交流、

またその一家と杏奈の義理の母頼子は、劇中では全く接触なかったけれど、原作ではアンナお義理の母、ミセス・プレストンは屋敷にやってきて特にその女主人ミセス・リンゼーと交流、

彼女らの話合いが、アンナとマーニーの謎解きにも関わってたりして、後半は劇中だと、結構登場人物も簡略化して脚色してたようで。


でも、劇中の杏奈の”内側と外側”感覚、マーニーとの間に生まれる理屈抜きの友愛、劇中でのサイロ=風車小屋だけれど、そこでの嵐の日の時空を超えたアクシデント、

マーニーに裏切られた、という怒りと虚しさ~それを許す別れのハイライトシーン~終盤の謎解きでのじんわり感動モード、などは全編漂ってて、

アリエッティシリーズなど同様、こういう機会でもないとあえて手に取ろうとは思わなかった児童文学作品だけれど、何だか真摯でファンタジックな珠玉作、という後味。


8/11追記:昨日の日テレ特番でも、どの役だったか?だけれど劇中声優をしてたという石山蓮華が、原作のルーツ地、イギリス東海岸のノーフォーク地方のバーナム・オーバリーという村を訪ねてて、

本の中にも登場の”あっけし草”料理を味わったり、「湿っ地屋敷」や、劇中のサイロ=本では風車小屋のモデルの建物を見たり訪問したりしてたけれど、やはり釧路あたりとはややスケールが違う広がり。

アザラシがゴロゴロいたりする湿地の風景などもあって、それに比べたら劇中では、それなりに日本風にこじんまり、という感じもしたけれど、劇中ではなかった、その地方の鳥なども、ちょっと趣。


本の中でちょっと印象的だったのは、劇中にはなかったけれど、アンナが村に着いて、初めて船着場に行った時、飛んできて、彼女には「ピティー ミー!オー、ピティー ミー!」(あたしをかわいそうだと思ってよ)と鳴いてるように聞こえた、という小さな鳥。

その後も、アンナの心情に寄り添うように登場した鳥だけれど、その鳥についてアンナが尋ねた時、彼女がいる家のペグおじさんが、「・・もしかするといそしぎじゃないかな? うん?あいつは、さみしい、ちっさな声でなきよるよ。・・」などと返事。

いそしぎ、というと反射的に、あの映画の「いそしぎ」だけれど、あれってアメリカ西海岸舞台、



ちょっと検索したら、Wikipediaで、
>夏季にユーラシア大陸の温帯域、亜寒帯域で繁殖し、冬季(北半球の)はアフリカ大陸やオーストラリア大陸、ユーラシア大陸南部などへ南下し越冬する。

日本では夏季に九州以北に周年生息する(留鳥)が、本州中部地方以北では冬季になると越冬のため南下(夏鳥)する。< などとあって、日本も含めて、結構広く生息してる鳥だったんだ、と。


そういう所で、これは「・・アリエッティ」のようなシリーズものでなく、単発物語だけれど、これまた鑑賞と合わせて、前述のようにさりげなく良質、真摯でファンタジックな珠玉作を味わった、という1冊でした。

関連サイト:Amazon 「思い出のマーニー」思い出のマーニー 公式サイト
関連記事:男鹿和男展ゲド戦記(’06)プロフェッショナル 宮崎駿スペシャル崖の上のポニョ(’08)プロフェッショナル 宮崎駿のすべて<1><2>スタジオジブリレイアウト展借りぐらしのアリエッティ(’10)借りぐらしのアリエッティ(’10)<2回目>The Borrowers(’52)/床下の小人たち(’52)野に出た小人たち(’76)ジブリ創作のヒミツ~宮崎駿と新人監督 葛藤の400日川をくだる小人たち(’76)借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展空をとぶ小人たち(’69)小人たちの新しい家(’82)小人の冒険シリーズと「借りぐらしのアリエッティ」コクリコ坂から(’11)風立ちぬ(’13)<1><2>ひこうき雲/荒井由実(’73) ミュージッククリップ放映思い出のマーニー(’14)思い出のマーニー×種田陽平展思い出のマーニー公開記念 米林宏昌原画展

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             <「思い出のマーニー」表紙 (C)岩波書店>

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by MIEKOMISSLIM | 2014-08-10 21:35 | 本・邦画 | Trackback | Comments(0)


「オルセー美術館展」特番 オルセーの旅人 画家たちの声が聞こえる

溜まっていた録画の一つ、先月19日(土)に放映だった、「オルセー美術館展」特番を先日見ました。

今回の展示会で、音声ナビゲートをしていて、出品作品リストの表紙にも載ってた東出昌大が、実際のパリのオルセーを訪ね、話題作を巡りながら、マネや彼の元に集まった画家達が、これまでになかった絵画の表現を始めて、

そういう印象派の作品が、当時スキャンダル的に卑下されたり、その画法への風当りなど、まあ印象派誕生時のラフな紹介、おさらい、という構成。

私はその6日前国立新美術館に見に行ってて、「ヴィーナスの誕生」「笛を吹く少年」「ロシュホールの逃亡」など来日してたものや、ルノワール、モネ、ドガなどの馴染み作品も見受けられたり。


東出昌大って、どうも見た出演作は思い当たらず、最近杏の交際相手として、という程度だけれど、モデル出身で、18才の時パリに来たことがあったそうで、その風貌からして、パリの街並みを歩く姿も、日本人青年にしてはそう浮いてないような。

そう特別芸術への造詣深い?という感じもしなかったけれど、それぞれの作品の前で素朴な感想、美術学校を訪ねて同世代の学生達と、役者の立場で表現について話し合ったり、見る分には判り易かった感じ。


まず、世界を変えた1枚、としてマネの「草上の昼食」。この絵の当時のスキャンダル性、というのは知ってたけれど、

普通の身なりの紳士に混じって、野外で座ってくつろぐ堂々裸体の女性、という、彼らはそこで一体何をしてたのか?という想像を掻き立てる設定もだけれど、

150年前、そもそも聖書や神話の中の女性でない、市井の生身の女性の裸体そのものを描いた絵、という所からして未知の領域、という時代だったのだ、と改めて。


そして次に、私はちょッと馴染みはなかったけれど、美術史上最大のスキャンダル、だったらしい、やはりマネの「オリンピア」。これまた、堂々ベッドに横たわる娼婦の裸体、もまたしかり、で、

同じ頃の、こちらの方が余程なまめかしいポーズ、表情の女性裸体じゃないか?という、アレクサンドル・カバネルの「ヴィーナスの誕生」はサロンで評価されたのに対して、

この問題作に人々は動揺、パニックとなり、それを鎮めるのに軍隊まで出動した?とかでマネはアートを脅かす危険人物、にされたらしいけれど、

マネって、新たなタッチの描写方法をする印象派の、というだけでなく、題材的に、日常生活の中の女性の裸体、というタブーだった新ジャンルに切り込んだ開拓者でもあったのだった、と改めて。


a0116217_22124634.jpg8/9追記:そして、今回のおオルセー展の目玉、「笛を吹く少年」(→カード)も、”人物画の常識を覆す画期的な”ものだった、とのことで、

これは、これまで知るマネの女性人物画より、確かに輪郭もくっきり、色彩的にもメリハリが効いてる作品、とは思ったけれど、「世界一有名な少年」と呼ばれてたり、それ程までの衝撃作?という感じで、

どこが?と思ったけれど、背景を大胆に省略、人物をその形だけで浮かび上がらせる、というのがアバンギャルドった、そうで、当時は、そういう風な時代だったのだった、と改めて。

マネの周りに集まってきてた、多くの若い画家の卵達に、マネは、絵はもっと自由に描いていいんだ、と言って、「笛を吹く・・」はその自らの実践、だったそうだけれど、

この絵も、サロンからは受け取りを拒否されて、マネはこの絵でまた”伝統の破壊者”のレッテルを張られた、そうで。



そしてマネと若い落ちこぼれ画家達がのろしをあげて、’74年初めて開いた印象派展は、結構酷評された、というのは知ってたけれど、

再現映像で、会場に来た老画家が、私が結構長年大判ポスターを部屋に飾ってたルノワールの「踊り子」に対して、なんて残念なことだ、この画家はデッサンがしっかり出来ないとは!、この踊り子の足はプワプワじゃないか!とか、

a0116217_2330573.jpgピサロの冬の畑の風景画に対して、自分のメガネをぬぐってから、

一体全体これは何だ?畑の上?霜?汚れたキャンバスの上に絵の具をベタベタ擦り付けただけじゃないか!とあきれ、

モネの「印象日の出」(←カード)に対して、一体これは何を描いたのか?とカタログを見て、印象、もちろんそうだろう、この中にはたっぷり印象が入っているんだろう・・・

描きかけの壁紙でさえ、これに比べればずっと完成されている、などと一蹴、などというくだりがあって、今やスタンダード人気の絵が、当時の価値観から、こういう風に具体的ににべもなくけなされてるのが、妙に可笑しかったり。


彼らへの「印象派」という呼び名は、批判からついた、のようなことは覚えあったけれど、この「第1回印象派展」という呼び名も、彼らが」自主的につけたのでなく、後でそう呼ばれるものだったようで、

とにかく当時、今や超有名画家のモネ、ルノワール、ピサロら含め、マネの周囲の若者の画家たちは、こんなものはただの印象、と世間から笑われた、というエピソードが少し詳しく映像で紹介されてたのが今回一番面白かった。


そういう流れで、今回ナビゲートの東出昌大が、「印象派」とうのは尊敬の意味を込めた言葉と思っていたけれど、若者たちを馬鹿にする呼び名だったとは驚いた、

名画とは巨匠が描いたもの描いたもの、と思い込んでいたけれど、違う、印象派は、自分と同世代の若者の”戦闘宣言”だったんだ、などと言ってたけれど、

若い頃パリコレという舞台でパリ経験あった、というのと、そういう印象派船出の頃の若い画家、に合わせての起用、という意味もあったのかも。


その他、オルセー美術館で人々の人気エリアが、豪華なシャンデリアなどの優雅な「祝典の間」、そこにあるゆるキャラ的な彫刻、ロザンの弟子フランソワ・ポンポン作、という「シロクマ」や、内側からガラス越しにパリの街並みが見える、大時計とか、

オルセー理事長のお勧めとして、印象派ギャラリーに置かれてる、日本人デザイナー吉岡徳仁氏が印象派の作品と相乗効果を持ちたいと思って創った、というガラスのベンチ「Water Block」など、少しだけれど、オルセー自体のスポット紹介もあったり、

これも、遅ればせながら今回のオルセー展鑑賞+アルファで、なかなか興味深い番組でした。

関連サイト:オルセー美術館展 印象派の誕生ー描くことの自由ー 公式サイト
関連記事:クリーブランド美術館展大エルミタージュ美術館展オルセー美術館展美の巨人たち ベルト・モリゾベルト・モリゾ展大回顧展モネフランス印象派・新印象派展フィラデルフィア美術館展ルノワール+ルノワール 2人の天才が愛した女性ルノワール+ルノワール展フランス展/福岡・長崎展/パリ・モンパルナスに集う画家たち展美の巨人たち ドガ、、芸術都市パリの100年展ルノワール~伝統と革新/味百選ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たちプレミアム8<紀行>夢の聖地へ モネの庭語りかける風景マネとモダン・パリ印象派はお好きですか?オルセー美術館展 「ポスト印象派」モネ・ルノワールと印象派・新印象派展ザ・コレクション・ヴィンタトゥールセーヌの流れに沿って 印象派と日本人画家たちの旅モネとジヴェルニーの画家たちワシントン・ナショナル・ギャラリーエルミタージュ美術館展 世紀の顔 西欧絵画の400年ユーミンのSUPER WOMAN 「長谷川祐子と現代美術をめぐる」<1><2>ワシントン・ナショナル・ギャラリー展ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たちエルミタージュ美術館展 世紀の顔 西洋絵画の400年メトロポリタン美術館展 大地、海、空ー4000年の美への旅奇跡のクラークコレクションールノワールとフランス絵画の傑作ー印象派を超えて 点描の画家たちモネ、風景を見る目ー19世紀フランス風景画の革新オルセー美術館展 印象派の誕生ー描くことの自由ー

草の上の昼食(’59)

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                <出品作品リスト表紙>

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by MIEKOMISSLIM | 2014-08-07 23:30 | 芸術 | Trackback(1) | Comments(2)


SONGS 絢香&「花子とアン」

この所録画も溜まってて、6月末の「SONGS」の絢香の回、先日録画で見ました。

歌ったのは、「みんな空の下」「にじいろ」、アンジェラ・アキの「手紙~拝啓 十五の君へ~」。「にじいろ」が主題歌の「花子とアン」の撮影セットを訪れて、親交あるらしい吉高由里子とのトークなど交えて。


この人は元々水嶋ヒロの交際~結婚相手、という程度の認識だったけれど、ちょっと引っ掛かったのは、一昨年の「クリスマスの約束」で、小田さんと歌った「ツヨク想う」。

         

ニュースのエンディング曲で聞き覚えはあったけれど、その時初めてフルバージョン聞いて、改めてなかなかそこはかとなくパワフルないい曲、というインパクト。


そして、今回「花子とアン」とのコラボも注目。

a0116217_1523215.jpg今年初め頃、ふと手元の「赤毛のアン」「アンの青春」(→(C)(株)新潮社)を久方に少しずつ読み返したのがきっかけで、

そういえば、子供時代に、全部は読んでいない、このシリーズを追ってみようか、という気になって、

3冊目以降は手元にないし図書館で予約、読んだら次のを予約、を繰り返し、今7冊目の「炉辺荘のアン」。

何だか昔、何冊かはシリーズを読んだ気はしてたのだけれど、3冊目「アンの愛情」からは、ギルバートと結婚、というのは知ってたけれど、どうも内容自体に覚えなく、実際読んでなかったのか?、

とにかく以前「赤毛のアン」「アンの青春」映画化や、近年「アンを探して」でも見た美しいプリンス・エドワード島、その他の土地での”その後のアン”の人生を、少しずつ辿ってるのだけれど、

春先に、今度のNHK連ドラが、まさにリアルタイムで寝る前に少しずつその文章を追ってるこの翻訳者、村岡花子さんがヒロイン、と知って、ちょっと驚き。


アンシリーズ以外にも馴染んだモンゴメリもの、今手元にあるのは「可愛いエミリー」「エミリーはのぼる」「パットお嬢さん」だけれど、その訳もこの人だし、

思春期の読書の水先案内人、翻訳者としては、サガンシリーズの朝吹登水子さんの次に、ノスタルジーな馴染みの名。

その生涯や風貌などについては全く知らず、そういうこともあって、子供の頃以来全く見る折なかったこのNHK朝の連ドラを、折に見逃しはするけれど、今回結構定期的に見ていて、

貧しい家に育ちながら、明治時代の女性にして、英語に没頭、才覚ありながら、家のため故郷に戻って子供相手の教師をしたり、性に合ってるとも思えない出版社の仕事に奮闘、思わず恋にも悩んだりする花子、周囲のもっさりした温みの家族の面々、

またなかなか濃いキャラの仲間由紀恵演じる歌人白蓮、親友蓮子も絡んでの青春~人生ドラマとしてもなかなか面白いのだけれど、

オープニングの、絢香の「にじいろ」をバックに、グリーンゲイブルス~湖や草原、海へと広がる”赤毛のアン”世界の風景~花子の故郷山梨へと、時空を超えてアンの麦わら帽子が漂ってくる映像が、

”アン”で憧れたプリンスエドワード島のノスタルジーも彷彿、結構気に入って、You tubeに音声抜き映像はあったけれど、終了までに一度は録画で保存しておかなければ、と思ってる位。
    
           

で、「みんな空の下」も良かったけれど、やはり、初めて2番も聞いた、この「にじいろ」が今回一番インパクト。


絢香と吉高由里子は、吉高由里子が水嶋ヒロと共演してた縁もあって、家族ぐるみの付き合いのようで、吉高由里子は割とあけっぴろげなキャラ、という話は聞くけれど、ガールズトークっぽい所もあった2人のトーク、

また絢香が、辛いことを乗り越えて初めて見える景色があって、雨が降らないと虹は見えないし、花子も辛いことがあっても、自分のポジティブなパワーで見える景色を虹色にしていく、ということで繋がった気がして出来た歌、などと「にじいろ」について語ったり、

主人が音楽のアドバイスをしてくれた、などと水嶋ヒロのことを語る様子も、自身難病克服でカムバックの陰に支えもあっての、ミュージシャンとしての充実ぶり、という感じ。


そういう所で、今旬の「花子とアン」も絡めて味わえた、絢香の回でした。

関連サイト:SONGS 第303回 絢香花子とアン 公式サイト
関連記事:クリスマスの約束(’12)アンを探して(’09)GSワンダーランド(’10)BECK(’10)KAGEROU / 齋藤智裕(’10)    

 

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by MIEKOMISSLIM | 2014-08-05 01:24 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

    

’09年1月末AOL映画掲示板、ブログが終了、気分新たにマイペースで、音楽・芸術鑑賞、ユーミン関連、読書、英検1級対策、グルメ、仕事等含めて書いてます。英検は’11年11月に無事合格達成出来ました!
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