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ハルフウェイ(’09)

先日「ニューヨーク、アイラブユー」を見た後、岩井俊二監督関連で未見で、この折に、と、DVDで見ました。同監督・小林武史プロデュース、脚本家北川悦吏子が初監督、主題歌のSalyuは「リリィ・シュシュ」シンガーだったのでした。

北川著の原作文庫(「ハルフウェイ」('09))も、先日図書館に在庫あったので、一緒に、と思ったのですが、これは後で小説化されたようで、その順で、DVDを見てから本にしました。

何ということのない、十代の恋模様なんですが、主演2人(ヒロ役北乃きい、シュン役岡田将生)の、ほとんどアドリブだった、という科白がミソで、素の感情や距離感、また、バックの北海道の伸びやかな川岸やそこにある紅葉樹、雲が低くたなびいてる広がりある空、

学校や2人各自の部屋での、逆光気味ショット、光の柔らかさは、やはり岩井映像な味、という気したり、ヒロと友人メメ(仲里依紗)が教室でシャボン玉を作って飛ばすシーンは、「花とアリス」('04)の大きなバルーンが見えたシーンが重なったり等じんわりノスタルジーもあって、お話は淡すぎな感じもありましたが、トータルして満足でした。

高3で早稲田志望、でも、そういう時期に、成り行き上、自分に好意を持ってると判ったヒロに告白してしまったシュン。天にも昇る心地も束の間、相手の志望校を知って、地元で進学の自分からは離れていこうとしてる事に対して、様々に揺れ動く”女の子”の気持、そういうものに反応して、やはり揺れる”少年”の気持、

端から見たら、矛盾もあって他愛ない、でもその時々の、当人にとっては切実な感情のカケラが散りばめられてた感触でした。

3/25追記:岡田将生は一見学校の”王子様”風、誰かにイメージが似てる印象でしたが、後で「ベニスに死す」の時のビョルン・アンドレセン少年がラフにくだけたような、と。北乃きいは、弾けるような天真爛漫さ、おそらくアドリブ中での、彼女の「halfway」読み間違いが、そのままこのタイトルに、と知って、その場面では岡田将生も多分、素でウケていた、天然ぶり、

rじゃなくlだし、と笑って押し通してて、昔はそういう無声音も発音されてたようですが、それにしてもhalfがハーフ、でなくハルフ、普通の「ハーフウェイ」より微妙に味あるタイトル、になったかもしれませんが、劇中ヒロは福祉の大学一般受験志望、本では推薦で決まっている、という設定、まともに思えば、大丈夫?!高3生、という所でしたが、

そもそもこのストーリーでは、受験は、2人の道を差当たり離してしまう壁、ではあっても、受験勉強そのものの重圧、はほとんどカット。

学校の講習・模試・予備校・塾・家庭教師等の影も一切なく、紆余曲折の末シュンが気持新たに早稲田を目指す事になって、終わるまで会うのも携帯もよそう、とは言いながら、結局2人のモードは余り変わらず。メイン筋は純愛で、別にそう不自然に感じた訳ではないですが、学力的に余程余裕あった、とでも思わないと、真剣早稲田狙い?という違和感ありました。

唯一、受験面で、設定の配慮?と思ったのは、シュンが、数学はダメ、とこぼしていて、私立文型難関校志望らしく、また哲学を学びたい、というような所で、もし早稲田でなく、東大等国立難関校志望だったら、2人のためにも、それを友人タス(溝端淳平)と同じ北大志望に変えても自然かもしれないですが、北海道に、早稲田や次のランクに相当するような私大、また哲学科のある大学もない事情で、東京(本州)行きへの動機、また、それを止める事へのジレンマの裏付けにしたのかも、と。

でもやはり、近年見た青春もので「恋空」('07)も川縁の風景があった、と思い出しましたが、あの作品の、様々な不幸・事件のオンパレード、を思えば、内容的にもこちらの方が、何というか等身大真っ当感が。

ヒロが平林先生(大沢たかお)の書道教室で、これが今の私の気持です、と言って墨で書いた3枚、「いけ」+「いくな」=「いけな」、がこの作品の凝縮、のようで印象的でしたが、色々と詰め込まなくても、思春期のそういう気持の核を丁寧に追えば、ちゃんと作品が出来るのに、と、改めて思いました。

それと、2人を見守る脇役の教師達。ヒロがシュンの手を引いて職員室の高梨役成宮寛貫の前で「この人を早稲田に行かして下さい!」と頭を下げるくだり等は、やっとの思いの決意は判っても、どうも鼻白む所でしたが、保健室の松浦役白石美帆は「The Harimaya Bridge はりまや橋」('09)でも教師役、そう表立つ訳じゃないですがはまり役、な感じ。平林役大沢たかおの、ヒロへの、恋の状況や複雑な心境踏まえたラフな話っぷり、大沢たかおの教師、というのは初見でしたが、今回好感持てました。

あと仲里依紗は、アニメ「時をかける少女」('06)「サマーウォーズ」('09)声優での馴染みでしたが、姿は初、ちょっと骨太少女感で「花とアリス」での鈴木杏が重なったり。

小説の方は、読み易かったのですが、やや場面が前後したり、シュン側の気持、言い分がもっと詳しく書かれてたり、ラストも違い、どちらのラストもそれぞれの余韻でした。撮影は石狩市・小樽市だったようですが、小説の方は、舞台が小樽メインで、岩井作品「Love Letter」('95)も舞台が小樽、未読ですがこれも後で同監督著で小説版が出ていて、そういう影響かも、と。

北川脚本作品で、一番インパクトだったのは「ロングバケーション」、昨年思いがけず再放送ありましたが、キムタクと山口智子の、徐々に距離が縮まるラフな恋、その純愛高校生版+岩井テイスト、モネ等の風景画のように静かに景色を映して広がる川面、バスケシーンや、並んでの自転車、お好み焼き屋、手作り弁当、校庭の夕暮れ、そういうある時期だけのアイテム絡んで、久方の、少し心洗われるような青春もの味わい。

エンドロールでの、Salyuの歌、緑の画面に白い輪郭だけでのシーン再生も、サラリと良かったと思いました。

関連サイト:http://www.amazon.co.jp/%E3%83%8F%E3%83%http://www.paoon.com/film/muzntndka.html
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             (C)(株)幻冬社 
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by MIEKOMISSLIM | 2010-03-24 00:00 | 邦画 | Trackback(14) | Comments(0)
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「KYOKO」は’02年に映画掲示板にスレッドを立てた村上龍監督、高岡早紀主演映画で、当ブログはそのスレッド、次のブログに続いての3代目です。マイペースで、長年ファンのユーミン関連初め音楽、美術展、仕事、グルメ(食事)、映画、本、日常、旅のことなどアップしてます。


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