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Something Impressive(KYOKOⅢ)

時をかける少女(’76)

新版を見た機会に、と、文庫ので「時をかける少女」原作を読み直してみました。この他、「悪夢の真相」「果てしなき多元宇宙」という短編も収録されていて、ついでにこの2編も。以前持ってた本では、どうもその2編の覚えはなかったのですが、そう時間かからず割と読み易かったです。

「時を・・」も、記憶霞んでいて、こういうのだったのだと。大方の筋は元祖大林版(「時をかける少女」('83))等と同じ、序盤の和子が体験する同じ日が2度繰り返しで混乱、の部分等、ああそうだった、と懐かしかったり。

でも後半は、問題の午後の実験室で、深町が和子に経緯を説明する部分が長く、やはり映像化ではその代わりにタイムリープ場面を多く繰り広げていた、とか、原作では場所の特定はなく、大林版は、尾道という舞台+ヒロイン原田知世エキスもあって独特な世界に、と改めて、でした。

他の2編も、それぞれ女子中学生、女子高生が主人公で、「悪夢・・」は幼い弟や、少女自身が抱く、あるものへの見えない”恐れ”は、何気ない周囲の大人の言動、また記憶から締め出してしまっていた過去の出来事が原因、と判ってきて、という流れで、

SFと言うより、他愛ない幼い妄想から、ややシリアスなトラウマ的な恐れまで、ある種の感受性タイプによっては有り得そうな、という感じでしたが、ヒロインも弟も、不安や恐れの具体的なルーツが判った事でメンタル的に解放されて、という明るい後味。

「果てしなき・・」は、自分達の宇宙は、無限にある多元宇宙の中の1つ、という想定で、他の宇宙での事故がきっかけで、突然主人公が、自分の理想がそのまま現実になった世界に迷い込み、

そこでは、好意はあるけれどもう少し男らしかったら、とやや不満を抱く男子同級生が、過剰に暴力的キャラクターになっていたり、タレントになれたら、という夢が現実化、道で多くの人々にサインをせがまれ追いかけられパニック、「・・私をもとの世界にもどして!・・」という叫びで終わる、SFコンセプトは素朴でもややシニカルな味でした。


以前持ってた本は、細長の単行本、ちょっと検索してみたら、多分鶴書房盛光社「SFベストセラーズ」シリーズの’72年発行のだったかと思うのですが、ペアの「続・・」表紙が、宇宙空間バックで元祖ドラマ(「タイム・トラベラー」('72))のヒロインの島田淳子(後に浅野真弓)だった記憶はあっても、どうもこちらは表紙も思い出せません。

「続・・」は、オリジナル脚本担当の石川透氏著で、ドラマもこの「続・・」から見たのでしたが、このテーマ曲(「続・タイム・トラべラー」)が今だに色褪せない印象的な神秘的旋律、

これにプラス、和子がタイムリープする時の、「時間のひずみ」という呼び方だったと思うのですが、宇宙空間映像が、子供心に結構インパクトで、この影響で大きな紙を黒+青の絵具で塗って、白で星を散りばめて「宇宙」を描いて壁に貼ってたり。そして当時は、夜、故郷の家の二階から、無数の星が散らばる銀河が見えて、今思えばファンタジーのような眺めだった、と。

今思えば、このドラマ続編は、やはり先日の新版作品とは違い、ケン・ソゴルが行方不明の科学者を探すため、未来から再びやって来て和子と再会、任務というきっかけ、ではありますが、男気がある、というのか彼が自ら会いに来て、和子が彼に協力、という、やはりヒロインは潜在能力あっても受身スタンスだった、と改めて。

You tubeで未見の元祖番組の映像「タイムトラベラー」もあって、このツーショットも郷愁ですが、見ていたら「山形先生がバス旅行に行くのを止めたいの!」「それは出来ないんだ」というような2人のやり取り、先日の新版の内容が重なったのですが、

思えばそういう経緯は原作にも大林版にもなかったし、もしかしたらこの超元祖ドラマ版へのオマージュなんでしょうか。島田淳子は割とふくよかだった印象、改めて今見て、髪型もセミロング、透明感の原田知世より、正統派女の子らしさのヒロイン像でした。

筒井作品は、「農協月へ行く」とかその他何か読んだかも知れません。映画化作品では、岡本喜八作品の「ジャズ大名」('86)や、3年前「日本沈没」リメイクの折に、そのパロディとして「日本以外全部沈没」('06)を見て、何だか微妙な怪作、と思った覚えだったのでした。


そして、この島田&木下清コンビは、やはりNHKドラマシリーズの「マリコ」('74)でも共演してた、と先日思い出しました。これは「静かに自習せよーマリコー」('74)が原作、みつはしちかこの表紙はなくなってしまいましたが手元にあって、その続編「涙で顔を洗おうー続マリコー」('74)も何処かにあるはずですが、おきゃんなヒロインや取り巻く様々なタイプの友人達、エスプリも効いて、ほのぼの学園生活もの珠玉作だった、と。作者高谷玲子さんは25才でガンで夭逝したのでした。

新版の劇中ヒロインあかりがタイムリープしていた、その時代だったのでしたが、何というか時間の流れのおっとり感背景のドラマやジュニア小説、また表紙のみつはしちかこの「チッチとサリー」シリーズとかあった、等、キリがありませんが、色々連鎖ノスタルジーでした。

関連サイト:「時をかける少女」文庫Amazonサイト「時をかける少女」公式サイト
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             (C)(株)角川書店
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by MIEKOMISSLIM | 2010-04-21 00:00 | | Trackback | Comments(0)