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Something Impressive(KYOKOⅢ)

E.YAZAWA ROCK('09)

一昨日、矢沢永吉ドキュメンタリー「E.YAZAWA ROCK」DVDがリリース、近隣店にも出ていたので見ました。これは、昨年末公開時、気にはなりつつ見損なった作品。本人の姿は、昨年末「紅白」にサプライズゲストとして登場、を見て以来でした。

監督した増田久雄は、石原軍団にいた映画プロデューサーで、以前にも矢沢ドキュメンタリー「RUN&RUN」のプロデュースを手掛けた人だったのだった、と。

E.YAZAWA ROCK(\'09)_a0116217_21363430.jpg今の本人を追った映像+回顧映像交えて、ダイナミックなステージ模様、また、曲によって、PVのような趣のライブ+映像や、ライブ+練習での歌をミックスした構成、本人の語り、リハーサルの様子等。

冒頭やラスト、中盤で、本人がランニングしたりくつろいでた南の島らしき場所は、後で見た作品サイトでは、南太平洋のミクロネシアでしたが、そういう場所の美しい海や空の自然、渡米した時の映像、等もスパイスで、多彩な味わいでした。

今回新たに思ったのは、ステージでの身のこなしでの、意外な身体の柔軟さ。また改めて、日本人男性シンガーで、この年のなっても、胸をはだけた衣装、またサスペンダー姿が一番似合う、というか違和感ない人では、と。

それと、リハーサル等での、本人自らの演出へのこだわりぶりやリーダーシップ、外人ミュージシャンとのセッションでも、「自分がもう少し上手く英語がしゃべれたら、日本のロック界は変わってた。でも、そう出来たら出来たで、失ったものもあったと思う」等と、冗談交じりに言ってましたが、そう語彙あって流暢という訳でもなくとも、豊かな表情やアクション交えながら自分の意思を伝えて、場を盛り上げるパワー、才、のような所。

歌った曲で印象的だったのは、パワフルな「Oh Yeah」、ステージ上で煙草を手にしての洒脱な「バーボン人生」、横浜国際競技場で途中感極まって歌が止まった「アイ・ラブ・ユー、OK」、本人が、グレイハウンドバスに乗ってる昔の映像バックでの「トラベリング・バス」、そして、スタジオでギター一本で歌ってたり、クルージング映像と共に、の「コバルトの空」、エンドロールでの「時間よ止まれ」等。

また、本人の語りで頭に残ったのは、「自分は欲しいと思ったものは手に入れてきたけど、(誰かを)後ろから殴って、ガサっと、という事はまずなくて、いつも真正面から取ってきた」、

「小学生の頃、生活保護を受けてる生徒は、給食をこっそり裏口からもらわなくちゃいけなくて、冗談じゃない、上に行かなきゃダメだ、と思った」というような、ストレートなハングリー精神のルーツ。「成りあがり」('78)は、内容記憶薄れてて、文庫はありそうと思って本置き場を見てみましたが見当たらず。

また「アイ・ラブ・ユー、OK」の時に、下にテロップだけ流れた、広島から単身上京した時の「岡山から東に行ったこともないのに、冗談だろ、一体何をする気だ」のような車中のあてどない心境、には、何だかキュッとするような感触がしたり。

3年前の「SONGS」で、浅野忠信との対談等でも、季節感を大事にしたい、ような事を語ってましたが、やはり、「矢沢と言えば、真夏と冬だけ、のようなイメージかもしれないけれど、この頃春や秋もいいと思う。ただ走ってきて、夏だけで、ポツンと1人、というのは空しいし、残りの人生は、どれだけ春や秋を持てるか、だと思う」、とか、やや老境、という心情も垣間見えたり。

7/12追記:若い頃の、今回も映像にあった、「俺は天才」と豪語して憚らなかったようなツッパリぶり、に対して、近年の「SONGS」でも、人生先輩格として、若者と語り合ったり、甘過ぎはしないアドバイスをしてる、温みも漂う様子に、やや印象変わってました。

「自分は一般の人には持てないものを得てきたかもしれないけど、一般の人が持ってるものを沢山失ってきたとも言えるし、誰も彼も、そういう風に満足、と思えれば、いいんじゃないか」のような、余裕、ともある種本音、とも取れるようなコメント。

「毎日新聞に、戦争や殺された、ような事が載ってない日はないし、皆、世界はどうしちゃったんだろう、と思ってると思うし、そういう事を歌で告発する人はすればいい。でも自分はそういう事は歌わなくて、やっぱり歌うのは「LOVE」だ」、とか、矢沢のステージを見て、また1年頑張れる、と思ってくれればいい、とか、何もなかった頃からやってきた自分を知ってるから、という、ブレのなさ。

自分は16才の頃、ビートルズにスパーン!と来れたのが良かった、やはり14~16才の頃、何かにスパーンとこれるかどうかで、人生決まってしまう、等とも語ってましたが、最近特に、豊かになった分現実的には、若い層の人生の方向付けも、なかなかつけにくいし、まあスパーンとくる感性自体、育ち難い気はするし、幾ら年をとっても、方向に惑いつつ行くのが大方の中、

やはり、「キャロル」からソロへとロックスター道を走ってきた、一握りの人生。でも華やかに見えても、実際色々とあったかと思うのですが、馴染みの年下のミュージシャンの、「ドアを自分で蹴破って進んできたのって彼位で、すごく感化される」のようなコメントもあって、やはり日本のスーパースター達の中でも、自身叩き上げできた、それでも作って歌う曲に、そういう激しさだけでなく、ロマン、洒脱さ、包容力、繊細さも持つ、稀有な存在、という感が。

最新シングルの「コバルトの空」は、昨年聞いた時、まるで往年の曲のダイナミックさキープで、少し驚いたりもしたのでしたが、今回も最後の方で流れ、また耳に残ったし、エンドロールの締めの南の島バックでの「時間よ止まれ」も、この人の30年のキャリアの渋みバラード、という余韻。

この人だって、ある意味「矢沢永吉」を演じてきた、かもしれないですが、かといってその息遣いは、その場その場の”お芝居”でない生っぽさでした。

関連サイト:「E.YAZAWA ROCK」公式サイトhttp://www.paoon.com/film/eeksgowxii.html
関連記事:SONGS 矢沢永吉<1><2>SONGS 矢沢永吉SONGS 矢沢永吉<1><2>SONGS 中森明菜<1>過去問SONGS 安全地帯<1>/高橋真梨子

E.YAZAWA ROCK(\'09)_a0116217_21344442.jpg

                 <’90年5月、キーウエストにて>
Tracked from Mooovingな日々 at 2010-07-13 12:00
タイトル : 『E.YAZAWA ROCK』
題名そのままの日本のロックの大物スター矢沢永吉の今までの歩んできたドキュメンタリー。 初めて彼の素顔や本音が聞けるなかなか興味深い作品で、ファンや好きな曲がある人は観て損はしない。 あらためて彼の生き方や考え方が大きな人と言う印象をもった。 そして彼は、つねにどんな人にも同じ目線でそして自分のポリシーだけは崩さない。 また、初期の曲はすべて自分でも苦手な質流れのギターで引いて作った、といった庶民派で、リスナーに自分の歌で明日からもう一度頑張って生きようと思う人がいるだけで喜びの謙虚さがす...... more
Tracked from 京の昼寝〜♪ at 2010-07-13 12:05
タイトル : 『E.YAZAWA ROCK』
□作品オフィシャルサイト 「E.YAZAWA ROCK」□監督 増田久雄 □キャスト 矢沢永吉■鑑賞日 12月26日(木)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想> E.YAZAWAのネーム入りのタオルは持参しなかったが(笑) 長い間、トップを走り続けてくることは、たとえ“成りあがり”とて、成りあがってからの今日までの活躍は、 自身の才能だけがそうさせたわけではないことを、このドキュメントタリーフィルムは捉えている。 それは先日惜しくも亡くなってしまっ...... more
Tracked from 象のロケット at 2010-07-13 19:09
タイトル : E. YAZAWA ROCK
1972年、日本の音楽シーンは平和を歌うフォークの全盛期。 そんな中、リーゼントに革ジャン、黒ずくめのファッションでR&Rバンド「キャロル」を率いてデビューした矢沢永吉。 解散後、ソロ・アーティストとなりトップスターとなったロックのカリスマが全身でROCKと人生を語る30年間の軌跡…。 音楽ドキュメンタリー。 ≪熱い男の生きざまにシビれろ!≫... more
Tracked from ダイターンクラッシュ!! at 2010-07-15 03:02
タイトル : E.YAZAWA ROCK
2009年11月28日(土) 18:55~ TOHOシネマズ川崎7 料金:0円(1ヶ月フリーパス) パンフレット:未確認 『E.YAZAWA ROCK』公式サイト フリーパス鑑賞23本目。 還暦のロッカー永ちゃんのドキュメンタリー。 デビュー以来の軌跡の作品化かと思っていたんだが、武道館100回記念ライブのリハーサルと現在の永ちゃんのモノローグが中心だった。過去の映像は、1978年と1985年がちょびっと。 I.W.HARPERを愛飲している(しか飲まない)と聞いていた永ちゃんだが、なんとマテ...... more
by MIEKOMISSLIM | 2010-07-11 00:00 | 邦画 | Trackback(4) | Comments(0)