借りぐらしのアリエッティ(’10)<2回目>

一昨日、「大沖縄展」記事で触れたように、新宿ピカデリーで再度母と見てきました。劇場は満員。試写会後、パンフを買っておければ、また、もう一度見ておいても、と思ったのと、一昨年「崖の上のポニョ」は母と見ていて、割と好感そうだったので、これも合いそうな気して誘ってみた、という所でした。

私は2度目「・・アリエッティ」、初回から特に印象の変化、という事はないのですが、劇中でも流れてたのだったセシル・コルベルの声の透明感、アリエッティが翔の部屋へと登って行く屋根を覆う、つたの葉1枚1枚連なった細かいボリューム、水面、水滴の瑞々しさ、等改めて。

また、ミクロ世界での工夫で、ペンのキャップを花瓶に、というのは新たに気付いたり、アリエッティが、そもそもアクティブ少女、という以上に、手に入れた待ち針をいざという時とっさに武器にしようとしたり、いわば野生生活家族の一人娘、という立場からか、戦う少年らしさ、のような部分も今回感じられたり。

母は、とにかく色彩が綺麗で、小人と人間からの見え方の違いの対照や、ラスト前の別れのシーンが感動的、子供向き、とは思うけれど、面白い、というより美しい、いい作品だった、と。「・・ポニョ」とどちらが良かった?と聞いたら、最初「・・ポニョ」の方かしら、と言ってましたが、しばらく後で、「カールじいさんの空飛ぶ家」も入れて聞き直したら、それぞれ違うし、どれが、とは言いにくい、と、いう所でした。

a0116217_18182281.jpg見た後、劇場ショップで、パンフと、関連商品コーナーにあったB5ノート(↓)を購入。ノート表紙はアリエッティの部屋、裏表紙(→)は草原に寝そべる翔とニーヤ、中身の下に劇中の6シーンの挿絵入り。

ジブリのノートは、男鹿和雄展での、猫バス表紙、中身下に「・・トトロ」シーンの挿絵つきの小ノート以来。なかなか文具屋で気に入った表紙ノートも見つけにくく、最近では、ユトリロノートに続いて満足。やっと単語帳に書き写し終わった原書「The Borrowers」の単語の、アルファベット順整理に使い始め、他愛ない事ですがそれもささやかな満足です。

男鹿和雄と言えば、この作品であえて物足りなさを挙げるなら、間近な所はいいのですが、やや中~遠景の植物や緑の描写が、あっさり気味、というか、やや密度薄い気もして、関連あるかどうか?ですが、後で、今回男鹿氏は参加してなかった、と。昨年「サマーウォーズ」には名があったのでしたが。

パンフでは、一番気に入ったのは、床下の家の見取り図。原作読んでる段階でも、ミクロな描写で、劇中でも、全体図、というのは余りピンときませんでしたが、細長く奥に伸びて、各部屋が繋がっている造りが見られて、ややすっきりしたり、何だか少し感慨も。

欲を言えば、床下の家~屋敷間の、ポッドやアリエッティが通った通路等含んだ立体図とかもあったら、図解的には有難かったのですが。

それと、鈴木敏夫氏の、この企画のはじまり、というページでの米林監督誕生のエピソード。宮崎監督が、「借りぐらし」という設定は、大量消費時代が終わりかけている、今の時代にぴったりだ、と企画を出し、監督を誰にするんだ?と問われた鈴木氏が、即米林氏の名を挙げ、

(C)(株)岩波書店
a0116217_17111276.jpg宮崎監督が、同氏に原作を見せて、お前が監督をやれ!と切り出したら、滅多な事では表情を変えない同氏が驚いて、「監督って、思想や主張が必要ですよね、僕にはそれがないし」と言った所で、宮崎監督と鈴木氏が同時に「それは、この原作に書いてある!」と叫び、米林氏は、あ然としながらも、しばらくして監督を引き受けることになった、というような成り行きだったのだった、と。

また、キャスト欄で、樹木希林の、「・・(自分の演じた家政婦ハルさんは)自分と違うものを素直に受け入れることがなかなか出来ない人、でもそれは誰しもそうだろうと思うので、特にハルさんが意地の悪い人とも、頭の悪い人とも思いませんでした」のようなコメントに、

そう思って演じてこそのあの味、とは思うのですが、何だか、やはりこの作品唯一の悪役、ハルさん=現代人スタンダード?の図式には、複雑な思い。

あと、「西の魔女が死んだ」('94)等の著者梨木香歩さんが、「小さな人たちのいる場所」というエッセイを寄せていて、ファンタジーなものの捉え方、付き合い方、のような事に触れていた事。そう言えば、という訳ではないですが、「西の・・」には小人もファンタジーも登場しませんでしたが、思い起こせば、舞台の屋敷のやや非日常な空気感は、重なる部分もある気したり。

そういう所で、物語の背景には何かと提起問題があるにしても、パンフ、ノート入手で作品関連のプラスアルファな味わいも増えたり、作品自体、2度目鑑賞で、上記のように、前回より増しこそすれ劣らなかった視覚・聴覚的瑞々しさ、+共存は出来ない立場の、翔とアリエッティの束の間の交流~純愛。角砂糖1カケラで繋がれる心、というささやか、楚々とした味わいも改めて、でした。

関連サイト:「借りぐらしのアリエッティ」公式サイトamazon「床下の小人たち」http://www.paoon.com/film/lbpuxiixnu.html
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                      <パンフレット、ノート>

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