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野に出た小人たち(’76)

「借りぐらしのアリエッティ」の原作「床下の小人たち」続編4冊中の、最初の「野に出た・・」を昨日読み終わりました。元は「The Borrowers Afield」('55)で、訳は同じ林容吉さん。家を追われた小人一家が、野原にさ迷い出て、ホミリーの兄ヘンドリアリ一家の居所を探しながら、野外で生活を送る、という展開。

劇中ではいなかったですが、「床下・・」の終盤、少しだけ登場、小人一家駆除の騒ぎの中、家に見物にきていた村の少年が、その後アリエッティと接していて、トムという老人となっていて、メイが彼の家を買い取りに来た時、ついてきたケイトに、昔アリエッティから聞いた経緯を話す、という形。
                                    (C)(株)岩波書店
a0116217_13175425.jpg目次の次の見開きに、元の家~果樹園や野原~トムの小屋の、挿絵風の地図が載っていて、その一画に「スピラーのやかん」とあって目に付いたのですが、「借りぐらし・・」劇中で唯一、アリエッティ一家以外の登場小人、野生児スピラーは、「床下・・」ではいず、やはりこの本で、中盤位に登場でした。

「床下・・」での暮らしとは違って、大自然の中、アリエッティはその雄大さ、美しさ、自由を味わいながらも、一家は居場所や食べ物の確保も一苦労。智恵を絞りながらのサバイバル生活ぶり+スピラーや、終盤新たな人間達との出会いのドラマも。


最初、3人が荷物を持って、草をかき分け、動物と遭遇したりしながら進んでいく様は、「借りぐらし・・」での、終盤スピラーと合流までの様子と重なるよう。借りの住処として、棄てられていた片方の編みあげ靴に住んだり、これから冬、という事で、寒さしのぎも切実。ポッドとホミリーは、親戚の家が見つからなければ、果たして冬を越せるだろうか、という「床下・・」では見られなかった、生命の危機の悲愴感、さえ漂って。

食べ物も、色んな実等の菜食主義に。序盤でアリエッティが食べていた「汁気のたっぷりしたイチゴ」というのは美味しそうでしたが、「床下・・」での食事に比べると、やはり全体に質素。まさに自然界からの借りのみで生きる、何だか、太古の原始時代の人間の狩猟生活の暮らしのようでも。
     (C)(株)岩波書店
a0116217_181679.jpg変化が起きたのは、スピラー登場後で、生垣で木登りして遊んでいたアリエッティと出会う、という登場の仕方。黒っぽい粗野な風貌に劇中の姿が重なりましたが、やはり弓矢を携帯、アリエッティがそれを手にするシーンも。地図にあった川岸の「スピラーやかん」は、彼の幾つかある根拠地(野営地)の1つ、と。

独特な手法で一家の衣食をサポート、やはり一匹狼的な暮らしで、劇中でも一家が川をやかんで下る手はずを整えてたり、目利き的な印象、ではありましたが、物語では、様々な智恵や行動力で、トム少年や、ヘンドリアリ一家とも顔馴染み、彼と小人界の仲立ちも、というキャラクターだったのでした。

靴の持ち主だったジプシー男「マイルド・アイ」が、靴を見つけて小人一家ごと馬車に積み込み、やはり彼や仲間の女性も、小人達の姿を見た時は、ドライヴァと同じくおののきのリアクション。

捕えられたら、鳥かごに入れて売られる、という絶体絶命か、という所で、スピラーと共にやってきたトム少年に助けられ、彼のポケットで彼と祖父が住む小屋へ。そこには小人親類一家も住んでいて、感激の再会。住処の一角を与えられ、やや肩身狭い、居候のような立場ですが、とりあえず一段落、というような流れ。

何だかやはり人間界でも、非常時に起こり得そうな展開で、著者メアリー・ノートンの略歴に、戦後イギリス各地を転々して困難な生活、というような部分もありましたが、もしかして親類宅に滞在したり、という経験の反映?等と思えたりも。


8/10追記:そしてやはりアリエッティは、好奇心から冒険に出かけ、うたた寝から醒めたばかりのトムにと出会って「こんばんは」と挨拶を交わし、2人の今後の交流が仄めかされた、という所でお終い。

a0116217_19172291.jpg次の「川をくだる小人たち」('76)に話が続き、それは半ば位まで読み進んだのですが、この親戚の住処も安住の地ではなく、一家の冒険というか、漂流生活が続くようで、この機にいっそ後の続編も読んで、行く末を見届けるのと、「借りぐらし・・」と他の続編の関連も、確かめてみたいと思います。

この「野に出た・・」では、やはり一番はスピラーと、細かい所ですが、「借りぐらし・・」劇中、床下の家の窓の外の、海や夜空の景色は、ホミリーが好みで張っているポスターで、「床下・・」ではどうもそういう覚えなく、オリジナルアイディアかと思ったのですが、

ヘンドリアリ一家の住家に、スイスの山岳地帯とスコットランドの峡谷の手描きの絵が描いてある見せかけの窓が2つあり、アリエッティの従姉妹エグルティナが作った、との事でしたが、多分ここからのヒントだったのだった、とささやかな発見もあったのでした。

関連サイト:「借りぐらしのアリエッティ」公式サイトamazon「野に出た小人たち」amazon「床下の小人たち」
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           (C)(株)岩波書店

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by MIEKOMISSLIM | 2010-08-09 00:00 | 本・邦画 | Trackback | Comments(0)
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