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櫻の園ーさくらのそのー(’08)

先日見た「コトバのない冬」('08)同様、一昨年東京国際映画祭で気になって挙げていた作品。これは、同年11月に公開、DVDも翌年春リリースだったのでしたが、未見のままで、先週から見始めて昨日見終えました。’90年版と同じ中原俊監督がリメイク。

それに出ていた宮澤美保と梶原阿貴が企画、少女達のその後、というコンセプトだった中原作品「苺の破片」('05)は見てたのですが、期待の「櫻の園」世界彷彿、という事は余り感じられず。この時を経ての直接リメイクもやはり引っ掛かってたのでした。

吉田秋生の原作コミックは未読ですが、オリジナルは、とにかく桜がサラサラ舞う下、甘酸っぱい珠玉作、という感触だけは残ってて、詳細記憶薄れてましたが、You tubeで予告編を見かけて、こういう雰囲気だったのだった、と仄かに蘇ったリ。

               

このリメイク版は、興行的には今一だったようですが、後味は、オリジナルの優美な味は薄れても、そのエキスも漂ってたり、やはりある種の作品より、青春ものとして余程好感な部分もあった、という所でした。


ヒロイン桃役福田沙紀は、これが初主演作らしいですが、繊細というより骨太感で、仲里依沙をやや地味にしたような、という印象。彼女を抜擢で、「時かけ」のように、現代っ子ヒロインで焼き直ししようとしたのか、バイオリンの資質あったようですが断念、名門女子高では浮いてしまうけれど統率力発揮、というキャラクターを、ソツなくこなしてた、という感じ。

「BANDAGE」で初見だった杏が小笠原葵役で、今回の方が、制服姿はそう違和感なく、女子高ではボーイッシュで人気者、でもおっとりしててナイーブ面も、という役がフィット。

やはり渡辺謙血筋、というのは特に今回も感じられなかったですが、「櫻の園」本番の前、ラネーフスカヤ役にドレスアップ、化粧した姿は、一気にイメチェン、で、そこはかとなく女優オーラも漂ってきたり。

そして、地味ですがなかなかの渋さ、と思ったのが、赤星真由子役の寺島咲。クラス委員で優等生、でも「櫻の園」に関わる事で、殻から少しずつ出て、葵への仄かな憧れを素直に表現したり、頓挫しかけた「櫻の園」への一途な気持を、桃に訴えかけるシーンが印象的。

初見かと思ったのですが、大林監督の秘蔵っ子、らしく、「理由」('04)「転校生 さよならあなた」('07)等にも出てたのでした。

また、仕事で接触ある女子中生が、AKB48で一番好き、と言ってたのか目立つ、と言ってたのだったか、名前だけは聞き覚えあった大島優子とか、その他少女達。

桃の姉役が京野ことみで、この人といえば私はいまだに反射的に浮かぶのは「白線流し」('96)で、今回テーマ曲がそれと同じスピッツでしたが、女子高生にしたら、まだ母、とまでいかなくとも、10才上の姉、なんだ、と。

同年代の菊川怜が教師佳代役、米倉涼子も序盤登場で桃の音楽の教師役、中間年代の上戸彩は、特にストーリーに絡む訳ではなかったですがシンガー役、とか、やはり女性陣が大方でしたが、大御所富司純子が、櫻華学園の校長らしき高山役。

全身、名門女子高伝統の鎧をまとった化身~終盤人間味も、という所で、やはり貫禄はあっても、特にこの人である必要が?とは思ったりしたのですが、存在感、というより、今回はコミカルな怪演、という印象。

12/22追記:そして男性陣は、桃を音楽教室で知っていたトランペッター州役柳下大と、用務員役の大杉漣、位で、大杉漣は私は「監督・ばんざい!」('07)で以来、だったのでしたが、主演だった「ライフ・オン・ザ・ロングボード」('05)でのサーフィンに挑戦するアクティブな中年役が印象的、今回は学校の歴史を知る影の存在、として、生徒達や高山の動向を見守る穏やかな物腰でした。

             


12/23追記:これが、今年最後の鑑賞になるか、もう1本か、だと思うのですが、今年になってからか、気忙しさとか、色んな意味で、無理しても仕方ない、とも思って、1作品見るのも、DVDや録画は日々少しずつ、ブログ書き込みもバイオリズムに任せて、にしてたら、何日かかけての感想アップ、になる習性に。まさにマイペースで、メリハリ的には?ですが、

ある時、思えば創り手側は、少なくとも数ヶ月~構想入れて何(十)年か掛かりで作品に仕上げてるんだから、見る側も、その同じ程、とまでいかなくとも、それなりの時間をかけて、1作品を見たり、その感想を書いても、別にいいのでは、と。やたら長ければいいというものではないにしても。

人それぞれですが、その観点や内容さておき、何かの事情あってか、人目に晒す場で1、2言吐き捨てるように片付けてる感想等を目にすると、何らかの理由や経緯あって見た作品の事を、そういう風には私には処理出来ないし、そう扱える事がスマート、とも思えず。


a0116217_1985038.jpgこの作品での少女達は、今時風ではあっても実際のドライな女子高生像の純化、のようで、同性愛、という艶かしい響きはそぐわなくても、自分とタイプの違う少女への憧憬、そういう互いの気持を知って、漂う淡い愛情、自然な思いやりや寄り添い方、というのは、

オリジナルの、桜の花自体の儚い美しさや、ロシアの文豪チェーホフの、美しい領地「桜の園」を失う人々の運命の交錯劇、という時代がかった風味相まって、ある少女期のプロセス、甘くピュアなエキス仄かに彷彿、という感じ。

ストーリーは忠実、という訳でなく結構アレンジ、でもメインキャラクターは、つみきみほ→福田、白鳥靖代→杏、中島ひろ子→寺島、かと思うのですが、白鳥・中島2人での記念撮影シーンは、杏・寺島の携帯での写真、になってたり。

女同士は、概して、大人になったら余計、比べたり競ったり奪ったり、理屈抜きに友情、ましてストレートな憧憬・愛情を保つのはまれな気しますが、特に若い柔軟層の視線、で思えば、女子高という特有の背景でも、こういう感情交流・友情劇、というのは、赤裸々、妙にエキセントリックな競い合いや奪い合い愛憎劇等、よりは、よっぽど情感的に、GOサインでは、と。

またヒロイン桃は、「櫻の園」が生徒達の姿勢、問題や学校の反対で、暗礁に乗り上げた時、ふとした曲作りへのアドバイスで音楽才能が認められ、メジャーを目指すバンドに加わって上京しよう、と州に誘われ、自分の損得勘定だけを思えば、そちらの方向にシフトしても、という分岐点にきて、

「櫻の園」頓挫のまま終わったら、話的には成立たないかもしれないですが、やはり「櫻の園」を投げ出さず、仲間と共に、ステップを踏んでやり通そうとする姿勢が、先日の「SONG FOR LOVE」と同じように、1本筋が通ってる、というのか、好感持てた所。

それに心動かされた教師、学校側、というのも、都合良い展開かもしれませんが、これはこの流れで、報いられて良かった、という清々しさが残りました。

12/24追記:ただ、赤バックに生徒達が横たわってるDVD装丁は、中原俊監督出身畑のアダルト系作品的イメージもして、何だか今一つ。Amazon欄で見かけた、蜷川実花が撮り下ろしたらしいオフィシャルビデオブック表紙と似ていて、この人担当なのか?そのビデオブック内容はどうなのか?ですが、

DVD装丁を見る限り、蜷川的鮮やか色遣いは、この作品とは、どうもミスマッチ感、この作品は、オリジナルから、やはり色なら淡いパステル系、という気がするし、少女達のポーズと共に、やや違和感が。

新旧「櫻の園」「苺の欠片」以外の中原作品は未見ですが、「櫻の園」の味は、監督がアダルト系経験というのもあって、なのか、その反動の別セクターなのか、そもそもこの原作コミックがそういう趣向かと思うのですが、青春友情ものにしても、少女間の繊細な息遣い、魅力を描いた点異色作、かと改めて。

印象的だったのは、やはり葵と赤星の間の甘酸っぱい気持の交流。桃役の福田沙紀は、余りそういう繊細な味はなかったですが、バイタリティの要で、皆を再招集、再開、という所が好感。

これも引っ掛かっていた作品の1つ、オリジナル程の残るインパクト、という訳ではなかったですが、青春ものとして、違うモードの清々しさもあったし、見ておけて良かったです。

関連サイト:Amazon「櫻の園ーさくらのそのー」('08)Amazon「櫻の園」('90)象のロケット「櫻の園」
関連記事:理由(’04)苺の破片(’05)村の写真集(’03)フラガール(’06)ライフ・オン・ザ・ロングボード(’05)恋愛寫眞(’03)蒼き狼 地果て海尽きるまで(’07)TAKESHIS’(’05)監督・ばんざい!(’07)犬神家の一族(’08)(「市川崑物語」スレッドの9)、転校生 さよならあなた(’07)眉山(’08)寝ずの番(’06)明日への遺言(’08)東京国際映画祭で会った映画ファン東京国際映画祭で気になった作品BANDAGE(’10)
(スレッドファイルリンク(ここでは「理由」「フラガール」「蒼き狼 地果て海尽きるまで」「市川崑物語」)は開かない場合あるようです。)

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                   <’09年4月、千鳥ヶ淵にて>

by MIEKOMISSLIM | 2010-12-21 00:00 | 邦画 | Trackback(6) | Comments(0)
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