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ソラニン(’10)

やや間隔空きましたが、年頭にDVDで見た作品。”宮崎あおいの歌”も注目の、青春音楽ものでしたが、やはりそのラスト近くのライブシーンがハイライトとして印象的。

そのライブ最後の曲「ソラニン」は、作詞がこの原作コミック作者浅野いにおで、作曲はテーマ曲担当だったバンド「アジカン」のようで。たまたまか、「BANDAGE」に出ていた高良健吾や伊藤歩が、またミュージシャン、一同の世話役的な役だったり、またしても財津和夫、財津さんが、高良健吾の父役で終盤登場。

でもこのバンド「Rotti」は、大学の元軽音楽部メンバーが、バイト、稼業手伝い、浪人しながら細々練習も続けていて、という状態で、「BANDAGE」の「LANDS」と違って、また昨年見た中では「SONG FOR LOVE」のインディーズバンドより、さらに無名のアマチュアバンド。

ボーカル兼ギターのバンド要の種田(高良)の生活も、音楽への思いは根強くても、ミュージシャン志向には踏み切れず、現実と理想の狭間を右往左往、という感じ。

彼の恋人芽衣子(宮崎)自身も、不向きなOL業に愛想をつかして、そもそもこの2人の同棲、という形自体も、かもしれないですが、やはりモラトリアムの最中、というか。それでも種田を励まし続け、信じ、傷つき、立ち上がり、ラストに自らが歌った彼の曲。

宮崎あおいの、そうこなれて声量溢れる、という訳じゃない歌は、何処まで俳優として力の入れ・抜き具合もあったのか、素の歌唱力か、判りませんが、最初の印象はプロバンドボーカルにはややきつい、微妙、な感じ、

でも、色々葛藤あった、音楽的には素人の一女性が、一歩を踏み出す目一杯のパフォーマンス、という色合いには絶妙フィットな感触。何だか思いが伝わってきて、何にしても、女優というか、表現者としてのこの人の”芯”をそこに見たような、という締めでした。


私は2年前放映録画を見た「初恋」('06)以来だったのでしたが、相変わらずふんわりした受け~芯の強さを感じさせる懐、相手役の高良健吾も、「BANDAGE」の時のカリスマ風ギタリストより、ナイーブ青年役で、同い年のようなのに「芽衣子さん」「種田」と呼び合う間柄がそう違和感なかった2人。

この2人は、直接の絡みあったか記憶曖昧ですが、「サッド ヴァケイション」('07)で共演してたのでした。

また彼らと「Rotti」のドラムス、一見粗野なビリー役桐谷健太と、ベースの小心者的な金田役近藤洋一、また金田の恋人しっかり者のアイ役伊藤歩らとの、凸凹ありながらバランスあった雰囲気。

1/30追記:濃い目の桐谷健太は、具体的に浮かばなかったですが、見た中では「69 sixtynine」('04)「パッチギ!」('05)「KARAOKEー人生紙一重ー」('05)「ビートキッズ」('05)「出口のない海」('06)等にも出てたようで、ドラムは特技らしく、

近藤洋一はサンボスターというグループのベーシストで、原作での金田の体系似で本業ミュージシャン、ということでの抜擢のようですが、これが映画初出演、と。

プラス、'08年末からレッスンした、という宮崎あおいのギターと歌、また高良健吾は、ギター歴あるのかと思ったら、やはりこの作品でギター初挑戦、のようで、「BANDAGE」よりこちらの方が撮影は先だったのだったと。

音的には本業近藤洋一が要になったようですが、ギターと歌が高良版、宮崎版共、即席・半素人バンドにしてなかなかのグルーブ感。


原作コミックは未読で、以前ざっと荒筋を知った段階だと、種田の顛末が、例によって何だか、という気がしたのでしたが、この作品では、彼の死が、悲しい現実、という以外に、周りを見ず夢に走る事へのシビアな報復、とか、モラトリアムに漂う青春の終焉、とか、そういうものも切なくオーバーラップするようで、

残った一同が、熱くメジャーを目指す、というようなはっきりした指標なくても、そこから、その終焉を踏まえて、ゆっくり歩を進めていく、という清々しい後味は残りました。

              


それとラストライブ以外で印象的だったのは、彼らが奮起して録音した曲を各社に送り、反応があった大手らしき会社に出向いたら、相手の業界マンは、種田が高校生の時、彼らによって音楽に導かれた、というバンドの一員冴木(ARATA)で、

彼からの、ある女性アイドルを、君達のような荒削りなバンドと組ましてアーティストとして売り出したい、曲はこちらで用意するから、というオファー。

戸惑う種田とビリーの代わりに、「お断りします!」と告げたのが芽衣子、という所も、それ位なら、私が歌う、という気持への伏線、軽音部から種田を見守ってきた彼女の思い、という気もしたのと、

彼らの無名度からしたら、千載一遇の抜擢チャンス、で、しかもそれが、出来すぎな展開、ではありますが、業界人的に音楽観の醒めた変貌はあるようでも、種田が敬愛したバンドの一員、他でもないその本人が、彼らの曲に目を留めて、という事で、不服はあっても、

トイレで会った冴木に、「あんなアイドルの歌を、誰が聞きたいんだよ!」と吐き出して、「じゃあ、君達の歌を誰が聞きたいのかな?」と切り返される前に、少なくとも、その彼が目を付けた、という、そのアイドルの歌を、実際自分達の耳で聞いてみてから、という選択はなかった?とちょっと引っ掛かったりしたのですが、

この物語では、そういう現実的な考慮をする事によって、ラストの”芽衣子の歌”へ続く筋が、ずれかねないような、というのと、

ある種若さ故の頑なさ、で、生粋に自分達の音楽を認められた訳じゃない、という彼らなりの積み重ねたプライド、種田にしても、敬愛するミュージシャンだった彼だからこそ余計、譲れないという分岐点、だったのか、と、見終わってやや時が経って、思い直したり。

「BANDAGE」とは違って、メジャーには至らない無名バンド、でいた分、実際は「アジカン」提供音楽ですが、劇中、業界の思惑や駆け引き等なしに、自分達の音楽を追求、種田への思いも込めた奮起ライブ、というピュアな後味が、良かったかと。


手掛けたのは、数々ミュージックビデオを創ってきた三木孝浩、その長編初監督作、とのことで、原作未読のせいもあるかもしれませんが、思えばライブラスト曲「ソラニン」に辿り着くまでの、結構ストーリー性ある長めPV作品、という感もしたり。科白はコミック風そのまま、という時々鼻白みそうな所もありましたが、

回顧シーンの入り具合や、音楽とのバランスとか、折々背景だった川岸は、もしかしたら、と思ったら、やはり多摩川沿いで、野外の映像も、柔らかで割と好感。

あと種田の父役財津さんが、今回音楽畑の役じゃなかったですが、何だかこの物語を見守るような、芽衣子への物腰がおっとりいい味。

1/31追記:という所で、とにかく注目だったハイライト”宮崎あおいの歌”。何か言葉に出来ない思いが重なって感情揺さぶられる、擦り傷を負いながら、別れ、決別を搾り出すような曲、「ソラニン」の歌いっぷり、で、満足でした。

関連サイト:「ソラニン」公式サイト象のロケット ソラニン
あ関連記事:花とアリス(’04)<5>、69 sixtynine(’04)<12>、69 sixtynine(’04)<2>、NANA(’05)KARAOKEー人生紙一重ー(’05)理由(’05)カーテンコール(’05)ビートキッズ(’05)好きだ、(’06)出口のない海(’06)ただ、君を愛してる(’06)初雪の恋 ヴァージンスノー(’06)初恋(’06)チェケラッチョ!!(’06)あの歌がきこえる「青春の影」SONGS チューリップ<1><2>チューリップBEST歌謡曲だよ、人生は(’07)のど自慢(’99)サッド ヴァケイション(’07)つぐみ(’90)-追悼・市川準監督ークリスマスの約束(’09)SONGS 財津和夫<1>/井上陽水<1>~<4>ハナミズキ(’10)BANDAGE(’10)
(スレッドファイルリンク(ここでは「花とアリス」「69」「NANA」「KARAOKEー人生紙一重ー」「理由」「カーテンコール」「ビートキッズ」「チェケラッチョ!!」「歌謡曲だよ、人生は」「サッド ヴァケイション」)は開かない場合あるようです)


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Commented by 象のロケット at 2011-02-09 00:26 x
いつもありがとうございます。

TB返信が遅れまして申し訳ありませんでした。

今後とも宜しくお願いいたします。

Commented by MIEKOMISSLIM at 2011-02-09 11:41
象のロケットさん、TBとコメントを有難うございます。

感想の要約等お手間かもしれないですが、こちらこそ今後共宜しくお願いします。
by MIEKOMISSLIM | 2011-01-29 00:00 | 邦画 | Trackback(16) | Comments(2)

「KYOKO」は’02年に映画掲示板にスレッドを立てた村上龍監督、高岡早紀主演映画で、当ブログはそのスレッド、次のブログに続いての3代目です。マイペースで、長年ファンのユーミン関連初め音楽、美術展、仕事、グルメ(食事)、映画、本、日常、旅のことなどアップしてます。


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