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僕達急行 A列車で行こう(’12)-追悼・森田芳光監督ー

先週8日、神保町の日本教育会館一ツ橋ホールで、今月24日公開の森田芳光監督の遺作「僕達急行 A列車で行こう」の試写会、「マリリン 7日間の恋」と連日になったのですが、これも都合合ったので母と見てきました。結構広いホールが満杯状態。

森田監督追悼としては先月、未見だった「家族ゲーム」をDVDで見たのでしたけれど、私はどうもテイスト合わず、後味悪かったので、このほのぼのそうな遺作の試写会に行く事が出来て、これで口直しになりそう、と、ちょっと嬉しいものが。

思えば母と映画も久方、昨年冬の「しあわせの雨傘」以来、あれは夫婦の浮気仕合の様相が、私も今一で、母にとってもミスマッチ、誘ったのも失敗だったのでしたけれど、今回のは大丈夫そうかと。

大手不動産会社で働く小町(松山ケンイチ)と、下町の鉄工所の息子小玉(瑛太)の、鉄道マニア同士として結ばれた友情を軸にした青春コメディ。


劇中20路線80モデル、とあって、冒頭からさすがに次々様々な電車が登場、登場人物の科白にもポンポン電車名が飛び出し、序盤、これは、このマニアックモードについていけるだろうか、と頭を過ぎったりしましたけれど、

見ていくと、鉄道テイストはあちこち散りばめられてるものの、ストーリー自体は、それぞれ仕事への奮闘、恋絡みエピソードも進行。さすがにこのマニアぶりにして当然か、2人共恋は苦手で、成り行きも苦め、その分、というか、

仕事については、九州での小町の会社の仕事相手の社長(ピエール瀧)もかなりの電車マニア、小玉の工場の仕事にも繋がったり、ネックの土地の所有者早登野(伊武雅刀)が、小玉の見合い相手あやめ(松平千里)の別れて住む父、とか都合良すぎ、な展開ちらほらでしたけど、

2人の間の空気は出会いからツーカーで、実際いたら最初はやや不気味かも、という「間宮兄弟」の時のような不思議なほんわり感。森田色、というか、独特な科白廻し、ゆるいユーモラスさ漂って、特に鉄道知識なくても、テンポいい青春ものとして楽しめた感じ。


a0116217_21291546.jpg3/15追記:小町は音楽を聞きながらの車窓からの眺めが好き、小玉は電車を作ってる各部品に興味、と、それぞれのこだわりはあったけど、主演2人の少年のような電車愛、それぞれマイペースなおっとり感、がこの作品の基調でずっと漂ってた感じ。

そんな2人に絡んでくる女性達、小玉にはあやめとの見合い、小町と知り合ったあずさ(貫地谷しほり)、同じ会社の秘書みどり(村川絵梨)など。

2人共不器用だけど、どちらかといえば小町の方が、女性は判らない、と距離を置いててクール、小玉の方が女性慣れなくピュアな印象。

松平千里は初見、貫地谷しほりは「スウィングガールズ」から、だったけれど、村川絵梨も初見、かと思ったら、後で「ロード88 出会い路、四国へ」でスケボーで旅してたヒロイン少女だったのだった、と判明。


その他女優陣では、小玉の会社の社長役松坂慶子、さばさばとした貫禄、店でダンスも見せる茶目っ気もある女社長だったけれど、最新見ていたのは「監督ばんざい!」で、でもこんなに恰幅良かっただろうか、とちょっと驚き。

それと、あやめの母役が伊東ゆかり。映画でのこの人、というのは初で、他の出演作の情報も見かけないけれど、小玉の父、やもめの鉄工所社長(笹野高史)への、「小指の思い出」パフォーマンス付き熟年告白、など妙にシュールなシーン。

この人といえば、マイベスト曲が「陽はまた昇る」、家にシングル盤もあった、とちょっと懐かしさ。


その笹野高史は、最近改めて、色んな作品に顔を出してて、出番は短くてもそれぞれいい味出してる、と思ったけれど、思えば劇中告白される彼、というのは覚えなく。仕事への一徹さはあるけれど夜の店通い癖、そしてそういう伊東ゆかりとのミソもあったり、いつになく弾けてた、という感じ。

それと、サッカーフリーク早登野役伊武雅刀の日課のジョギング中の、ふと立ち止まってのキックパフォーマンス、とか、何気なくゆるい笑い、の演出。


そして準主役というか、色々な電車の中で、一番インパクトだったのは、九州の1両編成の小さな黄色い電車。小さな無人駅での小町とあずさのシーンに絡んできたのでしたが、その豊かな緑の中をコトコト走る様子が、何とも健気というか、ノスタルジック。

これは、よく見たらチラシでも2人のバックに映ってて、ちょっと検索したら筑肥線を走るキハ125形、という電車だったと判明。
           
             

この作品は森田監督の長年の構想だったそうで、製作過程でのこういう”絵になる”ローカル電車の発見、小さな駅のロケ地選び、など1つ1つの積み重ねが偲ばれるようでも。

「RAILWAYS・・」2作は運転手、電車を動かす側の電車への愛着、というコンセプトだったけれど、こういう電車好きテイスト、東京~博多間を、飛行機でなくあえて新幹線で移動する小町。

何だか今の色んな意味でのスピード化、に逆行するような、で、私自身にはそういう乗り物凝り性はなく、かつて車マニア、の男性の気持も正直判りかねたけれど、何だかこういうマイペースなゆったりさ、というのは好感。

まあマニア的に好きになれるものがある、ということは、2人の恋愛など、ある面でネックになるかもしれないけれど、この作品では、肯定的に明るく扱ってて、後味良かった。


母も、電車での友情中心に仕事や恋とか上手く取り入れて、色々電車や車窓もあって、割と面白かった、というような感想。出演者で知ってたのは、平清盛役関連で、松山ケンイチ位、と言ってて、松坂慶子や伊東ゆかりも知ってるはずでは、と思って聞いたら、

松坂慶子はあの恰幅でどうも結びつかなかったようで、そう言えば顔はそうだった、とか、伊東ゆかりも、「小指の思い出」のポーズしてたじゃない、と言ったら、ああ、その本人だったのか、という感じでしたが、まあ満足だったようで。


RIP SLYMEというグループのラップ調のポップなテーマ曲は、序盤聞いた時はやや浮いてる感じしたけれど、ラストで流れた時には、不思議とこの作品のテンポにフィット感。

そういう所で、九州での社内のラジオ体操シーンの時とかに、ふと、この森田監督ってもう亡くなったんだ、と改めて頭に浮かんだりしたのでしたけれど、

「家族ゲーム」記事で触れてたように、これまで森田作品で見ていたのは「メイン・テーマ」「キッチン」「愛と平成の色男」「(ハル)」「失楽園」「阿修羅のごとく」「海猫」「間宮兄弟」、マイベスト3は「キッチン」「(ハル)」「メイン・テーマ」でしたが、この「僕達・・」は、その次点にランクイン、という所。

電車テイスト散りばめられた中での友情、随所でのゆるいユーモアの妙、マイペースな2人の、ちょっとほろ苦さもありながらの明るい青春もの、として味わえたラスト森田作品、という後味でした。

関連サイト:「僕達急行 A列車で行こう」 公式サイト象のロケット 「僕達急行 A列車で行こう」ペパーミントの魔術師 「僕達急行 A列車で行こう」
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by MIEKOMISSLIM | 2012-03-14 23:56 | 邦画 | Trackback(16) | Comments(0)
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