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オーケストラの少女(’37)

一昨日、近くの複合施設セシオン杉並で2日、3日開催だった地域イベント「セシオン杉並2012」の、映画コーナーで「オーケストラの少女」「山桜」上映、都合も合ったので見てきました。

この視聴覚室では、大分前やはりイベントで、何か小津作品を見た覚え。今回2作品とも未見、「オーケストラ・・」はモノクロの音楽ドラマ、「山桜」は'08年公開いの藤沢周平原作の時代もので、どちらもそれぞれ結構満足。


まず午前スタートの「オーケストラ・・」は、職にあぶれたトロンボーン奏者ジョン(アドルフ・マンジュー)や仲間の危機を救おうと、ジョンの娘パトリシア(ディアナ・ダービン)が奔走、

失業者100人での即席オーケストラを実現させようと、ふとしたことで知り合った富豪フロスト夫人(アリス・ブラディ)がスポンサーを買って出るけれど、

夫(ユージン・パレット)には話を通さないまま旅に出てしまってて、どうも気まぐれ的。夫は難色ありありだけれど、名のある人物が一群に加わったら、という条件に、

パトリシアは有名指揮者レオポルド・ストコフスキー(本人)に指揮を直訴、途中色々めげながらも、持ち前の歌唱力も披露しながら、恐れをしらぬ大胆さも見せ、明るく活躍、夢を叶える、という、まあ幸せなお伽噺だけれど、

ハートウォーミングな展開+ストコフスキー自身とフィラデルフィア交響楽団が出演、劇中奏でる”本物”の音色の重厚さ+ダービンの伸びある歌声の魅力、嫌味ないキャラクターなどもあって、見応え+聞き応えの後味。終了時には客席から拍手も。


冒頭から、ストコフスキーと交響楽団の演奏シーン。このストコフスキーは、劇中同様、普段も指揮棒を使わず手で指揮するスタイル、とのことで。見るからに、やや気難しく芸術家肌的風貌、物腰。

        

事務的にあしらわれ、パトリシアのとりつくしまもなさそうだったけれど、再度練習場に潜り込んだ彼女が、演奏に合わせて「ハレルヤ」を歌ってみせた歌唱力には、率直に賛辞を送り、

        

その後、ラストにかけて、再び彼の家に入り込んだ彼女の作戦で、所狭しと押しかけてた失業者100人オーケストラの繰り広げる演奏には、思わずその手が反応、ノリノリに指揮してみせる、なかなかコミカルな芸達者ぶり。

また、そういう無名の少女や貧しい音楽家達の出す生粋の”音”の優秀さそのものに、名のある指揮者が率直に反応を見せる、というのも、何だか素朴、素直な流れ。


劇中の演奏曲は、チャイコフスキーの「第五交響楽」、ベルリオーズの「ラコッツイ行進曲」、モーツァルトの「ハレルヤ」、リストの「ハンガリア狂詩曲第二番」、ワーグナーの「ローエングリン」、ヴェルディの「ラ・トラヴィアータ」、

ダービンが歌ったのは「ハレルヤ」「光の雨」「心は自由」「乾杯の歌」だったようで、私が聞き馴染みあったのは「ハンガリア・・」と「乾杯の歌」。

一番インパクトシーンは、やはり失業オーケストラのストコフスキー宅で演奏した「ハンガリア・・」。そしてパトリシアが楽団の練習で歌ってみせた「ハレルヤ」、ラストのステージ上での「乾杯の歌」。

「乾杯・・」はメロディだけは馴染みあったけれど、曲名も今回知って、ヴェルディの「椿姫」からの曲だったのだった、と。


この作品は題名も初耳、この監督のヘンリー・コスター作品も初、ヒロイン役ダービンも初耳、だったけれど、このダービンは、ちょっと検索したら、ジュディ・ガーラントより1才上で、少女期共演もあって、

その映画会社MGM上部から、彼女とガーラントの太ってる方を斬る、という命令、実際ガーラントの方が少し太ってたけど、部下が、間違えて、または、ガーラントと性的関係があったので、ダービンの方が追い出されてしまった、という説があるようで。

とにかく彼女はユニバーサル・スタジオに移転、「オーケストラ・・」の前年「天使の花園」という出演作もヒット、そして、ガーラントが「オズの魔法使」でブレイクの2年前に、この作品メガヒット、でメジャー人気になった、とのことで、

劇中披露の歌声は、オペラシンガーのような伸びで、比べてどう、というものではないかもしれないけれど、ガーラントに遜色ない感じ。

事の次第では、彼女の方が「オズ・・」のドロシー役で華々しくブレイクしててもおかしくなかった、そういう、ガーラントと同世代でやや因縁あった子役スター、こういう女優もいたのだった、と今にして。

今90才で健在のようだけれど、'50年に引退後、芸能界から完全に姿を消してしまった、とか。


先日淀川さんのクラシック名画解説を聞いたばかりだけれど、やはりその頃の、まあ素朴と言えばそうだけれど、こういうホームドラマ+本格的なクラシック音楽ミックスの初の試み、だったようで。

実在のフィラデルフィア楽団と共に、失業オーケストラ演奏も、アテレコではなく生、ではないかと思うけれど、クレジットで名があったのは、ジョン役アドルフ・マンジューと、父娘の隣人フルート奏者マイケル役のミシャ・オウナ位、

でも他の多くの脇役陣もそれなりの楽器の腕前の役者、か、ミュージシャンをあの人数集めて、見せた即席オーケストラ軍団映像、醸した音の重厚さ、というのはなかなか。


ドラマ的には、そもそもジョンとパトリシアは父子家庭のようで、母の姿はなく、特に話が出た覚えもないけれど、行動的で茶目っ気ある娘が、やや情けない風情の父の危機を救う、家族愛、

また近所の同様な立場の人々を助けたいという彼女の正義感、彼女にタクシー代を踏み倒されながらも、その歌声に心動かされて、見守る立場になった運転手、のような人間ドラマ味、というのもやんわり漂ってて、

当時のアイドルもの、程好いコミカルさ+音楽と相まって、後味いいクラシックものでした。

関連サイト:オーケストラの少女 紹介サイトAmazon 「オーケストラの少女」セシオン杉並まつり2012象のロケット 「オーケストラの少女」
関連記事:カサブランカ(’43)・オズの魔法使(’39)


       

by MIEKOMISSLIM | 2012-06-05 23:10 | 洋画 | Trackback(2) | Comments(0)
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