2012年 07月 14日
SONGS 稲垣潤一
今回歌ったのは、「夏のクラクション」「夜のストレンジャー」「恋はリズムにのせて」「Tea For Two」「Misty」。先月、洋楽スタンダードナンバーを日本語でカバーしたアルバムを出してたようで、「夏の・・」以外はその中から。
最初の「夏の・・」も懐かしかったけれど、この人の夏曲、この季節、といえば、やはり浮かんだのは、マイベスト2稲垣曲、ユーミン提供の「オーシャンブルー」。久方にちょっと聞いてみて、独特の海感覚が広がるようで、リフレッシュ感。
ユーミンセルフカバーも、結構久方。昨年春に、TVで薬師丸&ユーミンの「Woman~Wの悲劇」を聞いて、他にも、今改めて実現して欲しい提供曲相手&ユーミンコラボ、の1つに、この曲も挙げてたのだけれど、元の稲垣版(↑)に、ユーミンコーラスが入ってたのだった、と。
そしてYou tubeに、この稲垣ライブ版(一番下↓)、この曲のライブ版は多分初耳。
それにしても、その映像や、今回番組でもそういう姿もあったけれど、ネクタイ+シャツやスーツでのサラリーマンスタイルで熱唱、がここまで違和感ない都会派シンガー、というのも改めてちょっと感慨。
今回自分の曲は「夏の・・」だけだったけれど、マイベスト稲垣曲はやはり「ロング・バージョン」。
これも久方に一部聞いたけれど、改めて、この人の声のメロウさと、メランコリックなボサノヴァバ調旋律+揺らめく恋模様、というのが絶妙ブレンド。
そしてYou tubeに、この曲の安倍恭弘版、というのを見かけて、馴染みない名の人、だったけれど、この作曲者のミュージシャンだった、と判って、聞いてみたら、
稲垣版より淡い声質で、あっさりこなしてる感じ、でもそれなりに味あって、これまで馴染んでた濃厚な稲垣版と遜色ない気して、ちょっと驚き。
関連映像に、この人版「セプテンバー・バレンタイン」、というのものあって、私の結構好きな珠玉の佐々木幸男曲だけど、この作曲者、でもあったのだった、と今にして。
'77年のヤマハポップコンで、アンコール賞受賞の時の音源、らしいけれど、佐々木版にはない、冒頭の語りなど入ってて、EPO以外、今にしてこの作曲者によるルーツ版。やはりYou tubeって、折に驚かされる宝庫。
他に特に引っ掛かる提供曲は見当たらないけれど、今もアコースティックライブなどして活動中のようで、今まで全く意識してなかった、こういう人もいたのだった、と、今にして。
メロディメーカーとしては、今回この2曲作曲者だったと知っただけだけれど、「ロング・・」は湯川れい子、「セプテンバー・・」は斉藤敦子という人の作詞で、もし詞→曲の順で出来たのだったら、
どちらも女性が描いた男性側心情、だけど、よくここまで、それにまた絶妙フィットのメロディが練り出せたものだ、とちょっと改めて感心。
番組序盤では、好きなレーシングカーに乗ってたり、高校時代のバンド仲間との練習場やデビュー前演奏してた店を訪れたり、回顧、当時の映像なども。
前に「ミューズ・・」でも紹介あったように、長かった下積み。仲間と上京してのク苦労の生活も楽しかった、と言ってたけれど、ナレーションで1ヶ月6千円生活、とか、4畳半に3人で住んでて、みたいなことも淡々と語ってたり。
仙台に戻って、ドラム+歌の下積み7年目にして、27才で見出されてデビュー、その当時歌ってた曲、としてシナトラの「夜のストレンジャー」から3曲、スタンダードナンバーで締めた今回だったけれど、
1番インパクトだったのは、この「夜の・・」。この元曲は、耳にしたこともあったかもしれないけれど余り馴染みなく。でも、繊細で包み込むようなメロディ。You tubeの稲垣版映像は埋め込み不可だったけれど、シナトラ版も聞いてみて、スタンダードの風格、というか。
次の「恋はリズムにのせて」は、荻野目洋子とデュエット。この人も、前に見かけたのはいつか思い出せず、随分久し振りの姿、だったけれど、今3人の母、多忙な間を縫ってのコラボだと。
緑のブラウス+白いミニで、往年のようなパンチ効いた歌いっぷり。この人といえば、自筆のイラストと詩の本が手元にあった、と思ってちょっと本置き場を見たら、発見。
(C)(株)角川書店
タイトルは忘れてたけれど「Fineday」('93)、当時月刊カドカワへに連載してたのの編集で、特にこの人のファン、でもなかったけれど、月刊カドカワを愛読してた流れで買ったのだったかと。
あの雑誌ってそう言えば、尾崎豊の写真・詩、斉藤由貴のイラスト・詩、鈴木保奈美のエッセイ、とか色々あって、そういう関連で買った尾崎、斉藤本などもあったのだった。
久方にパラパラめくってみて、今、目にしてちょっと引っ掛かったのは、冒頭の「Sea is Mam」という題の、
幾つもの波に追われて
大きな大きな船が飲み込まれていく
物音も立てずに黙って飲み込まれていく
跡形もなく消え去ると
また静かに息を潜めて遠くを見つめ始める
そうやって何億という日々の中で
新しいものを生んでは吐き出し
溢れ過ぎれば飲み込み
考える力を与えてくれる母なる海
何もかも知り尽くしているそのまなざしで
今は何を警告しているのですか
という詩。右ページに黒タイツ姿で振り向いたポーズの女性のイラスト。
そして、昨年5月、故郷の仙台の商店街で、初のストリートライブを決行、歌でエールを送った、という場所に行って回顧。直接3.11大災害への言及はなかったけれど、
皆さんが初め何だろう、という表情だったのがリラックスして聞いてくれて、最後には笑顔になってくれて、やってよかった、同時に、皆が知ってる歌で地元に恩返しをしていきたい気持がより強くなった、などとコメント。
この人にとっては、自分も下積み時代馴染みだったスタンダードナンバーを、あえて?やはり日本語で歌う、というのが、震災へのレクイエム、ではないかもしれないけれど、支援の形、の思いなのかも。
最後に「Two For Tea」「Misty」。どちらもやはり記憶おぼろげだったけれど、「Misty」は、この柔らかな曲調からはちょっと記憶繋がらなかったけれど、
イーストウッドの監督デビュー作「恐怖のメロディ」のモチーフ曲、劇中イーストウッドへのあの因縁リクエスト曲で、作品原題も「Play Misty For Me」、Wikipediaを見て、この曲だったのだった、と改めて。
やはりさすがに、徳永英明の昭和歌謡、のように、この人の日本語スタンダードもどれもソツなく歌いこなしてて聞き応え。アルバムの他の収録曲名を見て、ちょっと聞いてみたいと思ったのは「Night and Day」「男と女」など。You tubeでは当面見当たらず。
また、「夜の・・」は日本語詞安井かずみ、とあって、元からあった訳詞だろうけれど、稲垣側から訳詞を依頼した面々、というのが「恋の・・」は伊藤銀次、「Tea For・・」は尾崎亜美、「Misty」は杉真理、と、何だか私にとっては渋い面々。
そういう所で、久方の稲垣曲、実際歌ったのは「夏の・・」だけれど、馴染みの「オーシャン・・」「ロング・・」回顧、思わぬ発見の安倍版、とか、久方の荻野目洋子、和製スタンダードナンバーそれぞれの味わい、という今回でした。
7/15追記:この人って独身だったか?と思ったら、以前の配偶者とは死別、’09年に一般女性と結婚、だそうで。ツイッターを見かけてちょっと覗いたけれど、まあ健全そうで、何だか安堵。
関連サイト:SONGS 第225回 稲垣潤一、Amazon 「ある恋の物語 My Standard Collection/稲垣潤一」、稲垣潤一 On Twitter
関連記事:SONGS 稲垣潤一、ミューズの晩餐 稲垣潤一、SONGS 尾崎亜美、僕らの音楽 松任谷由実・薬師丸ひろ子・おすぎ、MUSIC FAIR 松任谷由実、