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嵐を呼ぶ男(’57)

先週末、阿佐谷図書館の映画会で「嵐を呼ぶ男」上映、都合も合ったので見てきました。

未見だった、井上梅次監督の石原裕次郎主演作の音楽ドラマ。石原裕次郎はこの前に、先日読んだ「才輝礼賛 38のyumiyoriな話」で、兄慎太郎氏とユーミンの話にも出てた、「太陽の季節」「狂った果実」にも出演、

「太陽の・・」では端役だったようだけれど、「狂った・・」でスターへの道スタートで、この「嵐を呼ぶ男」で、ますます人気、の出世作だったようで。

私はどうも裕次郎映画、というのは、昔何か見たかもしれないけれど、具体的に思い出せず。ドラマ「太陽にほえろ!」は薄っすら覚え。

なので若い頃の姿、というのも定かに覚えなく、今回、22才頃の出演作を見て、こういう感じだったのか、と。まあ、一見喧嘩っ早いワイルド風、ではあるけれど、思ったより愛嬌もあって、人情味あるヤンチャ坊主的、という感じ。


ドラマー国分正一役で、ドラムもこなしてたんだ、と思ったらアテレコで、実際の音は白木秀雄氏だったらしいけれど、

ハイライトの、ライバルチャーリー・桜田(笈田敏夫)とのドラム合戦で、前日の負傷のために、左手が叩けなくなった時、右手だけで持たせつつ、突如歌いだした「おいらはドラマー~・・」の曲。

スパイスの科白も入って、これが人気の”掴み”、だろう、というやはり一番インパクトシーン。

この人の歌声は、前に聞いたのはいつだったのか?、今聞いて、まあ歌唱力、というより、改めて、意外と甘い声質で、歌い方も、何というか力みなく洒脱な味、という感じ。

          


ストーリー自体そう込み入ってた訳ではないけれど、正一は普段はやや短気、大まかにワイルド、でも母(小夜福子)が音楽に打ち込む自分を、人気が出てきてもさっぱり認めてくれないことに、結構まともにしょげたり、作曲家を目指す弟英次(青山恭二)への思いやり。

また、「狂った・・」に続いて共演の、北原三枝(後の石原まき子)演じるマネージャー美弥子との自然な恋模様、とか、演技力云々というより、歌という武器、音楽を絡めての、裕次郎という人の”素”の魅力発散作品、という感じ。


北原三枝とは、この3年後ゴールイン、だったようだけれど、私生活でも石原夫人として、この作品でのようなサポート役に廻ったのだった、と思ったら何だかちょっと、友和・百恵映画のような微笑ましさも。

まき子夫人のこういう若い頃の他作品、というのもはっきり覚えないけれど、こういうチャキッとした感じの美人系だったのだと。

この美弥子のモデルは、日本の女性マネージャー先駆者の渡辺美佐、らしいけれど、劇中、自宅に練習場があって、特に正一は、寝泊りさせて特訓、の世話女房ぶり。

まあ恋愛沙汰も生まれやすそうな、という設定だけれど、実際目をかけたミュージシャンにはこういう状況だったのか?まさに公私境の全くない仕事ぶり、とも。


冒頭、ニュース映画のような、当時の東京の世相を語るナレーション、街の風景、から始まって、繰り広げられるショービジネス世界、

美弥子、店のバンドのドラマーチャーリー桜田、ダンサーメリー丘(白木マリ)との三角関係模様もあったり、美弥子に好意を持つ評論家左京(金子信雄)の絡みで、正一は、人気の後押しもされるけれど、

美弥子と正一の接近に、左京は正一に、弟英次の作曲家としての前途への脅しをかけたり、やや漫画的、ではあるけれど、それなりに駆け引き、思惑の渦巻く人間模様。


そんな中、あえてそういう裕次郎キャラクターにしたのか、正一が、弟英次を左京から守るために、美弥子から黙って離れようとしたり、左京もからんだチャーリー桜田側一味からの暴行を甘んじて受けたり、

要の時に、口先ではなく身を持って、前途ある我が身さておき、兄弟愛という義を貫こうとする兄、というのは、朴訥でも人間味的に筋が通ってる感じで、好感だった。


その代わりに、ドラマーとして致命的な右手の傷を負って、手酷い心身の傷つき方をして、また英次が認められて賞を受けたり、舞台で指揮したり、という段になって、それまで冷淡だった母も、やっと正一に歩み寄っていったのだけれど、

この母は、そもそも音楽に価値を全く持たず、正一の影響で、弟の英次まで、自分の望む安定した会社員などでなく、音楽の道に進んでしまったことで根に持ってて、正一にずっと冷淡、という描写。

遠回りではあったけど、最後に詫びて愛情を示して和解に。まあベタではあるけれど、そういう親子愛ドラマ、要素も。この片意地だった母役の小夜福子は、元宝塚男役スター、だったそうで。


その他、脇役陣で印象的だったのが、美弥子の兄、バンドでコントラバス奏者の福島慎介役、岡田真澄。石原裕次郎より1才上、ほぼ同年代だったのだったと。

後年もダンディ、特に劇中、そう目立った場面もなかったけれど、やはりイケメン、ハンサム度のみで言えば、正直、この当時の岡田真澄の風貌の方が数段インパクト。

この人はかつて'80年「恋人とこないで」でユーミンとデュエット、やはり甘い歌声、近年ではドラマ「フジ子・へミングの軌跡」にドイツ大使役だったのを見ていたのだったけれど、

'06年に食道癌亡くなってたのだったと、今回知った次第。遅まきながら、この機会に、ご冥福を祈ります。


これを手掛けた井上梅次監督の名は初耳、その作品も見たという覚えはないけれど、戦後映画監督で日本一の作品数、また日本人映画監督で初めてスタジオ撮影によるドラマを手掛けた、という人らしく、

結構アイドル映画にも携わってて、この「嵐を呼ぶ男」の'83年のマッチ主演のリメイクも手掛けてた、と。この作品名を聞いたのも、今回初、だったけれど、その'83年版にはたのきんトリオ3人出演してた、そうで、そういうのもあったのだった、と。

マッチ=裕次郎というには、やや繋がりにくいけれど、まあたのきんの中で、今回の裕次郎役、なら、やはりマッチ、になるのだろうけれど。

'66年にも渡哲也主演でリメイクがあった、らしいけれど、これはやはりこの若き裕次郎はまり役、という感じだし、正直どちらも余りあえて見てみたい、という気はせず。


そういう所で、競争世界の陰謀めいた駆け引きの嫌らしさ、短絡な暴力沙汰シーン、もあったけれど、演奏シーン+歌も含めて、スター街道スタートの頃の、石原裕次郎のラフな魅力堪能作、という感じ、

最近余り若手男優もそうチェックしてないけれど、概して草食系が主流で、こういう愛嬌・人情味、かつ存在感あるワイルド系って、やはり余り見当たらない気が。

ハイライトのドラム合戦、店での演奏や、まあベタではあるけれど、裕次郎キャラクターに絡んで兄弟、親子愛テイストも織り込んだ、ちょっと珍しい作品を見られた、という後味でした。

関連サイト:Amazon 「嵐を呼ぶ男」阿佐谷図書館 映画会象のロケット 「嵐を呼ぶ男」
関連記事:フジ子・へミングの軌跡(’03)才輝礼賛 38のyumiyoriな話 / 松任谷由実(’11)<1>




by MIEKOMISSLIM | 2012-07-25 00:01 | 邦画 | Trackback | Comments(0)
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