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Something Impressive(KYOKOⅢ)

ユーミンのSUPER WOMAN 「軍地彩弓と歩く沖縄」<1>

9月7日(金)の「ユーミンのSUPER WOMAN」では、先週に続いてファッション雑誌編集者軍地彩弓と、今度は沖縄への旅。録画で見ました。


軍地彩弓が手掛けた写真で、今風ファッションのモデル+バックがごつい岩場、というのが映り、これは沖縄の史跡、斎場御嶽(せーふぁうたき)に触発されてイメージを作った、らしく、そういう縁もあってか、

2人が巡ったのは、まずその沖縄本島の斎場御嶽、知念岬公園、そこから正面に見える、”神の島”久高島。

そのメインの久高島では、昔から女性が中心の祭り、儀式、の伝統があって、現地の老婦人に案内してもらってその縁の自然の地を歩いたり、話を聞いたり、プリミティブな風土に触れる趣向。


一番印象的だったのは、メイン場所ではなかったけれど、沖縄本島の南部、知念岬公園。私は沖縄本土へは前に2度行ったりしたけれど、斎場御嶽やここは初耳。

広々とした緑の空間、その向こうに広がる海の眺め。前々回の瀬戸内海に続いて、何だかここの風景だけでも、心洗われる思い。

(C)エルゴ・ブレインズ
ユーミンのSUPER WOMAN 「軍地彩弓と歩く沖縄」<1>_a0116217_15205287.jpgまず最初に訪れた斎場御嶽。御嶽(うたき)というのは、そもそも沖縄の聖地、神を祀る場所で、

確か'05年マイベスト映画だった「ニライカナイからの手紙」('05)(←パンフ)は竹富島がメイン舞台だったけれど、

電子辞書のブリタニカ解説だと、神がニライカナイといわれる海の彼方の他界から、祭りの時に御嶽を訪れるものと考えられてる、とか。

斎場御嶽は、15~19世紀に沖縄を治めてた琉球王国が、最も重要な聖地、と定めた場所で、5万平方メートルの森、世界遺産にも登録されてる名所だった、と。


2人はその緑濃い自然の中を歩きながら、昆虫の話とかしたり、蝶々が飛んでいるのを見てか、軍地彩弓が、亡くなったき父が蝶になってる、という幻想、妄想みたいなのがある、と思い出話を初め、

亡くなった後のお盆の時に、毎年家に蝶は来るけれど、特に綺麗な青い蝶が来て、自分が動くたびに周りを行ったりきたりしてて、あ、青い蝶だ、お父さんだな、と直感的に思って、

何処かにお父さんがいる、と思い込んでて、1年間位虫が殺せなかった時期があった。その後仕事を始めて大事な時、

ユーミンのSUPER WOMAN 「軍地彩弓と歩く沖縄」<1>_a0116217_1142285.jpg東京のど真ん中、丸の内とかで撮影してる時、青い蝶がふっと過ぎって、汐留に移動しても、そこでも(蝶が)ふっときて、それが2,3年続いたんですよ、

夏場、一番大事な撮影の時に、青い蝶を見る、という自分のジンクスがあって、この前も一番最初の撮影で表参道で撮ってたら、ふっと青い蝶(がいた)・・というような話。

お父さんは彼女が19才の時に突然病死、父は全ての先生で、今の仕事に至る道に、文学、絵、文章、虫、花の名前など色んな事を教えてくれて、(亡くなったのは)一番多感な頃で凄くショックで、立ち直るのに10年位かかったけれど、

何か仕事していると、父が凄く近くにいてくれて、さっきの蝶じゃないけれど、何かの時にふっと、ここにいるよ、進みなさい、と言ってくれてような、そういう存在ですね、などという話。

そういう風に父のことを語りだした彼女に、御嶽が持つ不思議な力を感じた、とユーミンのモノローグ。

まさに時代の最先端をリードする業界のキャリアウーマンにしては、ファンタジックでナイーブな、とも思うけれど、そういう、目に見えない何か、をキャッチ、また大事にする感性、というのもこういう人ならではかも、とも。

大分前、母子家庭の友人が、お母さんと、亡くなったお父さんのことを、今日は来てるね、とか来てないね、とか割と自然に話に出る、と言ってたのを思い出したり、

私は日常では、そういうのはないけれど、ふと、これって故人の家族の配慮、仕業?と頭を過ぎることはあるけれど、御嶽、という場所は、大らかで、そういう時空を超えたものを思わすエキスが濃い所なのかも、と。

そう言えば「ニライカナイからの手紙」も、ファンタジー話、ではなかったけれど、時空を超えた、母からヒロインへの手紙の話だった、というのも思い出したりも。


ユーミンのSUPER WOMAN 「軍地彩弓と歩く沖縄」<1>_a0116217_1162370.jpg9/27追記:そして、この旅へのきっかけ、元々軍地彩弓がインスパイアされて、多分ファッション写真のバックに使われてた場所、三庫裏(さんぐうい)へ(←この記事内の風景写真はトリップアドバイザー提供)。

寄り合った2枚の大岩の隙間が細長の直角三角形のようになってて、そこから風が吹き込んでくるようで、風が気持ちいい、と言ってて、ユーミンが”海風浴”ですかね、とか、

2人で、ここにいると何だか御伽噺、神話、ですね、古事記なのかギリシャ神話なのか沖縄の神話なのか、というような感想。

後でちょっとWikipediaで見たら、ここは元々三方を岸壁に囲まれた空間で、近世になって三庫理の岩壁の一角が崩れて、今のような形になったようで。


ユーミンのSUPER WOMAN 「軍地彩弓と歩く沖縄」<1>_a0116217_1183660.jpgそしてその奥に、久高島が正面に見えるエリア、久高島遥拝所、があって、ここでも祈りの儀式が行われてきた、と。

そういう場所がある、というのも、冒頭ユーミンモノローグで、この斎場御嶽が久高島と深い繋がりがある、と言ってた由縁なのか、

草に覆われた丸いスペースから望む平たい久高島は、遥拝所、という名前のせいもあってか、知念岬からの雄大な眺めの中の久高島、よりも、何だか神聖な、という印象もしたり。

ユーミンは、この島影は永遠ですね、日本の中ではもう一番位に、最古の形が残ってる所でしょうね、

軍地彩弓が、私達が現世の中で、東京にいると、ビルが何か変わったり、風景が変わっていくことに慣れすぎていて、

こういう変わらない風景に出会える場所って、そこで自分がまたリセット出来る場所、みたいに、自分の中にこの場所があったらな、と思います、のような呟き。

開発の名の下に、ダムに沈んだ村、埋め立てられた海岸、ゴルフ場用に削られた山、とか無数の風景を失くしてきた日本の南の片隅で、古来から”神の島”と拝まれてた島の姿、そのままの眺め、というのも、ある意味現世のメルヘン、のような。


そしていよいよ船で、本島から東へ約5Kmの久高島へ。岩場の下の海の青のグラデーションに、綺麗!、こんなにはっきり色が違うのが、生まれて初めて見たかもしれない、こんな綺麗な色、などと歓声。

ユーミンのSUPER WOMAN 「軍地彩弓と歩く沖縄」<1>_a0116217_22192339.jpg

2人共沖縄で離島に来たのは初めて、だそうで、私も沖縄の離島は映画などで見てきただけ、でも、ここまで鮮やか、綺麗な海、というのは余り覚えなく。


周囲8Km、人口200人余りの小さな島で、神話によると、アマミキヨと呼ばれる女性の神がこの島に降り立ち、沖縄の国づくりを始めた、そうで、

そういう古来の信仰を、琉球王国が国を挙げて守り、歴代の国王は久高島への参拝を欠かさなかった、という歴史。

島では、その頃から延々と続くお祭りや儀式が今も行われていて、その伝統は、生活の一部として、何世代にも渡って、島の女性たちによって守られてきた、のようなユーミンモノローグ。

それに重なって、白装束、緑の草か葉の付いた白い輪を頭に被った老女達が、小さな太鼓を叩きながら踊ったり、祈ったりしてる様子。


2人は、外間殿(ふかまでん)、という祈りの儀式が行われる場所で、今回の島の案内役の、おっとりした老婦人、洋子さんと対面、彼女から2人に、手作りらしい揚げたお菓子の袋のプレゼント。

この人は神に使える女性、カミンチュ(神人)の一人として長年お祭りや儀式に参加してきた人、だと。何だか普通の市井の老婦人、でも、そういう伝統的な肩書き、というのが渋い、というか。

外間殿の建物の中の百甕(むむはめ)という賽銭箱は、健康など祈願のものらしく、それぞれ賽銭を入れて手を合わし、何が口の中で唱えてた洋子さんに、軍地彩弓が、その内容をそれとなく聞いたら、

今(2人が)久高島に来てるので、何事もなく、今日1日を無事に・・という素朴な内容。


ユーミンが彼女に、小さい頃お母さん達がしていたお祭りや儀式で、一番印象的だったのは?と聞いたら、祖先から受け継いでいる12年に1回の「イザイホー」、という答え。

それは島で最も神聖な儀式の一つ、らしく、その映像が映って、白装束の女性達がゆったり歌いながら踊ったり、手拍子と共に行進してたり、

30才から41才までの女性が4日間、島内各地で先輩達と神への祈りと歌や踊りを捧げ、この儀式に参加した女性達がカミンチュとなる、そうで、何だか一見、カルト宗教っぽい雰囲気も。

’78年のイザイホーに洋子さんも参加、カミンチュになったそうだけれど、当時38才の時の踊ってる映像が映り、そう言えば面影が、という凛とした風貌。

その後、儀式を取り仕切る後継者がいなくなって、この年を最後に途絶えてしまった、そうで、今72才位らしいこの人の世代が最後のカミンチュ、なのか、と。


ユーミンのSUPER WOMAN 「軍地彩弓と歩く沖縄」<1>_a0116217_193357.jpg9/28追記:ユーミンが洋子さんに、イザイホー以前に、そういう祭りに抵抗を感じたりしたことは?と聞いたら、いいえ、そんなことないです、祖先がやったことだから、いつも信じてる、

今でもずっとそれを、家でも、祖先のなさったことは、毎日、行事とかいつも拝んで、皆守ってる、のような率直な答え。

それを聞いてユーミンが、さっき斎場御嶽で(軍地彩弓が)少し涙ぐまれたじゃないですか、お父さんを思い出して。私にも母以上に母のような人がいて、10年程前に亡くなったんだけれど、

何か洋子さんを見ていたら、その人が来ちゃって、と、両手を胸に当てながら、胸が一杯になりました。凄く自然を愛する、というか、妖精のような、私が生まれる前から家にいてくれたたお手伝いさんで、

その人がいなくなると泣いちゃう、というヒデちゃん、という人で、亡くなったら余計近くなった、というか、自然の中に彼女が歌ってくれた歌が聞こえたり、というのが、

今、洋子さんを通して歌が聞こえたような気がして、胸が一杯になりました。時空を超えるんですね、人を守ろう、という気持ちが。と切々と話すユーミン、それが、深いから・・と相槌を打つ洋子さん。

愛ですよね・・。と言うユーミンに、洋子さんが静かに、愛です、はい、というようなやり取り。そしてモノクロの、幼いユーミンと、その宮林秀子さんがブランコに乗ってる写真。私にとってかけがえのない、尊い存在です、というユーミン。

「ルージュの伝言」に、お母さんは多忙で、ヒデちゃんというお手伝いさんが育ての親、と登場してて、覚えはあったけれど、ふくよかで朗らかそうな、今にして見たその姿。

軍地さんはお父さん、私はヒデちゃん、亡くなった後も、私達を暖かく見守ってくれっている大切な人の存在が心の中で蘇って、ここは魂が宿る神秘的な場所だと、改めて実感しました、とユーミンモノローグ。


ユーミンのSUPER WOMAN 「軍地彩弓と歩く沖縄」<1>_a0116217_172160.jpgそして洋子さんの案内で、島の人々が大切に守り続けてきた場所、沖縄で最も重要な聖地の一つ、というクボー御嶽(←島内の写真、似てるけれど当地かどうかは不明)へ。

ここは普段立ち入り禁止で、年に数回の儀式だけ、島の選ばれた女性達が入るのを許させてる、というまさに聖域。

3人は斎場御嶽のような森をしばらく歩いていって、軍地彩弓が、その立ち入り禁止区域の前で、この入り口の狭い所が、女性の子宮に向かっていくような、産道のようなイメージ、凄い女性性を感じた、などと表現。

ユーミンは、この風景が神武以前、もっと前から、全く変わってない、と思うと、古代に繋がっている、という感じが凄くする。

この御嶽にここから先は入ったらいけない、という決まりがあるように、この時にこうしましょう、この時はこうしないようにしましょう、という綿々と決まりがあることで、

人間そこから侵して一歩入った時に、ずっと進んでいかなくちゃならない、その前に食い止めてる、という気がする、そうしてないと、このクボーの森も、今頃なくなってたんだと思うのね、のようなコメント。

軍地彩弓がそれを受けて、守るべき所、不可侵なもの、境界線がある種あって、人が踏み入れられるもの、出来ないもの、というのを自然と皆さん知恵として土地の方は思ってらして、だからこれだけ美しいものが残っていて・・と話したところで、

2人の話を聞いてた洋子さんが、それだけ、神を信じて、祖先を信じて守っている、という強さですね、という締め。ああ、そうですね、とうなずく2人。

ユーミンの”決まりを侵して一歩入った時”ということで思えば、一体世間のあちこちで、そういうこと、また”入ってしまった者”が、”あえて入らない者”を見下したり攻撃したり、ということが、どれだけ頻繁に起こってきた、起こっているんだろう、とか、

やはりこの島のディープな神聖さ、は、先日の瀬戸内の島々などのように、現代アートによって再生、活性化、というような範疇にも当てはまらない、そこに住む人の意識を含めて、あるがままの自然の根強さ、という感じ。

<2>へ続く。

関連サイト:ユーミンのSUPER WOMANユーミンのSUPER WIMAN 「軍地彩弓と歩く沖縄」
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知念岬公園
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by MIEKOMISSLIM | 2012-09-26 01:20 | 音楽・旅行 | Trackback | Comments(0)