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時をかける少女(’83)<2>

元記事時をかける少女(’83)<1>
の続きです。


この本は帰りにカウンターで借りて帰って、他の作品の所などもパラパラ見てて、リメイク「転校生」までの色々エピソードも面白かったけれど、

その他印象的だったのは、主にジョージ・ルーカスの引退意向に寄せての「9.11の惨劇は、ぼくたち映画人が作った」という章とか、以前新聞に「大林監督、尾道を叱る」という大きい記事が出た時のことについての話。

                                    (C)実業之日本社
a0116217_0121236.jpg「’05年「男たちの大和 YAMATO」のロケが尾道で行われ、尾道市では、ロケセットの戦艦大和を作り直して、見せて、4,5億円売り上げ、

でもぼくの尾道三部作、新・尾道三部作については、当地に記念碑やセットを残していない、なぜなら、映画を観た人の心に残ったものが、かけがえのない記念碑だから、

また、ロケ地の記念碑ができたとして、その近くに暮らしてる人にとっては、邪魔なものでしかないし、

ぼくより若い人が尾道で映画を撮りたい、と思って来たとき、記念碑があったらそこで映画を撮ることができない。・・

唯一「時をかける・・」ロケ地の、「タイル小路」は、タイルに文字を書いて残す、というのが流行って観光スポットになってしまって、観光客がわーわー騒ぐしゴミは捨てるし、周りに暮らしてる人が悲鳴を上げるし、

ぼくは、このロケ地を観光スポットとして紹介するのはをやめてくれということになった。

大和のセットを見て、尾道ラーメンを食べて、ぼくの映画の地も見て、という人がワッとたくさんきてしまった。その都度メッセージとして、「大和を見に来てくれた人は、大和だけを見て帰ってください」と話してきたし、

行政にも「ぼくの映画のロケ地と大和のセットを一緒にして売り出そうとしているけれど、やめてくれ。話題になってる間だけ人がまたたくさん来ても、暮らしている人にご迷惑をかけるし、大和と大林映画とはちがうから」と言ってきた。・・」

のようなエピソード。私も「男たちの大和・・」は見に行って、そう言えばロケ地が広島だったような、という覚え。このセットは今はもうないようだけれど、

私は尾道は未踏、当時もしこの辺りに行く折があったら、そう手軽に行ける距離でもないし、ここに書かれてる人々のように、この機会に、と、作品を見たばかりの大和セット+郷愁の大林作品ロケ地巡り+尾道ラーメンを味わって、のようなプランだったかも。

その頃の大林監督のこういう提言、報道、というのは今にして知ったのだけれど、そういう所も、何だかバランス感覚的に、著名映画監督の一人、ではあっても一市民として真っ当感、というのか。


そういう、本でのプラスα、もあったけれど、「時をかける・・」で、正隆氏カメオ出演の他、今回新たに知ったこと、といえば、

挿入歌の「桃栗三年柿八年・・」の曲は、ずっとこういう素朴な童謡とか民謡があるんだろうと思ってたけれど、作詞が平田穂生という人、作曲が大林監督の、「愛のためいき」というオリジナル曲だった、ということ。

         

そう言えば、「ふたり」でインパクトだった「草の想い」も、同監督が作詞で久石譲作曲の曲だった、と思い出したり。


また、近年の大林作品での合成シーンにはやや大仰さに鼻白む、という時もあるけれど、この作品でのタイムリープシーンは、全体的にそう浮いてなかった、という感じ。


そういう所で、今改めてこのノスタルジック作品を見て、一番インパクトはやはり終盤、まだ恋を知らなかった少女原田知世が、芳山和子、として全身で放った、別れの迫った相手、一夫に対する、もどかしい恋心の切ないほとばしり。

原田知世出演作でインパクト残ってるのは、その後の「天国にいちばん近い島」「早春物語」「私をスキーに連れてって」、原田康子原作の「満月」、「落下する夕方」など、

最新見た出演作は、舞台挨拶の時に行ったのだった「紙屋悦子の青春」だけれど、やはりマイベスト、というとさかのぼってこの「時をかける少女」、と改めて。

この作品での原田知世は、確かに芳山和子、という役を演じているのだけれど、何だか”女優”と呼ぶには純度が高すぎ、ここでの彼女を思うと、何だか巷の女優業の人達、というのが妙にきな臭い、胡散臭い、感覚さえしたり。

そしてこれは、あの頃の原田知世、彼女を見出した角川春樹氏、それを受けた大林監督の懐、尾道という舞台、

か細いけれど透明ボイスにフィットのユーミン曲、正隆氏の繊細な音楽、などなど、色んな要素が重なって、のミラクルな珠玉作だった、とも改めて。

物質主義、ITでのスピードが横行する現代、こういう青春邦画って、もはや製作不可能な殿堂入り、と思える驚きの純度だった、という今回。


(C)(株)角川書店
a0116217_212173.jpg11/3追記:本棚に、「時をかける・・」公開の翌年出版された、原田知世のエッセイ文庫「時の魔法使い」('84)の発見、

パラパラめくってると、大林監督から一度だけ手紙をもらって、それは初のミュージカルを前に不安におののいてた頃で、内容が、

知世 いよいよ初日だね。
呼吸をととのえて、心静かに舞台に登ろう。

他人のようにうまくやろうなどと 考えないこと。
いつでも わたしです。

東京オリンピックで 少女スケーター、ジャネット・リンは
すってんころりん尻もちついて
その笑顔でメダリストになりました。

いつでもわたしを精いっぱい わたしに自信を持って、
わたしとお客様とが 誠実に対話できるように・・・・・・

知世は他の誰でもない 知世です。

これがわたしよ、という あなたを舞台で見たい。
そんな知世に会いたいと思います。

ではヨーイ、スタート!!

                     1983年7月25日
                       渋谷駅のホームで 大林宣彦

というもので、彼女は、うれしかった。勇気付けられました。と書いてあって、何だか、「時をかける・・」で、原田知世をプラトニックラブで描き切った、という同監督の愛情が漂ってるような、と改めて、という所でした。

関連サイト:Amazon 「時をかける少女」成田図書館 映画会Amazon 「ぼくの映画人生/大林宣彦」象のロケット 「時をかける少女」
関連記事:時をかける少女(’97)時をかける少女(’06)時をかける少女(’76)時をかける少女(’10)時をかける少女(’83)<1>

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<スレッドファイルリンク(ここでは「理由」「紙屋悦子の青春」「フラガール」「犬神家の一族」「犬と私の10の約束」「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」)は開かない場合あるようです。>


  


by MIEKOMISSLIM | 2012-10-31 23:41 | 邦画 | Trackback(1) | Comments(0)
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Tracked from 象のロケット at 2012-11-02 07:59
タイトル : 時をかける少女
ある少女が理科実験室でラベンダーの香りを嗅いだときから不思議な体験をすることに…。 青春ラブ・ファンタジー。... more
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「KYOKO」は’02年に映画掲示板にスレッドを立てた村上龍監督、高岡早紀主演映画で、当ブログはそのスレッド、次のブログに続いての3代目です。マイペースで、長年ファンのユーミン関連初め音楽、美術展、仕事、グルメ(食事)、映画、本、日常、旅のことなどアップしてます。


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