Something Impressive(KYOKOⅢ)


「KYOKO」は’02年に映画掲示板にスレッドを立てた村上龍監督、高岡早紀主演映画で、当ブログはそのスレッド、次のブログに続いての3代目です。マイペースで、長年ファンのユーミン関連初め音楽、美術展、仕事、グルメ(食事)、映画、本、日常、旅のことなどアップしてます。
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コクリコ坂から(’11)

昨夜日テレ金曜ロードショーで、一昨年公開の「コクリコ坂から」放映、オンタイムと録画で見ました。

当時気にはなりつつ未見のままだったジブリ新作、いずれはTV放映もあるだろう、と思ってたのが、ようやく、というか。先週「ハウルの動く城」放映の時、予告で知って、久方に見るのを楽しみにしてた放映作品。

内容も、当時大まかに耳に入っても詳細は知らず、今回実際見てみて、’63年横浜舞台、ヒロインの父が朝鮮戦争で戦死してて、まだ戦争の影が落ちていたり、

学園舞台は高校ではあるけれど、当時の学生運動の息吹もある風潮の中の、純愛ものだった、と改めて。


宮崎吾郎の「ゲド戦記」に続く監督作、企画・脚本は「借りぐらしのアリエッティ」同様宮崎駿監督、らしいけれど、

これが「借りぐらし・・」の米林宏昌監督作、と言われても、一瞬そう違和感なさそうな、という、何というか、流れ的にはそうひねりない素直な作風。

「ゲド・・」ではザラッとした率直感、という後味、今回そうダイナミック風でなく、'80年に「なかよし」連載の高橋千鶴のコミックが原作だそうで、恋人間の血縁疑惑など、ちょっと前の少女漫画色も漂いつつ、

宮崎吾郎的個性、というといまだ?だけれど、宮崎駿テイストのある種の”濃さ”とは違う、新・王道ジブリ、という感じも。

海を見下ろす坂の街横浜、という舞台の、当時の素朴な景色、坂道、そこを駆け抜ける自転車、大通りの路面電車、

そこで展開するヒロイン、海(愛称メル、声:長澤まさみ)&少年俊(岡田准一)の、そう熱烈なうねり、ドラマティックな展開はないけれど、地に足の着いた純愛テイスト、というか、

ファンタジー色はないけれど、「耳をすませば」などよりは、ちょっと尾道の元祖「時をかける少女」の'60年代アニメ横浜版、のような印象もあったり、やはり結構後味良く、遅ればせながら、見ておけて良かった、という所。


冒頭のクレジットでちょっと目に留まったのが、音楽が武部聡志。この人の映画音楽担当って、覚えなかったけれど、そうだったのだった、と。

丁度この頃ヒットの坂本九「上を向いて歩こう」も流れ、タイトルがこの作品キャッチコピーらしく、終わってみればまあ似合いの選曲。

また劇中、挿入歌の楚々とした女性ボイスは誰か?と思ってたら、後で.手嶌葵だった、と判って、そう言えば、の声質、「ゲド戦記」でも出てたのだったし、と納得。「ゲド・・」の頃よりやや大人っぽいボーカル、でもやはり美しい透明感。

作曲谷山浩子だった、朝食の歌なども軽快だったけれど、特にラスト~エンドロールの、ワルツの叙情のテーマ曲「さよならの夏」は耳に残って、心洗われる系の好感触。

元々森山良子のドラマテーマ曲だったらしいけれど、今回武部編曲で、手嶌ボイスにも絶妙ハマり曲、という感じ。





1/13追記:設定で印象的だったのは、高2生メルの日常。船乗りだった父は戦死、母がアメリカに赴任してて、棟続きで住む祖母(竹下景子)のサポートはあるようだけれど、一家の長女として下宿屋を切り盛りする日々。

まあその頃にして、3人の子を残して単身アメリカで働く母、というのもモダンだけれど、そういう風に父が戦死して母が家計のため忙しく働き、子供が家事をする一家は実際珍しくなかったのだろうと。

早起きして朝ご飯の支度、自分と妹空(白石晴香)、弟陸(小林翼)の弁当を作り、船乗りだった父への生前からの慣例の目印の旗を庭で挙げ、登校して、放課後クラブ活動も娯楽の様子もなく、夕飯の支度。

この下宿には、一応祖母に雇われてる近所の女性がいたり、下宿人広小路(柊瑠美)が食事の支度を手伝ってたり、というアットホームさもあるけれど、

妹や弟がTVで歌謡番組を見ててお使いを嫌がっても、無理強いせず淡々と買い物に出かけて、義務を全うしようとする様子。

彼女には、時代柄携帯もPCもプリクラも、お洒落も芸能界への興味、好きな歌手や俳優などの影も皆無、でもそういう日々に不服を抱いてるわけでなく、自然のこととして過ごしてる様子。

やはり比べてどう、というものではないかもしれないけれど、今時の日本の子供って概して恵まれてて、時間もモノも刺激物もありすぎ、というか。


そんな日常の中で、だったからこそ、やや硬派少年俊との仄かな恋模様も、真摯さが漂って、爽やかな純愛風味も引き立つものが。

メルが日々挙げる旗への興味が示された文芸部の会報新聞、という伏線はあったけれど、俊が上階からダイブしてきた、唐突な出会い、

健気にガリ版作業を手伝ったり、自転車二人乗りで坂を駆け下りたり、俊がコロッケをおごってくれたり、というさり気ない接近。

こういう恋絡みの思い出では全くないけれど、コロッケシーンには、子供時代多忙だった母がたまにおかずに肉屋のコロッケにしてた、そのパリッとした食感、とかちょっと思い出したり。

そして仄かな恋心~出生の疑惑、揺れる思い、それでも若者らしく、というか、互いに親を通して出来る範疇で真実を確かめようとしたり、

俊はメルとの距離を置こうとしたけれど、メルの方は、たとえ血が繫がっていても、俊との関係を否定せず前向きに捉える、真っ直ぐな気持ちを表現、

何人かの他のジブリ少女達のような”攻め”はないけれど、引かない姿勢、というのが、近年のアリエッティにも通じるような芯の強さを持つヒロイン、という感じ。

それはやはり、現代を自由気ままに生きる恵まれた環境の少女、でなく、アリエッティの場合は小人、というハンディだったけれど、メルの場合は、家族のため日常仕事をこなしてるような少女だったからこそ、浮き彫りになった感も。





そして、彼らの周りの大人達、まあ悪人は登場せず、の都合良さもあったけれど、それぞれ多くを語る訳ではないけれどそれ相応の人間味あるな対応。

下宿人の北斗(石田ゆり子)も、メルの恋にエールを送ったりざっくばらんだったけれど、一番の善玉はやはり、徳丸理事長(香川照之)。

俊、水野(風間俊介)、メルが直談判しに行った時、足蹴にせず対応して、取り壊しか存続かで揉める学校の文化部建造物「カルチェラタン」を視察、別な場所への再建を宣言した男気。

俊の父風間(大森南朋)は、以前に話してあったようだけれど、俊から改めて出生について聞かれ、経緯を改めて話した後、「お前は俺の息子だ」、と繰り返し言って聞かせる淡々とした物腰。

またメルの母(風吹ジュン)は、久方に帰国、娘からの思いがけない俊の話に、もしメルの言う通りなら、今にして、の夫の不実発覚、

「・・もしそうなら、会いたいわ。似てる?(父の)この写真と」などと平然と言ってのけたも、とっさの母としての立場の機転だったのか、今一?な反応だったけれど、

泣き崩れるメルの動揺を察して、風間に連絡、彼らの手配で、事情を知る小野寺(内藤剛志)にメルと俊をあわして、小野寺の口から彼らに聞かせ、結果的に彼らに大きなメンタルサポート、というのも、さり気なく大人の計らい、というか。


また、視覚的にインパクトだったのは、ジブリ描写での海を臨むレトロな街並み自体も、だけれど、ピンポイントでは「カルチェラタン」の描写。

時代がかった内装、様々なものが詰まった、「千と千尋の神隠し」の館、ではないけれど、やや魑魅魍魎感~終盤、女生徒達率先の掃除の後は、相応の歴史漂う洋館風、になって、'63年という舞台の青春ものの背景ハイライトの1つ、という感じ。


そういう所で、そう華々しさ、ダイナミックさはないけれど、「借りぐらし・・」に続くジブリ人道的珠玉作、という感じ、この機会に見て味わえて満足の作品でした。

関連サイト:「ココリコ坂から」公式サイト象のロケット「コクリコ坂から」
関連記事:ゲド戦記(’06)ハウルの動く城(’04)プロフェッショナル 宮崎駿スペシャル崖の上のポニョ(’08)プロフェッショナル 宮崎駿のすべて<1><2>スタジオジブリレイアウト展借りぐらしのアリエッティ(’10)借りぐらしのアリエッティ(’10)<2回目>The Borrowers(’52)/床下の小人たち(’52)野に出た小人たち(’76)ジブリ創作のヒミツ~宮崎駿と新人監督 葛藤の400日川をくだる小人たち(’76)借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展空をとぶ小人たち(’69)小人たちの新しい家(’82)小人の冒険シリーズと「借りぐらしのアリエッティ」武部聡志

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<スレッドファイルリンク(ここでは「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」「四日間の奇蹟」「理由」「憑神」)は開かない場合あるようです。>


by MIEKOMISSLIM | 2013-01-12 22:33 | 邦画 | Trackback(16) | Comments(0)
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Tracked from Akira's VOICE at 2013-01-16 11:40
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Tracked from 佐藤秀の徒然幻視録 at 2013-01-16 11:55
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Tracked from ★紅茶屋ロンド★ at 2013-01-16 12:00
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Tracked from いやいやえん at 2013-01-16 12:32
タイトル : コクリコ坂から
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