2013年 07月 11日
風立ちぬ / 堀辰雄(’37)
予習第2弾、先日の百恵&友和映画化版に続いて、堀辰雄の「風立ちぬ」を読んでて、一昨日で読了しました。
近隣の高円寺図書館で探したら、今回の映画公開でやはりチェックする人が多いのか?余裕で何冊かあるだろうと思ってたらほとんど貸し出し中、唯一在庫あった「堀辰雄全集 第一巻」に収録ので。
大分前読んだような気もしたのだけれど、やはり読み進んでいっても、記憶になし。文語体での序曲、春、風立ちぬ、冬、死のかげの谷の5章、
堀辰雄が婚約者だった矢野綾子との実際日の思い出を元にして書いた、という「私」と婚約者節子の、八ヶ岳山麓子のサナトリウムでの暮らしを描いた純愛物語。
古文と現代文のブレンド、今は使われない漢字混じり、大方は判るけれど、捗る(はかどる)、とか、一見?でも何度か出てきたりする内に、また、しばらくして、読み方が閃く漢字、今一不明な字もある文章形式もだけれど、
この内容自体、やはり現代とは異次元、浮世離れした世界での御伽噺的な感覚。
結核に冒された病人と付き添う小説家らしき婚約者、施設にはいるけれど、看護婦や医者以外そう他者との交流がある訳でなく、外界と繋る、携帯、電話、PC、TV、ラジオのような媒体すら周囲になく、
節子の父は折に登場するけれど、連絡方法は電報、しかないようで、気を紛らすのは、時には豊か、時には荒涼とした周囲の自然の景色だけ、
2人は互いと自分(の心)に向きあうしかない、節子に着々と忍び寄る死の影に怯えながら、その心情が綴られた、余分な要素がない究極の純愛の様子。
まあ数日前からの、アスファルトだらけの東京でのうだるような暑さの中で終盤読み終えたこの物語、だけれど、
先日の映画での百恵版節子は、小説の中の節子と比べると、終盤は病魔の進行で弱っていったけれど、元来は結構現代的、活発でもあったキャラクターに脚色してたんだ、と。
このヒロインはまだ若くて死にゆく運命、悲しい話なのだけれど、「不治の病になってしまい、高原の療養所で、8、9ヶ月程なのか、愛し合う婚約者の男性が、ずっと傍らにいる療養生活」というのは、
か弱い悲運の女性、健康な女性にはない身体、精神的な苦しみの代償に、相手がただ自分だけのために傍らにいてくれる日々、一時味わうことの出来る、ある種の至福の世界、という少女コミック風ロマンなどを、小説版で、改めて感じたり。
「私」の方も、小説での、繊細で内省的な小説家の「私」よりは、友和演じた大学生、戦争への出征という重荷を負ってた青年の方が、断然精悍なキャラクター、だった感じ。
小説では、節子の死の時期の描写はなく、その後の回想に飛んでいたけれど、小説版の方では、「私」は節子の死に際も傍にいた、のだろうけれど、
小説の中の「私」は、やはり堀辰雄自身の投影、作中、自分の心情と重なった自然、目に映るものへの感受性とか、彼女への細やかな思いの描写が延々と綴られ、詩的文藝ワールド全開、というか。
この物語、+堀越二郎キャラクターの要素もブレンド、だけれど、この八ヶ岳山麓の美しく雄大な自然描写、「私」と節子の純愛モードなどは、やはりジブリならでは、の表現が楽しみ。
それと、+ユーミンワールド。昨日やってた日テレのジブリ特集、録画はまだ最後の方を見ただけだけれど、試写会の様子だと、やはり作品の最後、締めに「ひこうき雲」、のようで、一体どういう後味になるのか、というのも全く未知数で、とても楽しみです。
関連サイト:Amazon 「風立ちぬ / 堀辰雄」、「風立ちぬ」(ジブリ)公式サイト
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