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ミケランジェロ展 天才の軌跡

先日27日(日)上野で、前記事の「ターナー展」に続いて、国立西洋美術館で開催中のミケランジェロ展も母と見てきました。

システィーナ礼拝堂500年祭記念、ということもあって、ミケランジェロコレクションを子孫から引き継ぐ、フィレンツェのカーサ・ブオナローティ美術館所蔵品から、素描を中心とした30点余りのミケランジェロ作品、及び関連作品の計60点を4章に分けての展示。

そして、今回一番気になって見たかった、前にイタリア旅で訪れてたシスティーナ礼拝堂に、日本の放送局として初めてTBSの超高精細4Kカメラが入って撮影、という映像コーナー。


a0116217_2271887.jpg今回一番インパクトは、やはり、実物でなくその部分的な素描、縮小図や映像等での展示ではあるけれど、システィーナ礼拝堂の天井画、壁画。(→カード)

第2章が「ミケランジェロとシスティーナ礼拝堂」で、ミケランジェロ自身による、天井画の人物、各人物の一部分、壁画の「最後の審判」の習作、また他の芸術家達による部分的な印刷画や、礼拝堂の復元図や景観画、

そういう各習作や印刷画が、全体のこの人物、この部分に当たる、のような紹介、天井画や壁画のどこに何が描かれてる、という紹介の縮図スライドもあって、

実物を見た時には、ただスケールに圧倒されたのみ、今回も、そう逐一インプットした訳ではないけれど、もう少し具体的に詳細を意識出来た、という感じ。


a0116217_2212149.jpg11/2追記:それと最近、仕事で高校生の世界史の準備で、16世紀の宗教改革の辺りの歴史インプットの上で、このミケランジェロの創作との関係を意識、というのも今回目新しかった所。

そもそも1517年のルターの宗教改革が、教皇レオ10世がサン・ピエトロ寺院建設のための資金集めのため贖宥状(免罪符)を売り出し、というのに反発がつのって、ということで、

ミケランジェロは天井画完成の21年後1533年、教皇からの命で再び壁画「最後の審判」(←カード)に取り掛かったけれど、

その背景には、新教徒(プロテスタント)側に押され気味の、旧教徒(カトリック)側の巻き返し、”対抗宗教改革”の流れがあったのだった、とか、

この作品群に特に、プロテスタントだのカトリックだのと意識はなかったけれど、思えばカトリック総本山のお膝元での作品、と改めて。ミケランジェロ自身には、どれ程真摯な宗教心、新旧教への意識があったか?だけれど。


部分的には、中央のキリストの右下の方に、髭の男が左手に持ってさげてる皮だけの男が、この8年がかりの作品制作に精魂尽くしたミケランジェロ自身、

制作過程のいつ頃これを描きいれたのか?だけれど、そういう自分の、誇らしげな、でなく抜け殻になった姿をこの大作に入れてた、とか、

a0116217_22385214.jpg天井画(カード→)の中の巫女の絵のそのままの大きさの画像などもあり、通常の画としては上半身が異様に大きく描かれてるけれど、

ミケランジェロは天井に描かれたのを下から見上げた時の見え方も考慮して描くバランス感覚が優れてた、とか、

そういう延長で13m×14mの大壁画の人物も自然とそうなった面もあったのか?「最後の審判」の人物の描き方が、曲がりくねり、引き伸ばされた人体表現のマニエリスムのハシリだった、とかいうのも、今回知った所。


a0116217_23181234.jpgまた、天井画の壮大な「創世記」エピソードの中、「アダムの創造」(→カード)は、ドラマ「魔女の条件」で登場、松嶋菜々子とタッキーが、アダムと神が指を差し出しあうマネしてたり、

このドラマって、丁度私のイタリア旅と同じ年、旅の後に始まってて、確かずっと見てて、この絵絡みシーンも覚えあるけれど、当時そんなに、ああこの絵!って実物見てきたばかり、という感慨の記憶はなく、

それでも何だか、テーマ曲の宇多田ヒカル「First Love」も入り混じって、懐かしさ。


a0116217_23513086.jpg楽しみにしてた4K映像は、もしかしてプラネタリウムのように、まさに礼拝堂内部にいる状態での眺めが立体的に体感出来る?などとちょっと期待もあったけれど、

実際は確かにクリアな映像、でもまあ前面のスクリーンに投射の通常の感じの10分程のもの。

でもトータル的に、改めて、一人の画家が、天井画に4年、壁画に8年かけて足場の悪い場所で仕上げたこの大作、その背景などがチェック出来て、

やはりそもそも礼拝堂があるヴァチカン美術館自体の、天井や壁にびっしり並んだ宗教色作品の数々(←当時の写真)という、

ちょっと日本人感覚では?ついていきにくい気した、これでもか、という超濃厚な宗教色、そこから生まれた膨大な芸術スケールへのカルチャーショック、絵自体への好みさておき、他の鑑賞とはやや異質、やはり思い返しても一番インパクトな海外での芸術体験、

また、国内でのこれまでの鑑賞を合わせても、強烈さ、という点では、屈指の一つ、のヴァチカン体験彷彿、というシスティーナ礼拝堂関連展示だった。


a0116217_0525156.jpg11/4追記:その他印象的だったのは、第4章「ミケランジェロと人体」にあった、チラシなどにも使われてたミケランジェロ15才での処女作、というレリーフ「階段の聖母」(カード→)。

ターナー展でも、ターナー10代でのこなれた風景画、というのがあったけれど、こちらもまあミケランジェロの、と思って見るから、という分もあるかもしれないけれど、

聖母や子供の滑らかな輪郭、衣服の細かいひだ、しわ、そして深み漂わすその題材、など15才の少年作、にしてはさすがの完成度、というか。

この傍らの解説に、従来の聖母子画と違って、聖母と子供との通い合うものがない、というような趣旨のことが書いてあって、

確かに聖母と階段にいる子供達とはそういう雰囲気、でも膝の上に大事そうに一人幼子を抱いてるけれど、とは思ったのだけれど、その子供に対しても、仕草は柔らかでもそう慈しみの感情、というよりは、空虚な表情。

帰宅後、ふと某サイトで、これは聖母がわが子キリストの将来の受難を予感して憂えている、という説を見かけて、そう思ってみればそのような憂いの表情、にも思えてくるけれど、

a0116217_058032.jpgそこではその延長にある作品、としてミケランジェロ彫刻「ピエタ」(←カード)にも触れていて、

そう言えば、十字架から降ろされたキリストの亡骸を腕に抱く聖母マリア像、の「ピエタ」は、「階段の聖母」の後日エピソード、

または「階段の聖母」が「ピエタ」のプレリュード的な作品、ともとれるし、「ピエタ」はミケランジェロが23~25才の作品、

15才の時に、無意識にしろ意識的にしろ、8年後自分が彫ることになる本格的彫刻作の題材と繋がるような、聖母のキリストへの憂い、をすでに作品にしていたとしたら、やはりそれは才能のなせる業、というものなのかと。

「ピエタ」は、沢木さんが「深夜特急」旅で、確かサン・ピエトロ寺院で唯一鑑賞したのがこの作品、という覚えがあったのもあって引っ掛かって気になってたこともあって、

私はやはりヴァチカンへ行った時実物を見てて、今回この作品関連の展示は特になかったけれど、久方に当時の写真やカードを見直して、

「階段の聖母」と共に、天井画や「最後の審判」のダイナミックさとはまた違う、ミケランジェロのキリスト教の繊細な切り口のメジャー作品、と改めて。


a0116217_1195174.jpg今回新たにカードを買ったのは、結局一番上の「システィーナ礼拝堂と<最後の審判>」と「階段の聖母」、母は「ミケランジェロと人体」にあった黒石墨作品「クレオパトラ」(→カード)を買ってて、

これは今回絵画作品の中では一番印象的、この絵の裏に、別の女性の顔、の展示もあって、表のクールな表情のクレオパトラに対して、もっと苦しげな表情を露わにした絵で、

傍らの解説では、2作品の関連は不確かだけれど、この裏の絵が、表の絵では現れていないクレオパトラの、内面の人間的苦悩を描いてる?のような紹介だったかと。


でも母は、やはり今一宗教画って?だし、正直天井画や「最後の審判」の裸体男性の山なども引き気味、一応、この作品では、神が創った一番美しいものは人間(の身体)、っていう趣旨もあって、

ミケランジェロってそもそも彫刻メインで、だからこそ他の画家の描く人物像より立体的で、それがあれだけの数描かれてて圧巻で、などと説明はしてみたのだけれど、

まあ、あれだけのものを残すのは凄い、とは思うけれど、とは言いつつ、やはり感覚的に異質感ありありのようで。まあ海外経験はトルコに1回のみの高齢者、というのというのもあるかもしれないけれど、

やはり以前、ヴァチカン美術館の場でひしひじ感したように、宗教題材作品自体、スタンダードな日本人感覚ではついていきにくいのも無理ないかと。やはり母は今回は、ターナーの方が数段良かった、という感想。


私は、久方にまとめて見たターナーも良かったけれど、やはり、一番気になってた、旅の道中見て中で強烈な印象が残ってたシスティーナ礼拝堂の天井画と「最後の審判」関連展示で、

改めて、一人の芸術家の仕上げた尋常でないスケール感、数々の習作で偲ばれたその綿密な準備段階、色々部分的な解説、展示、など14年目にして改めて、結構詳しい復習になって、ミケランジェロの方に軍配。

先週の国立新美術館での「印象派を超えて 点描の画家たち」「アメリカン・ポップ・アート」ハシゴに続いて、やはり満足な1日でした。

関連サイト:ミケランジェロ展 天才の軌跡
関連記事:ベルリン展スペシャル フェルメール光の傑作ベルリン国立美術館展~学べるヨーロッパ美術の400年~ラファエロ展と花見 in 上野

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                       <チラシ>

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by MIEKOMISSLIM | 2013-11-01 22:11 | 芸術 | Trackback | Comments(0)

「KYOKO」は’02年に映画掲示板にスレッドを立てた村上龍監督、高岡早紀主演映画で、当ブログはそのスレッド、次のブログに続いての3代目です。マイペースで、長年ファンのユーミン関連初め音楽、美術展、仕事、グルメ(食事)、映画、本、日常、旅のことなどアップしてます。


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