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さびしんぼう(’85)

昨日、近くの成田図書館映画会で「さびしんぼう」上映、都合も合ったので見てきました。

随分久方の、尾道三部作の一つ、二役の富田靖子が制服姿で自転車を走らせる楚々とした美少女ぶり、オーバーオール姿で出没する謎の「さびしんぼう」を、主人公の少年が雨の中で抱えるシーン、など、断片的に浮かんだり、

モチーフの「別れの曲」のメロディが相まって、切ない珠玉の名作感、はあるのだけれど、やはり先日の「小さな恋のメロディ」ほどではないにしても、詳細ストーリーは結構記憶薄れてて、見ていくうちにああそうだったんだ、ということが多々。


4年前、この作品のルーツ、大林監督が少年時代感銘を受けたショパンの伝記映画「別れの曲」を見ていたのだったけれど、

今回見終わって今にして認識変わったのは、改めて、この「さびしんぼう」は、「別れの曲」という曲をモチーフにした、というよりは、創り手側のこの曲へのオマージュだった、ということ。

          


4/28追記:そして、核になるヒロキ(尾美としのり)と橘百合子、さびしんぼう(富田靖子)の絡み以外、序盤~中盤と、学園シーンや家のシーンで、イメージよりもユーモラスな場面も多い作品だった、とも改めて。

3人組ヒロキ、バック転しまくりのマコト(砂川真吾)、カズオ(大山大介)が、校長室のオウムに「たんたんたぬきの歌」を吹き込んでのひと騒動、一癖ありげな教師吉田(岸部一徳)、何故かスカートがしょっちゅう落ちる木村(秋山リサ)、エキセントリックなPTA会長(入江若葉)や、

ヒロキの父(小林稔侍)の、後半のヒロキとの入浴シーン以外は無表情なマイペースぶり、母タツ子(藤田弓子)の豪快な母ぶり、チョイ役だったけれど、さりげなくカズオの父役に峰岸徹、とか、

雨野テルエ、ユキミの濃いキャラ母子役で登場の樹木希林、小林聡美なんて、この2人って、実は似てたのだった、というのも可笑しかったり。主にコミカルな役回りの脇役陣も、なかなか多彩な顔ぶれ、と改めて。

また似てるといえば、タツ子とさびしんぼうの関係も、今回、そうだったのだった、と改めて、だけれど、富田靖子って、メイク次第では、藤田弓子が入ってたのだった、とか、

神出鬼没で自由奔放なさびしんぼうによって、タツ子、雨野母子と巻き起こすドタバタ劇など、ここまでユーモラスエキスもあった、というのは、どうも記憶になく、改めて、という感じ。


そして、核になるヒロキと百合子との純愛。ヒロキがカメラのレンズごしに覗いていたマドンナとの接近、でもこの百合子も幻のような謎の少女で、実質恋愛以前の仄かな関係、に留まるのも品の良さ、というか。

その百合子の”寂しげな風情”と、ヒロキを見守るユニークキャラさびしんぼうの、16才という時期の化身である身の漂わす、そこはかとない寂しさの対比、というのも印象的。

この二役を演じた富田靖子は、この2年後の「BU・SU」での、”閉じた美少女”麦子役とはまた違う、デビュー作「アイコ16歳」の延長で、多彩な表情を見せて、彼女の魅力+大林監督の「別れの曲」への愛着あって生まれた作品、と改めて。

ヒロキを演じるこの作品での尾美としのりは、高校生にしては女の子に対して純朴、全く美少年風でもなくそこらにいそうな現代っ子少年、だけれど、ふとした表情が誰かに似てる、と思って、しばらくして、折に羽生結弦くんをふっくらさせたような感じも、と。


ちょっと鼻についたのは、父から「別れの曲」を自分にピアノ練習させる母の事情を聞いたり、さびしんぼうの出現で、ヒロキの普段しょっちゅう愚痴られてる母に対する見方は柔らかくなった、という程度かもしれないけれど、

さびしんぼうのヒロキへの目線、思いの解釈によっては、まあ母と息子の深い絆、といえばそうなんだけれど、一人息子への心の奥の癒着、「逆マザコン」という気もして、そこら辺やや引き気味、というか鼻白んだ所。

百合子は登場せず、ヒロキ、母、さびしんぼうのエピソードの話らしい原作の山中恒の「なんだかへんて子」は未読で、そこら辺ルーツはどうだったのか?なのだけれど。

でも大筋的には、昔ショパンが紡ぎ出した「別れの曲」に絡んで、百合子~ヒロキ~タツ子の思い出、と繋がって、寡黙ながらそれを尊重する父の姿勢、ヒロキの未来図まで示唆して、

終盤、目に見えずとも”受け継がれていく(べき)もの、思い”という、大林作品らしい鈍直な温みも漂っていたり。やはりなかなか隅におけない作品、という感じ。


そういう所で、やはり「小さな恋のメロディ」同様、前述のように、染みの「別れの曲」旋律と共に懐かしい珠玉の名作感、はあっても、今見て改めてそうだったのか、ということや、新たに思う所も多かったこの作品。

例の細い坂道や階段、階段の上のヒロキ一家の寺、簡易フェリーが行き交う素朴な海辺の風情、など尾道の舞台もストーリーと相まって郷愁、



今や、尾道三部作、新尾道三部作などそうTV放映というのもなさそうだし、録画が手元にあるのは「時をかける少女」のみ、あえてDVD借りて、というのも考えにくいし、なかなかこういう機会でもない限り再見、という機会も難しそうで、

この図書館では以前にも大林版「時をかける少女」、高円寺図書館で「北京的西瓜」上映を見たのだったけれど、特に大林特集とかでなくても、私の行ける日にまた、マイベスト大林作品「ふたり」、「廃市」「はるか、ノスタルジィ」辺りなど、上映してくれれば嬉しいのだけれど、とも思えた今回の鑑賞でした。

関連サイト:Amazon 「さびしんぼう」成田図書館 映画会象のロケット 「さびしんぼう」
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by MIEKOMISSLIM | 2014-04-27 19:52 | 邦画 | Trackback(1) | Comments(0)
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Tracked from 象のロケット at 2014-05-04 10:52
タイトル : さびしんぼう
密かに恋心を抱いている美少女に“さびしんぼう”と名付け遠くから眺めるヒロキ。 そんな彼の前に“さびしんぼう”と名乗る道化姿の女の子が現れる…。 青春ファンタスティック・ラブストーリー。... more
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「KYOKO」は’02年に映画掲示板にスレッドを立てた村上龍監督、高岡早紀主演映画で、当ブログはそのスレッド、次のブログに続いての3代目です。マイペースで、長年ファンのユーミン関連初め音楽、美術展、仕事、グルメ(食事)、映画、本、日常、旅のことなどアップしてます。


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