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地獄の黙示録(’79)

今日、近くの阿佐ヶ谷図書館の映画会で「地獄の黙示録」上映、都合も合ったので見てきました。

これは前もってここでの上映会でアンケート取っていた、8月15~17日の映画祭「戦争のあった時代」のための上映作品候補の中の、多分リクエスト多かった作品、順位は?だけれど、ベスト3がこれと、先日上映の「大脱走」「アンネの日記」のようで。

この「地獄・・」は以前、F・コッポラ監督の破格スケールの異色戦争もの、というイメージはあるけれど、結局未見、あえて見ようか、というものではなかったけれど、

先日仕事の世界史予習で、ベトナム戦争が出てきて、今にして、アメリカの絡んだ理由とか、そういう背景だったのか、と、はっきり判った、というのもあって、

ベトナム戦争やアメリカ軍を批判的に扱った最初の映画で、そういう題材ながら、映像美も、などと見かけたし、この機会に見てみようかと。上映室は中~高年男性中心で満席。


で、2時間33分。久々の戦争アクションもの、長い、とは思わなかったのだけれど、まあ後味というか、一言で言って”戦争の、何でもありにしてしまう狂気”の派手な映像化、という感じ。

軍人としての任務は放棄、敵地のジャングル奥地で、自らの”王国”を造って立てこもるカーツ大佐(マーロン・ブラント)、

とにかくその逸脱のきっかけは、自分がワクチン注射をした現地の子供達の腕を平気で束にして切って落とすベトナム人兵士の残忍さへの衝撃、だったようで、その経験から一路ああいう方向へ、というのも今一釈然とはしないけれど、

かといって、数々の功績を持ちながらも、平然と軍人として任務を続けることができなくなった、というのもある種人間性、かも。

まあそういう強者の軍人が、現地人へのワクチン注射、という人道的仕事、というのも後で思えばちょっと?ではあるけれど。

そのカーツ大佐殺害命令を受けたウィラード大尉(マーチィン・シーン)の目線でストーリーが進んだし、カーツ大佐登場は、結構時間たってからだったし、

マーティン・シーン主演かと思ってたら、どうもマーロン・ブラントだったようで、やはりこの人物が目玉、というか核心で、ウィラードはその怪人物の確認者、という立場でもあり、

戦時中の状況で、最終的に、姿勢のブレなく彼を始末する、ある種の仕置き人、的助演者だったのだな、と。


8/18追記:その他、有名サーファー兵士ランス(サム・ボトムズ)と和気藹々とサーフィン談、半ば本気?でサイゴンの河口でサーフィン提案など、ロバート・デュヴァル演じるギルゴア中佐の、ヤケクソ的結構なエキセントリックさも、

こんな戦場で、まともにやってられるか!的な、カーツ大佐よりはスケール小さいけれど、”狂気”の露出、という感じだったり。


流れた音楽では、攻撃シーンでワーグナー、というのは、あえてその音楽を戦闘機から爆音で流しながら、という狂気の沙汰、を別にしたら、それなりに重厚ではあったけれど、

      

ギルゴア中佐のいい加減モードに合わせてか、川を進むシーンで、兵士達もノリを見せるローリングストーンズの「サティスファクション」、というのも、シビアな戦争映画らしからぬ、というか。

          

夜、陣地へ3人の美女がヘリコプターでやってきて、即席のセクシーなショーを開いて、混乱でまたたく間に中止、再びヘリで去っていったりというのも、一時の幻のような、現実味薄い派手な兵士慰安ショー。


幻、といえば、やはりカーツの”王国”自体も、カーツを殺めたウィラードに対して誰一人歯向かわず、おののくように帰途の道を開ける人々、という段階で、

カーツの死で瞬時に洗脳感覚が解けたのか、一体何だったんだろうか?だし、ラスト~エンドロールでも、その王国が空爆で崩壊していく、空虚さ。


唯一、人間ドラマ味あったのは、ウィラードを運ぶ粗末な船内での、”シェフ”(フレデリック・フォレスト)が元のシェフの仕事がしたい!と嘆いたり、

少年クリーン(ローレンス・フィッシュバーン)に家族からのテープや手紙が届けられてたり、折に家族や元の日常生活が滲み出るような様子。

ウィラードの過去は、この使命の前、帰国はしたけれど、妻と離婚、結局戦場に存在価値を求める殺伐さ、彼らとは一線を画した立場で、

結局生き残ったのは彼と、”王国”で精神錯乱状態、ウィラードに手を引かれて戻ったランスのみ、ではあったけれど、

黙々と任務を果たしながらも、危険時にも使命最優先のウィラードへの苛立ちを、死の間際に露わにした黒人船長や、シェフ、クリーン、ランスら、

容赦なく、それなりに幸せな日常生活を消滅させられた、市井の端役の存在もあってこそ、この戦時異様スケールワールドも際立ちを見せた、ような。


これって、原作のジョセフ・コンラードの「闇の奥」という、著者の体験に基づいたアフリカのコンゴでの植民地搾取の内容の小説を、舞台をベトナムに移して創ったもの、らしいけれど、

ベトナムの各地がひとたまりもなく爆撃され、現地人が殺されるシーンも多く、実際、世界史教科書では、ベトナムは猛攻を受けながらも、中国やソ連の援助もあって持ちこたえた、とあったのだけれど、何だかそれだけではない、

この作品には、アメリカ軍人カーツを逸脱させ、奥地に王国を建てさせたベトナム、という場所、人々のそこはかと漂う”気”のようなものが漂ってたような。

そして、戦争が人間の心に働きかける様々な異様メカ、そういうメンタル面も含んで、やはりこれは、あの戦争にのめりこんで多くの犠牲者を出したアメリカへの皮肉がこもった作品、なのだろうと。


そういう所で、久方の戦争もの、正直余り爆撃、殺害、生首シーン、などあえて見たい、というものでもなかったけれど、これが伝説の異色戦争大作だったのか、と今にして、で、なかなか怪作感、の残る鑑賞でした。

関連サイト:Amazon 地獄の黙示録阿佐ヶ谷図書館 映画会象のロケット 「地獄の黙示録」
関連記事:ディパーテッド(’06)


 
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Tracked from 象のロケット at 2014-08-22 11:53
タイトル : 地獄の黙示録 特別完全版
60年代末のベトナム。 カーツ大佐は戦線を離れ、ジャングルの奥地に王国を築き、カリスマとして崇められていると噂されている。 ウィラード大尉は司令部から、カーツ大佐の暗殺密命を受ける…。 ベトナム戦争の本質に迫る傑作。... more
by MIEKOMISSLIM | 2014-08-17 23:49 | 洋画 | Trackback(1) | Comments(0)

「KYOKO」は’02年に映画掲示板にスレッドを立てた村上龍監督、高岡早紀主演映画で、当ブログはそのスレッド、次のブログに続いての3代目です。マイペースで、長年ファンのユーミン関連初め音楽、美術展、仕事、グルメ(食事)、映画、本、日常、旅のことなどアップしてます。


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