2014年 10月 21日
SONGS ~プレミアム薬師丸ひろ子~
「SONGS」では、3年ぶり、このプレミアム版は、確か春頃放映だったのが、不備で途中までしか録画できず無念だった回の再放送。
今回遅ればせながら全編堪能で、歌ったのは「セーラー服と機関銃」「メイン・テーマ」「潮騒のメモリー」「故郷」「黄昏のビギン」「秋の子」「探偵物語」「夢で逢えたら」「Woman"Wの悲劇"より」。
昨年23年ぶりにシンガー活動、そのコンサートでのライブ映像中心で、リハーサル、カバーアルバムも出して、本人の往年のヒット曲や童謡など各曲や、再開した歌手活動への思いなどはさみながら。
長年歌手活動は控えていたけれど、俳優としての色々歌う役柄があって、歌手としてTVで歌う時には緊張していたけれど、役として歌う時に、必要以上の緊張をしたことがない、
完全にその役になって、はっきり伝えなきゃいけないものとか、役としてのバックグラウンドにあって、そういう経験をしていくうちに、少し歌への取り組み方が違ってきた、のようなコメント。
私は「あまちゃん」は一切見てなくて、今回その挿入歌「潮騒・・」も、どうも紅白でも見逃して、初耳だったけれど、その「あまちゃん」ブレイクでの薬師丸人気もあって、というのも引き金なんだろうけれど、
何かそういう心境の変化、いい感じで力が抜けた、ような部分もあったのか、相変わらずの伸びある美しい歌声。
「潮騒・・」の時の着物姿以外は、赤や白、シルバーなどのロングドレス姿、松田聖子ではないけれど、肌艶など、ルックス的にも、まあ年は取った、といっても、
幾つか近年の映画での彼女よりは、ずっと瑞々しさ健在、という感じだし、私生活で離婚、同棲してたカメラマンとの破局、とか色々波乱あっても、見事に”世間ずれ感”全く漂わず。
今回も、やはり一番インパクトは、締めの「Woman "Wの悲劇”より」。この曲は、近年になっても、というか近年特に、何だか聞くたびに鳥肌もの、ユーミンワールド+薬師丸ボイス融合の崇高さに、一時さめざめ心洗われる、という思い。
他の薬師丸映画テーマ曲も、本人は年をとっても、何だか透明感はそのまま、
「探偵物語」は大瀧詠一&松本隆コンビ作だったのだけれど、この曲のレコーディングの時、初めて映画とは違う所で、職人の方々が、音楽、歌を創る、という面白さを見せてもらった、そうで、
大瀧氏へのお礼という意味で、とのことで、カバーアルバムにも入ってる「夢で逢えたら」。
これをアルバムに入れたり、ステージでも披露、というのは、大瀧氏へのレクイエム、的なニュアンスもあったのか?吉田美奈子のような自在にうねるダイナミックさ、はないけれど、素直で真面目な薬師丸テイストの「夢で・・」、という感じ。
その他、童謡「故郷(ふるさと)」「秋の子」もあって、特に「故郷」なんて、由紀さおり・安田祥子姉妹などの後継者、としても十分、というような、ザ・正統的唱歌、という清々しさ。
カバーアルバムの曲目見ると、ポップスは「夢で・・」「セーラー服・・」位で、「椰子の実」「仰げば尊し」「浜辺の歌」など、そういう伝統スタンダード曲も多く入ってるようだけれど、
子供向きのこういう、歌い継がれるべき唱歌シリーズCDなどの歌手としても資質あるのでは、としみじみ。
それと、本人が20代の頃から歌いたかった、という「黄昏のビギン」。ちあきなおみ、明菜版は知ってて、ちあき版の方が余裕の貫録、明菜版の方が寂しげな哀愁、はあるかもしれないけれど、薬師丸版もなかなか、明菜版とは違う、明るいしっとりさ、というか。
「Woman・・」の前に、歌に対する思い、として、役を介して歌ってきたこととか、色んなことを積み重ねて、自分歌の世界を聞いて下さる方と共有できたらいい、という風に気持ちが変わっている、
自分が持ってるこの声帯という器官を使って、限りあるものを使って、使い切りたい、という思い、などと語っていたけれど、
こうして全9曲、特にラスト「Woman・・」で、私はどうもいつものように、やはりこの人の天職はシンガーではないか、とつくづく。
女優としてのマルチ資質も捨てがたく、かもしれないけれど、市井の人間味あるおばちゃん、母役、とかしているよりは、そういうのは他にやる女優人材あるだろうし、まだまだ歌声劣化、などという年齢ではないし、
その類まれな”声帯”で、様々な曲を披露するシンガー業メインで、聞き手の心を潤して欲しい、と、改めて思った今回でした。
関連サイト:goo テレビ番組 「SONGS プレミアム 薬師丸ひろ子」、Amazon 「時の扉 /薬師丸ひろ子」
関連記事:ALWAYS 三丁目の夕日(’05)、 うた魂♪(’07)、バブルへGO!!タイムマシンはドラム式(’07)、めがね(’07)、ALWAYS 続・三丁目の夕日(’07)、SONGS 薬師丸ひろ子/レイモン・ルフェーブル、ありがとう(’06)、あおげば尊し(’05)~追悼・市川準監督~、ハナミズキ(’10)、SONGS 薬師丸ひろ子、僕らの音楽 松任谷由実・薬師丸ひろ子・おすぎ、大貫妙子トリビュート・アルバム Tribute to Taeko Onuki<1>・<2>、僕らの音楽 「僕らのユーミン」
武部聡史、SONGS ちあきなおみ