アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(’17)

先日28日(土)、一ツ橋ホールで明日4日公開の「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」試写会、

案内状が届いていて都合も合ったので、「いい加減な・・・」ブログのYamatoさんとご一緒して見てきました。


思えばこれまでフィギュアもの、といえば、ナンシー・ケリガン自身もチラッと出演してたのだった、コメディ「俺たちフィギュアスケーター」を見ていた位。

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今回のは、かの’94年ケリガン襲撃事件題材で、ハーディングの幼少期からの波乱含みの人生、核心となる事件への絡み具合、その後の顛末など、

まあドキュメンタリーではないし、全くの事実か?というのはあるけれど、<チラシ↑>

今にして、あのショッキング事件の内幕って、大まかにはそういうことだったのか、という、展開に引き込まれる構成、

不遇な境遇から、突出した才能、バイタリティで栄光に向けて昇りつめつつ、事件で失墜したハーディング自身、その母、事件の首謀者達の色んな意味で強烈なキャラクター。

まあ何分主人公がハーディング、女子フィギュア界舞台でも、優雅さというのはほぼ期待してなかったけれど、思った以上に結構キツい後味、という感じ



ハーディングの境遇ってこんなだったのだ、と今回知ったけれど、貧しい家庭、

アメリカのフィギュア界で求められるハイソっぽい装い、毛皮のコートなどなく、父が狩りで仕留めたウサギの皮を剥いでの物笑いにされた手作りコートや、

才能で頭角を現した頃でさえ、折々彼女自身が衣装を縫って作るシーン、など、何だか切ないものが。


父が家を去り、残された彼女と厳格、暴力的な母ラヴォナ(アリソン・ジャネイ)の砂を噛むような生活。

巡り合った恋人~夫ジェフ(セバスチャン・スタン)とも幸福な時期はありつつ、次第に彼のDVに悩まされ、それに反撃するワイルドな彼女の姿もあったけれど、

結局離れつよりを戻したり、この夫との腐れ縁が、いかれた男ショーン(ポール・ウォルター・ハウザー)にも繋がって、問題のケリガン事件勃発、

彼女自身にも責められる行動はあるけれど、彼女自身も脅迫状を受け恐怖で試合を回避という状況で、

幼少期からの家庭環境、夫とのDV当然の暮らしなどで、凶悪犯的レベル、まで行かずとも彼女自身の感覚もマヒ~転落への道やむなし、という感じ。

そこら辺のドラマを、折々彼女自身や他の人物が、劇中インタビュー形式や、

シーンの途中、ふと観客に語りかけるように醒めた口調でサバサバと解説したり、というのも、何だかコミカルな味。


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それと印象的だったのは、やはりスケ―ティングシーン。<←チラシ裏>

氷上シーン以外でも、折に実際の当時の映像が織り込まれていて、エンドロールに流れたのは本物のハーディングの演技、

果たして主演女優のスケート能力ってどんなものか?というのも見る前の興味の一つで、

まあ回転シーンとか上手く映像テクニックを使っていたのだろうけれど、割と至近距離での演技シーンも多く、結構迫力、臨場感。

マーゴット・ロビーもなかなかの滑りっぷり、と見受けられ、幼少期のハーディング役マッケナ・クレイスもだけれど、それなりの素養はあたのだろう、と思っていたら、

フィギュア歴はなく、今回のために相当練習した、そうで、まあ元々運動能力はあったのだろうけど、なかなか大したもの。

ハーディングって、思えばアメリカ初のトリプルアクセル成功者、やはり彼女に優雅、繊細な魅力で勝負、といっても無理だったのだろうけれど、

改めて、まあその人生ともだぶるような、やはり伊藤みどり路線のダイナミック、力強いスケ―ティングで、それがこの作品の風味、にもなっていたような。

それと印象的だったのは、事件の後、涙の靴紐騒ぎがあったリメハンメルでの出番前、1人鏡の前で化粧を整える悲壮な表情や、

四面楚歌のハーディングを訪ねて来た母ラヴォナ、そこで距離があった母子の真の絆が・・と思われた所、いっそうハーディングの孤独が際立つ結果に、というシーン。

今回も、この監督クレイグ・ギレスピーもだけれど、俳優陣にも馴染みの名はなし、だったけれど、

後で、この母役アリソン・ジャネイは「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」で、ヒロインの母役だったのだった、と。

アリソンはこの演技でアカデミーとゴールデングローブ賞助演賞受賞、だったそうで、

マーゴットもハーディングの濃い味に加えて繊細さも醸し出す熱演だったけど、アリソンも確かにその個性に押されない、結構冷徹でキツい存在感。


あの事件後のハーディングって、何かプロレスやってたような?という覚えだったのだけれど、劇中ではボクサーをしてたり、現在7才の息子の母、というくだりもあって、それなりに人生をやっているようで。


まあやはり真央ちゃんや日本の主な女子選手達の、それぞれ苦労はあっても基本的に恵まれた環境、周囲の協力、という中からの、ひたむきでピュアなムード、などとは異質な世俗感満載な世界、

ハーディングを知ってる世代なら、おおよそ作品テイストの察しはつくだろうけれど、もし優雅さもあるであろう女子フィギュアもの感覚、で見たりしたら、後方から頭をガツンと殴られる、感じのアクの強いキツさ。

予想よりも、スケートシーンも含め、”あの事件”題材の人間ドラマ的に見応えあった、という異色作でした。

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<見る前に、近場のPRONTO九段下店でお茶、「つぶつぶいちごミルク」ドリンク、Yamatoさんは「ジャコ高菜スパゲティ」も。

サイトでチェックしてた「いちごミルクシフォンケーキ」この店にはなくて残念。>




関連サイト:アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル サイト
象のロケット 「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」
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by MIEKOMISSLIM | 2018-05-03 17:01 | 洋画 | Trackback(3) | Comments(2)
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Commented by いい加減人(Yamato) at 2018-05-13 23:15 x
すみません。出遅れました。先日はありがとうございました。

若い世代には知らない人も多いと思いますが、トーニャのあの事件はかなり有名でしたからね。

最後の、トーニャ本人の映像のジャンプを見ると、やはり、才能は間違いないなと素人でも解りますね。本当に、環境に恵まれなかったと言う感じです。

私は、個人的に、逆にこれを見て、いかに伊藤みどりが凄いのかと感じました。トーニャほどでは有りませんが、彼女も確か両親の離婚が有ったりで、恵まれてはいませんでした。

それと当初は、彼女はジャンプだけだと、海外では揶揄されていました。でも、最後まで、自分を貫き、オリンピックでさえ、一度失敗したトリプルアクセルを、もう一度チャレンジした、それが自分だと、そこに美しさが有ると思います。

これまた話しは、それますが、平昌オリンピックで、ザギトワが、後半にジャンプ詰め込んでいるだけとか、批判されましたが、ルール上問題ないし、フィギュアがスポーツで有る以上、1番難しい事をやっている人が金メダルと言うのは、おかしくは無いと思います。

羽生選手も「技術に裏打ちされて、芸術が有る」と、言っています。私もそう思います。

話しがずれてすみません。問題有ったら消して下さい。
Commented by MIEKOMISSLIM at 2018-05-21 00:46
Yamatoさん、レス遅れましたが、改めてご一緒出来て楽しかったです。当時衝撃的だったあの事件題材で、多少なりともの脚色はあるとしても、スケートシーンも含めてなかなかシュールな見応え作品だったですね。

ハーディングの演技の質的に、私も伊藤みどりとイメージ重なったりしましたけど、彼女もそういう事情がありつつ、あそこまでになった選手だったんですね。

ハーディングは五輪メダルの栄光はつかめず、不遇な環境の影響でか、危なげな前夫とのしがらみもあって事件に関わってフィギュア界永久追放という、才能からしたら何とももったいない経過で、そういう部分も含めて、人格的問題、と言ってしまえばそれまでですけど、何か不器用な弱さも晒し出す人間ドラマというか、

まあそれでも別分野に進出したり、現在お子さんもいたり、それなりに人生を進めてるっていうのも、逞しいですね。

ザギトワは、加点のため後半にジャンプを集めるって、坂本花織選手などや男子選手もしてるし、まあそれが五輪では完璧すぎて色々言う人もいたかと思いますけど、それだけの才能があって+厳しい練習の成果でのことだし、私も特に問題ないと思います。

それにしても、基本的に優雅なフィギュア界にして、そういう技の熟練度の競い合いもありますけど、それ以前の、人としての選手個人にスポットを当てて、まあユーモラスな部分もありつつ、何だか人間臭さ滲み出る、異色作だったと思いました。
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’09年1月末AOL映画掲示板、ブログが終了、気分新たにマイペースで、音楽・芸術鑑賞、ユーミン関連、読書、英検1級対策、グルメ、仕事等含めて書いてます。英検は’11年11月に無事合格達成出来ました!


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