アンを探して(’09)

昨日予定が空いたので、気になっていた日・カナダ合作「アンを探して」を見てきました。ヒロインの17才の日本人少女が、亡き祖母の初恋の相手を探して、プリンス・エドワード島を単身訪れる、という物語。やはり少女期の「聖地」の1つだし、スクリーンで美しい舞台を味わいたいと思ってました。都内ではシネカノン有楽町1丁目でのみ上映、観客はまばらでしたが年齢層は色々。

a0116217_12123257.jpgヒロイン役は、「The Harimaya Bridge はりまや橋」で知的障害を持つ少女を演じていた穂のか、今回改めて、面差しが、何だか初期の松たか子を素朴にして+父の石橋貴明、という印象でした。<(C)(株)新潮社→>

多かった英語の科白も、劇中、話すのは、当初の、英語圏が初めての女子高生だと、こういう所かも、というたどたどしさから、徐々に慣れていく感じが出ていて、ヒアリングは中盤結構複雑な内容も理解してたり、どうも急に進歩しすぎな設定、の気もしたのですが、本人は、パンフでは、ハワイに2年半留学経験があって英語は堪能、との事で、素地はあったようでした。今回単身島に乗り込み、女優根性を見せてた、と。
                                                           
手掛けたのは、モントリオール在住の宮平貴子監督、初耳の人でしたが、クロード・ガニオン監督の下で経験を積み、今回が長編デビュー作、と。ガニオン作品は「リバイバル・ブルース」(’03)はDVDで見てましたが、この作品ではカメラ助手だったのでした。

(C)(株)鎌倉書房
a0116217_15575337.jpgまた、ガニオン監督の奥さんのユリ・ヨシムラ・ガニオンが今回原案・共同脚本・製作担当、ずっと日本とカナダの橋渡し役をしてきて、今回この人からの企画をきっかけに、宮平監督が「赤毛のアン」を初めて読んで感慨、製作のきっかけになった、という事でした。

また、ヒロイン杏里を迎え入れる、祖母の友人だった佐藤マリ役が、映画初出演のロザンナでしたが、この起用は、ガニオン監督の提案で、’70年代日本で過ごしていた時、「ヒデとロザンナ」の強烈な印象が残っていたから、と。やはり「愛の奇跡」等浮かび、ヒデの訃報は覚えありますが、ロザンナは見かけたのは久方、当時の面影よりは恰幅も良く、今回、芸術家の日本人夫に車の事故で先立たれ、その時同乗女性がいたり、と、自身も心に傷・軋みを持ちながらも、大らかな包容力ある女性を演じてました。

a0116217_1222685.jpg「赤毛のアン」自体は、シリーズは一通り読んで、手元に「赤毛のアン」('54)「赤毛・・」「アンの青春」「アンの娘リラ」文庫や、関連本、料理や小物の本シリーズ等、またモンゴメリ作品の「可愛いエミリー」「パットお嬢さん」等見つかり、郷愁です。劇中でも、この村岡花子訳「赤毛・・」文庫が折に登場してました。 <(C)(株)新潮社→>

映画化「赤毛のアン」('86)は見て、当時のパンフもありましたが、記憶薄れていて、今回改めて、緑、海、花等豊かな自然のプリンス・エドワード島の景色も味わい。帰りに、劇場の島への旅の懸賞コーナーで応募しておきました。

11/30追記:風景で特に印象的だったのは、日本人姉妹美雪・美花(紺野まひる・高部あい)がモントリオールから車を走らせやってきた時、渡っていた海上の長い橋、まるでマイアミ~キーウエスト間のセブンマイルブリッジのようなスケール。そして、杏里が、探す相手が灯台の近くに住んでいた、という手掛かりで巡る、島の小さな灯台。日本の円柱形とは違って、白い角柱の建物に赤い屋根が乗っていたり、ファンタジックな景観。

また、島自体、美しい自然が点在の箱庭風なイメージだったのですが、小さな白い石碑が並ぶ墓地から緑地が伸びて、そのまま海に続くような眺めは、手付かずの広大な自然地、という感覚も、改めて。

アンの部屋等展示している「アンの家」、グリーンゲイブルスやアングッズ店も少し映り、杏里が滞在するマリのB&Bの部屋自体、屋根裏風の形で、ベッド等こじんまり乙女チックでアンの部屋のようだったり、夜自転車で迷ってしまった場所は、「お化けの森」が浮かんだりしましたが、そう「アン」にこだわったロマンチックさ、という訳ではなく、

a0116217_22123727.jpg日本人ライター美雪は、アン好きではなく、プリンス・エドワード島は、自然が豊かで、カナダ1長寿の地、という特徴もあるし、アン=島という定説を破る記事を書きたい、等と言ってたり、やや「アン」に対してドライな部分もあって、
                                                                   「アン」を探して、というより、「赤毛・・」が橋渡しだった祖母の初恋の相手、というピュアな面影を探して、というコンセプト、という感じ。唯一の親族で仲良かった祖母の死後、その異国の友人宅、それも祖母が好きで、純愛の元になった「赤毛・・」の舞台の世界一美しい(と言われる)島に滞在して、温かく迎えられ、祖母の思いの跡を探す、特に多感な少女期で、これ以上なさそうな、という癒しのファンタジー物語、という気も。<(C)(株)鎌倉書房→>

祖母静香役は吉行和子、「佐賀の・・」以来で、今回、杏里の携帯に残っていた動画メールでのみの登場でしたが、バラ育てが好きで、若い頃ノートに好きな絵を切り貼り、青春の思い出を綴っていたり、杏里への語りかけはお茶目で、反面ロマンティスト的キャラクタ-でした。

あと脇役陣では、マリの隣人のジェフ(ダニエル・ピロン)、元哲学教授で離婚暦3回、やや変わり者、と言われながら飄々とした物腰で、余り報われませんが、マリに好意を抱いている、という人物で、杏里の事も、ラフに温かく見守るのですが、祖母の元恋人探しが見込み薄になって落ち込んだ時、人は皆孤独だが、それを気にかけすぎてはいけない、等と声をかけていたシーン等印象的でした。

(C)(株)鎌倉書房
a0116217_2213445.jpg12/1追記:そのジェフの息子ライアン(ジョニー・サー)の優しさに好意を抱いて、彼の絵を描いたりする杏里、でも既に恋人がいて、というさり気ない失恋模様やそのショックからの立ち直り等の姿もあって、少女の異国でのミニ成長記、という感じもあり、

ラストは仄かなハッピーエンドで、穂のかやロザンナ等、余り切れ味、というより大らかな物腰の俳優陣。「アン・・」ワールドに馴染んでから、時は経ってしまいましたが、改めて、その「聖地」からの、日本とカナダを繋ぐこの作品で、埋もれがちなさり気なく豊かなものを束の間味わった、というような後味でした。

関連サイト:http://www.grandjete.jp/lookingforanne/http://www.paoon.com/film/isnqxuasti.html
関連記事:リバイバル・ブルース(’03)佐賀のがばいばあちゃん(’05)The Harimaya Bridge はりまや橋(’09)

(C)(株)新潮社
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by MIEKOMISSLIM | 2009-11-28 00:00 | 洋画 | Trackback(1) | Comments(0)
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Tracked from 象のロケット at 2009-12-04 21:43
タイトル : アンを探して
「赤毛のアン」で有名なカナダのプリンス・エドワード島を訪れた17歳の杏里には、一緒に旅行するはずだった亡き祖母の初恋の相手を捜し、祖母の手紙を渡したいという目的があった。 「灯台の近くに住んでいる元兵士」という手がかりしかなく、アンの観光スポットには目もくれず、島に50以上も点在する灯台を訪ねて回る杏里だったが…。 世代と国境を越えたラブ・ストーリー。... more
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’09年1月末AOL映画掲示板、ブログが終了、気分新たにマイペースで、音楽・芸術鑑賞、ユーミン関連、読書、英検1級対策、グルメ、仕事等含めて書いてます。英検は’11年11月に無事合格達成出来ました!


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