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2009年 09月 19日 ( 1 )


HACHI 約束の犬(’09)

先日、新宿ピカデリーで見ました。リチャード・ギア主演、日本のハチ公実話をハリウッド映画化、とのことで、やや気になった作品でしたが、一緒に出かけてた母がCMで見て良さそうと気になっていたようで、ということもあり「宇宙へ。」に続いて見てきました。

リチャード・ギアは、スクリーンでは、ボブ・ディランの一面でアウトローを演じた「アイム・ノット・ゼア」('07)以来、その前は「Shall We Dance?」('04)で、日本版リメイクでやはり日本関連だったのでしたが、「アイム・・」では渋味、「Shall We・・」やDVDでの「綴り字のシーズン」('05)では相変わらずダンディ、と思った覚えでした。

今回、姿を見てさすがに年はとってきた、と思いましたが、駅でのふとした出会いから愛犬となったHACHIとの、一体感の温みある交流が自然体で、こういう役柄にもフィットするような域に、とは少し感慨でした。

舞台を東海岸のシックな郊外の街に移して展開、最初は敬遠しながらも、夫パーカー(ギア)とHACHIを見守る妻ケイト役はジョーン・アレン、私はDVDで見た「ママが泣いた日」('05)以来でした。

9/21追記:冒頭日本の山奥の大きな寺、そこからHACHIがアメリカに運ばれていき、途中の駅で迷い犬になって、パーカーとの出会い、でしたが、彼が検索していて、秋田犬は4千年の歴史で、人間とパートナーになった最初の動物、等というくだりもあったりして、

秋田犬は、人間に気に入られる事には興味がない、とか、そういう説明をパーカーにしてたのは、大学の同僚教授の日系アメリカ人ケンで、とっさに浮かびませんでしたが、演じてたのはケイリー=ヒロユキ・タガワで、「SAYURI」('05)でさゆりに目をかけてた男爵役、「ヒマラヤ杉に降る雪」('99)にも出ていたのでした。

ギアとケイリーの剣道シーンもあったりして、ギアと日本といえば、黒澤作品「八月の狂詩曲」('91)にさかのぼって、本人も日本好きという流れも起用にあるのかも、と。この作品は邦画「ハチ公物語」('87)のリメイク、とのですが、設定や俳優にしても、全く異国での別種の犬物語にアレンジでなく、実際の日本の秋田犬ハチ伝説への敬意、というのが感じられました。

HACHIは自分に愛情を注ぐパーカーになつきはしても、犬のお決まりの、ボールをくわえて持ってくる、という芸は、促されてもしようとしなかったのですが、這いつくばって身をもって教えるパーカー、その姿にケイトも娘アンディ(サラ・ローマー)もあ然、苦笑、でもそういう夫の姿に、HACHIを敬遠してたケイトの心も動かされて、という所でしたが、

ベテラン風格をかなぐり捨てた、そういうギアの演技には、一瞬私もやや驚きましたが、後でパンフで「世間が思う私のイメージとは違う作品かもしれない、でも、脚本を読んで赤ん坊のように泣いてしまった」等とあって、それだけの、ピュアな打ち込み方は滲み出てたかのようなシーンでした。

そういう誇り高いHACHIが、ある朝、初めてその芸をためらいなく見せた異変は、当初、夫婦間の絆を感じ、自分の存在をアピールしたい、という表れかと思ったのですが、それが実質、突然の別れの朝になった事を思えば、彼なりに、何らかの不安を感じ取っての必死の行動だったかと、何とも切なく、

その後はやはり、帰らぬ主人を駅前のお決まり場所で、待ち続ける姿、その何気ない後姿にも、ホロリとさせられるものがありました。人間だと、死別に悲しんだ後、亡くなった人の分まで幸せに、等という風に、という心の動きも、ある意味自然なメカで、このHACHIにしても、保身というか、我が身を大事に思うなら、駅通いなどはせず、愛情持って飼ってもらえるアンディ一家の元にいればいいものを、という所ですが、

犬によって多少性格もあるのかもしれませんし、主人がもはやいないと感じはしつつ、人間のように”死”へのリアルな感覚は持てないにしても、改めて、そもそも実在したハチの、一旦紡いだ絆がそう器用には断ち切れず、やはり傍目いくら無為でも、待ち続けることしか出来ない、という理屈抜きの純粋な忠実さ、が偲ばれました。

また、駅周辺の人々、駅長(ジェイソン・アレクサンダー)、ホットドッグ屋(エリック・アヴァリ)、本屋の女店主(ダヴェニア・マクファデン)、レストランの夫婦らが、駅に暮らすHACHIを見守る緩やかなコミュニティという感で、

もし現代の渋谷で、第2のハチのような犬がいたとして、はたしてそういう穏やかな見守り方がされ続けられるのか、ちょっと判りませんが、何だかこの劇中のこじんまりした駅前の雰囲気は、テンポ速く世知辛い現代のオアシスのようで、好感持てました。

9/22追記:この作品のラッセ・ハルストレム監督は、ギアの旧友で愛犬家、とのことで、やはり少年と愛犬を描いた「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」('85)の監督でもあったのでしたが、今回、HACHIの目線での、モノクロ映像の挟み方等も、言葉のない代わりというか、印象的でした。「マイ・ライフ・・」は未見でしたが、以前の作品では「ショコラ」('00)は見ていて、ビノシュの柔らかい物腰の雰囲気も良かった作品でしたが、舞台だった、やはりこじんまりした村のムードを思い出しました。全編のピアノ音楽も、さり気なく、フィットしてたと思います。

9/23追記:後半ちらほらツボはあったのですが、一番印象的だったのは、家も手放していたケイトが久方に町にやってきて、駅前で、老いたHACHIの姿を見て感慨、まだ、待ってるのね、と静かに話しかけ、次の列車まで一緒に待っていていい?と寄り添っていた所で、何だかジーンとくるものがあったりして、そう大きな感動期待で見た、という訳ではなかったのでしたが、思えば「フラガール」以来かの感涙作になりました。

HACHIに愛情を注いだパーカーの人柄の背後には、このケイトや娘アンディもいて、この一家の絆のあり方もほんのり好感でしたが、ジョーン・アレンは改めて、華のある、というタイプではなくても、今回も心の機微の表現の味感じました。

母はこの作品は、犬は人間からの愛情に、人以上に敏感な所もあるんだろう、犬の色々な感情の表現とかよく出ていた。何匹かでうまく表しているんだろうけれど、見事だった。人間とはまた違うけれど、犬の気持を思うとグッとさせる場面もあって、美しい物語だった、等と言ってました。

近年犬物語、というと、私は見たもので「クイール」「いぬのえいが」「南極物語」「ベートーベン2」「犬と私の10の約束」等浮かびますが、やはりこの「HACHI・・」が一番インパクト。以前「ホワイト・プラネット」の際、自分の動物映画ベストを書いていて、ベスト1は「皇帝ペンギン」、犬物語ではオリジナル「南極物語」('83)を一番上に挙げてましたが、今回、ギアの熱演もあって、この作品をトップにランクインしておきたいと思います。

先日「宇宙へ。」でも触れてたのですが、たまたま同日続けて見て、科学ドキュメンタリーとしみじみ系の動物物語、テイストは全く違いつつ、どちらもいわばシンプルで率直なテーマ、ではあって、「HACHI・・」が後の順序も良かったのかもしれませんが、日常を超えた果てない広がり、混じり気ない気持・愛情のあり方とか、何だかセットで味わいあった鑑賞でした。

関連サイト:http://www.hachi-movie.jp/http://www.paoon.com/film/msszdfjwh.html
関連記事:綴り字のシーズン(’05)「SAYURI」(’05)ママが泣いた日(’05)「アイム・ノット・ゼア」(’07)「クイール」(’04)「いぬのえいが」(’05)「南極物語」(’06)ベートーベン2(’93)「犬と私の10の約束」(’08)「ホワイト・プラネット」(’06)

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                    <’90年4月、ボストンにて>

by MIEKOMISSLIM | 2009-09-19 00:00 | 洋画 | Trackback(29) | Comments(4)
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「KYOKO」は’02年に映画掲示板にスレッドを立てた村上龍監督、高岡早紀主演映画で、当ブログはそのスレッド、次のブログに続いての3代目です。マイペースで、長年ファンのユーミン関連初め音楽、美術展、仕事、グルメ(食事)、映画、本、日常、旅のことなどアップしてます。


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